令和に復活!仮面ライダーダルダ a girl blooms   作:ぽかんむ

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第13話 交差F:演出とシュート

 それから四日が過ぎた。休日の昼頃、リカと蘭は部屋で漫画を読んだりしていた。そこへスパイダーフォンに着信が入る。第二ミッションのお知らせだ。

 二人はデザイアドライバーを腰につけると、IDコアを取り付けて、エントリーする。そしてデザイア神殿に赴いた。既に他の参加者は集まっていた。中央の壇上に立つツムリが言う。

 

「皆さんこんにちは。これより第二ミッションを開始いたします。第二ミッションはプロレスゲーム! 街に現れた計10体のプロレスジャマトを討伐してください! スコア下位4名が脱落となります」

 

 ツムリの説明が終わる。参加者たちはジャマーエリアに転送された。そこは廃工場内。また、ハテナミッションボックス002が各プレイヤーに配られていた。

 リカが箱を開く。中には聖剣ソードライバーレイズバックルが入っていた。

 

「これは飛羽真さんの力! でもどうしてこんなスゴいのがあるんだろう?」

 

 それを横から首を伸ばして見ていた蘭が呟く。

 

「なによ、強そうね」

 

「蘭は何が入ってたの?」

 

「アローよ。また前回と同じだわ」

 

 エリアにいた10体のジャマト。黒いブーメランパンツのようなものを履いていた。参加者を見ると、ゆっくり歩いて近づいてくる。

 プレイヤーの一人・吾妻道長は、新たに手にしたゾンビバックルをドライバーに装填。左手を鉤爪のように前に構えながら言った。

 

「おいギーツ! シンプルなゲームなら俺は負けない」

 

 宣戦布告を受けた英寿が返す。

 

「相変わらずバッファローは血の気が多い」

 

「今に見てろ、変身!」

 

 右手でバックルのキーを捻り、展開させる。デザイアベーシックを全身に纏った。頭には牛を模したバッファヘッドを被る。現れた白いロボットアームが、ゾンビのボディを上半身に合体させた。

 仮面ライダーバッファ・ゾンビフォームは、ゾンビブレイカーを右手に持つと、ジャマトに向かう。様子を見る相手に対して、チェンソーで袈裟斬りにした。放たれたチョップをかわしつつ、右薙の斬撃を繰り出す。そのまま振り抜くと、ジャマトは倒れた。

 

「話にならねぇな。このまま全員俺が倒す」

 

 意気込むバッファ。だがジャマトたちは突如、ジャマト語でブーイングを始めた。倒されたはずのジャマトも、立ち上がる。ショルダータックルで、バッファを吹き飛ばした。さらに高く跳んでから、全体重をぶつける。ダイビングボディプレスだ。

 

「ジャジャジャー!」

 

「名前だけあってプロレス技を使ってくるわけか……」

 

 他のジャマトたちも、プレイヤーに襲いかかる。

 

「変身!」

 

 一同それぞれ、バックルをドライバーに装填して変身。リカも左に聖剣ソードライバー、右にクローバックルを装填。突き出した両手を回したあとにそれらのスイッチを入れた。

 黒いスーツの上からアーマーを纏い、ダルダ・セイバーアームドクローに姿を変える。右手には火炎剣烈火、左手にはレイズクローを装備している。

 

「物語の結末は私が変える! なんてね」

 

 ライダーたちが駆け出す。ダルダはジャマトに袈裟、逆袈裟、刺突と烈火で連続攻撃をする。さらに地面を滑るように移動し、すれ違い様、横薙ぎに斬り裂いた。振り返ると、クローで逆袈裟に斬る。

 ジャマトは倒れるが、すぐさま復活して、ダルダに襲いかかった。それをジャンプして回避したダルダ。すかさず烈火で唐竹に斬る。再び倒すが、すぐまた起き上がった。

 結局他のライダーもジャマトの完全撃破は出来なかった。ジャマトがどこかへ去っていく。

 ミッションが一時中断となったため、参加者たちはデザイア神殿内のサロンに向かった。そこは休憩所であり、参加者は無料で利用することができる。リカと蘭はソファーに座ると、レイズバックルを眺めながら話していた。

