令和に復活!仮面ライダーダルダ a girl blooms 作:ぽかんむ
女性が辿り着いた先は、ダルダの世界。そしてフラワーショップ立花の目の前だった。従えているヒューマギアを店頭に待機させると、自らは入店する。地面に立て膝をついて作業をしていたレイは、彼女の方を振り向く。
「いらっしゃいませ、ごゆっくりどうぞ」
定型文の挨拶だけすると、彼女はすぐまた後ろを向き、作業を続けた。女性は彼女にゆっくり近づく。無防備の彼女の頭を思いっきり殴り付けた。
「ちょっ……何するんですか!?」
「俺のこと、忘れたとは言わせねぇぞ」
倒れたレイの足を、女性は掴んだ。ひきずって、店外に出る。
「やめてください……」
「兄貴の仇だ」
そこへ、下校してきたリカが現れる。レイの前に立ち塞がると、女性に尋ねた。
「お母さんになにしてるの!?」
「なるほど。お前が娘か。さすれば同罪」
女性がローキックを繰り出す。それを跳ねて避けるリカ。着地後、彼女が抗議した。
「は? 私なんかした!? あんたとなんか会ったことすらないっての!」
「黙れ!」
女性は激昂すると、黒い輝石を取り出した。それは反撃、追撃に次ぐ第三の球魂・信念の球魂。未知の存在に驚く蘭。女性は闇を纏って、クオンに変身した。リカもダルダに姿を変える。
ダルダスプリッターを右手に生やして、攻めるダルダ。しかし袈裟、逆袈裟、刺突の連撃は難なくかわされた。クオンは右足を消す。ダルダの背後に現すと、踵落としで脳天に直撃させた。
ところがダルダは、痛みに耐えて足を両手で掴む。前方に投げ飛ばそうとするが、足はクオンの膝下に戻り、不発に終わった。クオンが左人差し指を天に掲げる。すると雷が打ち落とされた。そして直撃を食らう。
「これで終幕だ」
「それはどうかな?」
爆風から飛び出すダルダ。両手には帯電した聖剣・雷鳴剣黄雷を持つ。クオンにすれ違い様、左薙に斬り伏せた。
雷が直撃する瞬間、ダルダは魔法で黄雷を錬成。それを頭上に構えて、雷を吸収していたのだ。雷の力で威力を増した一太刀は、クオンをよろめかせる。さらに振り返り、ドロップキック。クオンの顔面に当てて吹き飛ばした。
「さあ! 答えて! お前は何者なの!?」
拳で顔を拭いながら、クオンが立ち上がる。
「一撃に免じて教えてやる。俺は立花瑠夏。てめえの母が殺った立花蓮の妹だ! 復讐のため、仮面ライダークオンとして地獄から舞い戻ったのさ!」
「お父さんの……妹!?」
「あれはもう13年前のことだ……」
瑠花が語り出す。13年前、立花フラワーショップは元々、立花六兵衛とその妻、息子の蓮、妹の瑠花で経営していた。いつかは店を大繁盛させると胸に秘めて。
そこへ、魔時空界よりマンティスミッシが亡命。偶然夜道で出会った蓮の家で、匿われる。マンティスは記憶喪失を謳ったため、新たな名前として「レイ」と名付けられた。保護される傍ら、レイも花屋を切り盛りしていく。真面目に働くレイはすぐに家族に溶け込んでいった。
レイと蓮は恋仲となり、3ヶ月後に妊娠。皆は新たな家族の誕生を心待ちにしていた。ところがある日の夜。蓮の部屋で共に眠っていたレイ。起き上がると、怪人体に変化。腕の鎌で彼を殺害した後に補食した。
さらに家中を荒らして、義理の父母をも補食。最後に瑠夏のことも食べようとしたが、既に逃げられていた。レイはその後、スパイダーミッシが襲来するまで、何食わぬ顔で暮らしていたのだった。
「嘘……まさかお爺ちゃんとお婆ちゃんもお母さんが殺していたなんて……」
リカもショックを受ける。レイの方に目を向けるが、彼女は真実を吐かれて動揺していた。
「し……仕方なかったのよ。子供の血縁者の栄養を取り込むほど、戦闘力が増す。だからリカはそこまで強くなれたのよ! そう、これは人間界を守るため必要な犠牲だった!」
開き直ったレイに、リカは絶句した。確かに言い分に一理はあるのかもしれない。だがそれを被害者の前で語るなど言語道断であろう。クオンは瞬間移動でダルダの眼前に接近。強烈なミドルキックで、吹っ飛ばした。
