令和に復活!仮面ライダーダルダ a girl blooms   作:ぽかんむ

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第8話 時空を超えたエネミー

 リカとオルキニスが立っている。そこは荒れ果てた街で一面瓦礫だらけだ。二人の間にはビートルミッシが、腕を後ろでに縛られて拘束されていた。そこへワスプミッシとローカストミッシがやって来る。ワスプミッシが言った。

 

「あたしたちを呼び出して何を交渉しようって言うの?」

 

 二人はオルキニスが魔法通信で召集していた。オルキニスが答える。

 

「人間たちの洗脳を解きなさい。植え付けた記憶や情報の消去も込みでね。そうしたらビートルミッシを返してあげるわ」

 

「ビートルちゃんを失うと作戦がさらに崩れる……やむを得ない。乗りましょう」

 

 ワスプミッシが手を高く上げた。そして掌から光を打ち上げる。それは空中で分裂し、広く降り注いだ。

 

「本当に解いたの?」

 

「証拠は必要ね。見なさい」

 

 ワスプミッシが円を描くよう、左手を動かした。それが画面となり、映像が流れる。そこには、突然ダルダ捜索を忘れて帰り出す住民たちの光景が映し出された。

 

「それではビートルミッシは解放するわ」

 

 オルキニスはそう言うと、ビートルミッシから手を離した。ミッシは仲間の元にゆっくり歩み寄る。ワスプミッシ、ローカストミッシと合流したビートルミッシ。声をかけに来る二人を豪腕で薙ぎ払った。

 

「お前……まさか……」

 

 何かを悟ったローカストミッシが呟く。

 

「じゃーん!」

 

 ビートルミッシの姿がレイに変わる。実はビートルミッシはレイの擬態だったのだ。本物のビートルミッシはダルダとオルキニスの連携の前に戦死。隠れていたレイを魔力で擬態させ、人質のふりをさせていた。入れ替わったタイミングは、オルキニスが霧を発生させた直後だ。

 

「よくも我々を欺いてくれたな……」

 

 怒るローカストミッシ。レイを殴ろうとする。その拳を、瞬間移動したリカが受け止めた。加勢に入ろうとするワスプミッシ。彼女の行く手を、オルキニスが阻む。リカとオルキニスは、光を纏いながら仮面ライダーに変身。それぞれ目の前の敵と戦う。

 

「私は咲く!」

 

 ダルダがジャンプして前方に一回転。踵落としを繰り出す。だが怪人に避けられた。彼女は空中で足を突き出しキック。敵はそれを腕でガードする。

 ダルダは考えた。ローカストミッシにも何か特殊能力があるのではないかと。彼女は後方に跳んで距離を開ける。それから、生成した光弾を連続で投げつけた。

 

「探りを入れたか」

 

 そう言うとミッシは両手から光の刃を生み出す。腕を振るい、襲いかかる光弾を切断していった。

 

「私と同じ技……」

 

「次は俺の番だ」

 

 ローカストミッシが飛びかかる。両腕の剣を交互に振り下ろしてきた。ダルダは咄嵯に横に回避。敵の斬撃は地面を削った。間髪入れず、怪人の蹴りが炸裂する。彼女は地面に叩きつけられた。

 

「……もらった……!」

 

 彼女は敵の足を掴んでいた。魔力の推進力で浮かびながら、一回転して怪人を投げ飛ばす。ドラゴンスクリューで相手の膝を痛めつけたのだ。

 さらに跳び上がってから、ニードロップで追撃を試みる。ところがダルダの両膝は、ミッシに受け止められた。掌から放たれる光線。ダルダは打ち上げられる。

 

「うっ……ぐぅ」

 

 苦痛の声をあげる彼女に向かって、ミッシが跳躍した。頭上から斬りつけてくる。それをダルダは、両腕で防いだ。

 

「お返しよ」

 

 ダルダはミッシの手を掴む。自身の腕をクロスさせ、相手をひっくり返した。それから、連続で膝蹴りを浴びせる。

 怪人が縦に高速回転した。ダルダを遠心力で弱らせる。そして高度を下げていった。それからダルダを地面に叩きつける。ローカストミッシが言った。

 

「お前との戦いは楽しい」

 

