令和に復活!仮面ライダーダルダ a girl blooms   作:ぽかんむ

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仮面ライダーゼロワン編
第14話 カレラの共存


 立花リカは平和を享受していた。戦うこともなく、日常を謳歌。友達も増え、気がつけば小学校を卒業する。今は中学一年生となっていた。

 昼休み、彼女はクラスメート数人と弁当を食べている。その内の一人がリカに尋ねた。

 

「リカと蘭って付き合ってるの?」

 

「そそそそんなことないよ」

 

 すると続けて、リカの隣に座る蘭が、口を開く。

 

「えぇ、リカは妹みたいなものよ。手のかかるね」

 

「それを言うなら私がお姉ちゃん! だって誕生日私の方が早いもん!」

 

「そんなムキになりなさんな」

 

 手慣れた蘭が、リカを嗜める。そうこうしていた時、男子グループに声をかけられた。

 

「立花、サッカー行くぞ」

 

「うん!」

 

 快諾した彼女は、男子たちと校庭に向かった。それを見届けた後、クラスメートが言う。

 

「あの子モテモテだよね、自覚はないんだろうけど」

 

「あれはそういうのじゃないでしょ」

 

「家でのリカってどんな感じなの?」

 

 依然として、蘭はリカの家に居候している。蘭が帰る場所を失ったからである。始めは強引に押し掛けたのだが、今ではすっかり受け入れられている。

 

「ことあるごとにベタベタくっついてくるわ。気の休まる時がないわ」

 

「可愛い! でも適当に無視しとけばよくない?」

 

「そんなことできるわけないじゃない!」

 

「えーなんで?」

 

「だって……あの子……いい匂いするから……」

 

「それでずっとドキドキしてるの? 大好きかよ」

 

 話している内に昼休みも終わる。その後も学校の時間は支障なく進行していった。

 

 株式会社飛電インテリジェンス。この世界でその名を知らぬものはいない大企業だ。飛電を躍進させたのは、人工知能搭載人形ロボ・ヒューマギアの開発である。

 顧客のニーズに合わせて調整したヒューマギアを派遣して、収益を得ている。かつてはヒューマギア産業のトップシェアを誇っていた。

 本社は遥か天まで伸びる高層ビル。最上階に位置する社長室では、黒いパーカーを着た一人の若者が腰かけている。代表取締役社長の飛電或人だ。昔は売れない芸能人だったが、今ではすっかり社長業が板についている。しかし今、彼は頭を悩ませていた。横に控える社長秘書ヒューマギアと話している。

 

「イズ、売上の低下に歯止めがかからないよ」

 

 イズ。それが社長秘書につけられた名前である。彼女は冷静に返答した。

 

「原因の分析はなさったのですか?」

 

「うん。ライバル企業の台頭によるシェアの奪い合いの激化、現に他のヒューマギア企業は軒並み業績を上げているね」

 

 相次ぐ飛電やヒューマギアの不祥事は、信頼を確実に削いでいた。それに目をつけた各社は新たなヒューマギアを製造・開発。飛電への不信感を金に変えている。

 

「競合の参入はやむを得ませんね」

 

「そこはヒューマギアがそれだけ生活に根付いた証拠と前向きに捉えるしかないかな」

 

 かつてはヒューマギアそのものの廃止を叫ぶ声も多かった。しかし、度重なる災厄を払い除けられた要因には、ヒューマギアの活躍が存在した。少子高齢化による労働力不足を解消するには、ヒューマギアが必須である。

 

「気晴らしに散歩してくるよ。ギャグも仕事も、行き詰まったらインプットしなきゃね」

 

「或人社長、お供いたします」

 

 立ち上がり、部屋を出る或人。その後ろをイズがてくてくと着いていく。

 外に出た二人。オフィス街であり、多くの人々やヒューマギアが歩いている。その中で子供を連れて歩く女性型ヒューマギアを見て、イズが言った。

 

「近頃では個人のお客様がヒューマギアを買われるケースも増えておりますね」

 

 人通りを見て、或人は違和感を覚えた。

 

「そもそもじいちゃんがヒューマギアを作った目的のひとつは、労働から人々を解放することだったはずだよな。なのにどうして街は働く人で溢れているんだ?」

 

「今の社会システムは人が作り上げたものです。特に意思決定が要される場面では、どうしてもヒューマギアはまだまだ発言権に乏しいのが現状です」

 

