超昂大戦SS 絶望世界の超昂戦士 〜護りたいもう一つの未来〜   作:環 藍河

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第8章 甦れダイビート! 戦士たちの凱旋

 

ばあんっ!

「ご多用中、恐悦至極。」

「…何やあんさん、アポも取らんと、騒々しゅうてかなわんわあ。」

 

悪趣味な金装飾を凝らした幕僚長室の扉を蹴破り、男と護衛の超昂戦士が割って入る。

カチコミをかけた男たちを忌々しげに迎えるのは、国衛軍の女性幕僚長。

 

「申し遅れた。地球防衛組織ダイビート、最高司令をしている、猪狩ミキサダだ。名刺は切らしているから、その小賢しい頭に刻み込め。」

「ほお〜、小娘どもの飼い主…。道理でおいたが過ぎるワケやわあ。ほな、今日の御用は…」

「ああ…俺の静養中、うちの副司令に博士、戦士が世話になった。そのお礼参りと…」

 

しゅっ。

がっ。どがっ…!

「ぐげっ!」「ぶふっ!」

二筋の青い閃光とともに崩れ落ちる、護衛2人。

 

「やはり忍か…。」

「化けて溶け込むなら、国衛軍らしく警棒で戦うんだったな。」

「が…あああっ…!」

 

ミキサダ襲撃を狙った幕僚長付の近侍に、ミキサダの護衛・サファイアとラズリの反撃が入った。

倒れたその手に握るクナイごと、サファイアが兵士の手首を踏みにじる。

 

(なっ…)(そんな…!)

それを見た他の護衛が色を失う。

国衛軍が忍びのなりすましを許すなんて…しかも幕僚長…トップポストの護衛にまで…!

一体、この誇りある組織に何が起きているというのか…!

 

「国衛軍にのさばる、化け狐退治に来たのさ!」

「何やてっ!」

 

ぴきいい…!

しゅっ。

「ぐはああーーっ!」

くノ一2人がどこに潜んでいたかなど、誰にもわからない。

舞う吹雪は女性幕僚長の総身を氷漬けに落とし、放つ桜の陽光はその背を袈裟懸けに裂く。

「悪鬼彷徨う現世の闇を、祓うは月影、我ら、弓張なり! 想破弓張衆閃忍、見参!」

「妖狐ケマリ! 成敗する!」

(くうっ…!)

 

赤絨毯に崩れ落ち、歯を食いしばる幕僚長は…花魁もかくやという、けばけばしい金糸の刺繍をあしらう忍び装束に。

斬られた背のすぐ下からは、禍々しい割れた尻尾が蠢き、今や獣の匂いを隠しもしない。

 

「何でえっ…、何であんたら、ウチの名を…! 気付かれんよう、幾重にも…工作したんや…。

それが…何でやああああっ!!」

「所詮は同じ穴のむじな…いや、狐か。

里の掟に不満を持つ忍びを引き抜き、国衛軍に潜らせ、中から腐らせ乗っ取る…同じ手口で国盗りを目論んだ化け狐を、想破の歴史から紐解いたまでよ!」

 

「くうう〜〜っ…口惜しやああーーっ!!

ふんっ!」

ぽおおっ…

ケマリが地に両の掌を突くと、魔方陣のようなゲートが開き、輝きがケマリを呑み込む。

「しまった!」

「覚えときいっ、貸しにしといたるわあっ!」

ひゅっ。

(…逃がしたか…。)

 

 

…ビートポータルでの腫瘍除去に成功したミキサダは、後遺症もなく回復。ユーミの神力もミキサダが魔力を注ぎ、小康を取り戻した。

 

翌日には想破の里を再訪し、龍輪功を披露。淫力補給の源を失い狼狽する想破の混乱を収めた。

後にミキサダは、正統の世継ぎが成人するまでの頭領代行に就き、弓張衆を導く。

 

そして、弓張衆に国衛軍の調査を依頼し、その変節を導いた獅子身中の虫…妖狐の存在を突き止めたのである。

 

……

「私たち国衛軍が、ここまで自浄作用を喪っていたとは…。非公式ながら、謝罪申し上げるわ。」

空席となった幕僚長の椅子に就いた、前・特能戦技部隊隊長、瑞鳳寺ユミがミキサダに詫びる。

 

背広組がことごとくケマリに蚕食され、陵虐の常態化はじめ現場のモラル低下を招いていた国衛軍。その立て直しに必要な現場叩き上げのカリスマ性を見込まれ、幕僚長へ異例の抜擢となったばかり。

 

「いや…国衛軍は貴女の娘さん方を始め、まっすぐな志を抱く戦士を多く抱えている。貴女の薫陶の賜物だ。ダイビートは、是非その戦いを支援したい。」

 

こうして、ミキサダが当初描いた通り、ダイビートは想破および国衛軍との連携を結ぶことに成功した。後に彼女もADDDを装着し、ビートブレイカー・ユミとしてアルダークと最前線で戦うこととなるが…その活躍の記録は、いつか別の機会に。

 

……

規律を取り戻した国衛軍。

淫力を取り戻した閃忍。

そして、ルビーとサファイアが目覚ましい戦果を上げ、その後には良き師の指導を受け、実戦を繰り返し急成長するガーネットとラズリが続く、新進気鋭のダイビート。

 

アルダークは三方から攻めたてられ、一転して撤退戦へ追い込まれていった。

結果、ものの一週間で人類は閂市を奪還。

破壊され尽くしたインフラの復興も進み、全住民が避難命令解除となる目処が立った。

 

……

「私の全部を込めて! スターバースト・エスカレーションっ!」

「爆ぜろっ、星ごと! スーパーノヴァ・エスカレーションっ!」

〘ぐあ〜〜っ、ショ〜テ〜〜ンっ!!〙

ドカアアーーーンっ!

 

「『正義の、勝利です(勝利だあっ)!!』」

ルビーとガーネット、2人の勝ち名乗りが響く。

 

《我々ダイビートは、闘志溢れる一般市民の戦士志願者を募集している。エスカ・ルビーとエスカ・ガーネット…この2人も元は普通の市民だが、我々の志に共鳴し、ダイビートの門を叩いてくれた。》

《戦士以外…技術、通信、輸送、補給、医療…その他職種も奮ってご応募くださいね。アクセスは画面下のアイコンから!》

 

 【ダイビート公式チャンネル】

 

…妖孤に牛耳られた国衛軍による情報検閲工作も無くなり、ダイビートは再度、超昂戦士への志願を広く呼び掛け…市民も今度は、好意をもって受け入れる。

それに応える戦士たちも増え、ミキサダとユーミは選考業務で嬉しい悲鳴を上げる日々。

復興が進むダイビート基地は、徐々に賑わいを拡げている。

 

…そして。

「…アカリ。お願い。最後の手合わせを。」

「…うん!」

入れ替わるように、この世界のレジェンド戦士は…今日、元の世界へ帰る。

 

 




第8章、お届けしました。
ご多用中、お立ち寄りくださる皆様に、重ね重ね感謝です。

こちらの「絶望世界の超昂戦士」シリーズ、明日、2022年最後の投稿をもって完結となります。月並ですが、乞う、ご期待。
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