令和に復活!仮面ライダーダルダ a girl blooms   作:ぽかんむ

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第11話 剣豪と切り開く、闇を超えた先。

 一方、同時期のとある住宅街。蟻のような黒い怪人・アントミッシの群れは、別の場所にも発生していた。

 逃げ惑う人々。その中には洋子と彼女の家族もいた。逃げ遅れた人々は、アントミッシの餌食となっていた。

 回り込んできた怪人が、洋子の正面に現れる。襲われそうになったその時、突如として、彼女の前に剣士が立ち塞がった。

 剣士は聖剣を振り払い、敵を後退りさせる。その剣士の名はユーリ。千年前から戦う歴戦の強者である。手に持つは光の聖剣・光剛剣最光。彼は振り返ると、洋子に言った。

 

「さぁ、早く逃げろ」

 

「はい!」

 

 アントミッシは人を求めて襲いかかる。聖剣を腰のバックルにマウントしたユーリは、金の武器 銀の武器ワンダーライドブックを取り出した。それを聖剣サイコウドライバーに装填。ユーリが叫ぶ。

 

「変身!」

 

 聖剣を再度取り外す。すると彼は聖剣に吸い込まれた。剣士であり剣・仮面ライダー最光 金の武器 銀の武器に姿を変えたのだ。

 最光は素早く飛び回り、周囲のアントミッシを斬りつける。彼らの進路を妨害した。敵を怯ませた隙に、自身は上空に昇る。

 

「光あれ」

 

『最光発光! Good Luck!』

 

 最光が自らを中心に目映い閃光を放った。拡散された光は、夜の闇に慣れた怪人の目を眩ます。光が晴れたとき、住民は既に避難を完了させていた。

 

「時間は稼ぎきった。あとはお前たちを倒すだけだな」

 

 地面から最光シャドーが顔を出す。それはアントミッシの間に出現した。両サイドの二体を裏拳で吹き飛ばすと、聖剣を掴む。

 取り出したエックスソードマンワンダーライドブックを、バックルに装填。彼の背後に、ライドブックを模した巨大なエフェクトが現れた。それから聖剣の束頭で、バックルのスイッチを押す。新たなページが開かれると、最光シャドーの各部に、カラフルなアーマーが装着された。

 

『最光発光! Get all Colors!エックスソードマン! エピソード1!フルカラーで参上!ババババーン!』

 

 仮面ライダー最光 エックスソードマン。襲いかかるミッシを、次々に斬り伏せていく。敵が口から針のようなものを放った。ところが、最光の装甲の前には、難なく弾かれる。

 

「そろそろ決めるとするか。俺のすべては足に行く」

 

 そう言うと彼は、束頭でバックル上部のスイッチを二度押した。

 

『移動発光!脚最高! Fullcolor goes to leg! エピソード3 カラフルキックで、ドカドカーン!』

 

 全身の装甲を一度解き放ち、辺りの戦闘員にぶつけた。敵が怯んでいる内に、装甲が右足に集結。ワンダフルエックスソードが形作られる。さらにバックルを操作した。

 

『フィニッシュリーディング! サイコーワンダフル!』

 

「エックスソードブレイク」

 

 最光は掛け声と共に、回し蹴りを繰り出した。一回転して薙ぎ払い、周囲の敵を一網打尽にする。

 

「同じ気配を複数の地点から感じる。行かなくては」

 

 アントミッシは各所に散らばり、住民を狙っている。彼は聖剣の形態になると、人々を守るため、勢いよく飛び去っていった。

 

 時は遡る。アスモデウスに捕まったセイバーと蘭。三人がやって来たのは闇の世界。衝撃を受けて、砂地をゴロゴロと転がっていた。半壊した煉瓦作りの城が背後にそびえ立っている。

 アスモデウスが人間態に戻った。その左脇には、蘭が抱えられている。変身解除された飛羽真が苦言を呈した。

 

「汚いぞ、アスモデウス。その子を離せ!」

 

