令和に復活!仮面ライダーダルダ a girl blooms   作:ぽかんむ

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第7話 天が導く花

 リカが目を覚ます。そこは自室のベッドの上だった。彼女の横ではレイが、ベッドに体を預けて眠っている。リカは部屋を見渡してから言った。

 

「本当に……戻ってこれたんだ……」

 

 やがてレイも目覚める。起き上がったリカを見るなり、抱きしめた。

 

「よかった……あなたは私の宝物だから」

 

「それってどういう意味?」

 

 リカは尋ねた。ナイトローズの話が正しいかどうかを確かめるためだ。それから、自身が体験した事柄を説明した。娘が魔時空界に行っていたことに、驚くレイ。だが彼女は質問に答えた。

 

「そうよ……あなたは来る魔時空界との戦いを見据えて作ったわ」

 

「やっぱり……」

 

「でも……今は本当に愛してるからね。娘として」

 

「ありがとう。私もお母さん大好き」

 

 言葉とは裏腹に、リカの表情に笑顔はなかった。その時、玄関の呼び鈴が鳴る。レイは部屋を出ると、階段を下り、玄関のドアを開ける。

 

「キャァァァァァ!」

 

 レイの叫びを聞き、リカはベッドから飛び出した。玄関では母が腰を抜かしており、外には瀕死のオルキニスが倒れている。レイが言った。

 

「その子、魔時空人でしょ? やっつけちゃって!」

 

「待って、この子はオルキニス。まずは話を聞いてみないと」

 

「嫌よ! 殺して! 早く!」

 

 レイの訴えを無視するリカ。多少の警戒はしつつ、オルキニスに問いかける。

 

「どうしたの? 何があったの?」

 

「ナイトローズに……やられた……」

 

「どういうこと?」

 

 オルキニスは自らが結果的に魔時空界を裏切ったことを伝えた。

 ナイトローズと交戦中のオルキニス。彼女は必殺技の発動時、魔力で分身を生成していた。そして連続キックの最中、分身を一体、人間界に逃がしていたのだった。しかし、大半の魔力を一度にナイトローズに叩き込んでいたため、今の彼女に魔力はほとんど残されていない。

 

「まずは寝かせないと……」

 

 リカはオルキニスを肩に担いだ。そして階段を昇り、自室に入り、ベッドに寝かせる。布団をかけてやると、オルキニスはすぐに気を失った。その後、球魂を通じて魔力を少量分け与える。レイが聞いた。

 

「ちょっと……本当に大丈夫なの……?」

 

「……わからない……これも何かの作戦かもしれない。でも、信じたい」

 

 その時、外から爆発音が響いた。外に飛び出す母子。遠方に見える高層ビルが半壊している。リカが言った。

 

「魔時空界の仕業に違いない! 行ってくるね!」

 

「待って! あの子はどうすれば……」

 

「えっと……なら……」

 

 リカが球魂を握る。そこからビームが照射され、ピストルが形成された。彼女はそれを母に渡す。

 

「もしもオルキニスが暴れたら、迷わず撃って。今の彼女なら一撃で葬れるから」

 

「わかったわ。あなたも気を付けてね」

 

 リカはビオプランターを召喚。それに乗って現場に急行する。レイはオルキニスの元に戻った。眠っている彼女を眺めながら、ピストルを構えている。しばらくすると、オルキニスは目を覚ました。魔力の回復した彼女が口を開く。

 

「あなたは……?」

 

「リカの母です。何か企んでいるんじゃないでしょうね?」

 

「人間界と魔時空界が完全に繋がりました。これより魔時空界は本格的に攻撃を仕掛けます」

 

「リカ、盗られちゃったのね」

 

「すみません。すべて私のせいなんです」

 

「そう。なら責任取って死にな」

 

 レイがオルキニスのこめかみに、銃口を突きつけた。しかしオルキニスは動じない。

 

「お願いします。最後に伝えさせていただけませんか?」

 

「何を?」

 

「敵の動き方を」

 

「許可する」

 

「いくら上級ミッシと言えど人類滅亡は容易なことではありません。大規模な破壊活動を繰り返せば抵抗も強まりますし、インフラを破壊してしまうのは移住する上で損です」

 

「まぁ……そうね」

 

