どれくらい、需要あるんだろうか?
感想あるなら是非(アンケート取るまでも無いか?)。
“静寂の祠”──対
物理的な攻撃が通用する相手。物理以外の攻撃しか通用しない相手の事を、改めてファルから学ぶのだ──
鑑定を終えた宝石袋は、ファルお得意のお店という、メルデオ商会に持ち込む事になった。
ここ城塞都市でも、名うての商会ね──
「この店はね。間違いないから」
自分が交渉している間、店を見て回るといいよ、と言われたので、ゆっくりと店内を巡る事にした──いいブーツが欲しいのよね……足回りは、優先すべきと習ったのが、記憶に新しい。
ジョシュは、野営に使える品を見て回るといい、シェリナは補充品を見に行った──さて、と。
「何か、お探しですか?」
声をかけられた。店の制服姿の、私より少し年下らしき女の子。ニコニコと愛想よく、私を見上げてくる。
明るい栗色の三つ編みのお下げが印象的な、可愛い顔立ちの娘さんだ──「いいブーツがね。欲しいのよ」
三つ編みの娘さん──店員の顔が、パッと明るくなった。
「お客様、冒険者ですね。なら、こちらのコーナーがお勧めですよ!」
こっちですよ、と手招きして案内する店員さん。 接客姿に、思わず微笑んでしまう。
冒険者を接客しなれているのだろう──
店員さんの名前は、メジェナさんといった。ここメルデオ商会の娘さんだという。
「冒険者は、足回りも重要ですからね。頑丈なだけの物なら、武具店がお勧めですけど、歩きやすさ、通気性、耐久性を考えたら、やはりこういう店で選ぶのが最適ですよ!」
ニコニコと明るく、メジェナさんが云い、色々なブーツをお勧めしてきた……さて、と。目移りするわね……。
結局、軽さと通気性重視のブーツを選ぶ事になった。
状況次第で、私も前衛に出る必要もあるしね──軽さと通気性、まあまあの耐久性を持ったブーツを選んだ。少し武骨な感じだけど、冒険者らしくていいわね。
お値段、金貨一枚に銀貨二枚。ブーツにしては少々、高いと思ったけれど「長く使うならば、お勧めですよ」とメジェナさんの言葉に惹かれた。
それと、「メンテナンスなら、安価でいつでも引き受けていますから!」との言葉に購入を決めた──パーティー口座では無く、自腹で購入する事にした。
ジョシュは、小型の魔道コンロと予備の魔石に、野営用の毛布と敷布を人数分。応急措置用の包帯、湿布に塗り薬、解熱剤を購入。
シェリナは、干し果物と乾燥スープに、塩と香辛料と携帯食を購入していた──それぞれ、パーティー口座から出した。
私用に、装備を購入していたのを悪く思ったけれど、二人ともに、「自分達の追加の装備はまだ先」と云ってくれた。
今現在。私達の冒険者ランクは初級のDランク。もう一段上がってから、装備を一新しようと話が決まった。
私も、近接装備を整えないとね。今よりも頑丈な革鎧と籠手を新調したいわ……でもその前に、ジョシュの武具の新調が先かしらね。
店を出る頃に、メジェナさんが手を振ってくれた──「いつでも、お越しくださいね~」
手を振り返す。うん、良い店ね──何となく、この店とは縁が繋がった気がした。
ジョシュとシェリナの買い物は、パーティー口座から、計金貨三枚に銀貨一枚に抑えたらしい──うん、構わない。
「あ、買い物終わった? 僕の方でも取り引きは終わったよ~」
ニコニコと、ファルがやって来た。
宝石袋二つの値段は──金貨八枚に銀貨三枚との事だった。赤字にはならない様で、ちょっと安心したわ……。
「まあ、こんなものかな~」
ファルが、呑気に云う。ふむ……そうなのだろうね。時間は、夕方近くになっていた。
「夕食は、何処で食べましょうか?」
皆に聞きながら、私の頭には鍋料理が浮かんでいた。
それなりに荷物があったので、定宿の“オーガの拳亭”に戻る。一度荷物を起き、着替える。
食堂に降りるとミランダさんが出迎えてくれた。
「あら、お帰りなさい」
ミランダさんの声を聞き、帰って来たのだな、という気持ちになった……食堂の賑やかさに、安心する。
「取り合えず、飲み物の注文お願いします」
お酒を注文してもいい時間帯よね──私とリーネは、果実酒炭酸割り。ジョシュとファルはエールを頼んだ。
