フッ。知らぬのも無理はない!
だって、教えるのめんどくさいんだもん!!
by鬼嶽 凱
「………えぎくん」
苗木「…………。」
「苗木君!!!」
苗木「!!? く、クォクォハ?」
気が付くと、僕は赤い扉の前に立っていた。
苗木「…あれ?僕、どうしてここに?」
舞園「だ、大丈夫ですか?苗木君?さっきから上の空のような…。」
ど、どうしよう……。なんでこんな所にいるのか記憶が無いぞ!?
舞園「苗木君!みんなが待ってますよ!早く行きましょう!!」
苗木「え?あ、うん……??」
何が何だか分からないまま、僕は舞園さんに手を引かれ、赤い扉の先へ進んだ。
〈希望ヶ峰学園・エレベーター前〉
扉を開けると、奥にエレベーターのような物があり、そこには既に皆が集まっていた。
石丸「苗木君!遅刻だぞ!!今まで何をしていたんだ!!」
葉隠「まぁまぁ石丸っち。きっと苗木っちはトイレ行ってたんだべ!」
十神「くだらん話をしている暇があるのか?俺は先に行くぞ。」
十神君は、いつものような態度でエレベーターの中へ入っていった。
腐川「あっ……。と、十神様!待ってくださいぃ!!」
そして、それについて行くように腐川さんもエレベーターの中に入っていった。
朝日奈「…………。」
大神「朝日奈よ。気持ちは分かるが、そろそろ行こう。」
朝日奈「そう……だね。…………よし!行こう!」
大神さんが、朝日奈さんを励ましながら一緒にエレベーターに入った。
そうこうしている内に、皆がどんどんエレベーターに乗り込んでいく。
山田「真実は、いつも一つ!!華麗に謎を解いて見せましょうぞ!!」
葉隠「期待してんべ!!山田っち!!」
大和田「………。鬼嶽。テメェを殺した奴は、必ず見つけてやるからな!」
石丸「行こう!兄弟!!鬼嶽君を殺めた犯人を突き止めよう!!」
大和田「……あぁ!!」
霧切「…………。」
セレス「…………………。」
不二咲「あ、あの……セレスさん?」
セレス「…………放っといて下さいまし。」
不二咲「えっ」
江ノ島「ほっときなよ。その状態なら、どうせまともに話せないだろうし。」
そして…
舞園「行きましょう!苗木君!!」
苗木「………うん。」
僕は、舞園さんに促されてエレベーターに乗り込んだ。
そして全員が乗り込んだと同時に、エレベーターが動き出した。
下へ…………
下へ…………
ゆっくりと下へ…………
〈希望ヶ峰学園・学級裁判所〉
エレベーターの扉が開かれると、そこには奇妙な空間が広がっていた。
円状に並べられた壇上、あからさまに大きい椅子……………
そして、地下とは思えないほどに明るい雰囲気の壁や床、天井。
まるで、ここでショーが始まるように思えた。
モノクマ「やぁやぁ!ようやく来たね!そらそら!!席につけアクシロヨ!!」
ウザいテンションで壇上に促すモノクマに、
僕らはあまり深く関わらずにいた……………が、
霧切「……その前に、一ついいかしら?」
モノクマ「ほぇ?なんでしょうか?」
霧切「『アレ』は、何?」
霧切さんが指差す方を見ると、そこには鬼嶽君のバツ印で落書きされた
鬼嶽君の顔写真の立て札が置かれていた。
モノクマ「っあ~~。それ?それは、あれだよ。僕からの気遣い。」
気遣い………?
モノクマ「だって、死んじゃったから参加できないなんて、可哀想じゃん!
生と死の境を乗り越えて、同じ空間に立つ!!うん!感動的だよね!!」
鬼嶽「おっ!そうだな!!」
そして、またいつも通り、鬼嶽君が変な悪ノリを展開する。
モノクマ「まぁ、そういうわけだから全員位置について!
ルール説明とか色々やらないといけないんだから!」
そして、半ば無理やりモノクマによるルール説明が始まった。
学級裁判 開廷 !!
モノクマ「ではまず、学級裁判のルールについて簡単に説明しましょう!
学級裁判ではお前らの話し合いから殺しを実行した『クロ』を特定します!
特定した『クロ』が正しければ、『クロ』だけがオシオキ!
もし、間違った人を『クロ』にしてしまったら、『クロ』以外がオシオキ!」
鬼嶽「簡単に言うと、『犯人当てゲームLv999』ってことでしょ?」
モノクマ「そういう事!ほらほら!!みんな話し合っちゃって~!!」
ど、どうしよう………!さっきまで意識が無かったから何も調べてない!?