「こいつは人質だ。お前が不穏な動きを見せれば、容赦なく殺す」

 

「くっ……蘭、必ずきみのことを助ける! 約束だ!」

 

 十聖刃を構える飛羽真。それをアスモデウスが宥める。

 

「叶わない約束などするものではない。それにこんな所で戦っても意味はないだろう。お互いにな」

 

「お前にとって物語とはなんだ?」

 

「謂わば食事だ。物語の中で翻弄されるキャラクターたちの感情が私の糧。そして感情の振れ幅は大きいほど甘美なのだよ」

 

「こいつ……!」

 

「どうした? 早く聖剣の力で脱出したらどうなんだ?」

 

 十聖刃の力を持ってすれば、飛羽真自身の脱出は容易である。しかし、蘭を救出しつつ、アスモデウスは闇の世界に留める手段となると、打つ手がない。少なくとも単独では。

 彼は仲間を信じて待つことに決める。だがそれを悟られてしまえば、脱出失敗の恐れがある。話を逸らすため、彼がアスモデウスへ質問した。

 

「お前はどうしてアガスティアベースに封印されていたんだ?」

 

「時間稼ぎか……まあいいだろう」

 

 アスモデウスが自らの過去を話し始める。彼がソード・オブ・ロゴスに入隊した理由は、餌である物語との距離が近いためだった。身分を偽り入隊。任務を隠れ蓑にして、多くの物語を食い散らかしていた。

 しかしやがて悪事が露呈する。本性をさらけ出したアスモデウスは、ソード・オブ・ロゴスと敵対。かなりの戦力を削ぐ。だが最終的には四賢神と死闘を繰り広げた。物理的な撃破が不可能なことを悟られると、石化させられた。

 その後は、マスターロゴスの目が届く領域という理由から、アガスティアベースへと封印されていた。アスモデウスの封印が解除されたのは、イザクによって四賢神が葬り去られたからであった。

 身の丈話を聞いた飛羽真は、より一層怒りを強めた。

 

「退屈凌ぎに面白いものを見せてやろう」

 

 そう言うとアスモデウスは、羽ペンのようなものを出現させた。それを右手に持つと、虚空に何かを書く。その後左手に、円形の液晶を生み出した。流れる映像を、二人に見せる。そこには、リカと賢人が会話している光景が写し出された。

 

「いったい何を見せたいのかしら?」

 

 蘭の疑問はすぐに解決される。映像の中のリカは突然、自らの使命を忘れて、どこかへ去ってしまった。

 創造主であるアスモデウスが、ダルダの世界からダルダ関連の設定を取り去ったのだ。リカが助けてくれると信じていた彼女にとって、芽が潰されたショックは大きかった。液晶を消したアスモデウスが言う。

 

「闇の世界に封じ込もうが、このくらいの干渉は容易い。その気になればあの世界の住人を同士討ちさせることだってな。ここに留めていても意味がないことがわかったのなら、早く出せ」

 

 だが飛羽真が反論する。

 

「いや、そんなことは出来ない。せっかく育てた家畜を無駄死させれば、お前の復活は遠退く。騙されないぞ」

 

「くくく……ならば気が済むまで硬直していよう」

 

 そして飛羽真とアスモデウスの睨みあいは続いた。

 その頃、リカは住宅街を歩いていた。すると同級生に声をかけられる。友人の洋子だった。

 

「リカ! 暇なら一緒に遊ぼうよ!」

 

「うん、いいよ。それにしても何だか久し振りだね」

 

「え? 昨日も遊んだじゃん?」

 

「あっ……ごめんごめん、そうだったね。昨日はみんなでサッカーしたもんね」

 

「そうだよ。ささ、公園行くよ」

 

 自身の記憶に若干の疑問を感じながらも、違和感の正体を彼女は気づけない。公園には他の友達もおり、楽しい時を過ごした。17時頃となり、遊び疲れたリカが帰宅する。

 ドアを開けて玄関に入った。靴を縦長の靴入れに入れる。だが靴の数に彼女は違和感を覚えた。母親のレイがやって来て、迎い入れられる。

 

