「リオン……」
「そ、そんな……リオン様が……」
「あいつが……あいつが死ぬはずがねぇ!!探すぞ!来い!!」
そう言い、落ちていったリオンの元へと造形で滑り台を作りすぐにグレイは降りていく。
「(なぜ……リオン様が……だれの……せい……)」
シェリーの中で一つの”闇”が生まれる
そして一方、ジュラはリオンとシェリーと別れてこちらへとオラシオンセイスが向かってくることを知ったジュラはその場で立ち止まっていた
「そこに居るのはわかっている…出てこい」
「さすが聖十の魔導士…デスネ!!」
すると、ジュラの立っていた足場の地面が柔らかくなり、その土がジュラを丸呑みにしようとするがその柔らかくなった土を再びジュラは固めて、複数の土柱を生成するとそれを目の前の敵へと放つ。
だがそれを魔力壁で防がれると、再び柔らかくされる
「私は土を柔らかくする魔法、そして貴方は硬くする魔法……デスネ!!
さて、強いのはどっち……デスカ!?」
「むんっ……無論、魔法の優劣に非ず…強い理念を持つ者が勝つ!!」
「違いマスネ。
勝つのはいつの時代も金持ち…デスネ!!」
ジュラとホットアイ、同じ土魔法を扱う者同士の戦いが始まる
その頃…
「……っ……」
ルーシィ、ヒビキはナツがウェンディを連れてくるのを待っていた。
一刻も早くこちらに到着しなければエルザの身がいよいよ危うい状態にまで来ていた。
ルーシィはただナツが速く着くのを祈るのみ…
だが…
「ぷはぁっ!着いたァ!!」
「ナツ!!」
「どうなってんだ!?急に頭の中にここまでの地図が…」
「ヒビキの魔法だろう?」
「ご名答。よく来てくれた。それよりもウェンディちゃんを」
「そうだね……すこしウェンディには悪いけど……」
そう言いメリュジーヌはウェンディを寝かせると、彼女の胸に手を当ててメリュジーヌは魔力を一瞬、ウェンディの全身に電気のように流し込む
「んぅ……」
「目覚めた?ウェンディ…」
「あ……あぁ……メリュ……メリュゥ…私、…ごめんなさい、ごめんなさい……」
先程までの記憶を思い出し、自分が何をしたのかがフラッシュバックしていた。
オラシオンセイスに力を貸してしまい、ジェラールを復活させてしまった。
そうすることによって、連合軍に余計な問題を増やしてしまったという罪悪感…
だが、メリュジーヌはそんな彼女を見て抱きしめる
「大丈夫。ウェンディのせいじゃないよ…あの場では仕方なかったんだ。ボクが居てもアイツらにウェンディが何をされるか分からなかったんだ」
「うぅ……メリュゥ……」
「それといまこっちも大変なんだ。エルザが敵の毒に侵されて動けないの」
そう、問題のエルザはいまも隣で苦しみながら毒に侵されていた。
それをウェンディも見たことで、いま自分がなにができるのか…なにをするべきなのかを自分でしっかりと分かっていた
「エルザが毒蛇にやられたんだ…頼む!!」
「オラシオンセイスと戦うにはエルザさんの力が必要なんだ」
「お願い!エルザを助けて!!」
エルザの戦力はメリュジーヌやジュラに続く強さだ。
この連合軍において戦力的に欠けるのは最悪を意味する…
そしてナツやルーシィにとっては仲間の1人であり、大切な家族だ。
それをウェンディに治してもらうために頭を下げる
「も、勿論です!いま、私にやれることを……やります!!」
「良かったぁ……」
「いつまでのびてんのよ。ダラしない」
「あいぃぃ……」
そうしてウェンディは横になるエルザの隣に座り、両手をエルザの前に出す。
そうすると薄緑のオーラがエルザの身体を優しく包み込んでいく
「(ジェラールがエルザさんに酷いことをしたなんて……そんな事……)」
治癒魔法を発動してエルザはオーラに包み込まれてる間にゆっくりと皮膚の表面に現れていた毒色は消えていき、綺麗な肌色へと戻っていく。
そしてエルザの先程まで苦しんでいた顔もゆっくりと落ち着いていき、毒が消えたことを意味していた。
そして樹海のある場所では…
「……っ……」
この男、ジェラールはただゆっくりとある場所へと進んでいた。
