再就職先は、ホロライブのスタッフに決まりました 作:DXフルーツパフェ
音楽特化グループReGLOSSの結成、スト鯖アークでムキロゼ(アキロゼ)が活躍して嬉しく思うDXフルーツパフェです。
また、ハーメルンでホロライブの小説が増えて、嬉しく思います。
そして、一般学生C様、評価して頂きありがとうございます。
コンビニで少し休憩してから再び車を走らせ、ようやく目的地である輪島重工の会長である輪島 正造の邸宅の玄関前に着いた。
周辺はすっかり夕暮れになり、車から最初に降りた鉄平は背筋を伸ばす。
いろはも車から降りるが、初めて見る大企業の会長の邸宅に驚いて口を開けて茫然としていた。
「風真さん、行こうか?」
鉄平に声をかけられて、ようやく我に返り慌てて返事をする。
「へっ!? ああ、はい、行くでござる……」
そう返事したいろはは、鉄平の隣に行くとメイドが声をかける。
「では、私の後ろからついてください」
そう言うと、メイドが率先して歩き出し鉄平達は後に続いて玄関に向かって歩いて行く。
メイドが玄関に立ち、扉の近くに指紋認証機器に人差し指を押すと扉が自動で開いた。
「おおっ、凄いでござるっ!」
この光景を見たいろはは興奮気味に驚くが、メイドは表情を変えずゆっくり歩き出した。廊下には見るからに高そうな絵画や彫刻が飾っており、見慣れていないいろははただただ驚くしかなかった。
長い廊下を歩き、会長がいるであろう部屋に着いた三人はまずはメイドが軽く扉をノックをした後に報告する。
「ご主人様、如月様たちをお連れしまいた」
「入りなさい」
か細いがはっきりとした口調で答える老人の声が聞こえると、メイドは扉を開き鉄平達に入るように招いた。
鉄平が入ると、そこには電動車椅子に座る痩せ細った初老の男性がそこにいた。
この初老の男性こそが輪島重工会長の輪島 正造。年齢は七十歳。
祖父が日本初の重工業を起こし、父である公造は戦前で戦艦や戦車を中心に製造を行い財閥の仲間入りを果たす。まさにこの時代は輪島重工は我が世の春であったが、そう続くことはなかった。
日本は戦争に負けてGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の支配下に置かれてしまい、財閥解体の政策の影響を受けて財閥となった輪島重工も解体される事態となったのだ。この決定を不服を唱えた公造は粘り強く協議を重ね、輪島家の全財産をGHQに提供する条件に輪島重工の解体は免れた。だが、当然ながら会社の規模は大きく縮小されてしまい、会社を維持するために大量に従業員を解雇することになり、いずれは倒産するのではないかと世間から囁かれる。
だが、朝鮮戦争が起こり、兵器を製造していた輪島重工に注目していた米軍から、輸送艦の大量生産の依頼を承諾し復活を果たす。
そして、朝鮮戦争終結後に軍需産業から完全に手を引き、これまでのノウハウを活用して船舶・重機を中心に製造を行い、戦後復興に貢献して日本を代表する重工業として成功を収めた。
若き日の正造は世界一の重工業を目指していたが、今の彼にはそのような面影も無く衰弱した姿に内心は驚く鉄平だが、彼を気遣い表情に出さず笑みを浮かべて口を開く。
「よう。ずいぶん会わなかったが、元気にしていたかね?」
「ああ、なんとか生きてたさ……。それにしても、相も変わらず元気だな、如月さんは……」
年老いても元気な表情を見た正造は懐かしそうに表情を綻びそうになるが、今は昔を懐かしむのは後にしようとしっかりとした口調で口を開く。
「すまないが、如月さんと二人にさせてくれ」
人払いの指示を出すとメイドが心配そうな顔をするが、主人の命令である以上逆らうこともできず一礼して部屋を出た。いろはも正造の姿を見て心配になり部屋を出る事を躊躇するが、鉄平が部屋を出るように促すとようやく部屋を出た。