「なるほど……まあだから俺も現に今こうして社長をやってるわけだしね」

 

「私も或人社長と長く働きたいです」

 

「ところで、ヒューマギア利用者の年齢比率ってどんなだっけ?」

 

「はい。30代が3割、40代が3割、20代が2割、50代以上が2割といったところです」

 

「人口比では3割以上を占める50代以上の方々の普及率を広めるのがひとつの手かもね。そういえば大将のときも苦労したもんな……」

 

 大将とは魚住範雄、寿司職人であり「まごころ寿司」の店主だ。後継者不足解消のためヒューマギアを勧めたが、「ヒューマギアには心がない」という理由で一度は契約を断られた。しかし最後には契約に漕ぎ着けることができたのだった。

 

「……でもそもそも、大将が元気ならば一人で店を続けられたんだよな」

 

「そういうわけにはいきません。人体の劣化は避けられない運命のようなものです」

 

「運命……か……」

 

 二人が歩いていると、中学校が見えてきた。校庭では、サッカー部が練習に明け暮れている。ボールを持った一人の生徒が、ドリブルでディフェンスを抜き去る。その後味方にパスを渡し、受けた生徒は見事シュートを決めた。

 実戦形式の練習を眺める二人。思わず立ち止まっていた。シュートに興奮した或人が叫ぶ。

 

「うぉぉぉぉ! ナイシュー!」

 

「サッカーですね。データは潤沢にありますが、実際にこの目で見たのは初めてでございます」

 

「シュートは一日にしてならず! 週10日の練習あるのみ! ハイ! アルトじゃ~ナイト!」

 

「今のは『シュート』と『しゅうとおか』という響きの似た二つの言葉を掛けた小粋なジョークです……が、1週間は7日ですよ?」

 

「新パターン!?」

 

 思わぬダメ出しに、咄嗟のツッコミで返す或人。そこへ笑い声が聞こえる。彼らが見た先にいたのは、老夫婦だった。

 夫婦もまた、散歩の途中、足を止めて練習風景を見ていたのだった。女性の方が、二人に声をかける。

 

「今の漫才は少し面白かったね、あんた、飛電の社長だろ?」

 

「はい! 飛電或人です! いやぁ別に漫才ってわけじゃ……」

 

「スポーツが好きなのかい?」

 

「別に特別好みってわけではないですけど、でも体を動かすとスッキリしますよね」

 

「そうかい。ならば若い内に思う存分、運動を楽しみなさい。私らみたいな歳になってしまうともう体が言うことを効かないからね……」

 

「そうなんですね……」

 

 老夫婦と別れた或人たちは、再び歩き出した。或人がイズに問いかける。

 

「ねぇ、ヒューマギアの知覚を人間の同期させることはできないかな?」

 

「一色理人は脳を電子化することで意識をナノマシンの集合体に移しておりました。原理としては同様の方法で意識をヒューマギアの肉体に移すことも可能と思われます」

 

 一色理人。エスを名乗りシンクネットを率いて、人々を楽園に連れ去ろうとしたテロリストである。仮面ライダーエデンへの変身能力も有し、或人たちを大いに苦しめた強敵だ。

 

「……? それが如何いたしましたか?」

 

 或人はにやりと口元を歪ませながら言った。

 

「思い付いたんだよ、ヒューマギアの新たな使い方が。ヒューマギアへ一時的に意識を移し、自分の体のようにヒューマギアを操る。そうすれば体が不自由な人でもまた自由に動かせるようになる!!」

 

 ヒューマギアに人間の意識を移す。つまりひとつのボディに人間の自我とAIが共存することになる。ボディの主な操縦は人間であり、AIは操縦者のサポートに回る。

 或人は人とヒューマギアが共存する社会を目指している。それは当然、片方がもう片方を追い出すような状況では達成し得ない。或人にとってこの構想は、理想を叶える究極の手段にも等しい。

 

「素晴らしい発想ですね。また一歩、人とヒューマギアが笑い合える世界の実現に近づきそうです」

 

「そうと決まったら早速会社に戻ろう!」

 

 二人は来た道を引き返す。そして社屋に入った。エレベーターに乗り、最上階へと辿り着く。社長室の前には、三人の人物が待機していた。その内の一人は、副社長の福添准だ。彼が或人に向けて言う。