その場所がなんなのか、どういう目的で使われているのか……それはただ1人、ジェラールしか知る由がない。
ここには彼ともう1人……
「(それにしてもこいつ…心の声が聞こえねぇ……。
心の声さえ聞こえれば、後を着ける必要もねぇのに…)」
オラシオンセイスの1人、コブラであった。
ジェラールを解放した後にブレインはコブラへとジェラールを追跡するように命じられていまこうして動いていた。
コブラは相手の心の声を聴くことができる。だからこそ、エルザとの戦いの時に彼女の剣筋を視ることができた。
だが、いま後を着けている男 ジェラールからは心の声が一切しない。普通、人間なら誰しもあるはずのモノが今は聞こえないのだ
「(止まった……?)」
だが追いかけてきたはいいものの、コブラはここがどこなのか分からなかった。
事前にブレインから貰った樹海の森の情報には載っていなかった場所だ
そしてジェラールがなにをするのか監視する
「…まさかブレインの言った通り、ここに”ニルヴァーナ”が……」
禍々しく紫色に光る巨大な樹木、そして周りから鎖が生えて縛られている樹木にジェラールは片手で触れる。
そうするとより強く光を放ち、その光は巨大な光柱へと変わり天まで届く。
「ついに見つけた!俺たちの”未来”!!」
そして、エルザの治療に専念するウェンディは…
「これで毒の方はなくなりました。あとはエルザさんが目を覚ますだけです」
「「じっ〜……」」
そうしてエルザを見つめるルーシィとナツ…
すると…
「んぅ……」
「「「よっしゃー!!!」」」
先程までとは違い、顔色も良くなり元通りに戻ったエルザはしっかりと息をする。
それを確かに聞いた3人は喜びを出すように声に上げる
「ルーシィ、ハイタッチだ!!」
「良かったぁ〜!!」
「シャルルゥ〜」
「……1回だけよ」
「ウェンディ、メリュジーヌ……ありがとな」
そう言い、こちらに手を出してくるナツ。
ウェンディとナツがハイタッチし、次はこちらに手を出してくるのにメリュジーヌは理解ができなかった。
「なぜボクにもするんだい?別に君のギルドの一員でもなく、ボクが治療した訳でもないのに」
「そんなことねぇさ。途中メリュジーヌがオレ達を担いで動いてくれなかったらもっとエルザは苦しんでた。こうやって治ったエルザを見れたのはなにもウェンディだけのおかげじゃねぇ…メリュジーヌのおかげでもあるんだ」
「……そうなの?当然のことをしたまでだけど……」
と、ナツの言葉にすこし歯痒い感覚に襲われたメリュジーヌは先程のハイタッチをナツとする。
「しばらくは目を覚まさないかもですけど…もう大丈夫だと思います」
「いいこと?これ以上、ウェンディに天空魔法を使わせないで頂戴…天空魔法はウェンディの魔力を大量に使うの。」
「私のことはいいの!!それよりも私…」
「……っ……」
「あとはエルザさんが目覚めたら反撃開始だ」
「うん!打倒オラシオンセイス!」
「おう!ニルヴァーナは渡さないぞ!!」
そうハッピーが口にした時だった
突如、背後からとてつもないほどの大きな轟音と共に背後が眩しく感じるほどの光の柱が現れる。
そしてその光とは違う真っ黒触手のようなモノも天に立つ
「黒い光の柱……」
「まさか!?」
「あれは”ニルヴァーナ”!?!?」
とてつもないほどの魔力と共に、ジェラールとコブラの居る場所では大地を揺らすほどの衝撃が発生し、地中からなにかが起動したかのようにその巨大物体は出てくる。
「見つけたぞ!あれは俺たちの…俺たちのものだ!!!」
その巨大物体が自分たちが求めていたニルヴァーナだと肌で感じる魔力と目で捉えた黒い光の柱で確かな確信を得るコブラ
そしてその光は勿論、ワース樹海に居るオラシオンセイスも連合軍も全員が確認した
「父上…」
「間違いない!!」
「おめでとうございます。
僕はギルドの魔導士共を殲滅してきましょう。真夜中までに……父上はニルヴァーナの元に」
「うむ」
そうして洞窟に居たブレインとミッドナイトも動き出す。
