ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかif 白兎と雷花の残響・残香   作:青色のラピス

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二十七階層編はこれで終わりです。
やっとです……。

次回からはようやくミノタウロス編です。


第二十四話 崩れゆく真実

「……成程な。レヴィス、何だその無様は。あれだけ言って惨敗するとは……同じ同胞として呆れるばかりだ。」

 

「黙れ、私はまだ負けていない。お前はそこにいる人間共と戯れていろ。」

 

傷付き、ボロボロになっている怪人(クリーチャー)の女を見てオリヴァスは鼻で笑った。

その行為に当然面白くないレヴィスはオリヴァスを睨みつけながら悪態を吐く。

 

「『彼女』の願いを叶えられるのは私達怪人(クリーチャー)のみ……。しかし! お前が此処まで無能だったとはな。【剣姫】は任せろと言い、任せてみれば! 手傷の一つも与えられずに逃げてくるとは……がっかりだ! お前が老害だ老害だと言っていた御仁はとんだ賢者だな。何せこの私に信頼を預けたのだから。」

 

「……お前、本気で言っているのか?」

 

「本気? ああ、本気だとも! 見ろ、この姿を! マーダイン殿による強化の賜物だ。あれほど忌まわしき第一級冒険者もこのザマだ。それに巨大花(ヴィクスム)も私の手足同然に操れる! そうだ、私しかいない。私しかいないのだ! 『彼女』の願いを叶えることができるのは! オラリオを滅ぼし、『彼女』に空を見せることができるのは!」

 

そう叫ぶオリヴァス。高揚しているのか口調は早く、甲殻で見えはしないが見えたのなら頬も紅潮しているだろう。

カチカチと大鋏を鳴らしながら【剣姫】をじろじろと睨みつける。

身体の先から先までじっとりとした視線で観察していた。

 

「……ふん、この小娘のどこが『アリア』だというのか。だが『彼女』が願うのなら仕方があるまい。大人しくなってもらうぞ、【剣姫】!」

 

今まで大した動きを見せなかったオリヴァスが動いた。

下半身が巨大な蟲になったのにも関わらずその動きはかなりのものだ。

節足動物を思わせる六本の脚は機動力と運動性を兼ね備えており、見た目以上の速度を実現しているからだ。

 

「バラバラにしてやろう!」

 

大鋏が不気味な音を鳴らしながら、アイズへ向かって()()()

幾つもの節を持つ脚に大鋏の中身は触手だ。

伸縮自在であり、防御面から甲殻に覆われていただけに過ぎない。

 

だが言い換えれば触手は甲殻を必要とするほど防御力が弱いということだ。

そして肝心のスピードもお粗末。

ならば剣士(アイズ)にとっては格好の獲物でしかない。

 

「―――は?」

 

オリヴァスが間抜けな声を漏らす。

感覚が通っていないため痛みを感じることは無いが、斬り裂かれたという異常を感知することはできた。

呆然とするオリヴァス。

そしてそれを見逃すアイズではない。

 

「―――くっ!? 何時の間に!?」

 

「……硬い。」

 

一瞬で距離を詰めて、オリヴァスに斬りかかっていた。

しかし流石にLv.6でも魔人の甲殻を断つのは難しく、表面を削るだけに留まる。

 

アイズの斬撃を防いだことで動揺を押し殺したオリヴァスは作戦を変えることにした。

自身の触手では穿てない。今の剣戟を見切れなかったからだ。

大鋏を再生するのも下策だ。何度やっても結果は同じになるからだ。

 

「最初からこうすればよかったのだ!」

 

「―――ッ!? おい、止めろ!」

 

アイズから距離を取るオリヴァス。

警戒しているのかアイズは距離を詰めようとはせず、剣を構えたままその場にとどまっている。

そしてレヴィスはオリヴァスが何をしようとするのか察し、その端正な顔を歪ませている。

 

「捻り潰せ、巨大花(ヴィクスム)!!」

 