「おかえり、リカ。今日はどこに行ってきたの?」

 

「友達と公園で遊びに……この家って3人暮らしだよね?」

 

「なに言ってるのよ。私とリカの2人でしょ? お父さんは帰ってこないんだから」

 

「そう……だよね。なんか変なんだ、私」

 

「疲れてるのよ、ほら、お風呂入ってきなさい」

 

 その後もリカは、ごく普通の日常を過ごした。入浴、夕食、宿題、遊戯、就寝。そのすべてに微かな違いを感じていた。翌日、彼女は通学路を歩いている。ランドセルを背負い、小学校に向かっていた。

 

「……昨日まで私はどんな感じに登校してたんだっけ……一人? 違う……誰かと一緒に登校していたはずなんだ」

 

 友達の顔を次々と思い浮かべるリカ。しかしその誰とも合致しない。ならばきょうだいか。だがそれも彼女にはいない。

 

「会いたい……思い出せない友達に……!」

 

 ポッカリと空いた穴を気づいた瞬間、彼女は光輝いた。そして、失われていた魔力を取り戻す。彼女が指を前に向けると、指先からビームが放たれた。それはオートバイを形成する。ダルダの愛機・ビオプランターである。

 球魂を持たない今の彼女にとって、ビオプランターの生成は負担が大きい。彼女は体の力が抜け、地面に片膝をつく。はあはあと荒い呼吸をしている。しかし再び立ち上がると、バイクに跨がった。

 

「何これ? でも初めての感覚じゃない。私はこれに乗ったことがある」

 

 彼女はエンジンをかけて、アクセルを強く踏み込む。するとバイクが発進。速度は瞬く間に加速していった。やがて前方に白いワープホールが開く。中に突入すると、不思議な空間が広がっている。そこは様々な色彩が鮮やかに輝いている。その光景もリカは朧気ながら覚えていた。

 バイクを走らせていると、黒い穴が視界に入る。そこへ飛び込むリカ。彼女もまた、闇の世界への侵入を果たした。やはり一面、砂漠のような光景が広がっている。アスモデウスと同じ空間にいるためか、彼女はダルダ世界の力や記憶を完全に取り戻した。

 

「蘭……絶対にあなたを助けて見せる……!」

 

 彼女は蘭の魔力を察知した。気配のする方へ、バイクに乗って進む。

 だが闇の世界は広大である。ビオプランターの生成によって魔力を大きく消耗した彼女は、疲労が溜まっていた。

 

「蘭に全然近づけないよ……」

 

 その時賢人は、金色の空飛ぶカーペットに座って飛んでいた。偶然リカを見つけると、彼女の前に着陸する。彼女は急ブレーキでバイクを止めた。

 

「あなたは……賢人さん? どうしてここに?」

 

 問いかけてきたリカに、賢人が答える。

 

「記憶が戻ったのか。飛羽真を助けるためだ。きみの目的は秋月蘭だろ?」

 

「うん。蘭の行方はわかるの。でも遠くて……」

 

「わかった。俺には飛羽真たちの場所はわからないが、速度なら出せる。一緒に行こう」

 

「うん!」

 

 バイクを降りるリカ。するとビオプランターは光の粒子と化して消えた。彼女がカーペットに乗り、賢人の後ろに座る。カーペットは地表から数m浮遊すると、猛スピードで前進した。

 

「速っ!」

 

「リカ、指示を」

 

「えっと……この先を北西に真っ直ぐ!」

 

 二人はアスモデウスの元へぐんぐんと進んでいく。

 古城の近くでは、飛羽真とアスモデウスとの睨み合いが続いている。隙を見逃さぬよう気張る飛羽真に対して、攻撃の意思がないことを悟っているアスモデウスは、あからさまに退屈していた。

 その時、一人の少女がゆっくりと彼らのもとへ歩み寄ってくる。リカだ。その魔力を感知した蘭が真っ先に叫ぶ。

 

「リカ!」

 

