令和に復活!仮面ライダーダルダ a girl blooms 作:ぽかんむ
リカはオルキニスに連れられて、玉座の間を出た。廊下を歩く道中、オルキニスがリカに告げる。
「陛下はあなたを魔時空人と見なしているようだけど、私は人間と見てるから。下等な生命体としてね」
「どうして人間は下等な生命体なの?」
「そう教わったからよ。そして実際に現地の民をこの目で見て確信したわ。私たちの生存のためなら、切り捨てても問題のない種族ね」
「……そうなんだ」
「あら? 反論しないの?」
「わからないの……人間を滅ぼそうとするあなたたちには賛同できない。一方、魔時空界を滅ぼそうとするお母さんにももう従えない……どちらも滅びない方法はないの?」
「そんな都合のいい解決策はないわ。仮に私たちが今人間界に移住したら、人口がパンクしてしまう。そして、私たちはこの世界では魔法抜きに生きていけない」
「そうなんだ……ねぇ、私はどうしたらいいの?」
その言葉を聞くと、オルキニスはリカの頬に平手打ちを喰らわせた。倒れるリカ。鬼のような形相を浮かべたオルキニスが叫ぶ。
「私たちの仲間になるというのなら受け入れるわ。また、敵に回るのなら存亡を懸けて戦うだけよ。だけどね、選択は自分で決めなさいよ!」
「うっ……ごめん……」
「まったく……ほら、あの部屋よ」
オルキニスが指差した先には、小さな部屋があった。リカが一人で入ると、扉が閉められる。中はベッド、テーブル、トイレが備え付けられただけの質素な部屋だった。硬い岩盤で覆われており、扉は鉄製で重い。実質的には牢獄である。外からオルキニスが言った。
「外から鍵をかけたから、おとなしくしてなさいね。食事は三食持ってくるから」
「うん……」
リカはベッドに横たわると、話を頭の中で整理し始めた。
一方、檻の外ではオルキニスも悩んでいた。彼女は十歳。元々、商人の娘としてごく普通の生活を送っていた。家業を手伝う傍ら、学校にも通っていた。
ところがある日、検査の結果、追撃の球魂の高い適正を持つことが発覚。すぐさま、皇帝の側近としてナイトローズに雇われることになる。以降は魔時空界を守るために活動。使命感を持って従事していた。
だが、部下の扱いが杜撰なナイトローズを、忌み嫌う側面もあった。度重なる反撃の球魂奪還作戦の失敗。ナイトローズにプレッシャーをかけられた。
そこで彼女は、自ら城南小学校に潜入する作戦を立案した。彼女自身が潜入した理由は、子供の気持ちは子供にしかわからないと考えたからだ。
リカに近づき、短いながら交流。その過程で彼女は、リカや他の人間たちの優しさに気づいた。クラスメートに囲まれて楽しそうに微笑んだことは、すべて演技とも言えなかった。無論、オルキニスに魔時空界を見捨てる気はない。しかし、人間を滅ぼすことに抵抗を覚えたこともまた事実である。
「だけどもう止められない……やりきるしかないのよ……」
夜になる。夕食を持ったオルキニスが、檻の扉を魔法で開けた。入室後、扉がひとりでに閉まる。眠っているリカに彼女が告げる。
「起きなさい。ご飯よ」
リカは目を覚まさない。だが、オルキニスに体を揺すられると、目を開いた。
「考えすぎたら、寝ちゃってたみたい」
「そう。食べなさい」
パンとシチューが乗ったおぼんが、テーブルに乗せられる。リカはベッドから出ると、床に座り、シチューの匂いをかいだ。
「ありがとう! うーん、おいしそうだね」
「いいからさっさと食べなさい」
リカはバクバクと食べた。そして完食する。一部始終をオルキニスは見ていた。その表情は時たま緩む。
「どうしたの?」
リカが首を傾げる。その問いかけに何かが弾け飛んだオルキニス。突然、リカを抱き締めた。リカが慌てて聞く。
「ななな何するの!?」
「お願い……ずっとここにいて……」
オルキニスは泣いていた。その涙を見て、リカは決意を固める。そして、オルキニスを強く抱き返してから言った。
「世界がどうとか、難しく考える必要はなかったんだ。ごめんね。私は元の生活に戻りたい。だから、そのための犠牲はすべて受け入れる」
リカは抱きついたまま、オルキニスの首に噛みついた。オルキニスが痛みからのたうち回る。それを押さえつけるリカ。魔法で牙を鋭く、長くし、深く食い込ませる。ついにオルキニスが気を失った。リカは彼女の体を漁る。すぐに青い輝石を発見した。
「赤い方を探してたんだけど、どうしてこっちを持ってるんだろう?」