「てなわけでレイと、その血を受け継ぐリカは俺が殺す。当て付けのようにフラワーショップ立花を営業してやがるのも癪に触る」
クオンは魔法で、ヒューマギアたちをトリロバイトマギアに変質させた。一斉にダルダとレイに襲わせる。ダルダも立ち上がり、臨戦態勢を整えた。だがその時、両者の間に無数の銀色のバッタが飛来。それは多角形の盾を形成した。
「この技は……ゼロワン!」
上空よりゼロワン・メタルクラスタホッパーが降臨した。着地すると、トリロバイトマギアと戦おうとするダルダを制する。
「お前を止められるのはただ一人……俺だ!」
ゼロワンはプログライズホッパーブレードで、一体のマギアを斬る。しかしハッキングは解除できない。反撃のパンチを顔に受けてしまう。彼らが交戦している隙に、蘭がダルダに進言した。
「あの戦力をリカ一人では相手取れない。一旦逃げましょう」
ダルダの肩を蘭とレイが掴む。そしてダルダは瞬間移動して逃走した。それを見たクオンが言う。
「よそう、あいつらに逃げられてしまってはお前と戦う理由はない」
「こっちにはある! みんなを返せ!」
斬りかかるゼロワン。ところがクオンもまた、瞬間移動で姿を消した。ヒューマギアも同時に消失する。刃は虚空を空振りした。
変身解除した或人。右の拳を強く握りしめる。だが悔しがっていても仕方ない。彼はライズフォンを取り出した。画面にはヒューマギアの位置情報が示されている。
「待ってろよ……必ず元の世界に戻してやるからな……」
或人はゼロワンドライバーに、アサルトグリップ付きのシャイニングホッパープログライズキーを装填。ゼロワン・シャイニングアサルトホッパーに変身した。
素早さだけならメタルクラスタホッパー以上であり、リアライジングホッパーと違って稼働時間にも制限がないからだ。そして何よりゼロツードライバーは使えない。彼は黄色い軌跡を残しながら、発信源へ跳び立った。
リカたちは山奥の廃墟に身を寄せていた。木々が生い茂る中、人工物と思しき壁が所々に点在している。大人数を率いる瑠夏の足を止めて、時間を稼ぐ魂胆だ。リカはレイの両肩を掴むと、叫ぶ。
「お母さん! 信じられない! 躊躇なく人を殺し、それを被害者の前で開き直る!? どういう神経してるの!」
「面倒なことに巻き込ませてしまってごめんなさい。あのとき始末しておけばよかった……」
「そうじゃなくて!」
「あなただけが希望なの。お願い、クオンを倒して」
話が致命的に噛み合わない母と娘。これ以上の追求は無駄と悟ったリカは、肩から手を降ろした。蘭の方を向くと、懇願する。
「ねぇ蘭! どうしよう……蘭だけが頼りだよぉ!」
「お、落ち着きなさい。そうね……うーん……」
クオンの驚異的な力、未知の球魂と魔法、200を越えるトリロバイトマギア。それらを打倒する策となると中々思い付かない。
また、家族を失った点で共通するため、同情的になり、戦うことに熱が入りにくかった。結局場は硬直してしまう。
そこへ飛電或人がやって来る。瑠夏と反対方向から迫っていたため、先にリカと会うことになったようだ。
「あれ……? 君たちはさっきの……」
警戒しながらも、リカが答えた。
「そっか、あなたがさっきの仮面ライダーの正体……」
「仮面ライダーゼロワン、飛電或人だ。よろしくね」
二人は情報を共有する。或人はゼロワン世界におけるクオンの悪行を、リカは瑠夏の正体や過去を手短に教えあった。
また、ヒューマギアは自社製品であり、さらに中に人の意思が入っているため、絶対に破壊しないよう念押しする。
「そうだったんだ……危なかった」
蘭が問いかける。
「でもあなた、さっきはそのヒューマギアに斬りかかってたじゃない」
「うん。プログライズホッパーブレードであればハッキングされたヒューマギアを元に戻せるはずだったんだ。でもダメだった」
「あの剣のことね。それを貸してくれないかしら? 対策を考えたい」