 オルキニスが言葉を続ける。

 一方、リカは現場に到着していた。しかし、ミッシの姿はない。魔力を辿ったがそれも発見できなかった。幸い、死傷者もいなかったため、彼女は帰還する。自室にて、彼女はオルキニスより、魔時空人の恐るべき計画を聞かされた。

 

「まずはアピール。ランドマーク等を爆破して人々の恐怖を煽ります。そして、人々をシェルターに集めて誘導し、毒ガスでまとめて殺害します。また、混乱に乗じて他国が侵略を開始したなどのデマを流し、国同士、人間同士を戦わせて消耗させます。それらを繰り返して滅亡させていくのが魔時空界の作戦です」

 

「ひどいことを……そんなこと許せない!」

 

 義憤に駆られるリカ。レイがオルキニスに尋ねる。

 

「主な敵の兵力と最初に狙われる地点を教えてくれる?」

 

「はい。まずはダルダのいる日本が狙われると思われます。理由として、魔時空界の民衆を納得させる大義名分として、一度宮殿にまで乗り込んできたダルダの討伐が有効だからです」

 

「それで兵力は?」

 

「四大幹部が揃っています。ドラゴンフライミッシ、ワスプミッシ、ビートルミッシ、そしてローカストミッシ。いずれも上級ミッシと呼ばれる強敵です」

 

「トンボの怪人なら倒したよ!」

 

 リカが言った。オルキニスが反応する。

 

「中々やるわね。それならあとは三体……」

 

 その時だった。外から銃声が鳴る。リカが叫んだ。

 

「まさか怪人が来た!?」

 

「ありえるわね……行くわよ、リカ」

 

 外に飛び出すリカとオルキニス。しかしそこにいたのは怪人ではなく、人間だった。彼らが叫ぶ。

 

「お前らが怪事件を度々起こしていたダルダだな!?」

 

「さっきはビルを破壊しやがって!」

 

「少女の姿に化けるとはなんて卑劣な奴だ!」

 

 ドラゴンフライミッシによって、リカとレイの自宅の位置が割れていた。人間たちが一斉に発砲。二人は魔法で透明の障壁を生成。弾丸を弾き返す。オルキニスが言った。

 

「仕方ないわね。倒して突破する」

 

「え!? ダメだよ!」

 

「じゃあどうするのよ」

 

「とりあえず逃げよう!」

 

 リカはオルキニスの肩を掴んだ。そして瞬間移動。二人は玄関前から、住民たちの後ろに回る。それからリカがビオプランターを召喚。それに二人乗りしてその場を離れた。前に座るリカに、オルキニスが問う。

 

「どこに行くの? 街中が私たちの敵よ?」

 

「わかんない……でも、戦うわけにもいかないし……」

 

「ひとまず擬態しましょう。多少の撹乱にはなるはずよ」

 

 二人は違う人間に姿を変えた。

 

「敵がどこにいるかわかったりしないの?」

 

「さっきから魔力を探してるけどダメ。隠してるみたい。人間自身に私たちを殺させたいみたいね」

 

「どうやって陽動してるの?」

 

「そうね……恐らくは魔法通信の類いかしら。高い魔力をもって無理矢理脳内に訴えかけているとしか思えないわ」

 

「そっか……うーん」

 

 リカは考えた。しかし、答えは出ない。

 

「とにかく、今は逃げるしかないと思う」

 

「そうね。どこか隠れられる場所を見つけないと」

 

 人間界の地下秘密基地。薄暗く、壁はコンクリートが剥き出しになった有り合わせの居場所。そこに魔時空界の幹部怪人・ローカストミッシとワスプミッシの姿があった。ローカストミッシが尋ねる。

 

「ダルダの居場所は?」

 

「彼女の家から数キロってとこかしら。あたしの奴隷ちゃんが見つけたようだけど、逃げられちゃったみたいね。ま、魔力は関知できるし、誘き出すのも簡単だけどさ」

 

「簡単……? 直接対決の禁止が陛下より指示されているが」

 

「わかってるよ。ダルダを追い詰めるのはあたしたちじゃない」

 

 平行して、ビートルミッシは街の破壊活動を続けている。

 ワスプミッシは人間界の住民の脳内に、魔力で次の情報を刷り込んだ。

 破壊活動の犯人はダルダとその仲間であること、ダルダの大まかな戦闘能力、ダルダや変身前のリカの姿、ドラゴンフライミッシが掴んだ居住地の場所である。

 こうして、正義感に駆られた住民たちは、まんまとワスプミッシの意のままに動く尖兵に仕立てあげられたのだった。住民が見たり聞いたりした情報は、すべてワスプミッシの脳内に送られている。彼女は住民に指示し、レイを人質に取らせた。それから、魔法通信でそのことをリカたちに伝える。

