超昂大戦SS 絶望世界の超昂戦士 〜護りたいもう一つの未来〜 作:環 藍河
※第1章以降、オリジナルキャラクターが登場します。二次創作として許容できない方はご注意ください。
「失礼します。加古野ヒビキ、若頭領の召集命令を受け、推参しました。」
「失礼します! 園崎アカリ、同じく応召しました! 長官、出撃ですか!?」
「ああ…ヒビキ、アカリ、よく来た。
早速だが、2人に重大な…困難な作戦を任せたい。」
(【…!!】)
トキサダは時折、このような仰々しい前置きからひと癖もふた癖もある新戦士の世話焼きを押し付けたり、あるいはDチャージを提案したりすることがあるが…。
今回は、そんなおどけた様子は微塵も無かった。
「…今朝、まだ薄暗い中、救援要請が届いた。」
「救援…ですか?」
「でも今朝は、敵出現警報のサイレンも、出動命令もありませんでした…よね? どうして…」
「救援要請の発信源が…平行世界だからだ。」
「【…っ!!】」
…
……
〘…い…、お願い…。〙
(…うっ…?)
自室で眠るトキサダを起こす、聞き慣れたはずの声。
〘届いて…私の声…!
私たち…もう…もたない…!〙
(…! ユーノかっ!?)
〘…そう、そちらでは…ユーノって言うのね…私…。〙
「…平行世界かっ!」
今にも途絶えてしまいそうな、か細いSOS。
緊急事態を察したトキサダは、通信でユーノとさやかを起こし、矢も楯もたまらず司令室へ駆け出した。
…
……
「その後、さやかさんに救援作戦のための情報…転送方法や向こうの戦況の情報収集を指示した。」
「でも…平行世界の座標や転送方法、必要な蝶鉱石の量とかは判明したけど…あとは情報が掴めなかったの。ゴメン…!」
「おそらく…向こうのユーノには、もう神力が残っていない。つまり、あちらのダイビートは…壊滅寸前まで追い詰められている可能性が高い。」
「そんな…!」
がばっ。
「だからこそ…こちらが出せる最強の援軍を送りたいんだ。送れる超昂戦士は2名。ならばその2名はアカリ、ヒビキ…君達をおいて他にいない。」
司令席から立ち上がり、2人を強く見据えてトキサダが訴える。
その声の強さと、その瞳に浮かぶためらいが、この作戦の遂行がかつてない困難なものだと2人を武者震いさせる。
だが、2人は。
「…なあ、アカリ。」
「うん、…長官っ、私たち、嬉しいです。」
互いに目配せし、トキサダにいたずらっぽく笑顔で応える。
「アカリ…ヒビキ…?!」
「2年前、アルダークに襲われた私は、こうやって未来から来た長官と、平行世界から来たエスカレイヤーさんたちに救ってもらったんです。だからこの作戦は、私にとって、その恩返しです!」
「上弦衆にもダイビートにも居場所の無かった私が、このような最重要任務に推挙されるなど…身に余る光栄です。不惜身命、全身全霊で応えましょう!」
…こんなにも頼もしく成長するとは。
2人をダイビート最強のペアと見込んだトキサダは、その見立てを確信に変えた。
…
……
「いい? 向こうの出口で安全が確認できているのは、ビートポータルの周辺、設置室ひと部屋だけ! その先は、いきなり敵がいてもおかしくないわ。気をつけて!」
端末を操作し、転送の最終チェックにかかりながら、さやかが2人を戒める。
「もっと言うなら、こちらの仲間が向こうでも友好的とは限らない。敵対的ですらあり得るの!」
下手をすれば、離反者や内通者さえも…。だからこその救援要請と見て、動くべきだろう。
「何かあったら、通信機でこっちの長官さんの指示を仰ぐこと! 頑張って! カウントダウン、10秒前! 9、8…」
「はい! エスカ・ルビー!」
「エスカ・サファイア!」
「『平行世界へ、救援に向かいます!』」
カウントゼロを告げ、ボタンを押し下げると共に、ビートポータルは紅と蒼、2つの輝きをその螺旋に呑み込み、別次元へ放つ。
(ルビー、サファイア…)
(頼むぞ…。)
見送るユーノは、自分の同位存在の安否と、平行世界の惨状を憂い…2人の増援の成功と無事の帰還を願う。
何度も死地へ戦士を送ったトキサダも、よぎる不安を隠せない。
だが…今は2人を信じて、待つ。
そして2人にいつでも最善の指示を出せるよう、トキサダは荒ぶる心を必死に鎮めた。
オープニングをお読みいただき、ありがとうございます。
超昂大戦SS書き・作者の環藍河です。
2022年6月30日に処女作を投稿、以来ずっと超昂大戦のジェネリック二次創作SSばかり書いてきましたが、ちょうどハーフアニバーサリー(セルフ)となる年末にかけて「マジメかー!」系SSをお届けします。
原作のクリスマスイベント・年越し・賀正イベントも華やかな折に、お目汚し恐縮ですが、環の2022年集大成として全力執筆で頑張ります。
第1話も早急に投稿しますので、またのお立ち寄り、お待ちしてます。