オリヴァスの命令を受け、巨躯が蠢いた。

『深層』でも滅多にいないであろう超巨大なモンスターはアイズ・ヴァレンシュタインという己に比べれば余りにも小さすぎる存在に襲い掛かる。

 

誰もがそれを見て、絶叫をした。

レフィーヤもベートも、【ヘルメス・ファミリア】も、【アトラス・ファミリア】も関係なかった。

 

―――だが、当事者であるアイズだけは違っていた。

 

今までの不覚を恥じ、『魔法』を封印してレヴィスを破った。

どうしようもない程の暴力を研ぎ澄ました剣技で打ち破ったのだ。

そしてその事実はアイズという少女に自身が強くなっているということへの回答であった。

 

ならば。ならば今まで封じてきた『魔法』を使うことに躊躇はない。

『魔法』に頼り切り、肝心の剣技が疎かになっていたがための封印。

その剣技の錆が払われ、至高へ近づきつつあるのならその封印を保つ必要は何処にも無いのだ。

 

「【目覚めよ(テンペスト)】」

 

超短文の詠唱。

十秒にも満たない高速詠唱。

 

『魔法』の威力と詠唱の長さは比例する。

詠唱が長ければ長い程、強力な『魔法』になるのだ。

それは都市最強の魔導師―――【九魔姫(ナイン・ヘル)】であっても例外ではない。

 

「―――【エアリアル】」

 

―――だからその結果は明確な()()であった。

 

暴風と暴風がせめぎ合い、その間に真空が生まれる。

生まれた真空の刃は何一つ例外を許さない。

つまりは絶対切断、見るも見事な切断劇である。

 

大蛇のような巨躯が崩れていく。

正中線でちょうど真っ二つにされた巨大花(ヴィクスム)は当然、即死である。

嘗ての威容を思わせる轟音を響かせながらモンスターは過去の産物に成り下がったのだ。

 

「な……なぁ……なあっ!?」

 

その様子を見てに苦虫を嚙み潰すレヴィス。

この結果を生み出した原因であるオリヴァスに対して冒険者へ向ける以上の凄まじいばかりの激情を視線でぶつけていた。

出来るなら己の手で殺したいという殺意を感じさせる。下手をすればフィルヴィス並みのものであった。

 

一方でオリヴァスは動揺していた。

顎を開き、間抜けな表情を世界に晒している。

呑気なものだった。それだけ自信の防御力に自信があったのかもしれないが。

 

―――だがそれを逃すほど、冒険者達は甘くない。

 

「―――ッ!? な、なんだ……持ち上げられているのか!?」

 

下を向くも下半身となった巨蟲が邪魔で現状の把握ができない。

いや、感触から脚を掴まれていることは理解している。

だが誰が、どのようにしてこの結果を生み出したのか分からず混乱しているのだ。

 

我武者羅に脚を振り回す。

可動範囲は広く、無茶苦茶に振るえど大まかな位置が分かれば当たるのだ。

固い感触だった。

そしてその固さを破壊した感触もあった。

 

「ごお……ッ! ―――ウおオオおおオオオオおおおオおおおオオおおオおおオオオオおおおお!!!」

 

「な、お前は!?」

 

狂戦士の咆哮が轟く。

鎧兜(ヘルム)を破壊され、狂気を宿した貌が露になっているバクガー。

階層を揺らす程の戦哮(ウォークライ)と共に魔人の躯体を持ちあげたのだ。

 

「な、なあっ!? 何をするつもりだ! 下ろせ、下ろせぇ!!」

 

「いや、少しは待って下さいよ。折角その甲殻ぶち抜けるんですから! ―――【ウィンド・プレス】!!」

 

極限まで圧縮された風が魔人(オリヴァス)目掛けて進んでいく。

しかしオリヴァスの甲殻の防御力は圧倒的だ。

実際、アイズがつけた傷跡以外にオリヴァスの甲殻は傷つけられていない。

 

「―――ああ、だから狙いは一点だけだ。そのため極限まで練り上げたんだぜ?」

 