 

「せっかく飛羽真さんの力で戦ったのに倒せなかったなんて……どうしたらいいんだろう?」

 

「何かクリア条件でもあるのかしら? 特定の部位を狙え、とか」

 

 そこへ英寿がやって来た。彼女たちの正面のソファーに腰掛ける。それから話し始めた。

 

「以前、二体同時に撃破しなければ倒せないジャマトが存在した。だからプロレスジャマトにも何かあるのかもな」

 

 リカがスパイダーフォンを見ながら言う。

 

「あなたは……浮世英寿さん、ギーツですね」

 

 続けて蘭が問いかけた。

 

「私たちに何の用かしら? ただ親切に情報を私に来てくれたってわけじゃないんでしょう?」

 

「あぁ、単刀直入に聞く。きみたちはこの世界の者ではないな?」

 

「私は元々別の世界出身だけど……それがどうしたの?」

 

「世界……か。やはり何らかの要因で異なる二つの世界が融合したということか」

 

 ギーツの世界とダルダの世界の融合。それは彼がデザイアグランプリに参加する少し前から、気がついていた。スターオブザスターズオブザスターズである自分のことを知らない者がいたからだ。

 今回の彼の願いは『異なる世界と融合しなかった世界』。DGPを探ることを一時中断してまで、異変を解消しようとしている。疑念を確信に変えた英寿はどこかに去っていった。それを見送った後、蘭がリカに話題を振った。

 

「プロレスと言えば、あなたにウザいくらい見せられたわね。よさはさっぱりわからなかったけど」

 

「えぇー!? 面白いじゃん!」

 

「じゃああなたの周りに他にいるの? プロレスファン」

 

「それは……いないけど……」

 

 リカとプロレスの出会いは幼少期にまで遡る。自身の戦力を期待して育成していたレイは、彼女に戦いの恐怖心の克服と、正義感を植え付けることを画策。

 そのための教材のひとつがプロレスであった。時には流血もあるプロレスの試合を繰り返し見せることで、戦闘に躊躇いのない娘へと成長させていった。

 球魂は戦闘の技術を使用者に与えるが、心構えについてはノータッチ。にも関わらずリカが初戦から勇敢に戦えた背景には、洗脳紛いの事情があったのだ。

 

「なにかしら……あのジャマトはプロレス技でしか倒せないとか?」

 

「いや……プロレスの美学は技をかけることじゃない……もしかして……!」

 

 何かに気づくリカ。その時、サロンにいた運営のギロリが言った。

 

「ジャマトが出現しました。ミッションを再開します」

 

 その言葉を受けて、プレイヤーはジャマーエリアに転送された。続いての舞台は公園。白い噴水がランドマークとして目立っている。10体のジャマトは、プレイヤーを見つけると、歩み寄ってきた。

 参加者は次々と仮面ライダーに変身する。集団の中から、ダルダ・セイバーフォームが一歩抜き出た。敵に烈火の切っ先を向けながら叫ぶ。

 

「刀の錆となれ!」

 

「ビカカエインツームアガ!」

 

 ジャマトたちが盛り上がる。見かねたオルキニスがダルダに言った。

 

「よくわからないけど焚き付けてどうするのよ」

 

「違うよ、あれは多分乗ってくれているだけ」

 

 するとダルダは、剣を地面に突き刺した。そして駆け寄る。ジャマトも対応し、お互いに手を突きだし、組み合った。ロックアップだ。力比べにはジャマトが勝利。ダルダは吹き飛ばされた。

 うつ伏せで倒れるダルダの腰に手を回す。そして持ち上げて、後方に倒れた。ジャーマンスープレックスが炸裂する。彼女を押さえつけるジャマト。

 だがそれをダルダは弾き返した。彼女は立ち上がる。だがすぐにラリアットを食らった。再び倒されてしまう。戦いぶりを見てバッファが呟く。

 

「相手の技を受けてばかり……あんな攻撃も見切れないほど消耗してるのか?」

 

 そこへオルキニスが答えた。

 

「いや、恐らくあれがあの子の見出だしたプロレスジャマトの攻略法よ」

 