「遅くなっちゃった。それから、ごめんなさい。蘭と決して離れたくなかったの」

 

 呆れたように、アスモデウスが言った。

 

「愚か者め……なぜここに来た、リカ。改変された世界で貴様は幸せに過ごせただろうに」

 

「蘭がいない世界なんて何も幸せなんかじゃない! 私は親友を取り戻す!」

 

「だがお前一人増えたところで何が出来る」

 

 その時だ。アスモデウスの背後に落雷が落ちる。それと重なるように、エスパーダ・ランプドアランジーナが空中から唐竹の斬撃を打ち込む。思わぬ反撃に、手が緩むアスモデウス。エスパーダは続けて、すれ違い様に横薙に斬り裂く。同時に蘭を回収。敵との距離を取った。

 

「何!?」

 

 不意打ちに困惑するアスモデウス。それを尻目に、エスパーダはリカの元へ、蘭を送り届けた。

 

「作戦成功だな、リカ」

 

「おかえり、蘭!」

 

「ありがとう……ただいま」

 

 蘭が照れつつ、安堵の表情を浮かべた。飛羽真が言う。

 

「ありがとう、賢人。必ず助けに来てくれると信じていた」

 

「当たり前だろ? それにここへはリカの協力なくしては辿り着けなかった」

 

「そうだったのか、リカもありがとう。これで戦える!」

 

 飛羽真は刃王剣十聖刃を、エスパーダは雷鳴剣黄雷を、ソードライバーに納刀。それから、スロットに各々のワンダーライドブックを装填していく。そして聖剣を引き抜いた。

 

「変身!」

 

『聖刃抜刀!』『黄雷抜刀!』

 

『クリムゾンセイバー!銀河の果てに放つ!広がれ上がれコスモ!甦れ world once more! 光 真実 愛 希望 時空はとっくにRock on!クロスセイバースリー! 豪華三冊!』

 

『ランプの魔神が真の力を発揮する!ゴールデンアランジーナ! 黄雷三冊!稲妻の剣が光り輝き、雷鳴が轟く!』

 

 銀河にも似た青い光や、迸る雷をその身に受けることで、飛羽真は仮面ライダークリムゾンセイバーに変身、エスパーダはゴールデンアランジーナにパワーアップした。

 アスモデウスが二本の剣を横に振るう。紫色の禍々しい衝撃波を放った。それを上に逃れて回避する二人。翼を広げ、セイバーが空中に留まる。そこから剣を振り、火炎弾を射出。受けたアスモデウスを怯ませた。すかさず、エスパーダが高速で接近。目にも止まらぬ斬撃を放った後、落雷で追い討ちをかける。

 

「逃がすか!」

 

 離れようとするエスパーダ。彼のマントを、アスモデウスは左手で掴んだ。逃げられなくしてから、右の剣で袈裟斬り、逆袈裟に複数回斬りつける。救援に駆けつけたセイバーに、振り向き様、掌を向けた。そこから光弾を連射する。避けるセイバー。だが光弾は独りでにセイバーを追尾し、彼の邪魔をする。

 紫の龍のエフェクトを、アスモデウスは刃に纏わせる。そして唐竹割りを繰り出した。大ダメージを受けたエスパーダは、変身解除して倒れる。それに気を取られたセイバーに、光弾が複数命中。彼は撃ち落とされた。

 

「まずは貴様からトドメを刺してやる」

 

 アスモデウスが賢人目掛けて、剣を振り下ろそうとする。

 

「賢人!!」

 

 叫ぶセイバー。地面に伏しながらも、聖剣のエンブレムを押し込む。次に鍔をスライドさせた。

 

『刃王必殺リード! 既読十聖剣! 刃王必殺読破! 刃王クロス星烈斬!』

 