 

「社長、どこに行っていたんですか。今の内に対策を講じないと、我が社のシェアは縮小してしまいますよ」

 

「そんなことはさせない。じいちゃんから受け継いだ飛電は俺が守り抜くから」

 

 或人がキッパリと言い切る。社長の威厳を持ちつつあった彼の態度に、福添の背筋も伸びた。続いて或人は、散歩中に思い付いた案を彼らに伝える。

 

「ひとつのボディの中に人とヒューマギアの意識を共存させる……か……しかしそんなことが本当に出来るんですか?」

 

 イズが説明を始める。

 

「そこに関しましては、或人社長が既に目処をつけております。近日中に発表いたしますのでしばしお待ちください」

 

 専務取締役の山下三造が、拍手しながら言った。

 

「社長、素晴らしい! その技術が現実となれば、例えばデスクワークをしても目の疲れや肩凝り、腰の痛みなどを感じないわけですな!?」

 

「はい。私たちヒューマギアには、肌感覚や過度のダメージを受けた際の動作不良はあっても、痛みの概念は存在しません」

 

 福添が付け足した。

 

「例えば観光地にあらかじめヒューマギアを用意していれば、意識をヒューマギアに飛ばして、家にいながら旅行を楽しめますね。しかも移動時間もかからない!」

 

 福添と山下は大喜びしながら、社長室を去っていった。その後ろを、副社長秘書のシェスタが着いていく。彼らの背中が見えなくなった後、或人がイズに問うた。

 

「ちょっとちょっとイズ! 意識をヒューマギアに移す技術の目処なんて立ってないよ!?」

 

「……一色理人は元々、医療機器メーカー・MIRAIに所属しておりました」

 

「そうか……! 電脳化の技術もそこでの研究の成果のひとつだったのかもしれない」

 

「一刻を争う自体の中、遠野朱音さんが脳死を免れた以上、デイブレイク以前から電脳化の技術が存在したと考えられます」

 

 遠野朱音とは一色理人の婚約者である。かつて起きたデイブレイクにより、肉体は死亡したが、脳のみは電脳空間内で生存していた。

 研究の成果はデータベースに保存されている。目を瞑ったイズ。耳のモジュールが点滅を始める。クラウドへアクセスしているのだ。数秒後、彼女が言った。

 

「或人社長、発見いたしました。ライズフォンにデータを転送いたします」

 

 クラウドからダウンロードしたデータを、或人の端末に転送する。早速、或人はそれを確認した。しかし情報を理解することはできない。困っていると、イズが付け足した。

 

「ご安心ください。同様のデータを博士ボットにも転送し、さらに或人社長の意向もお伝えいたしました」

 

 博士ボットとはヒューマギアの開発に携わっている旧世代型ヒューマギアである。

 

「ありがとう、イズ! 試作品の完成はどれくらいかかりそう?」

 

「三日後との解答を得られました」

 

「たったの三日!? じゃあ三日後に完成品を見っか! はい! アルトじゃ~ナイト!」

 

「今のは明明後日を意味する『三日』と見るかの崩れた『見っか』をかけた大変面白いギャグです」

 

 或人の寒いギャグと、それを冷静に解説するイズの声が社長室に響く。何はともあれ、こうして構想は本格的に動き出した。

 そして三日後、午後。或人は社長室横のラボに呼び出された。そこへ向かう二人。待っていたのはボットだ。その右手には簡素な黒いワイヤレスイヤホンが、左手にはアイちゃんが握られている。左横にはチェアーがあった。

 

「或人くん、待たせたね。これがヒューマギアと人を同期させる装置だ」

 

 ボットはそう言って、右手を掲げた。

 

「このイヤホンが?」

 

「というよりガワはイヤホンそのもの。まあとにかく試してみてくれたまえ」

 

 言われるがまま、或人はイヤホンを両耳に嵌めて、椅子に座った。すると或人の肉体はだらんと力が抜ける。

 代わりにイズがキョロキョロと辺りを見回し始めた。或人の五感が、イズと共有されたのだ。彼の脳は、イヤホンを通じてイズと無線接続されている。接続対象の認識及び、アクセスは、人の脳波を感知したアイちゃんが行っている。

 

「どうだい? 或人君、それがイズの見ている景色だよ」

 

「うぉぉぉ! すげぇぇぇ! いるのか? イズ!」

 

