ヒューバートの
そして
「まず、それぞれ6つの聖地で召喚術を用い、不死鳥を呼びつける」
従騎士は無地の紙に魔法陣を記し、机の中央に置く。次に魔法陣の中央に銅製の
「古い資料によれば、不死鳥は没薬に目がない。それを裏付ける事象としては、没薬を焚く事を義務付けていた聖地は初期段階で封印が解かれている」
例えば、西ハドリー山の噴火を
「召喚術の効果が現れて、不死鳥が現れたとしよう」
「ここで不死鳥に向かって、
次いで、魔法陣の外に置いた3つの大砲の模型の仕掛けを作動させる。すると砲身から
「
従騎士の1人が大砲のハンドルをぐるぐると回す。すると
「ここで
騎馬の模型が、のたうち回る蝙蝠に接近。
「翼の骨に剣を突き刺し、傷口に
従騎士が蝙蝠の翼に
「騎士諸君が魔法陣から離脱した後、即座に魔法を発動」
騎馬の模型を退け、従騎士が魔法陣を指で叩いた。すると
「不死鳥の纏う炎は巨体を動かす熱量と考えている。ならばそれを冷やして消してしまい、活動を鈍らせてしまえば良い」
騎士らから『
「ここからが本番。恐らく不死鳥も最後の抵抗を見せるだろう」
命の危険を感じた
「あとは
従騎士は聖職者の模型を魔法陣の外にずらりと並べ、円を作った。
「祈り、
「魔力を失い、翼も封じられた不死鳥など、
従騎士は騎士の模型を動かし、蝙蝠の脚と頭に沿わせた。つまり封じられた後は、脚と
「だが抵抗激しく捕獲が難しいと判断すれば、そのまま不死鳥をこの
ジャックは
「この印章で不死鳥の瞳に魔法陣を刻む。それで終わりです」
ここでマン男爵が口を開いた。
「丁寧な説明、痛み入り申す。しかし、これはそもそもとして、ではあるのだが……。我らが不死鳥と対することなど可能なのであろうか? あれは風の聖女すらも退けたと聞く」
「──それは何とも言えない」
騎士らは互いに顔を見合わせる。
「し、しかし、それでは」
「絶対はない。……確かに、不死鳥はかつて封印された魔物だ。だがその方法がはっきりとしない以上、前例がないに等しい」
ジャックは
「でも今説明したことは、神の子である輝聖と我々が不眠不休で考えた策なんだ。その中でなんとか、実現可能な良い答えが見つかったと思っている。だから、どうか信じて欲しい」
男爵は黙る。そう真っ直ぐに言われてしまうと、弱った。1人の男として、そして騎士として、信じてやりたい、信じてやりたいが──。
「……ならば。ならば、私も
マン男爵はキャロルに向き直る。
「正直な所、貴殿が輝聖であるかどうか、私には
キャロルは黙って聞いている。
「本心をお聞きしたい! 輝聖と
これにはキャロルの後ろで控えていたフレデリックも声を上げた。
「控えよ。
「いや、大丈夫。確かにこれは、私の口からちゃんと説明しなくてはならないことだ」
キャロルは
「一応は私が光の聖女だという証拠もあるんだよ」
言って、首から下げた
「これは原典の大元と呼ぶべき存在で、神リュカ本人が文字を掘り、神リュカ本人が血を入れた。ここには確かに『光の聖女』の存在が書かれているから、事実として光の聖女は存在する。つまり、教皇ウィレム七世が
騎士らは騒めく。
「だけれど、今、世は混迷を極めているだろう? もはや何が真実で何が嘘なのかも分からない。仮に私がどんな証拠を出そうとも、人の悪意や思惑であっさりとそれが
キャロルは少しばかり笑んで、マン男爵を見つめた。
「──だがそれでも、私は光の聖女だ。私は私を信じる」
男爵には彼女の瞳が、
「さて、今回は聖女4人に協力を乞うけども……。なんでも、失われた原典によれば、光の聖女は4人の聖女を導くのだとか。それが成されれば、私が本物かどうかの証明になるだろう。行動で示すから、ついて来て欲しい」
実に堂々とした言いっぷり。騎士らは口を開け、
「返答になりましたか、男爵」
マン男爵は意を決したように下唇を噛み、
「
絞り出すような
男爵は思うのだ。これ以上、民に迷惑をかけてはならない。
もう己はこの少女を信じることに決めた。だからこそ、どうか、どうか裏切らないで貰いたい。どうか、我らを救って欲しい。その一心を言葉にして伝えようと思った時、体は
「分かっているよ。その事は十分考えている。不死鳥より前に、やってしまおう」
男爵は顔を上げる。やってしまう、とは?
「雪が降って
キャロルはヒューバートに振り向く。
「閣下、
ヒューバートはにやりと笑った。この件については、既に打ち合わせ済みである。
「明日か。
□□
キャロルとエリカの2人は、城内の廊下を行く。
「しゅ、祝祭? どうしてです?」
「エリカは
「え? えーっと、つまりはー……。食物を食い荒らして、枯れ地にしてしまうわけだから……。なんと言えば良いか……」
「私は
そうそう、それが言いたかったのだ、とエリカは首を縦に振る。
「実は明日は『
「変容日……、って何でしたっけ」
聞いたことがあるような、無いような。
「今では目立たない祭日だけれど、昔はそれなりに重要視されてきた大切な日だ」
変容日とは、聖母カレーディアの腹の中で聖が宿った事を記念する祭日である。
「変容日には
「ホーサクトー……?」
「翌年の豊作を願う祭りだよ」
厨房の前に到着し、キャロルが扉を押し開ける。
エリカはすんすんと嗅いだ。ああ、お腹が空いて来た。
溢れて来た
「騎士が調理場に立つだなんて、そんな事あるんだ……」
「これもまた
「戦い、ですか?」
窓の外で大笑いが聞こえて、エリカはその方を見た。従騎士の少年が吐いてしまって、騎士たちが
「
そしてキャロルは厨房に立つ。
「──であれば豊作を乞い願い、
腕まくりをして、ぱきぽき首を鳴らす。
「祝祭は公爵領に古くから伝わる様式でやる。百年近く行われていなかったらしいが、明日を境に復活させよう」
瘴気が迫れば生活が苦しい。そうなると祭りなどに
「土地に生きる人の希望や願いを再び受け継ぐんだ。人間の文化と祈りは、
キャロルは深く息を吸って、ぱしんと手を叩いた。気合十分、にっと笑って、目の前にこんもり盛られた
「さあさあ、
キャロルが調べたところによれば、全てのパンを薔薇で染めるのが、公爵領における
「こ、これを全部ですかっ」
エリカは目を丸くした。
「終わったらパンもこねるぞっ。競争しよう、エリカ。どっちが沢山
(キャロルさん、なんか楽しそう……)
エリカが思うに、キャロルはお祭り好きな一面がある。
(でも、本当にお祭りで
キャロルのする事だから疑うわけではないが、エリカは小さく首を傾げた。祭りは楽しいこと。つまり、楽しんで
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