 

『聞こえるかしら? オルキニスちゃん。早く帰らないとレイの命はないからね』

 

 それだけ言うと、ワスプミッシは通信を切る。擬態を解いたリカとオルキニスが、自宅に戻った。

 家屋は破壊され、レイが柱に縛られている。彼女の周りに、包丁等で武装した住民たちが群れをなしていた。人間の一人が言う。

 

「ダルダ、母親を解放して欲しければ自殺しろ!」

 

「そんな……」

 

 母を人質に取られ、迷うリカ。一方でオルキニスは冷静だった。人差し指から黒い弾を射出。それを頭に喰らった住民が倒れる。リカが抗議した。

 

「ちょっと……何やってんの!?」

 

「あのね、人質は生きてるからこそ価値があるの。つまり多少手荒なことをしても安全よ」

 

「そうじゃなくて!」

 

 口論になる二人。彼女らに人間達が襲いかかる。応戦するオルキニスと、逃げに徹するリカ。育った環境の差が、行動に表れていた。警官隊も到着する。彼らはピストルで二人を攻撃した。オルキニスが叫ぶ。

 

「危ない!」

 

 オルキニスがリカを庇い、魔法障壁を張る。銃弾が防がれた。オルキニスが言った。

 

「大丈夫!?」

 

「うん……ありがとう……」

 

 しかし次の瞬間、オルキニスの背後に人間が移動。彼らにビンで頭を殴り付けられた。オルキニスが倒れ、リカが駆け寄る。

 

「オルキニス! オルキニス!」

 

「ごめんなさい……」

 

 その時、銃声が鳴った。銃弾がリカの頬を掠める。鋭い痛みとともに出血した。

 

「仕方ない……変身!」

 

 リカがダルダに姿を変える。地面を隆起させた壁でオルキニスをガード。手加減した打撃で、住民たちを戦闘不能に追い込んでいく。周りの全員を戦闘不能に至らせると、瞬間移動でレイの元に到達。人間を蹴り飛ばすと、縄をほどいた。

 

「ごめんなさい……私が捕まったばっかりに……」

 

「今は逃げよう」

 

 ダルダはレイの腕を掴むと、再度瞬間移動した。シールドの中に移動し、オルキニスを回収。その後純白の翼を生やすと、二人を持って飛翔して逃げる。住民たちは見上げることしか出来なかった。オルキニスは追撃の球魂の力で傷を塞ぐ。それから、ダルダに告げた。

 

「遅いけどまずは門を閉めましょう。球魂を貸して」

 

 ダルダがオルキニスに反撃の球魂を貸し与えた。オルキニスはそれらを片手ずつに持って、魔方陣を描く。

 

「これで大丈夫よ」

 

「ありがとう。これからどうしようか?」

 

「住民が厄介ね。ワスプミッシを止めないと……でも彼女の魔力は感じられないのよ」

 

「私たちを消耗させ切るまで隠れ続けるつもりなんだろうね」

 

「……そうだわ」

 

「え?」

 

「こっちも人質を取るのよ。隠れられない奴がいたでしょ?」

 

 ダルダはオルキニスのレーダーを使い、ビートルミッシの元へ向かった。そして、破壊活動に勤しむビートルミッシと遭遇する。二人は変身すると、高所からの急降下パンチで不意打ちした。しかし拳を掴まれる。

 

「そんなものなのか? 仮面ライダーの力というものは!」

 

 オルキニスが右手をキャノン砲に変換。至近距離から砲撃を浴びせる。だが怪人はびくともしない。ビートルミッシが頭部の巨大な角から雷を放出。二人のライダーを吹き飛ばす。さらに怪人が突撃した。

 蹴りで応戦するダルダ。ところがダルダは力負けし、さらに加速して飛ばされた。オルキニスが着地する。双刀・デュアルリーファーを召喚すると、ミッシに斬りかかった。だが攻撃は弾かれる。逆にミッシの体当たりを受け、オルキニスは地面に叩きつけられた。

 

「ぐっ……なんてパワー……」

 

「ふはははは!これが俺様の実力だ!」

 