「こっちはまったく……楽しめないんですけど!?」

 

 ダルダが瞬間移動で敵の背後に回った。だが、それを予期していた怪人は、瞬時にダルダの後ろに瞬間移動をし返す。それから、ローカストミッシはダルダの首を腕で絞めた。チョークスリーパーが決まり、苦しむダルダ。

 

「あっ……ぐっ……」

 

「この世界に来てから俺が独自に覚えた技だ。魔力による戦いが主流の魔時空界において、格闘技は新鮮なものだった」

 

「離せ……」

 

「お前の強さの秘訣を当ててやろう……それは相手を自分のペースに巻き込んでからの初見殺し。故にお前は自らの土俵に上がり込まれれば隙を見せる」

 

 そう言い終わると、怪人はさらに腕に力を込める。窒息ではなく、首の骨を砕く勢いだ。ダルダは全身から魔力の衝撃波を放出する。零距離の敵を吹き飛ばす最後の手段だ。しかしミッシの腕は離れない。

 

「ダメ……?」

 

「最後の抵抗、少しは効いたぞ。それでは、死ね」

 

 ミッシは腕にエネルギーを纏うと、首を強く締め上げた。ダルダは気絶。腕がぶらんと垂れ下がる。

 時はしばし遡る。海辺のコンビナートにて、オルキニスとワスプミッシが交戦していた。オルキニスはデュアルリーファーを手に、ワスプミッシの槍と幾度となく打ち付けあう。両者一歩も譲らない。

 ワスプミッシの刺突。それをオルキニスは紙一重でかわす。そして一気に間合いを詰めた。オルキニスは交差させながら斬撃を振り下ろす。また、怯んだ敵を蹴り飛ばした。倒れるワスプミッシ。オルキニスは追撃を仕掛ける。

 

「来なさい!」

 

 怪人が叫ぶ。すると大量のアントミッシ、ビーミッシが押し寄せた。ある者はワスプミッシの前に立ち、別の者はオルキニスに襲いかかる。

 

「人海戦術しか脳の無いあなたらしい低能な戦法ね」

 

 戦闘員たちをオルキニスは次々と切り裂いていく。それから彼女は右腕をキャノン砲に変換。回転しながら砲撃し、無差別に敵を消滅させていった。

 

「雑魚どもめ」

 

 しかし、戦闘員は仲間を肉壁として使いつつ接近。砲撃の隙を縫って進み、オルキニスに密着する。五体のアントミッシが彼女の至近距離で自爆。仲間を巻き込み、オルキニスにダメージを与えた。

 

「こいつら……」

 

 ワスプミッシが言う。

 

「雑魚ちゃんにも使い道はあるのよ」

 

 自爆の主目的はオルキニスの視界を封じることだった。彼女はビーミッシたちに囲まれて、動けなくなる。ワスプミッシが羽根を使って上昇。槍を振るい、先端から黄色い粘液を射出した。それがオルキニスたちにかかる。

 

「なにこのネバネバ……まさかハチミツ!?」

 

「似たようなものよ。違う点も沢山あるけど!」

 

 ワスプミッシの槍の先端が発光する。攻撃を察したオルキニスは、障壁を貼ろうとした。しかし失敗する。ワスプミッシのハチミツが体に付着していると、蜜の中の微生物の働きにより、魔法が使えなくなるのだ。

 槍の先端を斜め下に向けるワスプミッシ。そこから火炎が放射される。ビーミッシもろとも、オルキニスを焼いた。ハチミツを燃料に、熱量はどんどん上がっていく。

 

「ああぁあぁ!!」

 

 悲鳴をあげるオルキニス。戦闘員が密集しているため、のたうち回ることすらできない。ワスプミッシが言う。

 

「これがあたしのエレガンスな戦い方よ」

 

「どこが……」

 

「周りを見なさいな」

 

 オルキニスがキョロキョロと辺りを見渡す。ビーミッシたちは燃えながらも満面の笑みを浮かべていた。

 

「狂ってる……」

 

「これが愛の力、信じる力よ。部下ちゃんはみな、あたしのために死ぬことが至上の喜びなの。だからそれを叶えてあげる義務があたしにはある!」

 

