令和に復活!仮面ライダーダルダ a girl blooms 作:ぽかんむ
魔方陣を越えて、リカは人間界に帰還した。彼女が飛び出た先は、自宅の前だった。球魂による異世界への跳躍は、使用者が無意識に思い浮かべた地点に転送されるのだ。
人間界と魔時空界の時間はリンクしているようで、日はすっかり落ちている。表向き、人間界に荒らされている形跡はない。しかし、怪人は確実に潜伏している。そのとき、リカの脳に声が響く。
『助けてリカ!』
それはレイからの救難信号であった。彼女はビオプランターを召喚。跨がると、声が鳴る方にバイクを走らせる。
辿り着いたのは、自宅からやや離れた川岸。レイはドラゴンフライミッシから必死に逃げていた。怪人がレイ目掛けて光線を吐き出す。リカはバイクごと飛び上がった。光線の軌道に車体をねじ込み、盾代わりとする。自身は着地すると、母を庇うよう前に立った。母が問う。
「どこに行ってたの? こんな遅くまで!」
「ごめんなさい。でも今はあいつを倒さなきゃ……」
ふらつくリカ。反撃の球魂を握り、ダルダに変身する。怪人が空を飛んだ。ダルダは背中に鳥のような純白の翼を生やす。負けじと大空に飛翔した。ドラゴンフライミッシが全身から手裏剣を発射。それを避けつつ近づくダルダ。
「魔時空界での借りは返させてもらう!」
ダルダの繰り出す渾身のパンチ。だが怪人の右腕に防がれる。カウンターの蹴りを、素早く身を翻してかわした。
ダルダスプリッターを両手に生やすダルダ。二刀流で攻め立てる。怪人もサーベルを召喚。激しく刃同士を何度も打ち付けあい、その度に火花が散る。壮絶な剣戟が繰り広げられた。
一方、魔時空界。ダルダが逃走してすぐ、オルキニスの元へ一体のビーミッシがやって来ていた。ビーミッシが尋ねる。
「オルキニス様! 大丈夫でございますでしょうか!?」
変身を解除していたオルキニス。戦闘で空いた壁の穴から、夜空を眺めていた。ビーミッシに呼び掛けられると、振り向き、答える。
「えぇ、私は問題ないわ。ただ……」
「ただ?」
「あなたにはここの掃除を任せるわ」
「は……はい……」
オルキニスが玉座の間に入る。それから、ナイトローズに報告した。内容は、リカが人間界に逃げたことだ。それを聞いたナイトローズが激怒する。
「ふざけるな! お前が見張っておきながらあろうことか球魂を奪われ、おめおめと引き下がったと言うことか!」
「申し訳ありません……」
「お前、何をされた?」
「……と、おっしゃられますと?」
「お前が力で立花リカごときに敗れるはずがない。つまり、何かしら策略があったと考えるのが自然だ。そしてそれを知ることは、打倒ダルダにも有効だ」
「それは……」
彼女が言い出せるはずもなかった。自らリカに隙を与えたのだから。言葉に詰まっていると、ナイトローズが告げる。
「早く言え。言っておくがこの場での嘘偽りは余への反逆と見なす」
もはや誤魔化すことは出来ない。オルキニスはそう悟ると、覚悟を固めた。喉が詰まりそうになりながら、必死に言葉を紡ぐ。
「私は、リカに恋をしてしまいました」
沈黙が続く。しばらくして、ナイトローズが口を開いた。
「くだらん。敵に肩入れするお前などもはや不要だ。まあ、元より門さえ開けば球魂など要済みだがな」
「……」
「だが名誉挽回のチャンスをやろう。人間界に赴き、作戦に加われ」
「出来ません……」
「なに?」
「リカの生活を……これ以上壊したくありません……」
「そうか。ならば死ね」
ナイトローズが手から黒い光弾を放った。横に転がりかわすオルキニス。追撃の球魂を握り、仮面ライダーに変身する。するとナイトローズが告げた。
「魔時空界を裏切るというのか?」
「それは……」
「余に歯向かえばお前の家族の命はない」
「……構いません。リカのためなら!」
「完全に壊れてしまったようだな。惜しいがやむを得ない」
ナイトローズが玉座から立ち上がる。彼の周囲に風が舞った。そして、花びらを撒き散らしながら怪人態に変貌する。その姿は薔薇をモチーフにしたもので、これまでのミッシとは一線を画していた。威圧感に気圧されるオルキニス。