その風は螺旋だった。

竜巻や嵐のように螺旋を描きながら高速回転をしていた。

凄まじいまでの旋風を生み出しながら、回転していた。

 

「があッ……!? だが、だが! 冒険者如きの魔法で―――!!」

 

オリヴァスが負けじと吼える。

しかし風の螺旋は弱まることを知らず、勢いは弱まることは無い。

ハミル・トマステスラの『魔法』は確かに甲殻の罅割れを大きくしていく。

 

しかし、このままでは甲殻を砕くことはできてもその下のオリヴァスには届かない。

魔人を打ち倒すには、まだ手が足りていない。

 

「―――るおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

だから、狼青年(ベート)が疾駆する。

悍ましき魔人の喉笛を食い千切らんと、狼が走る。

 

「舐め―――

 

向か討たんと構えるオリヴァス。

しかし構えも捨て台詞も何もできなかった。

 

「お返しです。」

 

上空から急降下したアスフィ。

そして放たれる炸裂薬(バースト・オイル)

爆薬は一瞬で引火し、オリヴァスの視界を赤く染める。

 

「オオオおおおオオオおオオオおおおオオオオオおおおオオ!!!」

 

更にそれだけにとどまらない。

怒り狂ったバクガーが魔人の巨躯を投げ飛ばす。

連続して起こる想定外に、そして無重力に囚われて遂には無防備になる魔人。

そしてそんな憐れな獲物目掛けて、狼の牙が迫る。

 

いや狼だけではない。

オリヴァスを投げ飛ばしたバクガーも大剣を手に跳躍した。

無防備なオリヴァスを叩き斬るつもりだ。

 

「「死ねえええええええええええええええええええええええ!!!」」

 

ベートの爪がオリヴァスの肉体を斬り裂いた。

続けざまに振るわれた牙は更に深く斬り込み、オリヴァスの上半身と下半身を両断する。

そしてバクガーの剛撃が宿主を失い、急速に防御力を失った下半身―――嘗ての魔蟲を砕いた。

僅か一撃、最早魔人の恐怖は何処にも無かった。

 

そして、残された上半身は何も為すことは無く地面に落下するのみであった。

 

オリヴァスは負けたのだ。

 

 △▼△

 

「があ……ッ! 馬鹿な……!?」

 

上半身だけという無惨な姿になり、地面に叩き付けられたオリヴァス。

斬り裂かれた場所からは止めながら血が溢れ出ている。

 

しかしそれでも生きていた。

下半身を失い、断面から内臓や血を零しているが……生きていた。

怪人(クリーチャー)という理不尽な生命体が持つ生命力をあらん限りに活性化させ、生き延びていた。

 

だが、それもこれまでだろう。

 

既に狂人の悪運が尽きているからだ。

その証拠に地面を這いずるオリヴァスの動きはどんどんと悪くなっていた。

ただでさえ遅かったのが、一分も満たないうちに全く動かなくなってしまった程だ。

 

あれだけ漲っていた生命力が急速に失われ、身体に罅が入って行く。

使わず、無用の長物ではあった膨大な魔力が大気に溶け込み、オリヴァスの力を削いでいく。

死が近づき、力の代償を払い、運命を失った男は余りにも憐れであった。

 

「……何だ? 何が、起こっている……?」

 

「―――当たり前だ。蘇ったとはいえ、お前は元を正せば唯の死人。『英雄』やそれに連なる存在なら兎も角、弱者を貪る畜生などには似合いの末路だ。」

 

そう言ってオリヴァスの頭を掴み、持ち上げるレヴィス。

その表情には先程の激情は寸分も残っておらず、何もなかった。

オリヴァス―――一応は同胞と呼べる存在が死に瀕しているというのに、彼女には何の感情も感慨も生まれてはいなかった。

傷から零れる内臓や血が彼女の肢体を汚すことにすら無関心であった。

 

「何だ? 何を言っている……? それに……何をするつもりだ?」

 

