令和に復活!仮面ライダーダルダ a girl blooms   作:ぽかんむ

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番外編 家業の一日

 娯楽が多様化したこのご時世、花屋で稼ぐことは決して簡単なことではない。フラワーショップ立花も例外ではなく、レイは日々収支に頭を悩まされていた。

 その日は日曜日なので、リカはレイのお手伝いをしている。レイがバックヤードで花束を括っている中、リカは花瓶やバケツの洗浄をしていた。水の入ったバケツを頻繁に上げ下げすることになるため、結構な重労働である。

 

「もうやだ! こんなに大変なのに全然お客さんも来ないじゃん!」

 

 弱音を言うリカをレイが優しく嗜める。

 

「こら、買ってくれる方々がいらっしゃるんだからそんなこと言わないの」

 

「そもそもお母さんどうして花屋なんて始めたの?」

 

「別に私が始めた訳じゃないのよ。元々あなたのおじいさんが始めてね、とある人との約束で続けてるの」

 

「ふーん……そんなに大事なの?」

 

「えぇ、大切な人よ……とってもね」

 

 レイが遠い目をする。その表情は少し悲しげだった。そうこうしている内に配達の時間がやって来る。レイは作業を中断すると、荷物を持って、外に飛び出した。

 

「リカ! 行ってくるから掃除お願いね!」

 

「はぁい……」

 

 リカはまた地味で退屈で辛い重労働を続行した。当然面白いはずもなく、不平をつらつらと並べている。

 

「大事な約束だかなんだか知らないけどそれに娘を巻き込まないでよ……」

 

 するとそこへ一人の少女がやって来た。

 

「リカ! やっぱお店の方だったね! 遊びに行こうよ!」

 

 クラスメートの滝洋子だ。一瞬判断に迷うリカだが、結果は明白だ。

 

「うん!」

 

 リカは作業を放置して、洋子と共に外に繰り出した。そのまま公園へ向かう。扉も開けっ放しのまま、店には誰もいなくなる。

 夕方。十七時頃、いい汗を流してスッキリした様子のリカが帰ってきた。店にあったのは、弱った花を見て項垂れる母の姿。彼女は瞬時にことの重大さを理解した。

 

「あの……ごめんなさい……」

 

「……ううん……リカは悪くないの……ごめんなさい……よくよく考えたら小学生一人に店番を任せたのが間違いだったわ……」

 

 リカが花瓶やバケツの清掃を怠ったことで、花は汚い水を吸い上げた。その結果痛んだのだった。さらに商品もいくつか盗まれ、レジの中の現金も空っぽ。どうやら泥棒が入ったようだった。

 

「あのさ、その……今直すから……」

 

 そう言うとリカはダルダに変身した。それから掌を前に向け、白い光を放つ。魔法でバケツの汚れを除去し、弱った花を回復させ、奪われたものを生成した。しかしレイは納得がいっていない。

 

「ありがとう……でもダメなのよ……魔法で花を治したり作っても、それはもう以前の花ではないの」

 

「どうして? 見た目変わらないんだからいいじゃん! 大体今の私は魔法が使えるんだからそれで効率化させていった方がいいでしょ!?」

 

「……そうね、私の指示にただ従うだけの作業なんてつまらないもんね。そこまで言うならあなたのやり方を見せてもらうよ」

 

「任せて!」

 

 かくしてリカによる店の改革が行われることとなった。まずは商品の仕入れ。当然ながら仕入れには金がかかるため、リカは一律でバッサリと取り止めることにした。

 花や花束はすべて、図鑑やネットの画像を頼りに魔法で錬成。幸いこれまでの戦いで魔力の扱いには慣れていたので、商品を揃えることにはそれほど苦戦しなかった。ついでに商品の質を維持する作業もなくなる。

 配達に関しては流石にビオプランターを使うわけにはいかないので、魔力でレイの自転車の性能をアップさせるに留まった。それでも負担が軽減したことに変わりはない。

 数々の施策によって経費は大きく削られた。しかし一週間後、レイはリカに現実を突きつけた。改革の結果、売上は1/10にまで低下していたのだ。リビングでレイがリカに告げる。

 

「幸い利益は一週間前と大きな変化はないわ。でもこれだけお客さんが減っていると、今後もどんどん売上は下がってしまう……」

 

「そんな……どうして……」

 

「やっぱりわかるひとにはわかっちゃうのよ。流石に魔法が絡んでいるとまではバレなくても、どことなく偽物感が出ちゃうみたい。それが理由で断られることも多かった」

 

「そうなんだ……ごめんなさい……」

 

「この一週間、店のことを本気で考えて試してくれたのは嬉しかったわ。でも……ごめんね」

 

 こうして結局店の運営方法は、これまで通りのやり方に戻った。ただしレイはもう、リカに無理矢理働かせることは辞めようと心に誓う。当然だが報酬がなければ責任も発生させられないからだ。

 翌朝。その日は月曜日だがリカは花瓶やバケツをせっせと洗っていた。それを見たレイが問いかける。

 

「どうしたの?」

 

「自分の家ひとつ守れなかったら何も守れない。だからこれからは真面目にやるよ!」

 

 リカも決して花が嫌いなわけではない。店への愛着だってある。娘の成長を目の当たりにしたレイが言った。

 

「ありがとう、ならこれからも頼りにしてるね。それはそうと朝ごはん食べるよ」

 

「うん!」

 

 フラワーショップ立花の忙しい一日、リカの楽しい小学校生活が今日も始まる。

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