ナイトローズが両腕を前方に突き出した。構えるオルキニスだが、何も起こらない。しかし一瞬後、オルキニスは背中に致命傷を負った。
彼女が振り向く。そこには黒き龍が存在していた。竜の尻尾に薙ぎ払われ、オルキニスは壁に吹き飛ばされる。ナイトローズが笑いながら言った。
「ドレイクジョーズ……自他の影から龍を産み出す魔法だ」
龍はオルキニスの影から産み出されていたのだった。龍の尻尾がオルキニスに絡み付く。そのまま龍はとぐろを巻き、彼女は拘束された。ナイトローズが彼女の正面に歩み寄る。そして言った。
「臣下の分際で本気で余に敵うと思ったのか?」
「敵う! 私を甘く見るな!」
オルキニスが拳を握り、力を全身に入れる。すると龍が彼女の体内に吸収された。龍は魔力の集合体。つまりは魔力を吸い取ったのだ。
走るオルキニス。ナイトローズの周囲をジグザグに駆け回る。光弾を放って応戦するナイトローズ。だが捉えられない。
「クリムゾンパシュート!」
オルキニスが深紅に発光。低く跳ぶ。そして地面と平行に飛び蹴りを放つ。背後からナイトローズに命中させた。着地後すかさず激走。ナイトローズの右横に同様のキックを加える。その後さらに加速して分身。秒間百発の連続キックを四方八方から浴びせた。
「これほどの力とは……」
そう呟いたナイトローズが膝をつく。勝機と感じたオルキニスが、高く跳躍。そして急降下。天から降り注ぐようなライダーキックを繰り出す。
直撃。爆発が起こる。余波で玉座の間が倒壊した。爆風が止む。ナイトローズは右人差し指一本で、オルキニスの右足を受け止めていた。
「自らの魔力が恐ろしい……」
ナイトローズが指を下ろすと、オルキニスは地面に叩きつけられる。直後、彼女の変身が解除された。ナイトローズが告げる。
「余の力の一部を吸収したところで、本体には遠く及ばない。そして、過剰な魔力を一度に溜め込めば、ガタが来るのは必然。お前の負けは初めから決まっていたのだ」
「私は負けてない……」
そう答えると、オルキニスは白い粒子と化して消えた。
「自滅したか愚か者」
ナイトローズが笑う。体に付いた埃を払うと、また玉座に座った。
一方、人間界ではダルダとドラゴンフライミッシの激しい空中戦が行われていた。剣を手に幾度となく交差し、斬りかかる。ダルダが瞬間移動で、敵の背後に回った。しかし、振り向いた怪人によって、腹部をサーベルで貫かれる。怪人が言った。
「その動き方はとっくに予習済みだ」
「本当かな?」
サーベルの刃を掴むダルダ。それから、覆うように翼を広げて、ミッシに叩きつける。腕を封じられた怪人は、ガードが遅れて被弾した。
だが、ドラゴンフライミッシは近距離から手裏剣を連続発射。ダルダの翼に穴が開く。サーベルから手を離すミッシ。ダルダは墜落し、地面に叩きつけられた。怪人が話す。
「読まれなければそのまま不意打ち、読まれても翼で攻撃、いずれにせよ痛手を与えられるという計算か。だが相手が悪かった。上級ミッシであるこの俺にまぐれの一撃など通用しない!」
そしてミッシは大顎を開けると、ダルダ目掛けて突撃する。噛み砕かれればひとたまりもない。立ち上がるダルダ。
怪人が猛スピードで接近。そして衝突。しかし、彼女はそれを受け止めた。頭部を両手で掴んでいる。彼女は持ち上げると、振り返り、地面に投げ飛ばした。自らの加速の勢いも威力に加味され、ミッシは大ダメージを負う。
ダルダの右手に光の剣が発現。それを振り下ろし、怪人を唐竹割りにする。左右に分割されたドラゴンフライミッシは、力尽きて爆破四散した。変身解除したリカが倒れる。そこへレイが駆け寄った。彼女が言う。
「お見事、破壊された羽毛を降りかからせることで、敵の素早さを削いだのね」
「……奴の決め技は一度見ていたからね……それでも一か八かだったけど……」
「一度見ていた? そうよ、あなた、どこに行ってたの?」
しかし、その問いかけにリカは答えなかった。彼女は連戦の疲れから、気を失う。レイは彼女を抱き抱えると、帰路についた。