それは誰もが同じ、ナツもニルヴァーナの魔力を感じ取り…それを誰が起動したのか…
「ニルヴァーナなのか!?」
「ま、まさかオラシオンセイスに先に越されたのぉ!?」
「あの光……ジェラールが居る!!!」
「……ジェラール……ナツ、どういうこと!?」
その名前がなぜルーシィは出てきたのか理解ができなかった。
だがそれを口にした本人に聞くよりも先にナツはニルヴァーナの方へと走り出し、説明もせずこの場から離れた
「(私の……私のせいだ……)」
「(会わせるわけにはいかねぇんだ。エルザには……あいつは俺が……潰す!!)」
そして、ニルヴァーナの光を確認したグレイとシェリー……
「くそっ…なにがどうなってんだ!?」
あの光が恐らくニルヴァーナだということは察したがそれを誰が起動したのか…オラシオンセイスがもう起動したのか…
駆けつけた方がいいのだろうが、いまは兄弟子であるリオンの安否が気になって仕方がなかった。
だからこそ落ちていった場所にグレイはシェリーと共に駆けつけてリオンを探していた
「(リオン様は誰のせいで……)」
「リオン!!返事やがれ!!リオーーン!!」
「……こいつか」
シェリーはその瞳にグレイを捉える
そして一方でも…
「あれは……なんだ!?」
「ニルヴァーナ…デスネ!!」
戦闘を行っていたジュラの方で天に届く光の柱を確認した。
「安心してくださいネ。
まだ本体は起動していない…封印が解かれただけ……。
しかしお金の匂いがプンプンする…デスネ!!ふっふっふっ!!!」
「(こんな奴を相手にしている暇などない!……いやだが、任務はオラシオンセイスの討伐……戦うしかないのか!!)」
先にニルヴァーナの起動をさせられたことであちらに向かう方がいいのだろうが、まだニルヴァーナ自体がどういうものか情報がないジュラにとっては優先するべきはやはり目の前の男、オラシオンセイスの1人を倒すのが先なのではないのかと迷いが生まれる。
「金、金、これで私達は金持ち……に……あ、ああ……あああぁぁあああぁぁぁぁ!!!!!」
「はぁ!?な、なんだ今度は!?」
突然、叫び出した目の前の男の奇行に驚くしかなかった。
当初の計画とはかけ離れた行動だが、それでもニルヴァーナの起動はこちら側からすれば世界を巻き込みかねないモノだ。だからこそ、いまはオラシオンセイスよりも先にニルヴァーナを止めるしかない
「ナツくんを追うんだ!!いまはオラシオンセイスよりもニルヴァーナの停止を優先しよう!」
「ナツ…ジェラールとか言ってたよね…」
「説明は後!それより今は「ああぁぁあああ!?」」
「エルザが居ない!?なんなのよあの女!!ウェンディに一言の礼もなしに!!」
「どうしよう……私のせいだ……私がジェラールを治したせいで…ニルヴァーナが見つかって…エルザさんや、ナツさんが…」
「まずい…っ!!」
ヒビキはウェンディに何かを行うとしたがそれよりも先に…
「ごめんよウェンディ…」
「っ!?」
背後に回ったメリュジーヌがウェンディを気絶させる
「ちょっとメリュジーヌ!!あんたウェンディになにしてるのよ!?」
「なに…ウェンディの中に嫌な魔力が流れるのを感じたから止めたまでだよ」
「それで道中で僕が説明する…みんな行くよ!!」
そうしてヒビキ達はナツを追いかける
「メリュジーヌちゃん、よくやってくれた。」
「どうして?てか何で走ってるの!?」
「ナツくんとエルザさんを追うんだよ」
メリュジーヌはウェンディを抱えて、そしてルーシィとヒビキ…ハッピーにシャルルは突然のことに頭が追いつかないことで説明を求めていた
「僕達も光に向かおう」
「確かにウェンディはすぐグズるけどさっきのはやりすぎなんじゃないの?メリュジーヌ」
「ボクはあの黒い柱からウェンディの魔力に干渉するの察知した。竜は眼がいいからね!」
「ドラゴンってなんでもありね…」
と自慢げに言いはするが、メリュジーヌはその黒い魔力がウェンディの魔力だけじゃなく精神をも蝕もうとしているのを視認した