舞園「えっと…。確か死因は、『ナイフで搔き切られた事により死亡』でしたっけ?」
石丸「あぁ!それで間違いない!」
葉隠「け、けどよぉ…。俺はあの鬼嶽っちが
喉を掻っ切られたくらいでおっ死んじまうとは思えねーんだよなぁ…。」
不二咲「な、なんか分かる気がする……。」
桑田「あのぐんぐ……何だっけ?アレも全く効いてなかったしな。」
みんなの中でも、鬼嶽君は最強で無敵の人間っていうイメージがついてたらしく、
そもそも『殺された』ということ自体が、今でも信じられていないらしい。
霧切「……私の意見を言わせてもらうと」
全員「?」
霧切「まず、
大和田「はぁ?『死因』だぁ?」
石丸「い、いやいや!何を言っているんだ?霧切君!死因はどう見たって」
霧切「正確に言えば『死因の表記』がおかしいの。」
死因の表記?
霧切「モノクマファイルには、確かにそのように書いているわね。
でも、おかしいと思わない?首…言い換えれば頸動脈をナイフで掻き切るなんて、
常人なら即死してしまう致命傷よ。即死はせずとも、大量出血で失血死となるはず。」
………言われてみれば、確かにその通り……かも?
霧切「けど、死因は『ナイフで搔き切られた事により死亡』としか書いていない。
恐らくだけど、ナイフで掻き切る部位はどこでも良かったんじゃないかと思うわ。」
朝日奈「え!?どこでも良かったの!?」
大神「ではなぜ、犯人は首を選んだのだ?」
霧切「推理の錯乱………だと思う。」
? 『だと思う』?
霧切「そこだけが分からないの。最初は助けや声に気づかれないようにするため
と、思ったのだけど彼がそういう事をする人物には思えなかったの。」
全員「あー……。」
鬼嶽「「あー」じゃねぇよ。喧嘩売ってんのか?」
鬼嶽君には申し訳ないけど、納得せざるをえない…。せざるをえないよね?
十神「どこを狙っても構わない状況にも関わらず、あえて首を選ぶ……か…。」
山田「ふむぅ……。やはり犯人側が、彼に恨みがあったとか?」
不二咲「恨みがあったから首を選んだの?」
山田「確実に殺すつもりだった……的な感じで、ですかな?」
腐川「それだったら、頭に突き刺すでしょ。そっちの方が確実だし。」
全員があらゆる説を唱えていると、
モノクマ「ちょっとちょっと!今するのはサイコパス診断じゃなくて、『クロ』の特定でしょ!?
あんま時間食ってると『時間切れ』で全員オシオキを受けることになっちゃうよ!!」
大和田「なっ!?『時間切れ』!!?聞いてねぇぞ!!!」
モノクマ「あんま長引くと推理もマンネリ化しちゃうし、当然でしょ?」
至極当然のように言うけど、そんな取って付けたようなルールなんて……
霧切「………確かに、時間を使い過ぎると犯人に嘘を考えさせる時間を与えてしまう。」
十神「俺にそんな物は通用しないが、確かに面倒事は避けるべきだな。」
鬼嶽「そうだな!ちゃっちゃと犯人見つけた方が
頭の回転が速い三人は、後付けのルールに許容的だった。
確かに、霧切さんや十神君の言う通り、時間を使い過ぎると
犯人が言い逃れするための嘘を考える時間を与えてしまう……。慎重に考えないと……
江ノ島「…………。あのさ、ちょっと良い?」
朝日奈「? どしたの?江ノ島ちゃん?」
江ノ島「その……、さっきから言おうかどうか悩んでたんだけど」
大神「我もだ。あまりにも自然過ぎて言い出すタイミングを切り出せなかったが……。」
? 江ノ島さんと大神さん?ちょっと珍しい組み合わせかも……。
江ノ島「そこに立ってるのって、鬼嶽……だよね?」
全員「…………。え??」
鬼嶽「な、何だよ!!お、俺が犯人だって言いてぇのかぁオルルァン!!!?」
…………いやいや
鬼嶽「上等だ!!受けて立つぜコンニャローめ!!!」
……いやいやいやいや
鬼嶽「…………そういえばコレって何の集まりだったっけ?」
「オメェが殺された話してたんだよ!!!?」
実は、エレベーターも一緒に乗ってました。