 十聖刃を突き出す。烈火、流水、黄雷、激土、翠風、錫音、月闇、最光、狼煙、界時の10本の聖剣を模したエネルギーが、剣先から放たれた。

 しかし、振り返ったアスモデウスは、聖剣を次々と、斬撃で弾き飛ばしていく。飛行してセイバーは間合いを詰めた。そして斬りかかる。両者は拮抗し、鍔競り合う。

 一連の戦闘を、リカと蘭は歯痒い思いで眺めていた。とても参戦出来ない力の差。自らの世界の命運が、異世界の者達に委ねられている事実。リカが賢人の元へ駆け寄る。彼を両手で抱えると、少しでも安全な場所に身を寄せた。

 

「大丈夫? 賢人さん」

 

「あぁ……まだだ……」

 

 立ち上がろうとする賢人だが、体を動かせない。すると彼は、ソードライバーの右端のスロットから、ランプドアランジーナワンダーライドブックを引き抜いた。また、ホルスターからライオン戦記ワンダーライドを取り出す。リカに二つのブックを託した。

 

「これは?」

 

「それを飛羽真に渡してやってくれ……必ずや力となるはずだ……」

 

「うん……わかった」

 

 ブックを受け取るリカ。セイバーにそれらを投げ渡そうと考える。しかし、激しい戦闘にそのような余地はない。そこへ蘭がやって来た。

 

「何してんのよ。こんなの簡単じゃない。受け取りなさい、セイバー!」

 

 すると彼女はライドブックを投げつけた。ブックはコントロールよく、セイバーに近づく。だがアスモデウスも黙っていない。彼はセイバーを突き飛ばすと、ライドブックを掠め取ってしまった。

 

「ふふふ……これで逆転の最後の希望も閉ざされてしまったな」

 

 だが蘭が不敵な笑みを浮かべる。

 

「しっかり見なさいね?」

 

「なに?」

 

 蘭の投げ渡したブックが爆発する。ブックは魔法で作られた模造品だった。アスモデウスが怯み、戦況は一瞬硬直。

 

「今よ!」

 

 彼女の指示に合わせて、リカは本物のブックを投げる。それは山なりの軌道を描き、セイバーの手元に着地した。

 受け取ったセイバーは納刀。次に、ドライバーのミッドシェルフ、レフトシェルフのブックを交換する。ドライバーは赤、青、黄のブックで並んだ。そして聖剣を引き抜く。

 

『聖刃抜刀!』

 

『ドラ!ドラゴン!ライオン!戦記!アー!アランジーナ! 絆が導く勝利の約束!合併出版! フィーチャリングセイバー! 三冊特装版!』

 

 紺碧のブレイブドラゴドラゴン、ライオンセンキ、ランプドアランジーナをその身に受ける。光とともに彼は、仮面ライダーフィーチャリングセイバーへと覚醒した。

 胸の彫刻から青いライオン状のエフェクトを打ち出す。それはアスモデウスに迫ると、ジャンプからの噛みつき攻撃をした。

 それを払い除けるアスモデウス。だが、近づいてきたセイバーに、袈裟斬りされる。続いて放たれた刺突で吹き飛ばされた。セイバーが聖剣を納刀。鍔元のスイッチを二回押した。

 

『刃王必殺読破! 刃王三冊撃! セーーーセイバー!』

 

「銀河友情蹴烈波!」

 

 高く跳び上がるセイバー。炎、水、雷のエフェクトを纏った右足を突き出し、敵目掛けて一直線に迫る。

 アスモデウスも負けじと、禍々しいオーラを纏ったハイキックで応戦した。両者のキックが激突。反動で両者吹き飛ばされる。

 

「無理なんだよ。お前に私を止めることなどな!」

 

 立ち上がったアスモデウスが吠える。

 

「そうは思わないさ」

 

 そう呟いたセイバー。トリガーを引いた後、聖剣を引き抜いた。

 

「刃王聖烈斬!」

 

「無駄と言うのがわからないのか!」

 

 聖剣を縦、横と振るセイバー。天の川のようなオーラが、空中に残った。それらが渦を巻いて集約。やがて渦は円から球に移り変わる。出来上がったものに、リカは見覚えがあった。

 

「あれは……反撃の球魂!」

 