「わかった。よろしく頼むよ」
或人は彼女に、プログライズホッパーブレードを渡す。
「それから……あっ! まずい!」
瑠夏の強力な魔力を、蘭が察知。そして瑠夏が現れる。彼女もまた、リカたちの魔力を追ってやって来たのだ。
「こんなところに隠れやがって。だがそれももう終わりだ」
そう言うと瑠夏はクオンに変身した。リカもダルダに変身、両者睨み合う。だがクオンの軍勢には多数のマギアも控えている。戦力差は如何ともしがたい。そこで蘭が告げた。
「或人さん! 私たちが何とか時間を稼ぐ! あなたは行きなさい!」
その頃、ゼロワンの世界。飛電の社長室。そこにはイズ、不破諌、刃唯阿、天津垓が待機していた。東京に戻ったイズは速やかに仮面ライダー達を召集していたのだ。そこへ迅と滅が入室。メンバーが揃う。イズが一同に説明を始める。
「皆様、お集まりいただきありがとうございます。お願いです。或人社長を救っていただけないでしょうか」
頭を下げるイズ。彼らは首を縦に振る。不破が言った。
「当たり前だ。社長には何度も世話になったからな。必ず引き戻してやる」
意気込む不破。彼に刃が突っ込む。
「だがゼアを持ってしても行方のわからない社長をどう助ける。居場所がわからないことには手出しできん」
その時だった。机の後ろにワープホールが出現。そこから或人がやって来た。
「あれ? みんな、どうして……」
蘭の言葉が途切れてすぐ、ダルダはワープホールを精製していた。これを通れば戻れると、或人は直感的に確信。
リカたちを置いていくことに一瞬躊躇ったが、結局は信頼して飛び込んだ。そして無事戻ってこれたのだった。
滅が溢す。
「まったく、人騒がせな奴だ。だがこれで解決か」
滅の口振りから、或人は彼らの集合理由を何となく察した。それを踏まえて言う。それこそ或人が帰還した理由。
「いや……まだ終わっていないんだ。クオンに奪われたヒューマギアの中には人の意識が宿っている。絶対に助けなきゃ」
天津が言った。
「ならば共に行こう。愛する飛電のため、我々の手で!」
さらに他の者たちも、肯定を表すように頷く。
「みんな……ありがとう!」
仮面ライダーたちは勇敢にも、ワープホールを潜った。穴の先は山奥の廃墟。既にダルダとクオンの激突は始まっていた。クオンと多数のマギアを相手に懸命に戦うダルダ。
或人達の元へ、蘭が駆けつける。彼女はプログライズホッパーブレードを返却してから言った。
「ありがとう。この剣の技術と私の魔法を掛け合わせて、解除魔法を錬成したわ。これでヒューマギアを元に戻せる。今あなたたちの装備にも付与するわね」
蘭が開いた右掌を、払うように横に振った。光る粒子が不破たちを包む。
「魔法か。まさか本当にそんな世界があるなんてな」
不破の感想に続けて、或人が叫んだ。
「よし、みんな行こう!」
或人はゼロワンドライバー、イズはゼロツードライバー、不破と刃はエイムズショットライザー、迅と滅は滅亡迅雷フォースライザー、天津はザイアサウザンドライバーを腰に装着する。
起動させたプログライズキーを、イズと天津は自動展開。或人はドライバーに認証、不破がこじ開ける。そして全員がドライバーにキーを装填した。
「「「「「「「変身!」」」」」」」
『プログライズ! イニシャライズ! リアライジングホッパー! A riderkick to the sky turns to take off toward a dream.』
『ゼロツーライズ! Road to glory has to lead to growin'path to change one to two! 仮面ライダーゼロツー! It's never over.』
『フルショットライズ! Gathering Round! ランペイジガトリング! マンモス! チーター! ホーネット! タイガー! ポーラベアー! スコーピオン! シャーク! コング! ファルコン! ウルフ!』