そして、鉄平はゆっくりとした足取りで正造に近づいた。そして、細くなってしまった手を触り目を細めながら口を開く。
「随分と痩せてしまったな……。てっきり楽隠居をしてるものかと思っていたんだが……」
「私も隠居したかったんだが……。息子が頼りになくてな……。ゲホッ、ゲホッ…………」
「おい、大丈夫か!?」
「ははっ、いつものことさ……。今日は気分が良い方なんだ……」
正造は笑顔で話すが、自分を心配させまいと作り笑顔を浮かべているのではないかと鉄平は疑う。そんな心配をよそに、再び正造が語りかける。
「しかし、如月さんが芸能事務所で再就職するとはな……。それで、カバー株式会社に資金提供をすればいいんだね?」
「ああ、久しぶりに会って金の無心するのは情けないが、おまえさんにしか頼めないんだよ……」
「それは別に構わないさ……。できるだけ早く出来るように手配しよう」
「すまない……」
鉄平は深々と頭を下げるが、正造は苦々しい表情になりか細い声でその行動を諌める。
「如月さん、あなた程の人間が私に頭を下げないでくれ。そんな姿を見たくないんだ……。頼むよ……」
「そうは言うが、縁もゆかりもない会社に見返りもなく大金を提供するんだ。頭ぐらいは下げるさ……」
「如月さんがここまでするんだ……。こちらでも調べたんだが、谷郷社長は社員や所属タレントを大事にしている見どころのある好人物だよ……。私は人を大事にする人間を応援したいんだ……」
そう言い終えると正造はテーブルにおいてある白湯が入った湯呑みを手に取り、喉を湿らせると再び口を開く。
「如月さん、今日はここに泊まりなさい」
「いや、そう言うわけには……。金の無心をした上に、泊まるわけには……」
「水臭いな……。あなたが来ると聞いて夕食を準備してるんだ。頼むよ……」
寂しそうな表情で哀願する正造に、鉄平は断ることはできず観念して頷いた。
「わかった。せっかくだから甘えよう……」
鉄平は微笑んで答えると、正造も満足そうに微笑んで呼び鈴を鳴らす。すると、正造に仕えている執事がこの部屋に入って来た。
「如月さんを部屋に案内してくれ……。如月さんは私の恩人であり、風真さんは剣聖に勝った剣術使いだ……粗相がないように……」
「承知いたしました」
「それと、メイドの山田さんをここに来るように伝えなさい」
「わかりました」
そう執事に命ずると頷き、鉄平と共に部屋を出た。
(それにしても如月さんは年老いても元気なものだな……。それに比べて、私は……)
正造は自分の痩せ細った腕を見て、思わずため息を吐く。
正造がここまで痩せたのは心労であり、その原因は一人息子の三輪 建造の存在だった。
この息子が正造のような商才もあり人格者であれば良かったのだがその才能は備わっておらず、最低限の常識や人徳が備わっていれば優秀な社員が彼を支え、会社を維持できる。だが、建造は勉強もろくにせず、金に物を言わせて悪友達と共に女遊びに興じていたのだ。
これではいけないと、悪友達の縁を切らせようと建造が大学生になった時に強制的にフランスに留学させたのだ。そして、大学を卒業した建造を自分の秘書として働かせて後継者に相応しいか見極めようとしたが、経営者としての才能が開花することはなかった。
「失礼致します」
(来たか……)
弱々しく穏やかな顔を浮かべていた正造だったが、彼女の声を聞くと威厳を纏い病人とは思えないしっかりとした声で彼女を招いた。
「入りなさい」
そう言うと、扉を開けて彼女が入って来た。
身長は高くモデル並みで容姿端麗な彼女は、丁寧なお辞儀で笑顔で正造に挨拶する。
「お呼びでしょうか、ご主人様」
普通の男なら顔を赤らめて頬を緩めるほどの美人だが、正造は表情が険しくなり口を開く。
「茶番はもうやめてもらおうか」
