邪神の子 ~赤き瞳のクレイドル~   作:末末

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第5話 深夜の決闘 廃墟の中心で覚悟を叫ぶ

屋根が残っている家屋を見つけ、踏みいる。やはり埃まみれだ。比較的、埃にまみれていない布を使って、床の埃を払う。何とか横になれるだけのスペースを作る事ができた……荷物を部屋の隅に置き、埃を払った場所に横たわる。剣を手放さないように抱え込む……睡魔はすぐに──。

 

カタカタ、カタカタカタ……風の鳴る音が遠くに聞こえる……いや、少しづつ近づいて来るような……いや、気のせいだろう……寝返りを打ち入り口にボンヤリと目にやると……ん?

 

骨が、立っていた。カタカタと音を鳴らしながら……カタカタ音は、上下の顎が打ち鳴らしている音だ。骨は片手に棍棒というべき、木の枝を持っている。

スケルトン、という奴だな……邪神に送り込まれた知識と前世の記憶からの判断……剣を抱え込み、スケルトン目掛けて駆け出す。

家屋内での戦いはマズイ。逃げ道が無いのは危険すぎる─できるだけ身を低くしながら、スケルトンの側面をすり抜ける様に駆け─ボゥオッ!!

怖っっわ! 風切り音ならぬ、風断ち音が頭部ギリギリで聞こえた。食らったらゲームオーバー間違いなしだろっ!!

何とか距離を取るべく、身を前方に投げ出す。

体勢を何とか立て直し、背後のスケルトンに向き合う……スケルトンはカタカタ鳴きながら、ゆっくりと振り返る─こいつ、手は速いが動き全体はゆっくりなのか……異世界知識、発動? 接近戦油断大敵。戦闘力、個体差あり─生前の戦闘力を引き継いでいる個体もいる……スケルトンは雑魚っていう認識改めるべしか。

 

初めての異世界での戦闘……なのだが、妙に落ち着いている自分に少々、驚いている。

ゆっくりと剣を抜くと、早くも手に馴染む感覚が、静かな高揚感をもたらしてくる。

鈍く輝く鋼をスケルトンに向ける……一歩、一歩とスケルトンが向かって来る。

剣を上段に構え─そういや、中学まで剣道やってたっけか……高校に剣道部がなかったので、結局、俺の剣道人生は中学で終わったのだ。

まあ、剣道は武術じゃないしな……一部の流派を除いてだろうが……スケルトンが、手にした棍棒をゆっくりと振り上げるような動きをする──それに合わせて一気に踏み込み、スケルトンの振り上げた両腕と頭部を薙ぎ払う──カキンッ! 二重の手応え……ガタンっという音と同時に、スケルトンがバラバラと崩れ落ちた。

肘から先の両腕と頭部と、それ以外の骨が目の前に散らばっている。

止めとして、スケルトンの頭骨を踏み砕く。

骨が砕ける感触が、達成感を感じさせた……。

 

はあ……終わってみれば、あっけないような気がする。なんだろうな、アドレナリンかなんかが出てたのか、戦闘中はかなり冷静に動く事が出来た……剣を鞘に納めて、周囲を見回す。時間は深夜過ぎってとこか?

ふと、バラバラに砕けたスケルトンを見下ろすと、何か光る物が見えた。それを拾い上げてみると……鈍い光りを放つ、握り拳より一回りは小さい水晶のような物だ──魔昌石。魔石。魔物、魔獣の体内にある、魔力が込められた石。使用方は多岐に渡る──おお、異世界知識、発動。

魔石、かあ……それなりの金額で売れるらしいな。それより、先ほどの戦闘の余韻がまだ残っているのか、まだ気持ちが多少、高揚している。

「少し、周囲を見回るか……」

スケルトンが一体とは限らないからな。少しでも安全性を確認しておきたい……。

 

結局、あのカタカタ音は何も聞こえず、あのスケルトン一体だけだったらしい。中央広場の噴水近くのベンチに腰掛け、しばしボンヤリとする。

深夜過ぎの夜更け。俺はこれから、この世界で生きていく実感が湧くのを、強く感じた──。

 

「俺は生きる!! 素晴らしき、第二の人生を生きる!! 邪神、御覧あれ! 俺は……生きる!」

 

戦いの余韻でテンションが──どうかしていた……。




ようやく、5話になりました。少しずつ、文字数も増やしていければと思います。
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