オリヴァスが問いかけた。それも震えた声で。

現実を認識できずとも、何か異常があることは察しているためだ。

だがその返答は言葉ではなく、無情なまでの貫手であった。

分厚いオリヴァスの胸板をあっさりと貫き、体内の何かを探る様にオリヴァスの肉体を蹂躙する。

 

「お前、何を! 何をしている!? お前は数少ない同胞を自らの手で殺すつもりか! それに私が死ねば、誰が『彼女』の願いを叶える!? それにあの竜も黙ってはいないぞ!」

 

ようやく現実を認識したオリヴァスが声を上げて抵抗する。

身体は動かないが、口だけは回るようでたくさんの言葉をレヴィスにぶつけていく。

しかしレヴィスはそのどれか一つにすら耳を傾けることなく、オリヴァスの肉体を蹂躙し続ける。

 

「五月蠅い。同胞など不要だ。今まで私一人で『アレ』を守っていた。今更他人の手など不要だ。」

 

そう言ってオリヴァスの胸から一つの『魔石』を取り出した。

通常のモンスターから採取できるものとは違う『極彩色の魔石』だった。

そして迷うことなく、彼女はその魔石を口に入れる。

 

「それにお前は『アレ』が女神か何かに見えたのか? そして老害(マーダイン)がお人好しの賢者だとでも? 違うな。あいつらは悍ましいまでの―――唯の『怪物』だ。そうでもなければ他人の肉体をこうも無残に改造するものか。」

 

レヴィスの呆れた台詞。

しかしそれが返って来ることは無かった。

既にオリヴァス・アクトは塵に変わっていたからだ。

あっさりとした終わり。嘗ては『闇派閥(イヴィルス)』の幹部として、現在では怪人(クリーチャー)として都市崩壊を企んだ狂人の命運は絶たれたのだ。

 

―――そして女の変化も、既に終わっていた。

 

「―――させない!」

 

()()を察知したアイズがレヴィスに斬りかかる。

風を纏ったまま振るわれる剣戟。

先程まで見せていた剣技とはまるで違う。

アイズの脳内では赤い女は真っ二つに出来る―――

 

―――はずだった。

 

「ッ!」

 

「ふん、あの狂信者も最後には役だったな。」

 

アイズの剣を、それも風を纏った剣を受け止めたのだ。

いや、それどころか鍔迫り合いにおいてアイズを押しているまである。

 

剣を振るい、アイズを後退させるレヴィス。

周囲を見やり、顔を顰めさせる。

ベートを始めとする第一級冒険者に大勢いる上級冒険者。

劣勢を感じ取り戦うつもりはないのか、戦意を感じさせない。

 

「だがそれでもお前はおろか、此処に居る全員を殺すには力不足だな。……ちっ、これ以上の消耗も看過できん。」

 

そう呟くと、レヴィスは食糧庫(パントリー)の大主柱へ手を伸ばす。

そして、アイズを見やりこう呟いた。

 

食糧庫(パントリー)を支える大主柱……これを崩せばどうなると思う?」

 

その瞬間、レヴィスが大主柱を砕いた。

彼女の体躯を何回も重ねれてもまだ足りない程の厚さを誇る柱が、唯の一度で砕け散ったのだ。

そして、その瞬間食糧庫(パントリー)に異変が起こる。

 

天井や壁に罅が入り、岩盤が崩れ始める。

崩壊と同時に揺れが起こり、冒険者達が破滅から逃れるために逃げ惑う。

ある者は荷物を捨て、ある者は傷付いた体を引きずりながら、そしてまたある者は意識の無い者を担ぎながら。

『ファミリア』にレベル関係なく落ちてくる岩石を避けながら、安全を目指す。

 

そんな中で怪人(クリーチャー)の女は動揺することも逃げる素振りも見せずに崩壊する階層に悠然と立っている。

片手には何処から拾って来たのか不気味な『宝玉』を持っている。

『宝玉』に一瞥をくれるとそれだけで興味を失くしたのか、今正にこの場所から逃れようとするアイズに

 

