超昂大戦SS 絶望世界の超昂戦士 〜護りたいもう一つの未来〜 作:環 藍河
「けっけっけっ、あのアバズレ共、夜襲とは思わねえだろうよ!」
「ただでさえアルダークに防衛システム潰されてるんだ、裏門側とはさみ撃ちで、夜明けのウサギ狩りだあ!」
ダイビート技術顧問を奪還された国衛軍は、再捕虜化と基地設備の鹵獲をもくろみ、夜明け前の奇襲を仕掛ける。
だが…。
『作戦本部ーっ! こちら突入A班、既に投入戦力の91%が壊滅です! 』
〘突入B班、補強された敵自動防衛システムの迎撃で、部隊損害79%! もうもちませんっ!〙
「何だとおっ!」
…
……今夜、未明。
《初めまして! ダイビート技術顧問・高円寺さやかよ。そちらの技術もいっぱい知りたいけど…ビートポータルを作ってくれただけでも感謝よ!》
「えっ…? でも…ダイナライトを採掘する前に司令さんが倒れて、助っ人超昂戦士の召喚ができない今は…使い道のない、ただのモニュメントよ…?」
《ううん…完成させてくれたから、ルビーとサファイアを増援派遣できたの! あっ…今は蝶鉱石はこっちの持ち出しだけど、貸しよっ、貸し! いつか出世払いで返してよっ!》
…国衛軍から解放された沙菜香は、ルビーとサファイアの護衛のもと、ルビーの通信機でさやかから基地防衛システムのノウハウを授かる。
《戦士強化システムのリソース、未活用なの!?》
「うん、それどころじゃなかったし、超昂戦士が2人きりじゃ、開けてもパワーアップには限度があるもの。」
《ふふ〜ん、あのシステムはねえ…ビートポータルの活用は、それだけじゃないわよっ! ごにょごにょ…》
「そ…そんな使い方、アリなの?!」
にやり。
…
……
『A班、迎撃のスーパーカーに翻弄されています! …あっ馬鹿! 撃ち方、撃ち方止めろーっ! 聞こえないのかあーっ!』
『わかってます! でも、敵の車内の、目つき悪いロン毛の猫を見た兵士が、撃たずにいられなくなるんですーーっ! …あっ、ギャーーーっ!!』
『撃つと、撃つと車が向かって来て…反撃で轢き逃げされるんですーーっ!! でもっ、撃たずに、いられないっ…ああ~~~っ!!』
〘B班っ、コンボイ部隊にっ、蹂躙されていますーーっ! 早く、早く増援をっ!〙
〘うあああーーっ! コンボイからっ、コンボイから、ハコ乗りのべべたー軍団がっ、こちらの兵士にライトセ○バーでっ、滅多斬りをーーっ!〙
〘やめてくれえええっっ!! お前ら必ず連撃しなきゃ気が済まないのかああっっ!!〙
「くっ…くそったれがああーーーっ!
撤退っ、全部隊撤退だあーーっ!」
…
「はあーーーっ、はっはっはあーーっ!
どーよどーよ、この沙菜香さんのおーっ、改造逸品基地防衛システムはあっ! 世界一いいいいっっ!!」
戦士強化システムから獲得したD2Pで逸品を引きまくり、さらに魔改造を加えた車両を大量配備。
長髪猫カウンタック軍団は、ヘイトを集め反撃。
べべたーコンボイ軍団は、連撃の波状攻撃。
「ひゃっほおーーいっ! ぬはっ! ぬははっ! おどれら、残らずタマ獲ったるーーっ!!」
(…ええ〜っ…?)
(…うわあ…っ…。)
ノリノリのキレッキレで国衛軍小隊を無慈悲に蹂躙する沙菜香に、アカリとヒビキがドン引き。
(捕虜生活の…リベンジなのかなあ…?)
(国衛軍とは後日協力するかも知れないのに…まずくないか…?)
「はあーーーっ、はっはっはっ、はーーっ!
もおおーっ、超すっきり! これなら国衛軍もアルダークも返り討ち、倍返しじゃあーーいっ!」
(…この人には、絶対に…)
(ああ、ルカさんやプカルルさんを引き合わせては、ならない…!)
たとえ地球防衛のためでも、フリーハンドで科学の濫用を許しては、伴う被害がデカ過ぎる…。
冷や汗だくだくのアカリとヒビキは、見解の一致を見た。
…ともあれ、ダイビート基地の守りが盤石となった。これならスタッフを呼び戻し、破壊された基地機能の建て直し、再始動が可能。
「では! 満を持して!
基地防衛を強靭化した、最大の目的をっ!!」
沙菜香は通信回線を開き、ビデオメッセージを送る。
「こちら、沙菜香よ! 国衛軍から解放されて、戻った基地の防衛システムを大幅補強したの!
もう大丈夫だから…戻ってきて!」
その送信先は、もちろん。
「エスカ・ガーネット! エスカ・ラズリ!」
…
……
「この回線を開けられる人は、ただ一人。
間違いなく、これは沙菜香さんの通信…。」
「ああ、だが…。」
移動司令室の2人…アケミとヒサキは決断を迫られていた。
再びコールドスリープに入ったミキサダ。
そして副司令・ユーミは昨日の朝からまる一昼夜、意識不明で昏睡状態。
その原因が、平行世界への救難要請に神力を使ったこと…そして神力を使い果たしてしまったことを、2人は知らない。
(ユーミさんまで、倒れた…。)
キュアユニットの医療的ケアでも意識を回復しないユーミ。
(遂に、我等2人だけ…。)
(…いよいよ、かな…。)
「…ヒサキちゃん、行こう。」
「アケミ…。国衛軍の罠かもしれないぞ。沙菜香さんを餌に、我等をおびき寄せ、拿捕する…」
「それでも。基地が落ちた今、国衛軍が次にやることはダイビートの残党狩り。
いずれここも暴かれる。だから…黙ってやられるくらいなら、たとえ罠でも飛び込もうよ。」
「…ああ、相棒。」
(…司令。あなたにもらった私の力、私の命。
今こそ、全部使います。
そして必ずまた、ここに戻ります。)
「『フラックスプロージョン・ビートチェンジ。』」
眠るミキサダに誓い、アケミはエスカ・ガーネットに、ヒサキはエスカ・ラズリに変身。
ぎゅっ…!
ガーネットはポニーテールを留めるバンダナを、ラズリは鉢金を中に巻いたバンダナを締め直す。
(私たちは…)(託されたんだ…!)
(司令の無念を…)(御大の悲願を…)
(【そして…地球の未来を…!】)
2本のバンダナはもともと、ミキサダの頭と首筋の傷を隠すもの。
そして今は、最後の超昂戦士たちを奮い立たせる絆。
「ラズリ…行こう!」「承知!」
フルチャージを終えた2人の超昂戦士は、基地へ赴く。
その全身に勇気と、不退転の決意を滾らせて。
※お知らせします。
8章構成であと3回、30日まで連続投稿と予告していましたが、最終章の文章量が爆発してしまい、2章に分ける見込みとなりました。
よって、9章構成、31日(大晦日)まで連続投稿に変更と相成りました。
見通し甘い作者ですみませんっ!