 プロレスの美学は受け身。相手の攻撃をすべて受けることこそ正義。それは彼女がリカに無理矢理試合動画を見せられた際、繰り返し伝えられたことだ。

 もちろん命のやり取りにおいては、ダルダも回避や防御を積極的に行ってきた。だが普通に戦っても勝ち目のないこの状況においては、非合理的なプロレスの戦い方こそが解答と悟ったのだった。

 

「ハァァ!」

 

 ダルダのドロップキック。プロレスジャマトの胸に炸裂し、転倒させた。敵の両肩を地面につけて、押さえ込む。そしてカウントを取った。

 

「ワーン! ツー! スリー!」

 

 どこからともなく『カンカンカン!』というゴングの音が鳴った。ジャマトが霧のようになって消滅。ダルダは立ち上がると、雄叫びをあげた。

 すると彼女の元へ、ハテナミッションボックス002が届いた。シークレットミッション『誰よりも先にプロレスジャマトを倒せ』を突破したためだ。箱を開ける彼女。中に入っていたのは、ブーストバックルだった。

 

「なるほど、あれがプロレスジャマトの倒し方!」

 

 攻略法を見極めたバッファ。ゾンビブレイカーを投げ捨てると、無防備を晒す。ジャマトが肘を曲げ、アックスボンバーを繰り出した。それを受けきる。

 タックルをかました。転ばせた相手の足を脇に抱えると、ぐるぐると回転。その後投げ飛ばした。ジャイアントスイングだ。グロッキーになった相手を押さえつけ、カウントを取る。スリーカウントを取ったとき、ジャマトは消滅した。

 他のライダーも次々と交戦。ジャマトを撃破していく。五体を他のライダーが倒す。残りをオルキニスがヘッドシザース、ギーツがコブラツイスト、ダルダがブレーンバスターで仕留めた。

 ジャマトが全滅すると、ツムリがやって来る。

 

「皆様お疲れさまです。それでは結果発表のお時間です!」

 

 彼女の左横にスクリーンが出現。そこにスコアが表示された。一位はギーツ。彼はダルダとほぼ同時にカラクリに気づいていた。相手の攻撃をギリギリまで受け続けてスコアを稼いだ。

 二位はダルダ。二体撃破したことでその分ボーナスを得た。三位はバッファで、四位がオルキニス。二人は申し訳程度の受け身しか取らなかったため、スコアを伸ばせなかった。

 敵を倒せなかった三人は0ポイントで同率最下位。次いでスコアを稼げなかった二人の合計五人が、脱落となる。彼らのIDコアは消え、肉体は現世に返送された。

 

「それでは次回もお楽しみください!」

 

 ツムリの一言で、プレイヤーは現実世界に戻された。自室で目を覚ますリカと蘭。すると一階より声が聞こえた。発しているのは母親・レイだ。

 

「リカ! 蘭! ご飯よ! 下りてきなさい」

 

 二人は階段を下り、リビングに行く。そして夕食を食べる。今晩の献立はオムライスだった。リカとレイが向かい合って座り、リカの左横に蘭がいる。この食事の時間が蘭はやや苦手だった。なぜならリカとレイとの間に見えない壁があるからだ。

 レイが何か話を切り出しても、リカは無難な相槌しか打たない。これは食事の時間だけではない。リカはどこか母親のことを避けている。

 

 二日後。スパイダーフォンにミッションが届いた。二人は早速エントリーし、デザイア神殿に転送される。そこにはリカたちを含めて7人の参加者が集まっていた。リカが言う。

 

「次のミッションは一体なんなの?」

 

 すると壇上にツムリが現れた。彼女がリカの質問に答える。

 

「ラスボスが現れましたので、これより最終ミッションを行います。最後のゲームはサッカーゲーム! ラスボスのジャマトにシュートを決めた方が映えあるデザ神となります」

 

 ツムリは段から降りると、どこからともなくサッカーボールを取り出した。ボールにはDGPの刻印が入っている。それを英寿に渡した。

 

「キックオフは前回のスコアが一位の浮世英寿様からとなります」

 

