僕は今、ずっとやってみたことをしている。学園に通い始めてそれなりに時間が経ったし、もう無理かなぁとか思ったりもした。でもやっとそれが出来たのだ。
それは『友達と下校』。
「シドくん、今日は付き合ってくれてありがとね」
「ああ、でも一緒に帰るだけだけど」
「それでいいんです。今までこんな風に放課後、誰かと過ごすことは一度もなかったので。シドくんが初めての相手なんです」
仮面を付けているからシドくんには表情は見えていないだろうけど、今の僕は満面を笑みだ。他の人からすれば誰かと帰るなんて当たり前だったりするかもしれない。でも、僕にとっては憧れの一つだったんです。仮面をしているから気持ち悪いと思われてしまうし、コミュニケーションがあんまり得意じゃないからこんな風に誰かと一緒に帰るなんてことは出来なかったんですから。
「そうかなのか。ボクが初めてで良かったのか?」
「シドくんがいいんです!!それにシドくんしか僕と一緒に帰ってくれる人なんていないですしね」
「そうか……」
「でも、誰でもいい訳ではないんです。シドくんだから誘ったんですし!!」
するとシドくんはなぜか、僕とは反対の方向に顔を向けた。まるで僕から視線を外すように。お互いに近況を話したりした。まるで普通の友達のように。
そんな中で僕はちょっと気になったことがあったので聞いてみることにした。
「あの…シドくんってアレクシア様と恋人関係というのは本当なのですか?」
「ほ、ほんとうかなぁ…」
「そうなのですか。シドくんはすごいですね!あのアレクシア様とハートを撃ち抜くとは!!誰にも靡かなかったと言われているアレクシア様と恋人関係になるとは!」
シドくんと会った日から僕もシドくんに関してのことには耳が敏感になった。今まではシド・カゲノーくんと聞いても別に何も反応しなかったけど、あの日以来はその名前に敏感だ。そしてアレクシア様の恋人がシドくんだという情報が耳に入ってきた。でもそれだけだと事実関係が取れていないので食堂に行ってみるとそこには楽しそうに食事をしている、アレクシア様とシドくんの姿があった。
「別にそんなすごいことではないと思うぞ」
「いやいや、とってもすごいことですよ。アレクシア様の心を射止めるのは…僕なんかじゃもちろん無理ですし、かなりのイケメンの方も告白が失敗になったって聞きますし」
「そうなのか…それならキミの方がモテるんじゃない?」
「全然だよ。僕って別に何もすごくないし。それにまず第一印象が最悪ですからね。仮面をして外を歩いている人なんてやっぱり奇怪な目で見られますしね」
仮面に一目惚れをするような人が現れない限りはないかな。
「そっか。それは残念だ。キミの顔はかなり整っているし、普通に仮面を外したら絶対にモテると思うけどな」
「そ、そうかな…///」
両親以外に外見を褒められたのは初めての経験。まあ、僕の顔を見たら色々と呪いに掛かっちゃうから見せられないんだけどね。だから外見を褒めてくれるのは普通に僕の素顔を見ることが出来る人に限られるからね。
その後もお互いに他愛もないような話をして別れた。
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「アルファ」
「よくわかったわね。私が後を付けていた事に。気配は完全に消したと思っていたんだけど」
「アール・ロスという生徒について詳しく調べてくれない?」
「あなたが誰かの身辺調査を言ってくるなんて珍しいわね」
「まあね。ちょっと気になってね」
「分かったわ。あなたがお願いしてくるってことは何か重要なことなんでしょうね」
別にそんな重要なことではないんだけど。ただ個人的にあの生徒が気になっただけ。話すだけでも心臓の音がうるさくなる。こんな風になる自分は初めてだ。
アルファたちもアールに会ったら正気を保てるか分からないな。