ファンタジア-赤の勇者-   作:レイサン

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ケンジくんもそれなりに強くなったし、そろそろ強敵との戦闘があってもいい頃だと思う今日この頃。


会敵

勇者レティーの元で修行を始めてから2ヶ月程経った頃。

 

ミズキからのとある知らせを聞いたケンジは、アミューズメントパーク『ビーンズパーク』を訪れていた。

 

だか今回はただ遊びに来た訳ではなく、ここ最近怪しい二人組をよく見るという情報が相次いでおり、ケンジはその二人組の特徴に心当たりがあったのだ。

 

「ビーンズパークか〜、最後に行ったのは父さんが休暇で家に帰って来てた時だから…一年ぐらい前になるのか。相変わらず人が多いなぁ。」

 

「テレビCMで見ることはありましたが……観覧車って結構大きいんですね。」

 

「ここの観覧車は特別大きいからな。まあ今はそんな事どうでもいいさ。俺達はただ遊びに来たんじゃないんだ。」

 

「怪しい二人組……片方は短い角と白髪に垂れ下がった獣の耳のようなものがついた男性。もう片方は金髪に大きな赤いリボンを結んだ不気味な笑顔を浮かべる少女。…………金髪の女の子の方は。」

 

「カグヤの妹で間違いない。大きな赤いハートマークが描かれた黒い服を着ているってのも一致してる。それにもう片方の男はもしかすると……違う事を祈ろう。」

 

とりあえず周りを見渡しながらもアトラクションを楽しむケンジ達。

一応『ビーンズパーク』を調査しているのは、魔術の練習ばかり続けていたケンジのメンタルリフレッシュのためでもある。

 

昼食を取って少しした後、ぶらぶらと適当に歩いていたその時、突如として異変は起きた。

 

 

ドカン!

 

 

という爆発音が聞こえてきた。

 

音が聞こえた場所はそう遠くない。ケンジ達は急いで音の聞こえた方へ走っていった。

 

そこには、情報通りの格好をした二人組がいた。

 

「フフフ……上手くおびき寄せることができたようですねぇ。」

 

「やっぱりそうだった!セーヤ…と…誰だお前?」

 

「ウグッ……し、辛辣ですねぇ友達に向かって…ほら、見覚えがあるでしょう?白髪にヤギのような角ですよ?」

 

「まさかお前アルムか!?」

 

「ようやく気付いたようですねぇ…顔ぐらい覚えてくれていても良かったんじゃないですか?」

 

アルムとケンジは知り合いだった。

アルムとカグヤが一緒にいる事が多かったため、カグヤと幼なじみのケンジも顔を見ることは何度かあったが何故か背が伸びていたので気が付かなかったのだ。

 

「顔ってか身長伸びすぎだろ!つーかお前の姉ちゃん心配してたぞ!何してんのか知らねぇけどセーヤと一緒に村に帰れよ!」

 

「それはできませんねぇ……あなた達を始末するまではねぇ。」

 

「……は?」

 

「最近七代目友人が弟子をとったと話題になっているんですよ。カグヤ様の計画の為にも勇者を消し去る必要があるんです。あわよくば実験台として連れ帰る事も考えているのです。あなたも、あなたの師匠もね。」

 

「ふーん?俺を捕まえる…か。お前カグヤに様付けする様なやつじゃなかったよな。それに口調とか性格とか何もかも前までと違う。お前ら多分、誰かに利用されてるだろ。じゃなきゃ遊園地を爆破なんて無関係の人を巻き込むような事できるはずねぇ。」

 

「利用されているとしたら……どうするつもりのんです?」

 

「ぶっとばして目覚まさせる。」

 

「おやおや物騒ですねぇ。あなたにできるんですか?友人を殴るなんて事が 」

「オラァ!」

「ブゴファッッ!」

 

ケンジは躊躇無くアルムの顔面に右フックを叩き込んだ。

 

 

「よ、よくもこの僕の顔を!」

 

「師匠は『洗脳魔法なんて殴れば治る』って言ってたからな。お前をぶちのめして情報を得る。そんでもってカグヤを連れ戻す。簡単な事だ。」

 

「野蛮!僕だけでなくカグヤ様にまでも暴力を振るつもりなのか!……だが今貴方の相手をするのは私ではありませんよ。召喚魔法発動!」

 