「なるほど。俺のデザ神は堅いな」

 

 勝ちを確信した英寿が言った。つまり他の参加者は、ジャマトをいなしながら、英寿からボールを奪わなくてはならない。だが道長が彼に伝える。

 

「だがブーストバックルは今奴が持っている」

 

 そう言いながら、彼はリカの方を向いた。シークレットミッションの報酬を、見逃していなかったのだ。

 

「確かにダルダは厄介なライバルになりそうだ。だがお前はどうだ? 今大会はまったく成果を出せていないようだが? 何もない奴ほど虎の威を借りようとすると昔から相場が決まってる」

 

 怒った道長が英寿に掴みかかる。それを止めるツムリ。参加者達はジャマーエリアに転送された。そこは商店街。破壊活動を行われ、瓦礫が散乱している。

 下級のジャマトがひしめき合っており、その奥1kmほど先に、巨大なジャマトが暴れていた。プレイヤーはレイズバックルをドライバーに装填していく。

 英寿は左にマグナムバックル、右には前回手に入れていたゼロワンドライバーバックルを差し込む。スイッチを入れ、ポーズを取って変身した。ギーツ・マグナムゼロワンフォームは、イエローの回路図のようなエフェクトを纏う。素早いドリブルで先に進んだ。

 

「私だって絶対に負けられないんだから!」

 

 そう言うのはダルダ・セイバーブーストフォーム。脚部の排気口から火を吹いて加速。行く手を阻む敵を、烈火で斬り倒してギーツを追う。その他の参加者も走り出した。

 ギーツはボールを蹴り上げてジャンプ。空中から、地上のジャマトを銃撃する。残った敵を飛び蹴りで仕留めつつ着地。再び先を急いだ。しかし今度は、店舗の屋根に潜んでいたジャマトが、一斉に道路に飛び降りる。道をジャマトが塞いだ。ほぼ並走していたギーツとダルダの、足が止まる。ギーツが言った。

 

「ダルダ、ここは一時休戦して、必殺技で奴等を倒そう」

 

「うん!」

 

 応じるダルダ。二人はレイズバックルのスイッチを入れる。ギーツはアタッシュカリバーを構えた。刀身に黄色いエネルギーを纏わせる。ダルダも火炎剣烈火の刃に炎を渦巻かせた。そして突撃する。

 

『マグナムゼロワンストライク』

 

「火炎十字斬!」

 

 高速移動する二人。ギーツは大ジャンプからの唐竹で接近。左薙で切り払い複数を撃破。振り向いてさらに右切上で多くの敵を倒した。

 ダルダは接近しながらの右薙で多数のジャマトを撃破。次いで大上段からの唐竹でこれまた複数の敵を倒した。ブーストの効果で火力は上がっている。二人の剣技の前に、行く手を阻むジャマトは全滅した。

 

「物語の結末は……決まった!」

 

 するとダルダのドライバーから、ブーストバックルが飛び出した。そのままバックルはどこかへ消えてしまう。困惑するダルダに、ギーツが言った。

 

「まんまと騙されてくれたな。そいつが必殺技を使えるのは一度きりなんだ」

 

「え? そんな……」

 

「昔からよく言うだろ? 狐は化かすものってな」

 

 ブーストを失ったダルダではもう、ギーツには追い付けない。だがその時、オルキニス・アームドハンマーアローがギーツからボールを奪った。ジャマトが時間を稼いでいる間に追い付いたのだ。

 走る彼女はボールを蹴りあげる。スライディングしてきたギーツ。それを彼女はジャンプして避け、空中でトラップして取る。ハンマーを後ろに振った反動で推進力を経て、屋根に着地。再びドリブルを始めた。

 並走しながら、オルキニス目掛けて銃撃を行うギーツ。ところがオルキニスには、前方宙返りでかわされた。

 

「させないよ」

 

 だが、オルキニスに空から近づく者があった。セツコ・アームドプロペラニンジャだ。ニンジャの足から繰り出される素早い蹴りで、オルキニスを屋根から蹴り落とす。それからボールを足に挟んで、ラスボスに迫った。

