「要するに、正義と悪が自在にいつでも入れ替えれてしまうって訳ね…」
「どうしようナツが悪人になっちゃったら……」
『誰でもいいから掛かって来いやァ!!全員、ぶっ飛ばしてやるぞコラァー!!!!』
「えぇっと…」
「いつもと大して変わらない気がします」
「正義も悪も関係ないってことね…」
「とにかくナツくんとエルザさんに追いついてニルヴァーナを止めないといけない。」
そしてナツは…
「エルザには近づかせねぇぞぉ!ジェラール!!!」
と叫びながらニルヴァーナの方へと走り出していた。
ナツはかつてジェラールを相手にし、楽園の塔の計画を壊したことがあった。
そんな悪人がまさかこうして出てくるとはナツ自身も思わなかった。
このままほおっておいたらまたエルザを泣かせるかもしれない。
家族を泣かせる奴に会わせるわけにはいかないと怒りを覚えながら走る。
するとそこに…
「ん?この匂いは…な、やっぱりグレイ!」
川に倒れるグレイを見つけたのだ
「お前、こんなところでなにやってんだよ…あの速えぇのどうなったんだ?」
返事がない……いまはジェラールのこともあるが、仲間を放置したまま進むのもあまり良くないと感じたナツは川からグレイの脇に手を回して移動させる。
「ったくよ。こっちは急いでんだっつの、起きろバカ!!」
「…んっ……」
「グレイ…?」
ナツは自分の足元が動いたことに気づくと、グレイは縄を引っ張る…すると川の底から筏が浮かび上がり、ナツとグレイはその上に立っていた
「筏の上ー!!??…うぷっ…」
『掛かったなナツ。確か…お前の弱点は乗り物だ』
その通り、ドラゴンスレイヤーはなぜか全員統一で乗り物酔いをする。
電車、車、船、……といった多くのモノがその中に入り、ドラゴンスレイヤーの弱点と呼べる場所だ
「どうだ。揺れる筏の乗り心地は」
「お、お前ぇ…ぐ、グレ『うるせぇんだよ。さっさとくたばりやがれ』」
『乗り物酔いのツリ目野郎……なんてな、いつもの喧嘩もこれで終わりだ』
そう言い、氷で造形した槍をナツへと向ける
『あばよ!!』
そう振り下ろそうとした時、突然氷の槍が割れた。
何事かと思えば矢で槍を射貫かれたのだ。グレイは放たれた方向へと…
『誰だよ!!』
複数の槍を造形して放つがその全てを見事に矢を的中させて相殺する。
「なにしてんのよグレイ!!」
「オイラたちだよ!?」
「であるからしてぇ〜もしもし」
ルーシィの星霊 サジタリウスの矢であった。
彼女は自らを弱いと言っているが、彼女自身は星霊を使役し、その力を借りることで共に戦う強さを持つ。
星霊の中でもより上位の黄道十二宮の鍵を7つ所持している
「ル、ルーシィ……おぷぅ……」
「名前読んでから吐きそうになるのやめてくれないかなぁ!?」
「もしもしぃ☆」
「グレイ酷いよ!いくらなんでも、魚を横取りするとかなら分かるけど!」
「それと大概だけど…」
『うるせぇんだよ。てめぇら……こいつ片付けたら相手してやるから黙ってろ』
いつもと様子のおかしいグレイ……それは今の発言ではっきり分かった
普段の様子と言動の違いがまるっきり分かるくらいに変わっているグレイを見てもしかするとニルヴァーナの魔法に掛かったのかと予測する。
「なんか……揺れる…揺れてる…。」
「止まってるからしっかりしなさい!!」
「ナツ!!今助けるぶわぁ!?」
翼を発動してナツを筏から離れさせようと動くハッピーだが、全身を凍らされる。
「オス猫!?」
「ハッピーになにするのよ!?」
『”ハッピーは空を飛ぶ。運べるのは1人、戦闘力なし”情報収集完了…』
なにかをブツブツと呟くグレイ
「何言ってるのよ…本当にどうしちゃったの!?」
「ニルヴァーナの影響を受けるとああなってしまうのか…」
『グレイから見たルーシィ……”ギルドの新人、ルックスはかなり好み、少し気がある”』