「―――『アリア』五十九階層へ行け。面白いものが見られるぞ。」

 

アイズはその言葉に何の事だと問いただす。

しかし、言いたいことを言ってやることを終えた女は降り注ぐ瓦礫に紛れ、何処かへ消えてしまった。

 

「……五十九階層。」

 

アイズは逃げながら女の台詞を反芻する。

ダンジョンの五十九階層―――『深層』に分類される階層域であり、【ロキ・ファミリア】をもってしても未だ攻略できていない領域である。

前回の『遠征』でも踏破出来なかった階層。そして次回の『遠征』での目標階層でもある。

やがてこの複雑な領域から逃れたアイズは偽りの光を浴びながら五十九階層に想いを馳せる。

一体何が自分を待ち受けているのかを。

 

 ▼△▼

 

とある『迷宮(ダンジョン)』の領域(エリア)

冒険者はおろか、モンスターでさえ知り得ない空間。

魔術師(メイジ)が好む道具(アイテム)が散乱し、その研究結果が様々な形で散乱していた。

 

そんな空間に一人の女が現れる。

赤い髪をした怪人(クリーチャー)―――レヴィスだ。

客人の存在を認知した空間の主は朗らかな笑みと共に彼女を迎えた。

 

「おや、おやおや。珍しいですね、レヴィス。確か、貴方はオリヴァス君と一緒に二十七階層に居ませんでしたか? 『胎児』の回収は済んだか?」

 

そしてそんな彼に帰って来たのは無慈悲なまでの拳だった。

第一級冒険者であっても粉砕できる程の威力を含んだそれはあっさりと男の頭蓋を破壊した。

何の備えもない男の頭部は破壊されると同時に悍ましい色の死肉と腐血をばら撒いた。

変色している血肉は地面に触れると同時に瘴気を吹き出し、ただでさえ暗い空間が更に禍々しくなる。

 

やがて頭部を失った屍が脈動を始め、失った部位を補うべく活動を再開する。

断面から肉が溢れ、膨張した肉塊が一瞬で整形されていく。

 

「うわぁ、酷いな後輩。何か良い事でもあったのかのう?」

 

肉の整形は不気味な過程を伴っている。

子供、青年、老人、狂人、美人、醜人……人類がおよそ再現できる顔を巡り、最初と似た顔つきに戻った。

しかし完全に一致している訳では無く、一部一部が少しづつ変わっており、痛烈な違和感を感じさせる。

 

「ふん、貴様の手に持つ薬を見れば誰だってそうする。」

 

「あらぁ~。バレてた? オリヴァス君は快く飲んでくれたんだけどなァ……。」

 

心底残念そうにそう零す男。

そしてそれを凍り付きそうな程冷徹な瞳で穿ちながら、回収した『胎児』を手渡すレヴィス。

『胎児』を受け取った男は覗き込んだり、両手で調子を確かめるなど、到底真面目には見えない手つきで緑の宝玉を確かめる。

 

「う~ん、まだ少し……いや、こんなもんですかね。そういえば後輩、此処に来たということは二十七階層がやられましたね? 後オリヴァス君も死んだ……そんな感じですかね。」

 

何の情報も無いのにレヴィスの現状を言い当てる男。

その言葉に一層レヴィスは不機嫌になるが、男は気にしない。

 

「まあ、別に気にするようなことではありませんからね。オリヴァス君は使い潰す気でしたし、下層域でも養殖できるかの実験場でしたし。」

 

「……『都市の破壊者(エニュオ)』はそれで良いと言っていたのか?」

 

「おや、君からその言葉が出てくるとは珍しい。そうだな……少なくとも今は『都市の破壊者(エニュオ)』の事は気にしなくていいですよ。どうせあなたの事だ。抜け目なく【剣姫】を五十九階層に意識を向けさせたでしょう。彼女等の進退がどうあれ、今はそれだけでいいですよ。寧ろ……何もしない方が良いでしょうし。」

 