『ショットライズ! ライトニングホーネット! Piercing needle with incredible force.』
『スラッシュライズ! バーニングファルコン! The strongest wings bearing the fire of hell.』
『フォースライズ! スティングスコーピオン! Break down.』
『パーフェクトライズ! When the five horns cross,the golden soldier THOUSER is born.Presented by ZAIA.』
「お前を止められるのは……俺たちだ!」
先頭を走るはゼロワン・リアライジングホッパーとゼロツー。跳び蹴りでマギアの群れに突っ込んだ。ランペイジバルカンが、ショットライザーからの銃撃で撃破していく。
バルキリー・ライトニングホーネットは、羽根を生やすと、空中で胸からミサイル・ヘクスベスパを発射。地上を爆撃していく。
滅・スティングスコーピオンはアタッシュカリバーで周囲を斬り伏せつつ、遠距離の敵を射る。迅・バーニングファルコンはスラッシュライザーの刀身に炎を纏わせると、桐揉み回転しながら敵を斬り倒す。サウザーもサウザンドジャッカーによる剣劇で圧倒していた。バルカンが言う。
「物量戦ならこいつが有効だ。いくぞ天津」
「あぁ、任された」
バルカンはランペイジガトリングプログライズキーのダイヤルを回す。サウザーはサウザンドジャッカーにアメイジングコーカサスプログライズキーを装填。その後グリップエンドを伸ばした。必殺技を発動する。
『オール!ランペイジ!ランペイジオールブラスト!』
『サウザンドライズ!サウザンドブレイク!』
並び立ったバルカンとサウザー。それぞれの得物から、10種のライダモデルを生み出す。ライダモデルがマギアに突撃。トリロバイトマギアを全滅させる。だが一部のマギアは、クオンからの更なる魔力供給を受けて進化していた。
エカルマギアはゼロツー、ドードーマギア改はバルカン、ガエルマギアはバルキリー、クエネオマギアは迅、マンモスマギアは滅、アルシノマギアはサウザーと対峙する。
「あなたを止めるのは私です!」
エカルマギアは頭部の牙を伸ばして、ゼロツーを襲う。だがゼロツーは左右に移動して回避。スライディングで接近し、相手をよろけさせた。
すれ違ったあと、振り返ると、目にも止まらぬパンチのラッシュで追撃する。敵が怯む隙に、ドライバーのキーを押し込んだ。
『ゼロツービッグバン!』
右腕を引きながらジャンプ。落下の勢いをつけ、赤熱化した右拳を突き出した。強力なライダーパンチに殴り飛ばされたマギアは、元の姿に戻る。
「お前をぶっ潰す!」
バルカンの両肩に、双刀・ヴァルクサーベルが振り下ろされた。しかしダメージはない。彼はショットライザーの銃口を敵に密着させてから、発砲。相手を仰け反らせた。
パンチ、キックの乱打で攻め立てたあとに首を掴んで頭突き。その後敵の両手首を掴み、斬撃を防いだ。それから、ラッシングチーターのアビリティを応用した、連続蹴りを繰り出す。ショットライザーをバックルに戻したあと、操作した。
『ランペイジガトリングブラスト! フィーバー!』
背中に片翼を生やして飛翔。空中で一回転した後、虹色の光を纏いながら、右足を突き出す。そして敵に突っ込んだ。
ライダーキックを受けたマギアは吹き飛ばされると爆発し、元の姿に戻った。
「対象を解除する!」
バルキリーは空中からヘクスベスパを射出。ガエルマギアを爆撃した。高度を下げると、すれ違い様、翼で斬りつける。
着陸後振り向くと、ショットライザーで銃撃を仕掛けた。キーを操作しつつ走る。
『サンダー!ライトニングブラスト!』
ショットライザーから巨大な針を射出。針で貫かれたマギアは元の姿に戻る。
「友達は僕が救う!」
迅は羽根を広げると、炎を纏って突撃。クエネオマギアにダメージを与える。足で敵を掴むと、持ち上げる。空中で落とすと、自身も降下。ザイアスラッシュライザーで唐竹に斬った。