それに気づいていなかったウェンディだからそれを止めるために気絶させてということだ
「それでいい。……本当のことを言うとねニルヴァーナという魔法を知っているんだ」
「え!?」
「ほんとに!?」
「ただその性質上、誰にも言えなかったんだ…。
この魔法は意識してしまうと危険だからなんだ。だから一夜さんもイヴもレンも知らない」
「どういうことなの?」
「これはとても恐ろしい魔法なんだ。これは光と闇を入れ替える魔法…」
「光と…闇?」
「あのブレインって奴も言ってたね」
「まず封印が解かれると黒い光が上がる。正にあの光だ
黒い光はまず手始めに光と闇の狭間に居るものを逆の属性にする。」
つまり反転……。
光と判定されたモノが一瞬でも黒い感情を感じてしまえばその時点でニルヴァーナの魔法に掛かってしまう。逆に言えば闇と判定されたモノは少しでも白い感情があれば光へと変わる。
「強烈な負の感情を持った光の者は闇に堕ちる」
「それじゃあウェンディを気絶させたのは…」
「自責の念は負の感情だからね。あのままじゃあウェンディちゃんは堕ちていたかもそれない」
ニルヴァーナの起動でその範囲内に居るものは誰であれ正義と悪が入れ替わる。
それを防ごうとしても防ぐ算段を持たなければ結局、反転して闇へと堕ちる。
「人間は物事の善悪を意識し始めると、思いもよらない負の感情を生む。
”あの人さえ居なければ”、”辛い思いは誰のせい?”、”なんで自分ばかり”それら他の全てもニルヴァーナにジャッジされたらその時点で魔法は発動する。」
そしてそのニルヴァーナの力は……
「なっ!?シェリー!!なにっをぉ!?」
シェリーの魔法によって生み出された木の人形はグレイを吊し上げ、その首を閉める。
「しぇ……りぃ……」
グレイは意識を手放し、地面に倒れる…
「仇は打ちましたわリオン様……次は誰ですか?こいつと同じフェアリーテイルですか?」
対象を闇に反転させ、そしてまた一方も…
「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!金!金!金!カネェェェェ!!」
「な、なんだと言うのだ!!」
「カネェェェェェェエェエェェェ!!!!!!!!!……などいりません…デスヨ」
なにかから解放されたかのようにに突然、ジュラの目の前の男ホットアイは顔を輝かせた
「はぁ!?」
先程からの敵の行動にもはや理解が追いつかず変な声を漏らしてしまう。
突然叫び出すわ。突然落ち着き出すわ。突然顔を輝かせるわ……もう対処のしようがなかった
「私、生き別れた弟のために必死でした!
お金があれば見つけ出せると思ってました……デスヨ。
しかし!それは誤ったと気がついてしまった…デスヨ。」
「え、えぇ…???????」
「さぁ!争うことはもうやめにする…デスヨ。
世の中は愛に満ちています!おお、愛!
なんと甘美で慈悲に溢れる言葉でしょう……この世に愛がある限り、不可能はないの…デスヨ。」
ガシッ…と突然ホットアイはジュラを優しく愛を伝えるように包み込み抱きしめる
「???????????」
「さぁ、共に私のかつての仲間の暴挙を止めましょう。
彼らに愛の素晴らしさを教えるのぉ〜!!…デスヨ。」
「えぇ〜……と?????」
闇は光へと反転し、光は闇に反転する。
「そのニルヴァーナが完全に起動したら私達はみんな悪人になっちゃうの?」
「でもさ、それって逆に言うと闇ギルドの人達はみんないい人になっちゃうってことでしょ?」
「そういうことも可能だ。
ただニルヴァーナの恐ろしさはそれを意図的にコントロール出来る点なんだ。
例えばギルドに対してニルヴァーナが使われた場合、仲間同士で躊躇なしの殺し合い、他のギルドとの戦争を簡単に起こせるんだ」
「そんな……」
「なるほど、それをジャッジした時点で発動するんだ。対象側からすれば防ぎようがないね。」
「ああ、だからこそこうしてまだ起動している段階ならまだ間に合う……だから僕達で止めるんだ!!」
その話を聞きルーシィ達はより一層、ニルヴァーナへと足を早めるのであった