そして摘まみは、軽くチーズと酢漬け野菜。夕食の注文は、その後ね。
「は~い。ちょっと待っててね~」
ミランダさんは、力強いウィンクをすると厨房に戻って行った。
「さて。夕食の前に、“静寂の祠”の事を話しておこうか」
二杯目のエールに口を付け、ファルが云う。
「前も言った通り、あそこは
そういえば、初級訓練の座学でも習ったな……レンケインさんから習った事は確か──(実体の不死者で気を付けないといけないのは、状態異常だね。毒に麻痺だとかだね。あと霊体の厄介さは、精神異常を仕掛けて来る事だ。恐怖、混乱、とかね。抵抗するには、本人の精神力……もしくは、耐性が付与された魔道具を身に付けるかだね。まあ一番手っ取り早いのは、神殿で加護を授かる事だね)──ジョシュは、前に受けた初級訓練の事を思い出す。
「うーん……静寂の祠に出てくる不死者は、どんな種類がいるんだ?」
エールを飲み干し、改めてファルに尋ねる。
「そうだね……静寂の祠は、それほど奥深く無いからね。五階層までなんだけど、やはり手強い相手はいるよ」
取り合えず、低階層に出現する──不死者は、と……考えながら、ファルが教えてくれた。
──
──
「……低階層に出現する不死者は、こんなものかな。もちろん奥まで進めば、厄介なのも現れるけど、まずは少し慣れる程度にしておこうか。後は、その都度説明するよ」
ファルは炭酸水を頼む。酒を抑えるみたいだ。俺も抑えておこうかな……。
「そろそろ、ご飯にしない? お腹空いたわ」
シェリナが云う。そういえば、リーネが鍋料理にしないかと云っていたな。
冬の鍋物は、何ともいえない美味さがあるし、たらふく食べられるからな……。
「すいませ~ん! 注文お願いしま~す」
リーネが、早速従業員に声をかけた。
さて、どんな鍋があるかな……。
「は~い、お待たせ~。茸と山菜の鳥鍋よ~」
ミランダさんが、クツクツと沸いている大きめの鍋を運んで来た。テーブルの中央に、従業員さんが手早く魔道コンロを起き、弱火で起動する。
その上に、ミランダさんが鍋をひょい、と置いた。
「今日はね、森林街から良い山菜と茸を仕入れられたのよ。それを使って鳥鍋にしたの」
ミランダさんが、パカリ、と鍋の蓋を取ると、湯気と共に鳥出汁の薫りが、ふわりと立ち上る。
それが何とも、食欲をそそる──ミランダさんが、取り箸を手に、人数分を取り皿によそってくれる。
森林街ミストウッズか──うん、良い街だったわね。“
「おー、いいね。やっぱり冬は鍋物だね。ミランダ、果実酒炭酸割り頼むよ」
ファルは、早速取り皿に手を伸ばす。ジョシュ、シェリナもお酒を注文し、取り皿をつつき始める。
「ミランダさん、果実酒お願いします。あと、鍋に合う料理も」
私もお酒を注文した。 鍋に合う料理もあるといいな……。
「んっふふ~、いいわよ。鍋に合う料理見繕うわ。楽しみにしていてね」
相変わらずの力強いウィンクをして、ミランダさんは厨房に戻って行った。
さて、私も鳥鍋を楽しもうかな。
“オーガの拳亭”の鍋料理を、たっぷりと堪能できた。
追加の具材を注文した後、鍋の〆はどうするか? となった時少々揉めたけど、明日があるから重たい物は止そうとファルが云い、〆は麺になった。
煮詰まった鍋の出し汁をスープにして食べる麺は、何とも美味しかった……。
それと、鍋に合う料理は、初めて見る物だった。トマトをスライスした上から、炙ったチーズを乗せて、その上から香草を振った物──「ああ、これ久し振りに見たなあ」
ファルが嬉しげに、料理に手を伸ばす。
私達も釣られて、そのトマト料理を味わう──トマトの甘さ混じりの酸味に、炙りチーズのまろやかな風味と香草の香り──初めての味わい……うん、美味しい。
鍋料理とトマト料理を堪能した後は、お酒はそこそこにして、部屋に戻る事になった。
「明日、陽のある内に“静寂の祠”に向かうからね。向かう前に、神殿で加護を受けようか。多少の寄進は必要だけど、受けると受けないとでは、大分変わるからね。それでいいかい?」
ファルが云う。
「ええ、構わないわ」
ジョシュとシェリナを見る──二人とも頷いた。
よし、決まりね……“静寂の祠”に明日向かいましょうか。
無事戻って、