落下する敵を、翼から射出する手裏剣で追撃する。着陸した迅は、武器のキーを操作した。
『インフェルノウィング! バーニングレイン! ラッシュ!』
敵に近づいた迅は、目にも止まらぬ連続斬りで圧倒。回し蹴りで距離を開けると、低空飛行しながらの、すれ違い様の右薙の斬撃でトドメを刺した。斬られたマギアは元の姿に戻る。
「悪意よ滅亡せよ」
滅はマンモスマギアのチョップを、アタッシュアローで受け止める。跳ね上げてから、袈裟斬りで反撃。回転しながら右薙に斬りつけた。
敵が殴りかかってくる。ところが滅は、後退しながら紙一重で回避。左腕で受け止めると、アローを持った手で殴り飛ばした。武器の弦を引き、矢を射出。敵を追撃した。滅がドライバーを操作する。
『スティングユートピア!』
左腕の針『アシッドアナライズ』を伸ばす。マギアに巻き付けると、自身の元に引き寄せた。
左足に紫のエネルギーを纏い、それ目掛けてハイキックを繰り出す。針に貫かれたマギアは元の姿に戻る。
「私の強さは1000%、桁外れだ」
サウザーはサウザンドジャッカーによる連撃でアルシノマギアを攻め立てる。敵の胴に刃を沿わせると、グリップエンドを引いた。
そして炎を纏った刀身で、左薙に切り裂く。続けてジャッキングブレイクを発動。今度は鞭のように並べた鮫の牙で、無数に斬りつけた。
それから、武器を振り下ろす。マンモスのライダモデルの足が、マギアの頭上に現れ、踏みつけた。怪人は衝撃で打ち上げられる。サウザーがキーを押し込む。
『サウザーディストラクション!』
高く飛び上がるサウザー。敵の上を取ると、右足を真下に突き出す。そしてドリルのようにその身が回転。
桐揉みキックで、敵を地面に吹き飛ばした。ライダーキックを受けたマギアは元の姿に戻る。
「私は……咲く!」
ダルダはクオンに苦戦を強いられていた。油断を失くしたクオンは、ダルダのあらゆる攻撃を防御、あるいは回避する。遂にダルダは倒れ伏してしまった。
そこへアタッシュカリバーを持ったゼロワンがジャンプして登場。勢いをつけた斬撃で、クオンの左肩を切り裂いた。
「おのれゼロワン! 俺の夢を阻む者は信念を持って潰す!」
「夢……?」
ゼロワンが剣を降ろした。接近したクオンが飛びかかる。ところが、ゼロワンのパンチを喰らって返り討ちに遭った。
「お前のは夢なんかじゃない」
「何だと?」
「その先に笑顔はない! みんなにも、そしてお前にも!」
彼は後ろのダルダの方へ振り返ると、言った。
「一緒に戦おう、リカちゃん。確かにきみのお母さんは過ちを犯した。でも悪意は必ず乗り越えられる。乗り越えなきゃいけないんだ。そしてクオンも救う」
立ち上がったダルダが、返事をする。
「そうだね。私にとっては数少ない血族。見捨てていいはずがない!」
二人の仮面ライダーが並び立った。クオンが両腕を横に広げる。衝撃波が周囲360度に放たれた。それをゼロワンは高速移動で避ける。後には黄色いラインが残された。ダルダも瞬間移動でかわしていく。
クオンの背後に回るゼロワン。剣を振り下ろそうとするが、念動力で止められる。ゼロワンは瞬時に剣から手を離した。振り返るクオンだが、そこに彼はいない。
彼女は左斜め後方から、空中回し蹴りを決められた。よろけた先にいたのはダルダ。ダルダスプリッターと、拾われたアタッシュカリバーの二刀による斬撃を受けそうになる。だがその前に顔を蹴り飛ばした。
「ハァァ!」
ゼロワンはクオンの背後から、左右のハイキック、最後に飛び蹴りで攻め立てた。クオンが自身を中心とした円に、雷撃を落とす。だがゼロワンはそれを越す速度で動き、避けた。
ダルダが復帰する。その右手に持つのはマグナムシューター40x。ジャンプすると横に回転。同時に引き金を引く。敵に銃撃の雨あられを降らした。ゼロワンがドライバーのキーを押し込む。
「人類の夢は返して貰う!」
「だって私たち、仮面ライダーだもん!」
