超昂大戦SS 絶望世界の超昂戦士 〜護りたいもう一つの未来〜   作:環 藍河

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第5章 帰還せよ! 最後の超昂戦士たち

「けっけっけっ、あのアバズレ共、夜襲とは思わねえだろうよ!」

「ただでさえアルダークに防衛システム潰されてるんだ、裏門側とはさみ撃ちで、夜明けのウサギ狩りだあ!」

 

ダイビート技術顧問を奪還された国衛軍は、再捕虜化と基地設備の鹵獲をもくろみ、夜明け前の奇襲を仕掛ける。

だが…。

 

『作戦本部ーっ! こちら突入A班、既に投入戦力の91%が壊滅です! 』

〘突入B班、補強された敵自動防衛システムの迎撃で、部隊損害79%! もうもちませんっ!〙

「何だとおっ!」

 

……今夜、未明。

《初めまして! ダイビート技術顧問・高円寺さやかよ。そちらの技術もいっぱい知りたいけど…ビートポータルを作ってくれただけでも感謝よ!》

「えっ…? でも…ダイナライトを採掘する前に司令さんが倒れて、助っ人超昂戦士の召喚ができない今は…使い道のない、ただのモニュメントよ…?」

《ううん…完成させてくれたから、ルビーとサファイアを増援派遣できたの! あっ…今は蝶鉱石はこっちの持ち出しだけど、貸しよっ、貸し! いつか出世払いで返してよっ!》

 

…国衛軍から解放された沙菜香は、ルビーとサファイアの護衛のもと、ルビーの通信機でさやかから基地防衛システムのノウハウを授かる。

 

《戦士強化システムのリソース、未活用なの!?》

「うん、それどころじゃなかったし、超昂戦士が2人きりじゃ、開けてもパワーアップには限度があるもの。」

《ふふ〜ん、あのシステムはねえ…ビートポータルの活用は、それだけじゃないわよっ! ごにょごにょ…》

 

「そ…そんな使い方、アリなの?!」

にやり。

 

……

『A班、迎撃のスーパーカーに翻弄されています! …あっ馬鹿! 撃ち方、撃ち方止めろーっ! 聞こえないのかあーっ!』

『わかってます! でも、敵の車内の、目つき悪いロン毛の猫を見た兵士が、撃たずにいられなくなるんですーーっ! …あっ、ギャーーーっ!!』

『撃つと、撃つと車が向かって来て…反撃で轢き逃げされるんですーーっ!! でもっ、撃たずに、いられないっ…ああ~~~っ!!』

 

〘B班っ、コンボイ部隊にっ、蹂躙されていますーーっ! 早く、早く増援をっ!〙

〘うあああーーっ! コンボイからっ、コンボイから、ハコ乗りのべべたー軍団がっ、こちらの兵士にライトセ○バーでっ、滅多斬りをーーっ!〙

〘やめてくれえええっっ!! お前ら必ず連撃しなきゃ気が済まないのかああっっ!!〙

 

「くっ…くそったれがああーーーっ!

撤退っ、全部隊撤退だあーーっ!」

 

「はあーーーっ、はっはっはあーーっ!

どーよどーよ、この沙菜香さんのおーっ、改造逸品基地防衛システムはあっ! 世界一いいいいっっ!!」

戦士強化システムから獲得したD2Pで逸品を引きまくり、さらに魔改造を加えた車両を大量配備。

 

長髪猫カウンタック軍団は、ヘイトを集め反撃。

べべたーコンボイ軍団は、連撃の波状攻撃。

 

「ひゃっほおーーいっ! ぬはっ! ぬははっ! おどれら、残らずタマ獲ったるーーっ!!」

 

(…ええ〜っ…?)

(…うわあ…っ…。)

ノリノリのキレッキレで国衛軍小隊を無慈悲に蹂躙する沙菜香に、アカリとヒビキがドン引き。

(捕虜生活の…リベンジなのかなあ…?)

(国衛軍とは後日協力するかも知れないのに…まずくないか…?)

 

「はあーーーっ、はっはっはっ、はーーっ!

もおおーっ、超すっきり! これなら国衛軍もアルダークも返り討ち、倍返しじゃあーーいっ!」

 

(…この人には、絶対に…)

(ああ、ルカさんやプカルルさんを引き合わせては、ならない…!)

たとえ地球防衛のためでも、フリーハンドで科学の濫用を許しては、伴う被害がデカ過ぎる…。

冷や汗だくだくのアカリとヒビキは、見解の一致を見た。

 

…ともあれ、ダイビート基地の守りが盤石となった。これならスタッフを呼び戻し、破壊された基地機能の建て直し、再始動が可能。

 

「では! 満を持して!

基地防衛を強靭化した、最大の目的をっ!!」

 

沙菜香は通信回線を開き、ビデオメッセージを送る。

「こちら、沙菜香よ! 国衛軍から解放されて、戻った基地の防衛システムを大幅補強したの!

もう大丈夫だから…戻ってきて!」

 

その送信先は、もちろん。

「エスカ・ガーネット! エスカ・ラズリ!」

 

……

「この回線を開けられる人は、ただ一人。

間違いなく、これは沙菜香さんの通信…。」

「ああ、だが…。」

移動司令室の2人…アケミとヒサキは決断を迫られていた。

 

再びコールドスリープに入ったミキサダ。

そして副司令・ユーミは昨日の朝からまる一昼夜、意識不明で昏睡状態。

その原因が、平行世界への救難要請に神力を使ったこと…そして神力を使い果たしてしまったことを、2人は知らない。

 

(ユーミさんまで、倒れた…。)

キュアユニットの医療的ケアでも意識を回復しないユーミ。

(遂に、我等2人だけ…。)

(…いよいよ、かな…。)

 

「…ヒサキちゃん、行こう。」

「アケミ…。国衛軍の罠かもしれないぞ。沙菜香さんを餌に、我等をおびき寄せ、拿捕する…」

「それでも。基地が落ちた今、国衛軍が次にやることはダイビートの残党狩り。

いずれここも暴かれる。だから…黙ってやられるくらいなら、たとえ罠でも飛び込もうよ。」

「…ああ、相棒。」

 

(…司令。あなたにもらった私の力、私の命。

今こそ、全部使います。

そして必ずまた、ここに戻ります。)

 

「『フラックスプロージョン・ビートチェンジ。』」

眠るミキサダに誓い、アケミはエスカ・ガーネットに、ヒサキはエスカ・ラズリに変身。

 

ぎゅっ…!

ガーネットはポニーテールを留めるバンダナを、ラズリは鉢金を中に巻いたバンダナを締め直す。

 

(私たちは…)(託されたんだ…!)

(司令の無念を…)(御大の悲願を…)

(【そして…地球の未来を…!】)

 

2本のバンダナはもともと、ミキサダの頭と首筋の傷を隠すもの。

そして今は、最後の超昂戦士たちを奮い立たせる絆。

 

「ラズリ…行こう!」「承知!」

フルチャージを終えた2人の超昂戦士は、基地へ赴く。

その全身に勇気と、不退転の決意を滾らせて。

 




※お知らせします。
8章構成であと3回、30日まで連続投稿と予告していましたが、最終章の文章量が爆発してしまい、2章に分ける見込みとなりました。
よって、9章構成、31日(大晦日)まで連続投稿に変更と相成りました。
見通し甘い作者ですみませんっ!
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