 十聖刃が持つ創造の力を駆使すれば、現世から消え去ったはずの反撃の球魂を復元することも可能だ。

 球魂はリカの元に迫る。それを妨害するため、割り込もうとするアスモデウス。しかし、彼の進行を、蘭と賢人が止めた。

 賢人は黄雷を横に構えると、アスモデウスの掌を受け止める。蘭も敵の足を必死に掴んでいた。そして遂に、球魂はリカの元へ戻る。手にした瞬間、球魂が白く発光。光はリカを包み込んだ。

 

「飛羽真さんに託されたこのチャンス……絶対に無駄にしない」

 

 球魂を右手に持つと、腕を交差させて前に突き出す。そして反時計回りに腕を回してから叫んだ。

 

「私は咲く! 変身!」

 

 花弁が四方に広がるが如く、光が割れる。中から姿を現したのは、リカが変化した仮面ライダーダルダだ。彼女の周囲には花びらが舞う。アスモデウスが余裕そうな態度で言った。

 

「それがどうした。お前など私に作られた存在。勝負にすらならん」

 

 するとセイバーが返した。

 

「ならばなぜ球魂を横取りしようとした?」

 

「それは……」

 

「そもそもお前の想定なら、リカが今この場にいることすらありえないはずだ。とっくに気づいているんだろ? 彼女はもはや創造主の手を離れて自由に動いていることに」

 

「そんなの認めない! キャラクターが作者に歯向かうな!」

 

 激昂したアスモデウスが、腕を突き出して光球を打ち出した。ダルダは右手に光の剣・ダルダスプリッターを生やす。それを縦に振り、光球を切断した。

 

「これでもあなたには感謝してる……蘭と出会えたから!」

 

 体勢を低くして走り、敵との距離を詰めるダルダ。怪人の放つ光弾を、左右に身を移して避ける。そしてアスモデウスの懐に入り込んだ。手の刃を手甲・ダルダガントレットに変換。アッパーパンチを打ち上げる。

 しかしこれをアスモデウスは、両掌を重ねてガードした。瞬間移動で彼女が消える。現れた先は敵の頭上。そのまま脳天目掛けて垂直にキックした。だが、命中直前に足首を掴まれる。

 

「頭が高い」

 

 そのまま怪人が勢いよく横回転した。ダルダは無理矢理回され、そして投げ飛ばされる。空中でアスモデウスが接近。膝蹴りによる追撃で、彼女をさらに吹き飛ばす。ダルダは地面に激突。衝撃で大地に亀裂が入った。 戦況を見て、賢人がセイバーに言う。

 

「飛羽真! リカ一人では無茶だ」

 

 だがダルダはボロボロになりながらも叫んだ。

 

「まだよ! 私の開花はこんなもんじゃない!」

 

 大ジャンプして舞い上がるダルダ。純白の翼を背中に生やすと、両腕をバズーカ・クライシスバスターに変換。敵目掛けて砲撃する。

 その後急降下。すれ違い様、翼で怪人を斬りつけた。爆風が目眩ましとなり、攻撃は命中する。振り返るダルダ。今度は低空飛行したまま、素早い連続パンチで攻め立てた。トドメに延髄斬りを放ち、アスモデウスを吹き飛ばす。

 

「ふん……だが私を倒すことは不可能だ」

 

 猛攻を受けながらも、アスモデウスは立ち上がりながら言った。彼は両腕に黒いエネルギーを溜めると、腕を開いて周囲に放つ。エネルギーは人型を形成したかと思えば、ダルダの見覚えのある姿を形作った。

 

「デモンローズ……!」

 

「アントミッシの使役と同様に、こいつを操ることも容易だ。作者は同じ私なのだからな」

 

 かつての強敵の再来。怪人がダルダに迫る。だが、駆け出したセイバーが、両者の間に割り込む。彼は十聖刃で、敵の拳を受け止めた。そしてダルダに向けて言う。

 

「こいつは俺が引き受ける! だからきみはアスモデウスを! この物語の結末はきみが決めろ!」

 