「はい、います」

 

 イズの中に宿った或人は、簡単な動作テストを行った。徒歩一分のコンビニで茹でふきのとうを買うというものだ。

 それを難なくクリアする。体の動かし方などは生身とまったく変わらないため、操作に混乱することがない。

 

「じゃあそろそろ戻ろうか」

 

 帰ってきた或人がそう言うと、精神は元の体に戻された。茹でふきのとうを食べながら、感想を述べる。

 

「いやー、肌感覚以外は元の体と遜色ないね。これならすぐに実用化出来そうだよ。」

 

「わかりました。では速やかに量産体制を手配いたします」

 

 こうして、ヒューマギア接続イヤホンは量産されることとなった。まずはより詳細な動作テストも含めて、社員が使用。疲れを感じず、ヒューマギアとの連携もより密になったおかげで、仕事の効率が向上する。身嗜みを整えたり、通退勤時間もかからないため、社員の幸福度も増す結果となった。

 そうして信用を高めたため、次は観光業に乗り出すことになる。旅行代理店と提携して、観光地にヒューマギアを用意。それらに人々が接続するという計画だ。

 二ヶ月後、或人とイズは視察のため、最初のヒューマギア旅行が行われる京都に向かった。新幹線を降りて、二人は京都駅を出た。万歳した或人が叫んだ。

 

「日本人の原点! 京都についたぜ!」

 

「京都の地形はラーニング済みですが、現地に赴くのは始めてです」

 

 するとそこへ黒い自動車がやって来た。ドアには旅行代理店の会社名が記されている。或人たちを送迎する車だ。助手席に或人、その後ろにイズが乗り込む。運転している男性が言った。

 

「よくぞ京都へお越しになられました。まさか社長自ら馳せ参じていただけるとは、思っていませんでしたよ」

 

「やっぱり現地を見ないことには始まりませんから!」

 

「事前にお伝えしておりますが、我々はまず伏見稲荷大社に向かい、その後清水寺、金閣寺と視察を行います」

 

「はい、お願いします」

 

 車を走らせること約15分。一行は伏見稲荷大社に到着した。入り口の巨大な朱色の鳥居を見上げる。観光客の精神を宿したヒューマギアが、至るところで楽しんでいた。或人が言う。

 

「入り口だけでもうこんなに!」

 

「では奥に参りましょうか」

 

 三人が千本鳥居を通る。観光客たちはみな楽しんでおり、不満の声は少ない。

 ヒューマギアは食事が出来ない。しかし、データから味をラーニングすることで、味覚を感じることが出来る。そのため、食べられない欠点も解消していた。

 観光地に一人、女性が立っていた。耳にモジュールがなく、ヒューマギアではない。髪の毛は肩にかからない程度の短さで、年齢は30代後半。ベージュの地味な衣類を身に纏っている。だが或人は特段気に留めず、彼女を追い抜かすと、視察を再開した。

 女性は不敵な笑みを浮かべると、周囲のヒューマギアの肩に触れる。するとヒューマギアの顔から笑顔が消えた。口角が下がり、目は虚ろ。そして彼女の後ろにつき、歩いていった。

 

「えっ!? ヒューマギアが動作不良!?」

 

 ライズフォンを耳に当てている或人。福添副社長を通じて、苦情が舞い込んだのだ。苦情の内容は、突然体を満足に動かせなくなり、離脱も出来ないというもの。

 彼らはヒューマギアの反応を追って、山を下る。駐車場では、200を有に越えるヒューマギアが集結していた。その奥には、先程の女性が立っている。

 

「手駒は集まった……いざ凱旋の時」

 

「待て!」

 

 或人が制止した。さらに言葉を続ける。

 

「お前がヒューマギアをハッキングしたのか?」

 

「そんなところだ。こいつらは貰っていく」

 

「そんなことはさせない! 変身!」

 

 或人は取り出した飛電ゼロワンドライバーを、腰に装着する。起動させたプログライズキーを、ドライバー左横のスロットに挿入。するとバックルが展開した。

 現れたバッタのライダモデルをその身に纏い、彼は仮面ライダーゼロワン・リアライジングホッパーに姿を変える。強烈なジャンプでヒューマギアの大群を飛び越えた。アタッシュカリバーの切っ先を突きつけてから言う。

 

「ヒューマギアを元に戻すんだ」

 