「と、突然なによぉ/////」
「”見た目によらず純情、星霊魔導士”……ほう、星霊ね。おもしろい!!」
そう言い、グレイは氷魔法をルーシィへと容赦なく放つ。
突然の行動に反応できなかったルーシィは身を丸めようとしたがそれをヒビキが防ぐ。
「違うね…君はグレイ君じゃない…何者だ」
「グレイじゃない……?」
『グレイから見たヒビキ”ブルーペガサスの一員、男前、詳しく知らない”ちっ……情報不足か…
グレイから見たメリュジーヌ”女、強い……ドラゴン…”ドラゴンだと!?』
「……っ……なにを言い出すかと思えば…」
「なんだか様子がおかしいわね」
「ニルヴァーナの影響を受けるのは善と悪の感情の狭間に居る人だけ…グレイがそんな感じに揺れ動くはずがない……あんた誰よ!!」
『ふっ……ふっふっへっへっへ…ピーリピーリ』
すると、グレイの姿からルーシィの姿へと変わる
「あ、あたし!?」
「君、頭悪いだろう。こんな状況でルーシィさんに変身しても僕達が騙されるはずはない」
『そうかしら?あんたみたいな男は女に弱いでしょぉ?ほらぁ♡』
と、服を着ていたのすこし手で上げると、胸が顕になりそれをヒビキとサジタリウスは凝視する
「いやぁぁぁぁあぁぁぁあ!?!?」
「ゆ、揺れてる……」
「「確かに!!」」
「上手いこと言うなぁ!!!」
「まったくなんてはしたない魔導士なのかしら…」
「いやあれあたしじゃない!!いや、あたし?だけど……えぇぇーん!!もう意味分かんない!」
『”星霊情報収集完了”へぇ、すごい…結構鍵持ってるんだ…星霊王に謁見まで、魔力の割にはなかなかやるね…それじゃあサジタリウス、”お願い”ね?』
するとルーシィとヒビキの後ろに居たサジタリウスが突然、弓を構えてヒビキへと矢を放つ
「サジタリウス!?」
「なによこの裏切り馬!?」
「ち、違いますからして……それがし、こんなこと……しようとはぁ」
サジタリウス自身も自分に何が起きたのか理解出来ていなかった。
身体が勝手に動き、意志とは逆にヒビキを狙ったのだ
「ヒビキ、しっかりして!!
まさかあんた私の星霊を操ったのね!?」
『そう、今のあたしはあんたと同じことができるのよ。』
「申し訳ありませんルーシィ殿、ヒビキ殿……身体が勝手に」
「まどろっこしい…なら本体をやればいい!!」
「ちょっとメリュジーヌ!!」
担いでいたウェンディを地面にゆっくりと降ろして、偽物のルーシィへとメリュジーヌは近づく。
『あんたは……あの時邪魔してくれたわね。それにとっても危険だもの……』
すると、瞬時にルーシィの姿からウェンディの姿へと変わるとメリュジーヌの動作が一瞬止まりその隙をついて…
『これでも殴れる!?』
「ぐっ……(ウェンディの姿まで…)…殴れない……可愛すぎて殴れない!!」
「しっかりしなさいメリュジーヌ!!」
「だってシャルル!ボクの嫁をどうやって殴れって言うんだ!!」
「そういう問題じゃないでしょー!!!!」
『へぇ……メリュジーヌの弱点みーっけ♡えいっ♡』
そう言うと、偽物のウェンディはそのまま上着を脱いでメリュジーヌの目の前で裸になり…
『これならどぉう?♡』
「「……ぶわはぁっ!?!!??」」
「ちょっとあんたたちぃ!!!」
メリュジーヌとヒビキは大量の鼻血を出して倒れる
『はい。完了♡』
そしてウェンディはルーシィの姿へと戻る。
すると、ルーシィの姿に戻った途端、普段サジタリウスの矢の攻撃がこちらへと行われる
「シャルル!ウェンディだけでも連れて逃げて!こいつヤバい!!」
「言われなくてもそうするわよ!!メリュジーヌ!!あんたも急ぎなさい!」
「ぐっ……ボクがこんな情けない姿を…すまない。ルーシィここは君に任せる…」
「ええ、任せて!!」
そう、鼻血を拭いてシャルルの飛んで行った方へとメリュジーヌも走り出す。