残像を残しながらゼロワンが急接近。ハイキックでクオンを打ち上げた。高く跳ぶゼロワンとダルダ。ゼロワンは連続キックを、ダルダはダルダスプリッターの二刀流による斬撃を、縦横無尽に喰らわせる。
そして本命のライダーキックが炸裂。ゼロワンの右足とダルダの左足が、敵を捕らえる。吹き飛ばされたクオンの変身が解除された。
倒れる瑠夏。変身解除した或人は、彼女の元へ歩んでから問いかけた。
「あなたにも夢があるんじゃないですか?」
「夢……か……立花フラワーショップを大繁盛させる……そんな荒唐無稽な夢を見たときもあった……」
「まだやり直せますよ」
「なに言ってんだ。13年も無駄な時間を過ごし、その間に立花の名も余所者に汚されちまった……もう何も残っちゃいねぇ」
そこへ、変身解除したリカが言葉を挟んだ。
「それは違うと思う。お母さんはお父さんや叔母さんを大切に思っていたからこそ、今日まで立花フラワーショップを続けていたんじゃないかな……?」
「……くくく……殺した相手に縛られすぎだぜ……十分狂ってんな」
「叔母さん、私のお家に来ない? そして今度こそお店を……」
「気に食わねぇな」
「え? そう……」
「叔母さんじゃねぇ。瑠夏ちゃんだ。俺が来たからには厳しくするから覚悟しろや」
或人と出会い、夢を再認識した瑠夏は、リカたちと住むことになった。瑠夏とリカの魔法によって、或人達やヒューマギアはゼロワンの世界に帰される。
今回の事件を受けて、飛電はバッシングの憂き目に遭うだろう。信用を失い、計画は頓挫するかもしれない。それでも或人は夢に向かって飛ぶことをやめない。今後どんな未来が待ち受けていようと。
レイと瑠夏は方針の違いから度々喧嘩することはあれど、同じ夢を胸に奮闘していた。そんな彼女達の姿勢は蘭に、将来をより考えさせる。ただ、リカはよりレイとの心的距離が広まる結果となってしまった。
朝、開店前の店先で準備を進める瑠夏。彼女にリカと蘭が、近づいた。いってきますと言おうとしたのだ。だが瑠夏が先に言う。
「そうだ。リカ、受け取れ」
彼女がリカに投げ渡したのは、信念の球魂。
「俺にはもう必要ねぇからな。活用するも捨てるも好きにしろ。あと……」
次に彼女は蘭に、赤い輝石を見せつける。それはかつて蘭が所持していた、追撃の球魂だった。
「どうしてこれを……?」
「元々信念の球魂は、破片から復元した追撃の球魂を元に作ったんだ。球魂は併用すると魔力が更に強まることは、体験済みだろ?」
二つの球魂を使っていたことが、クオンの強さの秘密だった。瑠夏が蘭に球魂を投げ渡す。それを受け取った瞬間、蘭の表情が青ざめた。失っていた記憶が脳内に流れ込んできたのだ。
リカと蘭は中学校への道を歩く。家が見えなくなった辺りで、蘭がリカに言った。
「仮面ライダーギーツ……」
「え?」
「思い出したのよ。デザイアグランプリのこと。そしてあなたの書いた願い」
「……」
「思春期だもの、親を疎ましく思うだけなら否定しない。でもあなたのそれは一般的なラインを超越していた」
リカの書いた願いは『母親がいなくなった世界』。別れる直前、英寿に教えられたものだ。
それから、リカの蘭に対する甘えっぷり。この時をもって、彼女はようやくリカの真の気持ちを暴いた。
「あなた、私を母親の代わりか何かと勘違いしてるでしょ」
「そ……そんなこと……」
「レイさんと仲直りしなさい。血の繋がった親子なんだから」
「はぁ? 自分に母がいないからって、私に親子観を押し付けないでよ!」
「!?……押しつけるって……」
「家族の良い点だけ過剰に目がいっているよね? そんなのフェアじゃないよ!」
その時、蘭の平手打ちが炸裂した。頬に強打を受けるリカ。蘭がさらに一喝する。
「頭を冷やしなさい!……じゃあね」
「え……?」
蘭は振り返ると、立ち去ってしまった。リカが呼び掛けても、蘭の足は止まらない。走って追いかけるが、前方に不可視の壁が出現する。
「蘭! 蘭!」
リカの悲痛な叫びだけが住宅街にこだました。