酷く切れる【勇者(ブレイバー)】がいますしね、と一旦言葉を途切れさせる。

受け取った宝玉を大切に保管すると、再びレヴィスの方へ向いて言葉を再開させる。

 

「冒険者は恐らく警戒するはずです。今のオラリオでも下層に深層に浅い部分なら十分把握できてしまう。それなら証拠ごと拠点を潰した方がいいですしね~。」

 

「向こうが知っている情報はほぼゼロに等しい。だって私達の目的は分かっても、()()()()()()()()()()()()()()()()()。なら下手な冒険はしないでしょう。でも目の前に餌が吊られていたら、噛み付きにくる。思慮がなく、教養もない、何なら節操に良心も欠けた冒険者(ばんじん)なら尚の殊更。」

 

「一度で殺す気はない。少しずつ削っていくさ。罠に刺客、処刑場はもう用意した。精々焦燥感に追われるが良いさ。精神を擦り減らし、本来を見失え。そうして勝手に調理されたモノを私は貪るだけ。」

 

「ああ、そんな顔をしないで後輩。『アリア』についてはこちらも協力しますから。」

 

「……でも心底同情しますよオラリオ。」

 

「だって、だって―――貴方達はもう『詰み』なんですから。」

 

そう言って男は不気味に嗤う。

嗤い声はない。不気味な哄笑など耳朶を打つことは無い。

しかし、禍々しいまでに歪む表情は確かにオラリオを見据えていた。




バクガーとハミルのステイタスです。


バクガー・アウルス

ヒューマン

Lv.5


《アビリティ》

力:A893

耐久:B713

器用:D511

敏捷:C608

魔力:F313

狩人:F

対異常:G

狂乱:G

破砕:H


《スキル》

激化闘心(ヒートアップ)
・戦闘継続時間に応じて自身の攻撃力を上昇。

狂牙凶騒(リュコス・リュカリオン)
・戦闘中における段階的な狂化進行。
・狂化深度に応じた全能力の強化。


《魔法》

【バーサーク】
・詠唱は【血に濡れよ、果て無き狂心】【バーサーク】
・狂化魔法。


【アトラス・ファミリア】の団長。
オラリオ有数の狂戦士(バーサーカー)であり、『暗黒期』にはその狂気を以て数多の逆徒を滅ぼした豪傑。
『ファミリア』の性質上、表舞台に立つことは少なく、彼の知名度は低い。
主武装は大剣で、目庇(バイザー)付きの鉄兜(ヘルム)を被った大男。


ハミル・トマステスラ

ヒューマン

Lv.5


《アビリティ》

力:G266

耐久:G210

器用:C613

敏捷:C651

魔力:S927

魔導:F

対異常:G

雷破:H

魔防:H


《スキル》

雷声呪含(サンダー・スペル)
・魔法の威力、範囲、効果の超強化。
・魔法使用時における精神力(マインド)の消費量低下。
・雷属性の魔法使用時、効果の上昇。


《魔法》

【ウィンド・プレス】
・詠唱は【約定に従え、大地の風】【儚き旋律(うた)と共に我等が敵を討ち果せ】【ウィンド・プレス】
・攻撃魔法。
・風属性。

【フレイム・オベリスク】
・詠唱は【燃え上れ、魂の鼓動】【愚者を愛でるが如く、舞い上がれ】【フレイム・オベリスク】
・広範囲攻撃魔法。
・炎属性。

【ネメシス・アドラスティア】
・詠唱は【風即ち知らせ、炎即ち義憤】【神が知り、怒りに燃える時、神鳴は落ちる】【ネメシス・アドラスティア】
呪詛雷撃魔法(カースド・ライトニング)


【アトラス・ファミリア】副団長。
元々は魔法剣士志望であったこともあり、高い自衛力を持つ。
そのため魔導師でありながら大円盾(サークルシールド)超硬金属(アダマンタイト)製の魔杖を振り回す。
彼が放つ雷魔法は破滅を誘引し、彼の二つ名の由来である。
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