「サジタリウス、強制閉門!!しばらく休んでなさい…」
「申し訳ないですからしてぇもしもしぃ」
星霊は所持者によって強制的に閉門して星霊界へと戻すことができる。
ダメージを追った場合や、魔力切れの前など……こういう非常事態の時などに……だが、
『それじゃあ”人馬宮の扉”サジタリウス♪』
「お呼びでありますかぁ〜もしもしぃ」
「えぇ〜!?」
「って…これはいかなることでぇもしもしぃ!?」
すると、筏の上に居るルーシィは再び、サジタリウスを召喚する
本物のルーシィもサジタリウスも一体、なにが起こったのか理解が追いつかなかった
『あんたを呼んだのはあたし…だから今はあたしがあんたのオーナーよ♡』
「確かにそのとおりでありますがぁもしもしぃ……」
『というわけだから、あの飛んでる猫撃ち落としちゃって♡』
「い、いや…それがしは……」
『なぁに?オーナーの言うこと聞けないの?』
「姿と能力は同じでも……貴殿は本物のルーシィ殿ではござらぬ」
そう分かっていたとしてもサジタリウスの身体は忠実にオーナーであるルーシィの命令だとそれに従い、構えを取る。
「分かっているのにぃ……」
逆らえない……。
「ルーシィ殿ぉ……」
「わかってる!サジタリウス、強制閉門!!」
強制的に再び星霊界へと戻そうと鍵をサジタリウスへと向けるが…
「あれ?」
『無駄よ。あたしが呼んだ星霊だもん。強制閉門はあたしにしかできない…
さぁ、早くあの猫を撃ちなさい!』
「うぅ……申し訳……ありません……」
サジタリウスが構えを止めず、シャルルを撃ち抜こうとした瞬間…
「もういいゾ。ニルヴァーナが見つかったってことはあのガキの役目も終わってるってことだゾ」
新たな来客がルーシィの居る反対側に現れる。
『そっかぁ!!』
すると偽物のルーシィはその姿を解除し、サジタリウスの開門も解かれる
「サジタリウス!!」
「ルーシィ殿…次はちゃんとお役に立ちますからしてぇもしもしぃ…」
そしてオーナーが居なくなったことでサジタリウスは星霊界へと戻る
『へへひひひぃ〜…ピーリ、ピーリ』
「はぁいルーシィちゃん。エンジェルちゃん登場だゾ」
そいつはオラシオンセイスの1人、心が覗けると言われているエンジェルだった
「オラシオンセイスの1人ね!」
「そう。この子達は相手の姿、能力、思考…全てをコピーできるの」
だから先程、ルーシィに変身してその能力である星霊を呼び出すこともできた。そしてウェンディにも変身することもできたのだ
『ジェミーだよ』
『ミニーだよぉ』
「双子宮の星霊 ジェミニ。私も星霊魔導士だゾ」
「あたしと同じ…(いまはヒビキもナツも戦えない……あたしが戦うしかない…)」
先程のサジタリウスが操られて矢を受けたヒビキ、そして筏の上に乗っていることで酔ってしまっているナツはもうまともに動けないだろう。
この場で戦えるのはルーシィのみとなった。
「(幸いにもここは川、水がある。…ついてるわ)」
「私、君の持ってる鍵が欲しいの。君を始末して星霊をいただくゾ」
「そうはいかないわ!開け”宝瓶宮の扉”アクエリアス!!」
「ジェミニ閉門」
すると、ルーシィは川を媒介にして呼び出す。
その星霊は青の長髪に下半身が魚の人魚の星霊
どの星霊よりもルーシィとは長い付き合いなのがこのアクエリアスである
「やっちゃって!あたしも一緒で構わないから!」
「最初からそのつもりだよ」
「最初からって…」
「全員まもめて吹っ飛びなぁ!!」
その手に持っている壺からも更に水を呼び出し、海の如く水を暴れさせようとする
だが…。
「開け、”天蠍宮の扉”スコーピオン」
「天蠍宮!?黄道十二門!!」
そこにはサソリの尻尾を形をした銃を背中から装着した男が現れる
その男こそがスコーピオン
「そう!この俺、ウィーアー!!Yeah!!!!」
「すこぉ〜ぴおぉん♡」