 それを受けてダルダもいっそう奮起した。

 

「えぇ! これは私の物語! 他の誰にも筋書きを任せたくない!」

 

 高く跳び上がるダルダとアスモデウス。二人は空中で激しい乱打戦を繰り広げる。被弾してもお構いなしに、パンチやキックで反撃していった。

 一方のセイバー。ジャンプすると横回転しつつ、敵の頭上に接近。逆袈裟の斬撃を喰らわす。背中から五本の触手を伸ばすデモンローズ。セイバーを締め付けようと迫った。

 

「蓮! 力を貸してくれ!」

 

 セイバーが聖剣の鍔を操作する。

 

『翠風!既読!翠風クロス斬り!』

 

 すると手裏剣モードの風双剣翠風が出現。飛び回る刃が触手を切断し、セイバーを守った。だが突如、彼は背中を切られて倒れる。デモンローズが奥の手とする不可視の刃・ハートレスクロスを受けたのだ。

 

「飛羽真! 変身!」

 

 ダメージの多い賢人だが、闇黒剣月闇の刀身に、ジャオウドラゴンワンダーライドブックを読み込ませる。ワンダーライドブックをバックルに装填後、両手に持った聖剣を体の前に構える。そしてそれの束頭でスイッチを押した。

 

『ジャオウリード! 闇黒剣月闇! Jump out the book.Open it and burst.The fear of the darkness.You make right a just,no matter dark joke.Fury in the dark.ジャオウドラゴン! 誰も逃れられない…』

 

 黄金の五匹の龍をその身に纏い、賢人は仮面ライダーカリバー・ジャオウドラゴンに変身した。

 すれ違い様、デモンローズを左薙に斬りつける。さらに闇を利用したショートワープを応用して、敵の背後上空に移動。急降下しながら剣を振り下ろして攻撃。次いで前方に突っ込み、地面と平行な斬撃で追撃した。

 

「ありがとう、賢人。俺も負けてられないな!」

 

 セイバーが立ち上がる。敵に迫ると、火炎剣烈火との二刀流で連続して斬りつけた。デモンローズがドレイクジョーズを発動する。黒き龍が四体、彼の周囲に現れた。

 カリバーはバックルから取り出したブックを、聖剣の刀身に読み込ませる。

 

『必殺リード! ジャオウドラゴン! 月闇必殺撃! 習得一閃!』

 

 肩の装甲にある竜の頭から、四体の金色の龍を出現させ、突撃させた。龍たちがドレイクジョーズを粉々に破壊していく。さらにカリバーは、闇黒剣月闇の刀身にまとわせた闇をジャオウドラゴン型のエネルギーとして放つ。それをデモンローズ本体に命中させた。

 空飛ぶ青いカーペットに乗ったセイバーが、吹き飛ばされる怪人に接近。さらにカリバーも、ショートワープで敵の背後に位置取った。その左手には、雷鳴剣黄雷が握られている。

 

「覚悟を越えた先に希望はある!」

 

「これで話は終わりだ!」

 

『刃王必殺リード!既読十聖剣! 刃王必殺読破!刃王クロス星烈斬!』

 

『ジャオウ必殺読破! ジャオウ必殺撃! You are over.』

 

『烈火居合! 読後一閃!』

 

『黄雷居合! 読後一閃』

 

 刀身にエネルギーを纏わせる二人の剣士。そして両手に持った聖剣を、渾身の力で振り下ろす。袈裟斬りにされたデモンローズが爆発した。それをバックに剣士たちが着地する。

 その時ダルダは、敵の両方の拳を掌で受け止めていた。頭突きを喰らわせて、怯ませる。足で挟み込むとぐるぐると回転。アスモデウスを地面に吹き飛ばした。真っ白の翼を展開させたダルダが言う。 

 

「お前はこの反撃の球魂の中に封印する!」

 

