今だ笑っている邪神を、冷めた目で見る。
何がそこまで楽しいのやら……笑い終えるまで待つか。
「おかわりはいかがですか」執事さんが重低音ボイスで聞いてきたので、お願いした。
ほどよい温度のお茶が、心を穏やかにする。
「あ~落ち着いた……ええと、じゃあこれからの事を少し説明しようか。決めなければいけない事もあるしね~」
邪神が涙を拭いながら言う。涙が出るほど楽しかったのか。もしかして、俺の転生は娯楽の一環とでも思ってるのでは……いや、さすがにそれはないか。一応、神様なんだしな。
「最近、どうも楽しい事がなかったからね。いや、嬉しいよ。ふふっ、ふっ」
娯楽だった。そんなとこだろうな。一応、邪神なんだしな。
「ふう……さてと、転生にあたって、君はある意味生まれ変わる事になる。容姿は僕が送る世界に適用される様にするよ。あと、その世界の基本的な知識も送りこむからね。何も分からず右往左往するのは、嫌だろう?」
「それは……助かります。あの、容姿は人間の姿でお願いします」
「えっ?……ああ、君が言う人間ってのは、人族の事か……う~ん、他にも種族あるけど?僕がその気になったら新しい種族作れるけど?」
おおう……早口でまくし立ててきたな。というか、新しい種族作れるって、なんか怖い……。
「ええと、新しい種族、っていうのは?」
「興味ある?例えばねぇ、悪魔の力を持ちながら、人の心を──」
「うん。ダメです。止めてください」
誕生日おめでとう悪魔人間、じゃねえよ。
「え~ダメかい?……じゃあ2、3分しか戦えないけど、巨大化──」
「それもダメです。普通の人間、人族でお願いします」
あそこはかなり厳しいらしいからな。
「う~ん。まあ君がそうしてほしいなら、そうするよ……」
危なかった。言わなければ、何にされていたのか……最後に、いつでも変更できるし。みたいな事を呟いていた様な気がするが、気のせいと思っておこう……。
「よし。じゃあ、転生の準備してくるから、ちょっと待っててね~ああデルモア、その間、クレイドル君をもてなしてやって~」
重低音ボイスの執事さんの名前、デルモアさんというのか。
「軽食にしましょうか。新しいお茶に入れ替えます」
てきぱきと、手際よく準備をするデルモアさんに黙って頭を下げた。
軽食中、デルモアさんから色々と話をしながら、忠告を受けた。邪神についてだ。
曰く、「あるじ様の発言をあまり間に受けないように」
曰く、「言動がどうあれ、油断なさらないように」
そして最後に、「あるじ様はよくも悪くも純粋な方ですが、反省無き、享楽家です」
ええ……