 地面に倒れるオルキニス。追い付いてきたダルダは、彼女に駆け寄る。

 

「大丈夫?」

 

「あいつめ……よくも私を蹴飛ばしてくれたわね……」

 

 巨大なラスボスジャマトの眼前には、セツコが最初に到着した。しかしどこにシュートをすればよいのかわからない。ジャマトが口からボール状のエネルギー弾を吐き出す。それを上昇して避けるセツコ。

 しかし次の瞬間、キーパーのような巨大な白い手が迫る。セツコは叩き落とされ、地面に落下。そのまま絶命してリタイアとなった。跡にはボールとレイズバックルが残される。それらの回収を狙ってギーツ、ツナ、フウタが駆け寄る。

 

「それは俺のものだ!」

 

 一歩抜き出るのはギーツ。しかしその時、地面に穴が開くと、地下から何者かが出現。ボールを奪い取った。バッファ・アームドドリルゾンビだ。右手に装備したドリルで地下を移動して、隙を窺っていたのである。

 敵の放つ攻撃を避けつつ、バッファは相手の周囲をドリブルしながら回る。ところが、ゴールのようなものは確認できない。

 

「どこだ……? どこに蹴ればいい」

 

 一方、最前線から引き離されたダルダとオルキニス。

 

「行きなさい、リカ。そして願いを叶えなさい」

 

「でもそしたら蘭は家族と会えなくなっちゃうよ!」

 

「元より願いは最後の一人しか叶えられない。仕方ないことよ。それに私がデザイアカードに書いた願いは家族との再会じゃないの」

 

「え……? じゃあ何を願ったの?」

 

「あなたの……立花リカの願いが叶った世界よ。私は決して過去を忘れない。家族のこともね。全部抱えて今を生きる。あなたと一緒にね」

 

「へへ……ありがとう! それじゃあ何としてでも勝ってこないとね」

 

「気張ってきなさい!」

 

 そう言うとオルキニスはバックルを操作した。レイズハンマーをゴルフクラブのように振る。打ち上げられたダルダが、ラスボスに接近。勢いそのまま、顔目掛けて飛び蹴りをお見舞いした。その後着地するが、敵にはほとんど効いていない。

 辺りを見回すダルダ。ボールを持ったギーツを除いた他のライダーたちは、ほとんど戦闘不能に近い状態まで追い込まれていた。瓦礫に身を隠して何とか攻撃を凌いでいる状態だ。ギーツが言う。

 

「来たかダルダ。だが遅かったな。この勝負は俺のものだ」

 

「下手なジョークは寒いよ、もしそれが本当ならとっくに終わってるもん」

 

「いいか、あいつのゴールは口だ。だからシュートの隙を作る」

 

 そういうと彼はプロペラバックルを、ダルダに投げ渡した。そして自身はドライバーの左側にニンジャバックル、右側にゼロワンドライバーバックルを装填した。ニンジャとプロペラは、元はセツコが持っていたものである。

 ダルダはプロペラバックルに、魔力を込めた。白いエネルギーが流れ込む。するとレイズバックルは、ダルダのベルトがデザインされた、反撃の球魂バックルへと変化した。ドライバーを回転後、それを左側に装填、スイッチを押した。

 アーマーを纏い、ギーツはゼロワンニンジャフォーム、ダルダはダルダセイバーフォームに変身する。するとどこからともなく、ジャマトが現れた。アタッシュカリバーとニンジャデュアラーを持ったギーツ。素早いジャンプで敵陣に飛び込む。

 

「ミッションをクリアできるのはただ一人……俺だ!」

 

 素早さに富む二種のバックルの相乗効果により、機動力は何倍にもアップしている。袈裟、逆袈裟、右薙、左薙、刺突の斬撃を次々と繰り出す。ハイキック、空中での回し蹴り、打ち付けるような足技で、ジャマトの群れを仕留めていった。

 ダルダの得物は火炎剣烈火。刀身に炎を纏わせると、敵に突撃。回転しながらの斬撃で、周囲の敵を蹴散らす。剣を逆手に持ち、刃を地面に突き立てた。地面から火炎を噴き出させて、ジャマトを攻撃。さらに魔法でマグナムシューター40xを召喚。炎に焼かれる敵を、次々に打ち抜いていった。