続いて、追撃の球魂も探した。破壊してしまえば戦力を大きく削げると考えたためだ。だが、彼女の手首が掴まれる。オルキニスが目覚めたのであった。彼女がリカを突き飛ばす。
「ダルダ……! ずっとこの機会を狙っていたとでも言うの?」
「あの笑顔を信じてたから。そして! 巨悪の罪を背負う」
「あなたとは本当のお友達になれるかもと期待していたけど、残念ね」
二人が球魂をそれぞれ握る。リカは突き出した腕を回した。そして両者発声する。
「「変身!」」
お互いが光と闇に包まれて拮抗。相殺されて弾け飛ぶ。そして中から現れたのは、二人の仮面ライダー。
「私は咲く!」
「お前は散る!」
体の前で腕を交差しているダルダと、右腕を横に広げているオルキニス。互いにジャンプで接近した。拳と拳が激突する。ダルダが掌より光の剣を生やす。それに気づいたオルキニス。一瞬早くバク宙で回避。串刺しを防いだ。
「ダルダスプリッター!」
滞空中のオルキニス目掛けて、ダルダが斬撃を振るう。オルキニスが赤い双剣・デュアルリーファーを召喚。光の剣を挟み込むと、へし折った。
着地したオルキニス。剣による連撃を仕掛ける。ダルダは瞬間移動でかわし、オルキニスの背後に回る。だがオルキニスはそれを読んでいた。前方にダルダが消えた瞬間、振り向き様に剣を薙ぎ払う。
防御が間に合わなかったダルダは、壁に吹き飛ばされた。二人の攻防の余波で、牢獄は粉々に破壊されている。
「リカ、確かにあなたは球魂を上手く扱える。だけどね、私とは環境も場数も大違いなのよ」
ダルダが地面を殴った。彼女とオルキニスとの間に壁が生まれる。それを切断するオルキニス。しかしそこにダルダはいない。慌てて振り向くがそこにもいない。オルキニスが見上げる。同時に、天井に浮遊していたダルダが、両掌からビームを放った。
回転しながら、オルキニスが特攻。ビームを切り刻んでいく。ダルダもパンチで突っ込んだ。彼女をオルキニスは両手でキャッチ。地獄車のように地面へと叩き落とした。
さらにデュアルリーファーを振る。遠距離でダルダに衝撃波をぶつけた。倒れたダルダだが、立ち上がる。しかしすぐよろけて片膝をついた。
「はぁ……はぁ……これまでの敵の比じゃない……」
「もう都合のいい奇跡は起こさせないわ」
「それでも負けられない……お前さえ倒せば、この戦いは終わるから」
「あら? どうしてそう思うの?」
「どうしてって、あんたの球魂を破壊できれば、もう人間界に怪人は送れない!」
「ふふふ……なるほどね。なら遅すぎたわね」
「え?」
「既に門は開かれている」
オルキニスが語り始める。リカが宮殿から逃げたのと同じ頃、ナイトローズは玉座の魔に幹部を集めていた。そしてナイトローズは、献上された反撃の球魂を、オルキニスに返却。人間界と魔時空界を繋ぐ道を作るよう、命じる。
それに応じたオルキニスは、右手に追撃、左手に反撃の球魂を握る。それから魔方陣を描いた。魔方陣は重なり、巨大な黒と白の穴に変貌。幹部たちは部下を連れて、そこから人間界に進行していたのだった。
話を聞いたダルダが驚く。
「じゃあ、今人間界は……」
「とっくに滅ぼされているかもしれないわね」
リカも気になってはいた。玉座の間への乗り込みが想像以上に簡単だったことだ。ドラゴンフライミッシが妨害に現れなかったことも、心の奥底で引っ掛かってはいた。オルキニスが言葉を続ける。
「たとえ球魂が破壊されても、門は閉じない。一度完全に開かれた扉はもはや魔力による維持を必要としないからね。だから私は遠慮なくお前を倒せる」
オルキニスがダルダに近づく。それから、右腕をクライシスバスターに変化させた。ダルダの頭に銃口を密着させる。
「……どうしたの? 撃たないの?」
「うるさい……うるさい……」
オルキニスの迷いを、見逃すダルダではなかった。彼女が念じると、ベルトからバイク・ビオプランターが出現。バイクの質量でオルキニスを弾き飛ばした。ダルダがビオプランターに跨がる。発進させ、オルキニスに突撃した。
「ライダーブレイク!」
ダルダが球魂を握る。オルキニスの見様見真似で、斜め上に小さい魔方陣を生成した。そして、バイクを踏み台に、魔方陣に飛び込む。
追いかけようとするオルキニス。しかしバイクの勢いに翻弄されている隙に、魔方陣は消えた。直後、ビオプランターも消失する。一人取り残された彼女が呟いた。
「まあいいわ。あなたに出来ることなどもう何も残っていないんだもの」