 だが女性は応じない。懐から黒い輝石を取り出すと、左手で握りしめた。それから左腕を高く掲げる。輝石から降り注ぐ黒い闇が、彼女を包む。闇が落ちきったとき、現れたのは漆黒の仮面ライダーだった。

 

「誰なんだお前……?」

 

「仮面ライダー……クオン。邪魔者は信念をもって潰す」

 

 ゼロワンが唐竹の斬撃を仕掛ける。剣を振り下ろすが、途中で止まった。不思議な力が働き、体を動かせなくなったのだ。

 拳に闇を込めた左ストレートパンチを、クオンが繰り出す。回避も防御も封じられたゼロワンは、直撃を喰らって吹き飛ばされた。

 

「何が起きたんだ!?」

 

「俺は魔法使いなんだ。この程度造作もない」

 

「魔法? そんなことあるはずが……!」

 

 横に大きく開いた腕を、クオンが勢いよく閉じる。無数の針のような光弾が放たれた。ゼロワンは黄色い軌跡を残しつつ、ジグザグに走って回避。さらにジャンプ、宙返りしてすべて避けきった。そこから、回転の勢いを乗せた、空中回し蹴りを繰り出す。

 ところがクオンは、硬化させた右腕で受け止めた。左腕を消すと、ゼロワンの真後ろに現す。虚空に浮かんだ左腕が、ゼロワンの首を掴んだ。逃れられない彼は、クオンの連続蹴りに晒される。魔法で足を無数に増やしていたため、さらにダメージが加算されていた。天空から巨大な氷塊が降り注ぎ、彼は潰される。

 

「ダメだ……攻撃がまったく読めない……」

 

 氷塊から抜け出し、立ち上がったゼロワンが溢した。

 

「これが魔法さ。お前には馴染みないんだろけど」

 

 そう言ったクオンは、ゼロワンの視界から消えた。彼女は自身を透明化させたのだ。片刃剣を作り出すと、ゆっくり歩いてゼロワンに接近。それから連続で斬りつけた。見えない何かからの攻撃を受けて、ゼロワンは後方に跳び退いた。敵との間合いを開く。

 

「見えない敵か……でもそこに実体があるなら、まだやれる手はある!」

 

 そう言うゼロワンはアタッシュカリバーを召喚。そこのスロットへ、起動させたメタルクラスタホッパープログライズキーを装填した。

 

『メタルホッパーズアビリティ!』

 

 剣を横に振るうゼロワン。刃先から無数の銀色のバッタ・クラスターセルが飛ばされた。セルの多くは不発して消滅。しかし極一部は空中に留まった。

 ゼロワンがジャンプしながら、カリバーを振りかぶる。そして落下の勢いも乗せて、クオンに縦の斬撃を喰らわせた。

 刀身を受け止められるが、空かさず再度跳び上がり、敵の頭上で一回転する。相手の背後に回ると、右薙の一撃、次いで刺突で吹き飛ばした。地面をゴロゴロ転がるクオンは、透明化の魔法が解ける。

 

「不思議なバッタを目印に位置を割り出したということか……」

 

「そういうこと。さぁ、ヒューマギアを元に戻して貰おうか」

 

「ヒューマギア? はて何のことやら」

 

「え……?」

 

 彼が辺りを見回した。ヒューマギアの大群はいつの間にか姿を消している。見ると中央に、次元の穴が空いていた。そこからどこかへ消えたのだろうか、或人が考える。

 その隙にクオンが光弾を射出。ゼロワンは吹き飛ばされた。変身が解除される。倒れる或人を尻目に、クオンがその穴に駆け出す。そして彼に言った。

 

「俺がお前と戦ったのはただの時間稼ぎ! 心配しなくてももう二度とこの世界には来ねぇよ」

 

「待て……!」

 

 穴の中に突っ込むクオン。消えかかる穴。或人は疲労した体に鞭を打つと、走り出した。そして彼もまた穴の中に飛び込む。するとすぐに、穴は消失した。

 

「或人社長!」

 

 その場にはイズが残される。彼女は落ち込むが、やがて自身に出来ることを見つけた。

 穴はワープホールであった。内部は様々な色彩が色鮮やかに輝いている。泳ぐように身を動かす或人だが、方向を決めることはできない。流れに身を任す彼は、出口の穴に放り出された。

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