「召喚魔法?」

 

「僕は召喚魔法によって魔力で作られた兵隊を呼び出せるんですよ。さあ、ストーンゴーレム!その黒髪のボサボサ頭を叩き潰しなさい!」

 

「ボサボサ頭って、結構嫌な事言ってくれるじゃねぇかよ。」

 

「よし、今のうちに妹様と一緒に……あれ?妹様?妹様ァ?!いなくなってるーッ?!」

 

長々と話している間にセーヤはどこかに行ってしまったようだ。

 

「妹様ー!どこへ行ってしまったのですか妹様ーーー!!」

 

「ミズキ!アルムはお前に任せてもいいか?ゴーレムは俺一人で相手する!」

 

…………………………

 

「ミズキ……?」

 

ミズキもいない。

 

「なんで!?何故このタイミングで消えたのアイツ!?」

 

セーヤとミズキはどこかへ行ってしまったが、そんな事は関係無いと言わんばかりにゴーレムは拳を振り下ろした。

 

「うわっ!っぶねぇ!」

 

間一髪で回避。

ケンジはゴーレムの攻撃で砕けた地面の破片を掴んでゴーレムの顔面目掛けて全力で投げつけようとする。

 

(師匠から教わった事を思い出せ。体内に眠る魔力を解放すれば身体能力が上がる。それに闇属性魔法の筋力強化を上乗せすれば!)

 

ケンジの右腕から繰り出される豪速球。

凄まじい腕力で投げられた破片は、硬い岩で作られたゴーレムの頭部の上半分を粉砕した。

 

「へっ、余裕!」

 

ゴーレムの頭部を粉砕し勝ったと思ったケンジだったが、どうやらゴーレムはまだまだ動けるようで、左腕でケンジを掴むと、街灯に向かって投げ飛ばした。

 

「ウグッ…。あいつ…頭壊したのに動けるのかよ……!何か弱点とか無いのか?」

 

ケンジにむかって走ってくるゴーレムの胸元を見てみると何やら赤い光が漏れ出ているのが見えた。

 

(あそこが弱点だな。ゲームだとだいたいあんな風に光ったりしてるところが弱点だしな。)

 

しかしこのまま攻撃しても恐らく両腕で防がれてしまうだろう。

まずは腕を破壊する必要がある。

 

(そうなればアレで腕を吹っ飛ばすか!)

 

ケンジは両手に魔力を貯めた、その魔力を球体状に変形させた。

 

「くらえ!炸裂魔法弾!」

 

物にぶつかると爆発を起こす単純な無属性魔法攻撃だが岩のゴーレムの腕を吹き飛ばすには十分な火力だ。

ゴーレムの両腕を粉々にし、胸の中のコアをむき出しにすることに成功した。

 

「弱点がガラ空きになったぜ!くらえ必殺!ブレイブスマッシュ!」

 

ドガッ!!

 

ブレイブスマッシュは片腕に魔力を集中させる事で爆発的なパンチ力を発揮する強烈な打撃技だ。

単純だがその分威力は凄まじく、ゴーレムのコアを破壊するには十分なパワーだった。

 

「ふぅ、やっぱ魔法使うのは結構疲れるな。てか殴った時めっちゃ手が痛かった。」

 

ブレイブスマッシュはパンチ力が上がるだけなので硬いものを殴ると普通に痛いのだ。

 

「ケンジさーん!大丈夫ですか!?」

 

「ミズキお前どこ行ってたんだよ!」

 

「えっ、ええっと…あ!お花摘みです!お花摘みに行ってたんですよ!ほんとにすいません!」

 

「あぁトイレいってたのか。我慢しながらじゃやりずらいし仕方ない……のか……?」

 

せっかく『お花摘み』と濁して言ったのに直球に言うんじゃない。

それにケンジは気がついていない。

ミズキが明らかに嘘をついていることを。

勇者の弟子ケンジ、妙なところで鈍感な男である。




ミズキ「街灯がへし折れてますね……ゴーレムのパワーと硬さは凄まじいですね。」
ケンジ「ああ、それ俺が叩きつけられた時に折れたやつ。」
ミズキ「え、それ骨折れてないですか?」
ケンジ「そんぐらいで骨折れないだろ。」
この男、頑丈である。

次回 蒼炎の悪魔
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