 戦いの中で背中合わせになったギーツとダルダ。ギーツが問いかけた

 

「おいダルダ、お前の望んだ世界はなんだ?」

 

「私の願いは……!」

 

 答えようとした時、ラスボスが攻撃を吐き出した。それを受けて、爆発に巻き込まれる二人。しかし爆風が晴れたとき、彼らは無傷で立っていた。何かを聞いたギーツが言う。

 

「思い続けている限りいつか叶う。だから諦めるな」

 

「うん! 私は咲く!」

 

 二人はドライバーのバックルを操作した。

 

『ニンジャゼロワンストライク!』

 

『ダルダセイバーストライク!』

 

「魔時空華龍斬!」

 

 ダルダの構える剣は熱が高まり、白く輝いた。ラスボスに近づくと、旋回しながら斬りつけて昇っていく。その軌跡は赤く燃え、敵を苦しめる。

 やがて炎はブレイブドラゴンを形成した。空に昇ると、空中で一回転。頭にダルダを乗せると、共に突っ込む。

 ギーツはゼロワンの脚力で大きくジャンプ。さらに空中で、ニンジャの能力で複数に分身する。そして飛び蹴りの体勢に入り、敵に向かっていった。

 

「私たちが……世界を救う!」

 

 ダルダの横薙の斬撃、ギーツのライダーキックは、遂にラスボスジャマトを貫く。仰向けに倒れるジャマト。着地したギーツは再度跳ぶと、オーバーヘッドシュートを繰り出す。

 ボールは一直線にゴールへ進む。そしてゴールネットを揺らした。タイムアップ。ミッションがクリアされたことで、ジャマトは消滅した。

 

「あーあ、負けちゃった。でも楽しかったよ、英寿さん!」

 

 変身を解除したリカが言った。ゲームに負けたことでIDコアは消え、体は青みがかかった半透明になっている。

 

「縁があったらまた会おう。新しい世界でな」

 

「うん……!」

 

 リカの体が消えた。一足先に現実世界に戻ったのだ。そこへ蘭がやって来た。彼女の体もまた半透明になっている。それを見つけた英寿が、彼女に話しかけた。

 

「オルキニスか。お前がダルダを飛ばしてきてくれたお陰で少しばかり苦労したよ」

 

「あの子、負けちゃったのね、残念」

 

「あいつの願いを知らないのか?」

 

「え?……そういえば聞いてなかったわね。でもまあ……」

 

「もう会うこともないだろうから教えてやるよ。あいつの願った世界は……」

 

 そのあとに続いた言葉に、蘭は言葉を失った。信じられず、意味を問い質そうと、英寿に駆け寄る。しかし到着する前に、彼女もまた消えていった。

 

「さあ、始まるぞ。新しい世界が……」

 

 英寿の願いは、異なる世界と融合しなかった世界。彼がデザ神となったことで、世界は願いに沿って再構成される。ギーツの世界と融合しかけていたダルダの世界と、リバイスの世界は分離。一時的にせよ融合していた事実すらも消え去った。

 しかしそれでは、デザイアグランプリにリカたちが参戦したことがパラドックスとなってしまう。よって今回のデザグラは無効試合となり、脱落者の消滅も免れる。唯一、英寿の記憶にのみ残されたゲームとなった。

 

 気がつくと、リカと蘭は通学路に立っていた。時刻は3時過ぎ。丁度下校の時間帯だ。

 

「リカ? どうした? ボーッとしちゃって」

 

「あれ……? だって私、デザグラでギーツに負けて……」

 

「でざぐら? ぎーつ? 何の話よ。ほら、帰りましょ」

 

 いや、記憶を保持している者がもう一人存在した。立花リカだ。反撃の球魂は使用者を時間や空間、世界線の改変から守る。謂わば使用者を特異点に変えるのだ。

 だが蘭は何も思い出さない。戦いのことはもちろん、英寿に教わった、リカの心に潜む闇のことも。二人は何事もなかったかのように、いつものように家路についた。

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