「はいぃ!?!?!?」
突然のアクエリアスの変わりように驚くルーシィ。
「ウィーアー、元気かい。アクエリアス、久しぶりだな、イェア」
「私も寂しかったわ♡…グスグス」
「…まさか、あんたの彼氏って」
「そう、この人♡」
「ウィアァ、はじめましてぇアクエリアスのオーナー」
「てかアクエリアスのキャラァ!」
「スコーピオンに余計なこと言ってみろ。テメェ、再起不能どころじゃねぇぞ…わかってるなぁ?」
「はいぃ……」
もはやいままでで見たことの無いアクエリアスを見て驚かされるルーシィ
いや驚きを隠せないことばかりだな今日……と思いながら後ろでイチャつく2人。もはや戦闘と呼べるよかこれ…
「オーラルが見えるレストランがあるんだが…」
「行く行くぅ♡」
「イェア…そういうことで帰っていいかい。エンジェル?」
「どうぞぉ〜」
「うえぇ!?ちょっと、アクエリアス…まっ…」
もはや閉門、うんぬん関係なしにアクエリアスは星霊界に帰ったことである意味、切り札を失ったルーシィ
「星霊同士の相関関係も知らない小娘は私には勝てないゾ!!」
「うっ!!」
星霊が消えたことでエンジェルはルーシィへと近づき、蹴り飛ばす
「(どうしよう…最強の星霊が封じられた…。
いや、もう1人居るじゃない!最強の星霊が!)開け、”獅子宮の扉”ロキ!!」
「王子様、参上」
「レ、レオ!?」
レオ、かつてはフェアリーテイルの一員だった魔導士……として通していたが実はその正体は星霊で元オーナーと色々とあったが星霊王に再び、星霊として戻ることを許された後、ルーシィの星霊として彼女を守る獅子となった
「お願い!あいつを倒さないと、ギルドが!」
「お易い御用さ。」
「ふっ、言わなかったかしら?大切なのが星霊同士の関係…開け、”白羊宮の扉”アリエス」
「「っ!?」」
「ごめんなさい、レオ…」
「…アリエス……」
「カレンの星霊…アリエス。どうしてここに…これじゃあロキまで戦えないじゃない…」
そう、かつてブルーペガサスにはカレンという星霊魔導士が居た。そのオーナーの星霊だったのがレオとアリエスだった。
星霊は互いに関係を持っている。アクエリアスとスコーピオンのようにレオとアリエスのように……星霊も呼び出された時いつかはこうなることを予想はしていたが、それは星霊にとってもルーシィにとってもつらい選択だ
「なんであんたがカレンの星霊を……」
「アリエス……カレンの……星霊……」
「カレンを始末したのは私だもの」
「「なっ!?」」
「これはその時の戦利品だゾ♪」
「うぅ…すみません……」
かつてカレンは星霊を道具のように酷使していた…それがアリエスで、それを見兼ねたレオは自ら人間界へと召喚し、留まった。
星霊魔導士は星霊を一体召喚するだけでも大量の魔力を消費する。
他の星霊を虐待させない為にもレオはカレンの強制閉門も拒絶して人間界に居たが、後にカレンは自身の魔法である星霊魔導士を使えない状態でクエストに向かった。
だが、カレンが帰ってくることはなく事故で命を落としたと言われていたが……
「あの女、大した魔力もないのに無理して二体同時開門をしよとしてね。
自滅だったゾ。まぁ、トドメを刺したのは私だけど♪……私は色んな星霊魔導士を始末して鍵を奪ってきた。君の使っている星霊もいただいちゃうゾ…」
「カレン……カレンを……この女が……」
そう、ヒビキとカレンはかつて交際していたが事故死と伝えられて絶望した。一体自分の怒りと悲しみはどこに向ければいいんだ……と、だがその真実がいま、こうしてヒビキの目の前で告げられた
「(僕の恋人の……カレンの…命を!!!!)」
憎い……憎い……許さない。この女が居たからカレンは……こいつのせいで……
星霊魔導士が…こいつらが、こいつらのせいで……
ヒビキの中に闇が生まれていく
