邪神の子 ~赤き瞳のクレイドル~   作:末末

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まだまだ続きます。修業、訓練パート。
キキキ(鳴き声)


幕間 集う冒険者達③ 猛血リ・ミルデア

人々の賑わいが心地いい。里に帰っていた頃は里の静かさ、穏やかさに心休まっていたのだが、都市の賑やかさを体に浴びると、心が弾む……。

 

「ふふ」思わず、笑みが浮かぶ。

吸い込まれる様に、冒険者ギルドに足が向かう。

 

 

すっかり体に馴染んだ喧騒が、心地いい……うん? いつもの喧騒が、やや違う。なんだろうな……受かれた感じがする。何かいい事でもあったのだろうか?

カウンター正面にいたのは、青い瞳のしなやかな体付きの、猫族の受付嬢。サイミアだ。

「お久し振りですね。ミルデアさん、里はどうでした?」

「充分、骨休めできたよ。ところで、ギルド内の雰囲気がちょっと変だが、何かあったのか?」

「はい。久し振りに新人君が来たのですよ」

サイミアが嬉しそうにいう。何となく、頬が赤く染まっている様だ。

「ふむ。どんな奴だ?」

サイミアはクスクスと笑い、訓練所にいますから、行ってみるといいですよ。との事だった。

 

「武器に振り回されてるぞ。武器の重量とバランスを、もう少し確認しろ」

「おお、お……!」

訓練用の防具を身に付け、鷲の顔を模したフェイスガード付きの兜を被った男。

手にしている武器は、両手持ちの訓練用バトルアクスか。見る限り、何とか振れてはいるので、あとはバランスを取る事が出来れば……。

「上半身が泳いでるぞ。足腰を重視しながら身体全体を意識するんだ」

訓練を見ているのは、マーカスさんと、ジャンベールだ。

「おお……おっ!」

おっ。良くなってきたな。いいぞ。マーカスさんとジャンベールの教え方もいいが、本人の吸収もいいのだろう……。

 

「まあ、今日はこんなとこだろ。休憩にしようや。茶を入れて来る……おう、ミルデアか。久しぶりだな。新人紹介するぜ、クレイドル、来い」

マーカスさんが、バトルアクスを地面に置き、座り込んでいる男を呼んだ。

 

リ・ミルデアさん。リザード族、リザードマンってやつか。爬虫類の頭部から伸びる巻き角。大きな瞳に長いまつ毛。おお……紫がかった瞳が綺麗だな。あと、髪飾りならぬ角飾りが派手だ。

がっしりとした体格だが、出るとこ出て、引っ込んでいるとこは引っ込んでいる……グラマラス体形てやつだ……。

 

「少年、角飾りと首飾りが気になるか?」

おお、ハスキーボイス。渋いな……。

「え、ええ、はい」

「ふふん……この角飾りと首飾りはだな──」

 

二人のやり取りを見ていたジャンベール。

(長くなるぞ、リザードマンの飾り自慢は……)

いつの間にか、側にいたレンケイン。

「夕暮れまで、かかるでしょうねえ……あれ」

 

「そこで私は、乾坤一擲の覚悟で──」

身振り手振りで、飾りを得るための狩りの話しをする、ミルデアさん。なかなかに面白い。

十三の成人の儀式に、決められた獲物を狩るのだという。大人のある程度のフォローはあるが、一対一の闘いで仕留めるのだという。

命の危険がない限りは、大人が助けに入る事はないとの事。

失敗したとしても、成功するまで機会を与えられるそうだ。

 

ミルデアさんの話しは夕暮れ近くまで続き、さらに続こうかという頃に、ジャンさんとレンケインさんが止めに入って来た。

 

「うむ。やはり、ここの食事と酒はいい」

ミルデアさんは、エール大ジョッキをがぶりと呷った。

目の前の皿に盛られている料理は、充分に火の通った、焦げ目の付いたソーセージ。揚げたジャガイモには、ほどよく塩とスパイスが振られている。当然のようにある、玉葱の酢漬け野菜。

今ここは、オーガの拳亭。面子はジャンさん、レンケインさん、そしてミルデアさん。

珍しく冒険者の客はおらず、宿内は一般の泊まり客と、酒と食事の客が大半らしい。

 

やはり冒険者は目立つのか、客がチラチラとこちらを伺う様子を見せている。

「気にしなくてもいいわよ~。一般のお客さんが多いだけだから~。冒険者が珍しいのよ」

同席して来たミランダさんが言う。

「あとね~クレイドル君が気になってるのよ」

「はいい?」

なんだ? 俺、何かしたのか?

「うむ。リザード族の私から見ても、少年の顔立ちは、罪作りだからな」

ぶふぁっ! と、ジャンさんとレンケインさんが、酒を吹く。

ミルデアさんが、エール大ジョッキを頼み、ジャンさんとレンケインさんはワインを頼んだ。

俺は柑橘酒の炭酸割り。炭酸水あるんだな……。

追加料理は塩漬けの焼豚とベーコン青菜炒め。追加の玉葱の酢漬け。

飲めや食えやの宴会状態になった。

 

オーガ亭に宿を取っていたミルデアさんが、まだ話したい事があるからと腕を掴んできたが、ミランダさんが、やんわりと助けてくれた……。

なんか、獣人女性に対しての警戒感が増してきた気がする……邪神のせいだ。




対獣人フェロモン持ちかもしれませんな。
邪神の息子は。
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