 ワスプミッシが槍を振り回す。放たれた衝撃波がオルキニスに襲いかかった。オルキニスはビーミッシを盾にして防御。

 着地する怪人。槍を魔力で巨大化させると、前方に突き出した。直撃を喰らったオルキニスが、斜め上に吹き飛ばされる。

 続いて空中で放たれた回し蹴り。オルキニスが海まで吹き飛ばされる。ワスプミッシが勝ち誇ったかのように言った。

 

「裏切ったことを地獄で後悔しなさい!」

 

 ワスプミッシが槍を構えた。先端に光が集中していく。オルキニスの頭が海面から僅かに飛び出た瞬間、槍を投擲して貫こうと、彼女は考えていた。

 海中に沈んでいくオルキニス。だが彼女は勝ちを諦めていない。ハチミツが剥がれ、魔法を使用できるようになっていた。

 

「球魂は不可能を可能にするのよ……」

 

 追撃の球魂を握り締める。そのとき、彼女の脳内に映像が流れた。それは彼女の知らない世界で、ヒーローと怪人が戦っている場面。

 

「そういうことだったのね……」

 

 オルキニスが何かを悟る。そして叫んだ。

 

「ロープアーム!」

 

 彼女の右腕にカセットアームが装着される。そこからロープを射出。先端を地上のポールに巻き付かせると、ロープを巻き上げる。オルキニスは海上に浮上した。

 

「来た……! 喰らえ!」

 

 空では、ワスプミッシが巨大な槍を投げつけようとしていた。オルキニスが再び叫ぶ。

 

「レーダーハンド!」

 

 オルキニスの両腕が金色のものに変わった。そこからロケット弾・レーダーアイを発射。ワスプミッシに命中させ、槍を破壊した。

 

「セイリングジャンプ!」

 

 オルキニスが腰に現れたレバーを倒す。自らの体にかかる重力を低減し、高く舞い上がった。怪人の上を取る。そして叫んだ。

 

「スーパーライダー閃光キック!!」

 

 複雑なポーズを繰り返してからの飛び蹴り。攻め手を失ったワスプミッシに突撃する。

 

「ありえない……あたしが……あたしが……!」

 

「消えな、雑魚ちゃん」

 

 必殺キックが直撃。吹き飛ばされた怪人は爆発した。着地したオルキニスは倒れ込み、両手をつく。

 

「はぁ……はぁ……これで……残る敵はローカストミッシのみ……! ナイトローズの反応はない。恐らくは魔時空界から出られていない」

 

 すると彼女の元へ、ビーミッシの軍勢がやって来た。数はおよそ二十。

 

「生き残りか……あんたら程度……」

 

 オルキニスがクライシスバスターを発射。多くの敵を葬り去る。

 

 しかし一体、砲撃をものともせず接近。オルキニスを殴り飛ばした。

 

「ありえないパワー……お前、まさか……!」

 

 一方その頃。ダルダはローカストミッシに首を絞められていた。それを離れたところから眺めるのはレイ。

 

「このままじゃリカが……」

 

 助けたいと思うレイだが、彼女の戦闘力ではとても相手にならない。その時、以前にリカに貰ったピストルのことを思い出した。

 

「チャンスは一回……」

 

 彼女は強く念じた。魔力を込めてダルダの脳内に言葉を送る。

 

『諦めるな!』

 

 それを感知したダルダが意識を取り戻す。同時にレイが、ローカストミッシの背後から発砲。彼の首元に魔法の弾を命中させた。

 怪人の力が一瞬抜ける。その隙にダルダは脱出。咄嗟にトラースキックを敵の喉に放ってよろけさせた。彼女は敵との間合いを開けると、空気を深く吸ってから述べる。

 

「ありがとう……お母さん!」

 

「マンティスめ……何度も何度も邪魔をしやがって……!」

 

 ダルダは依然、突破口を見つけられないでいた。ローカストミッシの技と力の前にどう戦うか。彼女が迷っていると、怪人が先に動き出した。勢いよく接近してくる。

 

「くっ!」

 

 回避行動を試みるが間に合わない。高速で放たれた連続キック。ダルダは強打に晒される。あらゆる技とそれを可能にする高い力。それらのハイブリッドモンスターに勝ち目などあるのか、悩む。ところがやがて、ひとつの結論に辿り着いた。