「(ダメだ!憎しみに囚われたら、ニルヴァーナに心を奪われて闇に落ちてしまう……考えちゃダメだ…)」
今にも増幅しそうな己の中の怒りと憎しみ、だがそれを意識してしまえばもうニルヴァーナの手中に収まってしまう。
完全に呑み込まれたらもはや自分ではどうしようも出来ないほどに闇に染まるだろう。
だからこそ、ヒビキは抗うのであった……己の中で…
「せっかく会えたのに、敵味方なんて……ロキ、元の世界に帰って」
友人であるアリエスと戦わせる訳にはいかない。
そんな辛い思いを2人にさせたくないとルーシィはロキを閉門し、星霊界へと戻そうとするが…
「見縊らないでくれルーシィ。
たとえかつての友だとしてもオーナーが違えば敵同士……主のために戦うのが星霊」
「たとえ恩ある相手だとしても、主の為なら敵を討つ」
「「それが僕(私)達の誇りだ!!!!」」
互いが友であったとしても呼ばれたからにはそれに応える……星霊にとっては分かっていたこと、いつかはこうなる……互いに向き合い、オーナーの目的のために成し遂げる。その邪魔になるならと……覚悟をいま示したロキとアリエスを前にルーシィは止めろとは言えなかった…
それじゃあ2人の覚悟を蔑ろにしてしまうから…
だが、それでも…
「(そんな……)」
辛すぎる。
「あれぇやるんだぁ。ま、これはこれで面白いからよしもするゾ」
「違う……こんなの、こんなの間違ってる……」
互いに殴り合い、蹴り合い……オーナーのために……
「うん。さすが黄道十二門のリーダー
戦闘用星霊レオ相手じゃ分が悪いか。
よぉし、それじゃあ…開け、”彫刻具座の扉”カエルム。
ほぉら、カエルム…標的だゾ」
エンジェルはなんと二体同時開門をした。
機械のような姿で球体の星霊
「アリエスがレオの動きを止めた瞬間を狙って」
オーナーであるエンジェルの命令に従い、カエルムはその見た目を変形させて砲台へと変わる。
するとチャージを初めて魔力を高めることで一気に魔力砲を放とつ。
すると、その魔力砲はレオだけでなく、アリエスごと撃ち抜いたのだ
「あはははは!うまくいったゾ」
「レオ…っ!!」
「アリエス……すまない…ルーシィ…。」
「いいオーナーに会えたんだね…良かった…。」
「どう?これが二体同時開門。んぅ〜、強力なレオはこれでしばらく使えないゾ」
「信じられない…」
「なにが?どうせ星霊なんて死なないんだからいいじゃない」
「でも痛みはあるんだ。感情だってあるんだ……あんたそれでも星霊魔導士なの!?」
「開け!”金牛宮の扉”タウロス!!」
「もぉ〜!!お任せあれぇ!!」
ルーシィはタウロスを呼び出し、エンジェルへと攻撃するようにお願いする
だが…
「ジェミニ」
「「ピーリピーリ」」
再び、エンジェルはジェミニを召喚して二体同時開門を行う。
カエルムは砲台から変形してその形を剣にする
「俺のナイスボディーを泣かせるやつは誰であろうと許さん!もぉ!?」
『おいでぇ♡モーモちゃん♡』
「ルーシィさ〜ん♡」
『一丁上がりぃ〜!♪』
またもやジェミニはルーシィへと変身し、その手に剣に変形したカエルムを持ってタウロスを色気で誘き寄せるとカエルムで吹き飛ばす
「タウロス!!…っ…あれ、あたし……」
「体力もないのに、星霊をバンバン召喚するからだゾ」
「……そんなっ……」
ルーシィは知らなかった…
まさかこんな形で友人を戦わせてしまうことになるということに…
いや、考えたくなかった……星霊が人間界で行われる戦いで共に戦う姿を…
そして、今目の前の敵であるエンジェルにも魔力的にも圧倒的に負けているルーシィは為す術がなかった
「自分に倒されるってのもマヌケな話だゾ♪」
ルーシィはジェミニが変身した自分に殴られる…
「くっ……」
「あはははは!いい気味!!」
「アリエスを……解放して……」
「はぁ?なにそれ?」