 翼を無数の白いクナイに変換して、怪人に射出した。それらは敵にダメージを与えるのと同時に、足に突き刺し、逃走を防止する。

 純白の光を身に纏うダルダ。エネルギーが右足に宿る。さらに高く飛翔すると一回転。右足を前にして特攻した。

 

「ブルーミングシュート!」

 

 ライダーキックが放たれる。彼女は魔力を放出してさらに出力を上げていく。

 

「こんなもの……!」

 

「その身に刻み込みなさい! 最強の仮面ライダーは……!」

 

「ダ……ル……ダ……!」

 

 粘るアスモデウスだが、遂にダルダが上回る。そして敵を貫いた。彼女は振り向くと、球魂を右手に持つ。爆散した怪人のエナジーが、その中に流れ込んでいく。

 完全に封印が成功すると、彼女は変身を解除した。 駆け寄ってくる仲間達に対して、笑顔を向ける。

 

「えへへ……」

 

 リカが抱きついてきた。そして言う。

 

「やったじゃない! カッコよかったよ!」

 

「やめてよ蘭。飛羽真さんたちの前で恥ずかしいよ……」

 

 飛羽真が告げた。

 

「ありがとう、リカ。この世界を救えたのはきみのお陰だ」

 

「こちらこそありがとうございました。飛羽真さん、またいつか会いましょう」

 

「あぁ、約束だ」

 

 その後、賢人は月闇の力で黒いワープホールを形成。その中に飛び込むことで、一同はダルダの世界に帰還した。さらに飛羽真と賢人は、ブックゲートを用いて、元の世界に戻っていく。ノーザンベースに着くと、飛羽真が叫んだ。

 

「うぉぉぉぉ! 創作意欲が沸いてきた! 次は魔法少女ものを書くぞ!」

 

「その前に、倫太郎にブックを返さないとな。あと俺のも」

 

 賢人に窘められる飛羽真。そこへユーリが後ろからやって来た。彼もまたダルダの世界から帰還したのだった。

 

「なんだ、二人は先に帰っていたのか。流石にあの量を一人で殲滅するのは骨が折れたぞ」

 

「ユーリもお疲れさま」

 

 任務を終えた剣士たちは日常に戻っていく。

 ダルダの世界では二人が帰路についている。いつの間にか雪がパラパラと降り始めていた。風も強く、リカと蘭は寒さに震える。リカが言った。

 

「これから私、どうなっていくんだろう……」

 

「えぇ、未来が何も見えない。楽しみね」

 

 寒さを和らげようと、二人は身を寄せ合う。しかし熱が足りず、相変わらず凍えていた。そこへ後ろから叫び声が響く。

 

「リカぁぁぁ! ごめーん!!!」

 

 駆け寄ってきたのは洋子だった。アスモデウスの介入によって一時、ダルダの設定はこの世界から消えた。しかしリカが反撃の球魂を持って帰還したことで、世界のバランスが狂う。それの調整のため、世界は再びダルダの設定ありきに再構築されたのだ。振り向いた二人に対して、彼女は謝罪する。

 

「今までごめんなさい……避けたりして……でももう一度友達になりたい!」

 

「……やめときなよ。私はダルダ。それは紛れもない事実」

 

 リカはあえて突き放すようなことを言った。それは洋子までもが爪弾きに合うことを防ぐため。しかし洋子の意思は変わらない。

 

「そんなの関係ない。リカは何度も私を助けてくれた。この間だって……! だから……」

 

 洋子の必死な訴えは、リカの心を動かした。彼女の発言は間違いなく本心と悟ると、折れた。

 

「ごめん! 意地悪して! ありがとう、洋子」

 

 差し出した左手を、洋子は掴む。またリカは、羨ましげに眺めていた蘭に、右手を差し出した。

 

「ほら、嫉妬しないで?」

 

「……うるさい……でもこの調子ならいつかまた沢山の友達に囲まれるでしょうね」

 

「うん!」

 

 リカを中心に、手を繋ぐ三人。彼女たちは静かな街を歩んでいく。期待と不安を胸に抱えながら。物語の結末が決まるのは、まだ当分先になりそうだ。

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