 

「お前の弱点は……既に作った!」

 

 ダルダは光のロッドを生成。両手に持つと、怪人の蹴りを相殺させていく。

 

「俺に弱点などない。初見の棒術ごときで俺に敵うと思うか?」

 

 ローカストミッシも魔法でロッドを出現させた。棒術対決は怪人優位で展開する。何度もダルダは体に攻撃を受けた。

 彼女は諦めず、カウンターで当てていく。それでも被弾の差は明らか。怪人が薙ぎ払う。ついにダルダは吹き飛ばされてしまった。

 

「残念だったな。トドメだ。お前自身の技で死ね」

 

「来なよ……」

 

 ローカストミッシが助走を始めた。やがて白く輝き出す。放たれるのは間違いなくブルーミングシュート。命中すればダルダとてひとたまりもない。

 その時だった。ローカストミッシが突然体勢を崩す。片膝をつくミッシ。本人は何が起きたか理解できていない。一方、ダルダはニヤリと微笑むと、ロッドを片手にジャンプで飛び込んだ。

 

「リボルクラッシュ!」

 

 彼女は怪人にロッドを突き刺す。それから、抜かれないようしっかりと押さえた。敵の背中からは火花が散っている。

 

「何が……起きた……?」

 

「点滴石を穿つ! ドラゴンスクリューで痛め付けた膝のみに攻撃を集中したんだ」

 

「膝だと……!?」

 

 交戦を振り返るローカストミッシ。確かに連続キックに対するロッドでの防御、棒術同士の対決、いずれも膝への攻撃が行われていた。

 酷使に気づかず走った結果、膝は限界を迎えたのだった。一本取られる形となった怪人だが、再び余裕を取り戻す。

 

「リボルクラッシュと言ったか。魔力を破壊エネルギーに変換して、相手の体内に注入、内部から破壊する技のようだな」

 

 ローカストミッシが、ダルダのロッドを掴む。それから、同様に破壊エネルギーをダルダに流し込んでいった。

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!」

 

「ふふふ……どちらが先に尽きるかだ……」

 

 リボルクラッシュ合戦を征するには、圧倒的な魔力の差を以て一気に勝負を決める他ない。しかし、ダルダもローカストミッシもそのような魔力は持たない。戦況は膠着した。

 彼女はやがて気がつく。魔力のありかを。ダルダは左手に反撃の球魂を握り、魔方陣を描いた。怪人が問いかける。

 

「魔時空界への扉! どういうつもりだ?」

 

「魔力が足りないなら……あるところから持ってくればいい!」

 

 球魂を使うことで、生物一体を別の世界に送れる。ならば反対に、一人分の魔力を魔時空界から持ち出すことも出来るのではないか。

 そう考えたダルダは、魔方陣をケーブルのように使って、魔時空界から魔力を引っ張り出した。魔力を自身の体で破壊エネルギーに変換。ローカストミッシに送り込む。

 

「これが……球魂の……力……!」

 

「これこそがお前の真似できない技! そしてお前を産み育てた祖国の力がお前を倒す!」

 

「貴様……貴様……!!」

 

 ダルダがロッドを引き抜く。アルファベットの『R』を描くように振り回しながら、振り返った。すると彼女の背後でローカストミッシが爆発する。

 

「リボルクラッシュ……どうして突然あんな技を使えたんだろう……」

 

 見事怪人を撃破したダルダ。一抹の疑問を抱えながらも、変身を解くと、母の元へ駆け寄る。

 

「さっきはありがとう、お母さん」

 

「これで全員?」

 

「多分……」

 

 その時、爆音が鳴った。リカのところまで吹き飛ばされてくるオルキニス。奥からビーミッシが、悠々と歩み寄ってくる。ビーミッシは光輝くと、ナイトローズ人間態の姿に戻った。それから言う。

 

「オルキニスが消えてすぐ、追撃の球魂を取り戻すため人間界に来ていたのさ。門を閉めたようだが無意味だったな」

 

 ナイトローズは幹部にも内緒で赴いていた。姿をビーミッシに擬態させ、ワスプミッシの手下として潜伏していたのだ。今、ナイトローズとの最後の決戦が始まる。

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