「あの子…前のオーナーにいじめられてて、ずっと辛い思いをしてたの……だから!」
『………っ!!』
「きゃっ!!」
「人に物を頼む時はなんて言うのかな?ルーシィちゃん♪」
「お願い……します…」
ルーシィは頭を下げる。
『……っ……』
「アリエスとロキを……一緒に居させてあげたいの……それができるのは、私達は星霊魔導士だけなんだ……」
ルーシィはカレンの事件を知っている。
ロキ本人から聞いたからこそ、今度こそはロキとアリエスを一緒に居させてあげたい。
アリエスが苦しむ姿をロキに想像させたくないからこそ、そのためならルーシィは星霊のため……仲間のためにも例えそれが敵であったとしても頭を下げる
「ふぅ〜ん。タダで?」
「なんでもあげる……鍵以外なら私のなんでもあげる!!」
『………』
「じゃあ命ね!ジェミニ、やりなさい!」
ジェミニはカエルムを持っ手をあげる。
振り下ろせばルーシィの頭を跳ねることもなんだってできる
ジェミニはオーナーの命令を……
「ジェミニ……?」
『……綺麗な声が…響くんだ。』
ジェミニは他者の姿、能力、思考……そして記憶をコピーする。
情報という情報を手に入れられる
そしてジェミニはルーシィの記憶がその頭に流れてきた…
『ママ!ママ!あたし星霊大好き!』
『星霊は盾じゃないの。
目の前で消えていく仲間を放って置く訳にはいかないでしょ!』
ルーシィの想いがジェミニにへと流れ込む…
『でき……ないよ……。
ルーシィは心から愛してるんだ!僕達…星霊を……』
「なっ!?」
「……ジェミニ……」
星霊だって生きている。人のように喜ぶ感情も怒る感じも悲しむ感情だって……思いを共有し合うことだってできる。
だからこそ、ジェミニはルーシィに触れてルーシィが本心で星霊を愛していることをその身に感じ取った。だからこそ、そんな人を本当に愛してくれている人をジェミニは手を掛けることができなかった。
「ちっ……消えろ!!」
ジェミニの閉門を行う…。
「もう!この役立たずが!!」
するとジェミニはあることに気づく
ルーシィの背後に回った仲間であるヒビキはそっとルーシィの首元に両手を回す
「……ヒビキ……?」
「まさか、闇に落ちたのかこの男!
ははははは!」
だが……
「じっとして……。
僕の魔法”アーカイブ”が君に一度だけ超魔法の知識を与える……」
そうしてルーシィの頭へと手を触れると、アーカイブを発動しその脳へと情報を送る。
ルーシィを中心に光の魔法陣が何重にも発動し、ルーシィはその情報がゆっくりと頭の中へと入っていく
「これ、なに?
頭の中に知らない図形が!?」
「危なかった……。
もう少しで僕は闇に落ちるところだった
だけど君と星霊との絆が、僕を光で包んだ…君ならこの”魔法”が…」
「おのれぇ!カエルム!」
「頼んだ……ルーシィ……」
嫌な予感がしたエンジェルはカエルムに命令し、砲台へと変形するとヒビキとルーシィをまとめて撃ち抜くように指示する
そして情報が全て、ルーシィの中にアップロードされると…
突然、風景が宇宙の様なものに変わり周りには惑星らしきものが無数現れる
「天を測り天を開き…あまねく全ての星々
その輝きをもって、我に姿を示せ。
テトラビブロスよ。我は星々の支配者アスペクトは完全なる荒ぶる門を解放せよ」
「ちょっ!?何よこれ!カエルム早く!!」
「全天88星、光る…”ウラノメトリア”!!」
カエルムの一撃はルーシィを前に届かず、詠唱を終えると全天88星ごとく、全ての種類の星霊の力を秘めた星の光はエンジェルを包み込み、その光で切り刻んだ
「えぇっ!?あれ?」
「君ならやれると思った……”ウラノメトリア”」
ヒビキの助けもあり、ルーシィはなんとかオラシオンセイスの1人、エンジェルを倒してみせたのであった
まぁ本人はなにがあったのかまったく覚えてないようだが…