「あの……。仰っている意味がわかりませんが……」
「君は山田 翠と名乗っているが偽名だろう? 君の正体は警視庁薬物銃器対策課に所属している柊 風香巡査じゃないのかい?」
しっかりと彼女の目を見据え正造は問いただすのだが、それに対し彼女は笑顔を崩すことなく落ち着いた声で答える。
「申し訳ありませんが誰かと勘違いしていませんか?」
「君が深夜に私の部屋に忍び込んで、パソコンを操作しているのが分かっているんだ。これ以上戯言を言えば、今から警視総監に抗議するが構わないな?」
最初は笑顔で話していた彼女も自分の素性を知られてしまい、この場を切り抜ける言い訳も出来ずに苦々しく唇を歪めた。彼女は従順に主人である正造に仕えて仕事をこなし、信用を得て正造の部屋の清掃を任されていたのだと思っていた。
だが、彼女は見通しが甘かった。
この国はスパイ行為を処罰する法律は無く、自社の技術を産業スパイに盗まれないように自己防衛をしている。三輪重工は産業スパイ対策に力を入れており、独自に諜報機関を設立しているほど力を入れている。彼女の素性を探るのは造作もなかった。
「そう警戒するな……。君に渡したいものがあるんだ」
「……何を渡すんですか?」
「息子のことを調べるために、ここに来たんだろう? あいつが足繁く通っている花菱が行うパーティーに関する情報を渡したいんだ」
「えっ!?」
予想もしていなかった正造の発言に、柊は驚きのあまり大きく目を見開いた。彼女がここに潜入した理由は、花菱側に潜入していた捜査官が花菱が開催するパーティの中に建造の姿が見られたため、それを裏付けるために潜入捜査を行っていたのだ。
そして、正造は服の内ポケットにあったUSBメモリーを取り出し、テーブルに置いて戸惑う彼女に語りかける。
「それを持って、君は警視庁に帰りなさい」
「あの……。疑うわけではないのですが、このメモリーの中身を確かめてよろしいでしょうか?」
「若い君が見るのは刺激が強すぎる……。それでも、確かめるのなら覚悟して見なさい……」
「ご忠告感謝します。それでは……」
そう言うと、柊は踵を返しこの部屋を立ち去った。
正造としては建造を殴ってでも改心させたがったが病弱の身になりその元気も無く、言葉で諭したが息子の心に届くことはなかった。そして、花菱 栄一主催のいかがわしいパーティーに息子である建造が参加していたことがマスコミに知られたら、三輪重工のイメージダウンは計り知れない。ならば、花菱の情報を警察に渡して捜査に協力すれば、マスコミも悪く報道することはしないだろうと打算的な考え、柊にUSBメモリーを渡したのだ。
「さて、今は愚痴をこぼしている暇は無いか……」
そう独り言を呟き、スマホを取り出し三輪重工の社長に電話をかける。
「ああ、私だ。すまないが今から緊急オンライン会議を行う……。重役達に伝えてくれ……」
あの後、鉄平は執事に客室に案内されて客室に備わっていた檜風呂に入り、風呂から上がったらテーブルにはいつの間にか夕食が用意されていた。
フグの握り寿司・フグの唐揚げ・一人鍋用のフグ鍋、山口県から取り寄せたフグを使った豪勢なメニューだ。
隣の客室にはいろはがおり、彼女も鉄平と同じ夕食のメニューだったようで「やった───!! 生まれて初めてのフグ料理でござるー♪」っと興奮気味に喜びの声を上げていた。
それとは対照的に鉄平は箸を取ろうとはせず、悲しげな表情で思い詰めていた。
(まさか、ここまで衰えていたとは……。あれでは今年……、いや夏に入る前に
正造とは輪島重工襲撃事件終結後、再び会うことはなかった。なぜなら、この事件をきっかけに鉄平はヤクザを含む様々な犯罪組織から命を狙われていたので、気軽に人に会うことが出来なかった。仕事終わりに部下と共に居酒屋に行ったら、必ずヤクザから襲撃を受けたことから、自分の巻き添えに部下が死ぬことを恐れた鉄平は用心のために断酒を行なったのだ。