 起き上がったダルダがダッシュで接近。跳び上がり、怪人のうなじ目掛けて飛び膝蹴りを繰り出す。

 ところがこれも効果はない。ダルダは足を掴まれると、地面に数度叩きつけられたあと、手を離された。怪人が叫ぶ。

 

「貴様らのパワー! スピード! ガード! すべてにおいて俺様に劣る!」

 

 ダルダとオルキニスはお互いに支えあって立ち上がった。ダルダが叫ぶ。

 

「それはどうかな?いくよ!」

 

「えぇ!」

 

 オルキニスも呼応した。二人が跳躍。それからダルダは白、オルキニスは赤い輝きに包まれた。空中で一回転した二人が、右足を前方に突き出す。

 

「ブルーミングシュート!」

 

「クリムゾンパシュート!」

 

 炸裂するダブルライダーキック。受け止めるビートルミッシだが、やや仰け反る。しかしそれだけだった。

 

「これが貴様らの最大火力か。なるほど拍子抜けだ」

 

 怪人は自身の角を中心に大爆発する。ライダー二人を跳ね飛ばした。二人は地面を転がりうずくまる。先に立ち上がったのはオルキニス。ダルダも続けて立つが、再び倒れてしまった。逃走に瞬間移動を多用したことで、魔力残量が少ないのだ。オルキニスが弱音を吐いた。

 

「魔時空人として戦っても勝ち目は無さそうね……」

 

「どういうこと?」

 

「あなた、たまに不思議な技を使うでしょ。私たちにはない戦い方で」

 

 飛んで近づいてきたビートルミッシが口を挟む。

 

「お喋りはそこまでだ」

 

 ミッシが地面を殴る。すると地割れが発生。二人はその中に落下した。翼を展開し、割れ目から脱出する二人。だが、ビートルミッシが発射した角に、オルキニスが貫かれる。吹き飛ばされるオルキニス。

 

「オルキニス!」

 

 ダルダが一瞬目を逸らす。その隙にミッシが彼女のすぐそばまで来ていた。角は再生している。怪人の連続パンチを喰らい、地面に吹き飛ばされた。さらに怪人の急降下キックで追い討ちをかけられる。

 二撃目が打ち降ろされそうになるが、彼女は転がって難を逃れる。立ち上がった彼女は右手にダルダスプリッターを生成した。

 

「その技も既に学習済みだ」

 

「ブルーミングスラッシュ!」

 

 刃が青く発光。彼女は腕を大きく振り上げたあと、勢いよく振り下ろす。刀身が伸び、ミッシの脳天に届く。だがミッシのあまりの強度に、刃が砕けてしまう。

 

「ドラゴンフライミッシを倒した技だったな。俺様には通用しない」

 

「チャンスは一回……オルキニス、こういうことなんだよね?」

 

 ダルダが今度は両手に光の刃を生やした。そして走り寄る。だが、怪人の目の前で跳躍。敵の後ろに回ると、足を伸ばし、腰を捻り、変則的なフライングヘッドシザースをかける。

 

「なに!?」

 

 体勢を崩すビートルミッシ。彼女はそれから、腕ひしぎ十字固めをかけて、敵の肘にダメージを与えていく。

 

「打撃も魔法攻撃も効かないなら……間接技しかないよね……」

 

「ぐわぁぁぁぁぁ! 離せ! 離せ!」

 

 ビートルミッシが角にエネルギーを蓄える。雷が放出されそうになった。だが、突如角の周りに半透明のベールのようなものが出現。放たれた雷はその中で乱反射し、角に被弾した。赤い翼を背中に生やしたオルキニスが、上空から自信満々に叫ぶ。

 

「お前の角を塞げば遠距離攻撃は使えない!」

 

 ベールを生み出したのはオルキニスだった。腹部の傷は塞がれている。彼女は怪人の上に降り立った。右腕をクライシスバスターに変換する。そして、敵の喉に銃口を突きつけた。

 

「それは効かなかったはずだが?」

 

「次は効く」

 

 オルキニスが砲撃する。放たれたのは、先程分離したビートルミッシの角だった。高速で射出されたそれが、怪人の喉を貫通する。

 

「最強の盾は最強の矛でもある……おっと、殺しちゃまずかったわね」

 

 オルキニスが霧のようなものを発生させる。ダルダ、オルキニス、ビートルミッシの姿が確認できなくなった。

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