王都東の
辛うじて無事だった兵達は門を守るべく
「ええい。この雪では弾が当たっているのか外れているのか、よう分からぬわっ」
王都派正教軍、東部守備隊部隊長を務めるマーヴィン・ヒルは
弾を詰めていると、マーヴィンの隣で銃を構えていた兵が頭を撃ち抜かれて倒れた。生暖かい血が顔に跳ね、
「
「──
背後から耳を
「まさかアリス・ミルズ殿か! ど、どのようにして神門から抜け出したのか……。噂ではもうお命はなかろうと……」
アリスは神門で不意を突かれて傷を負った。出血激しく気も失っていた為に死体として扱われたが、
「問題ない。
「なんと。
アリスは望遠鏡を覗いて敵勢力を確認。
「破られるのは時間の問題だ。ならば敵を誘い込み、
「動ける者を掻き集め、大鍋で温めろ。
そしてアリスは雪煙の中に1人の男の姿を認めた。
「敵はクリストフ5世か……」
「前教皇! つまり大白亜派の兵が攻めかかって来ているのか!」
「あの
その言葉を聞いて、マーヴィンは目を白黒とさせた。
「輝聖の存在は前教皇の
アリスは鼻で笑って小さく言う。
「あの女がいなければ私はもっと上に行けたのだがな……」
ぼやくだけで輝聖の存在を否定しなかったので、そう言えば、とマーヴィンは思い出す。アリスはかつて第五聖女隊に所属していたと聞いたことがある。つまりはクリストフ5世の
まさか、アリスは輝聖を信じている?
「どうした黙り込んで。さては良からぬことを考えているな」
「いえ、決して」
「私は
アリスは勢いをつけて
「お、お見事……」
「確かなのは、災いに乗じるような俗物には太平は成せぬと言うことだけだ。そうだろう?」
言ってアリスは弱々しく咳き込んだ。口からどす黒い血が漏れ出て、マーヴィンは戸惑う。まさか、何らか傷が塞がっていないのではあるまいか。
「返事は」
「はっ……。確かにその通り」
このまま戦えば死んでしまうが、どうしたものか。しかし、ここを突破されるわけにもいかない。
「分かればよろしい。敵を王都に入れるな。死守しろ。正教軍は正義を守る盾。輝聖がいようといまいと、それを違えてはいけない」
□□
聖地の中央、リトル・キャロルは天を
「よし。スーヴェニアを出せ」
スーヴェニアとは、エリカがリューデン公爵領まで乗ってきた
雪に髪を凍らせたジャックが、立ち並ぶ兵らの中から抜け出て、キャロルに
「まさか王都に行くのかっ」
「不死鳥が降りたと言うことは、そこで何らかの魔物が復活したって事だろう? 時間がない。場合によっては王都が滅ぶ」
その話を聞いた手近の兵らはハッとした。不死鳥が想定外の場所に降り立った事に気を取られ、封印の獣を解き放つ特性がある事が頭から抜けていた。
うら若い巫女が焦りを顔に滲ませてスーヴェニアを連れて来た。キャロルがそれに跨り、そして領主ヒューバートは声を上げる。
「今より移動を開始するっ! 全軍乗馬っ! 兵は
兵らが慌ただしく
「ひ、1人で行きやがった!」
らしくない言葉遣いで叫び、ジャック・ターナーはマン
「乗せよ!
フレデリックが手を伸ばし、ジャックは彼を引き上げて後ろに乗せる。
「だ、大の男が2人乗りとはっ。馬が壊れるぞ!」
マン卿の忠告虚しく、2人はキャロルを追って
☆3巻上の予約が開始されました。
応援していただけると嬉しいです。
【挿絵表示】
Amazonの商品ページ
楽天の商品ページ
オーバーラップストアの商品ページ
☆ 1巻はこちら
Amazonの商品ページ
楽天の商品ページ
オーバーラップストアの商品ページ
☆2巻はこちら
Amazonの商品ページ
楽天の商品ページ
オーバーラップストアの商品ページ