だが、年々厳しくなる暴対法の影響で関東最大の暴力団「神風会」が解散をしたことから、次々と暴力団が解散を宣言。そして、鉄平抜きでも暴力団に対応できると考えた上層部は、鉄平を捜査第一課に転属されたが、それでも正造と会うことはなかった。理由は、ヤクザ連中から恨みを買った以上、必ずその報いを受けるだろうと考えた鉄平は正造を守るために会うことはなかった。だが、そのことが裏目に出てしまい、元気なうちに正造に会えなかったことを後悔の念に苛まれてた。
自責の念に囚われて反省していると、テーブルに置いていたスマホが震え出し、画面を見たら林部長からの電話だった。
「もしもし、ワシだが……」
「如月さん、無事なのか!? 無事なら、返事してくれ!!」
普段は冷静沈着な林が珍しく声を張り上げて自分の安否を確認する声を聞き、それを察した鉄平が渋面で答える。
「ワシは無事だよ。その様子だとワシの部屋に誰かが押し入ったのかね?」
「押し入るどころか、部屋を荒らされてるよ! 仏壇まで壊しやがって、罰当たりな腐れ外道共だっ!」
「そうかい……。それで、近所の人達は無事かい?」
「ああ、怖くて鍵を掛けて交番に電話をするのが精一杯だったらしい。それだけは不幸中の幸いだな……」
その言葉を聞き、鉄平は安堵する。
「ところで、通帳が見当たらないんだが、どこに置いてあるんだ?」
「貴重品は銀行の貸金庫に預けている。ワシは随分と恨みを買っておるからなぁ……」
そう言いながら苦笑する鉄平に、林は複雑な表情をする。
「もしかしたら、花菱の手の者だと思うぞ」
「どうして、そう言い切れるんだい?」
「花菱が手に入りたい戌神さんを雲隠れにしたから、このような短慮に走ったかもしれん……。なぁ、林さん。長谷川 純が住むアパートを調べて欲しい」
「誰だい、その人は?」
「林さんにも話したが、ホロライブ所属のタレント猫又 おかゆさんのマネージャーだよ。彼の部屋も荒らされている可能性がある」
「分かった。取り敢えず捜査員を派遣しよう。如月さんが、無事で良かったよ。じゃあな」
そう言い残し、林は電話を切った。
(まさか、ここまでバカなことをするとは……。連中、今頃になって相当焦っとるな……)
眉間に皺を寄せて緑茶を啜りながら考え込む。
身の危険を感じて、自分の部屋に侵入するだろうと考えた鉄平は、念の為に妻の遺影も銀行の貸金庫に預けて、転々とビジネスホテルに泊まっていたのだ。
(明日の午後は、えーちゃんの代わりに原宿でみこめっと*1の宣伝活動を手伝う予定じゃったな……。連中が襲ってくるとしたら、そこじゃろう……)
大川は自宅謹慎の処分が降ったと聞いたが、その気になれば自分のスケジュールを調べる手段もある。そして、大川のことを調査した探偵事務所の報告書で、彼は花菱社長に弱みを握られ協力していることを知り、必ず花菱社長に協力している闇組織に報告するだろう。
(林さんにも報告したし、自分のやるべきことは己の火の粉を払うことじゃな。じゃあ、しっかりと腹ごしらえをしようか)
覚悟を決めた鉄平は、明日に備えてフグ料理を堪能するのだった。
オリキャラの設定集を書いた方が書くべきなのか迷ってます。書くべきなのでしょうか?
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はい。お願いします。
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いいえ。結構です。
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それよりも、小説を優先して投稿してくれ