再就職先は、ホロライブのスタッフに決まりました   作:DXフルーツパフェ

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新人達が入ってきて賑やかになるなぁと思っていたら、今度はクロヱが…。正直言って寂しいですが、彼女が決めたことなので何も言えませんが幸せになってほしいです。

どざ様、桶の桃ジュース様、評価して頂いてありがとうございます。


幕間 深まる謎

 

 

「納得出来ません! どうして如月 鉄平を逮捕しないんですかっ!!」

 

 鉄平が轟専務達と今後のことで協議している頃、「原宿・ホロライブ事務所騒乱事件」と看板が設置された警視庁の捜査本部では、数人の刑事がいるのにも関わらず、公安部外事第四課に所属するキャリア組の若き警部がくたびれたスーツを着た中年の男性に抗議していた。

 

「命を狙われていたとしても、彼は未成年相手に行き過ぎた暴力を振るったんですよっ! 今すぐ逮捕すべきですっ!」

 

 警部は現場で何が起きていたのか、原宿の店舗に設置している監視カメラを確認したのだ。そして、映し出された映像は一方的な蹂躙であった。最初は銃やスタンガンを手にして優位に立ったと思い込んでいた少年達だったが、鉄平になすすべなく倒され恐れをなした少年達はスタジオビルに逃げ込んだ。だが、それでも容赦無く少年達の手足をへし折る鉄平の姿を見た警部は鉄平を危険人物として逮捕するべきと具申するが、男は仏頂面で答える。

 

「あのなぁ、如月さんのおかげで未然に犯罪を防ぐことができたんだ。逮捕なんかできるかよ……」

 

「ハァ!? 何を言って……」

 

「もし、オレ達だったら連中は蜘蛛の子を散らすように逃げ出すのは目に見えてる。そしてだ、暴走した少年達は店舗や閑静な住宅街で犯罪を犯すだろうなぁ……。オレ個人としては、如月さんに感謝状と金一封を贈りたいぐらいだよ……」

 

「バカなことを言わないでくださいっ! どうして犯罪者にそんな物を贈る必要があるんですか! 彼は無抵抗な未成年に手足を折るほどの重傷を負わせてるんですよ! れっきとした過剰防衛です!」

 

「相手は殺傷能力を持った銃やスタンガンを持っていたんだぞ。下手に手加減なんかして、反撃されたらどうするんだ?」

 

 淡々と説明する上司に納得出来ないのか、警部は怒りを隠そうとせず反抗的な目で睨む始末だ。もし、如月 鉄平が少年達を仕留めなければ、銃火器を使った凶悪犯罪が起きた可能性が極めて高い。そんなことすら想像できない警部に失望するも、男はため息をついて口を開く。

 

「高倉警部。お前の言ってることは確かに正論だよ。だがな、その正論がまかり通るとは限らないんだ。お前、今年で30歳だろう? いつまでも、青臭いことを言うなよ……」

 

 そう言うと図星をつかれたのか高倉警部は黙り込んでしまうが、それでも納得できないのか反抗的な目で睨む彼に、男は辟易してしまい再度ため息を吐き言葉を続ける。

 

「とにかく、これは()が決めたことだ。これ以上、不適切な発言をすると出世に響くぞ……」

 

「上? 上って……」

 

「上は上だ……。とにかく、文句はオレじゃなく、上に掛け合ってくれ」

 

 そう言うと、言葉の意味が分かった高倉警部は真っ赤な顔になり会議室から出て行った。出て行く高倉警部の姿を見て、男は内心辟易しつつも表情に出さずタブレットを操作する。

 

 本来は警視庁の管理官が捜査指揮を行うが、日本政府はこの事件はテロリストが行なった事件と認定したため、警視庁公安部が捜査指揮を任せることになった。

 

 そして、タブレットを操作しているこの男は公安部外事第一課に所属する滝川管理官だ。内閣府と総務省で発生したサイバーテロだが、無事に解決して情報の流出が確認されず、閑散としている捜査本部で滝川管理官はタブレットで捜査の進捗を確認していた。

 

(谷川達の反撃を受けた暴力団対策課の連中は死者は出なかったけど、重軽傷者が多数か……。今後の捜査に支障が出るな。バカなことをしてくれたよ……。亀沢のスマホに、妨害電波を発生させる装置を渡した闇組織の情報が残っていたのは僥倖だったな。これをきっかけに……。いや、今更調べても、もぬけの殻だろうなぁ……。少しでも情報を得るために、自白剤でも投与してみようか……)

 

 独断で動いた暴力団対策課の行動に苦悩しつつ、これから先の捜査は難航するだろうと思うと自然と渋面になる滝川の前に、アメリカ大統領の警備を終えた捜査第一課の中村巡査長と多田巡査が現れた。

 

「お疲れ様。呼び出しに応じてもらって、すまないねぇ……。大統領の警備は大変だったろう?」

 

「いっ、いえ……。あの、お聞きしたいこととは……」

 

 公安のキャリア組である滝川管理官に労いの言葉を掛けてもらえるとは思わなかった中村は、失礼が無いように緊張した面持ちで傾聴する。

 

「君達はアメリカ大統領の警備をしていたわけだが、何か異変はなかったかい?」

 

「異変、ですか? 特に私は異変は感じませんでしたが……。多田、お前は何か感じたか?」

 

「いえっ、特に何も感じませんでしたよ。不審者や不審物すら発見されませんでしたから……」

 

 中村に続き多田も報告すると、滝川は頷き指示を出す。

 

「分かった。もう家に帰ってゆっくり休んでいいよ。だけど、明日の早朝6時に君達は花菱総合警備会社に強制捜査に行ってもらうからそのつもりでね」

 

「「了解しました!」」

 

 指示を受けた二人は返事をすると捜査本部から出て行った。そして、今度は鈴木刑事が捜査本部に入り滝川の前に現れた。

 

「ご報告してよろしいでしょうか?」

 

「ああ、別に良いけど……。顔色が少し悪いけど、どうした? 如月さんに無理難題でも言われたのか?」

 

「はっ、はい……。実は、桐生会の社員になっている元西城会の構成員を任意の事情聴取を止めるように言われたので……」

 

「ああ、いいよ。事情聴取を取りやめる方針でいこうか」

 

 思案することもなくまるで決定事項のように話す滝川に、鈴木は驚愕し問いかける。

 

「いいんですか!?」

 

「調べてみたんだけど、谷川と若い連中をまとめていた朝比奈とは反目しあっていたのが分かったんだ。だから、協力するとは思えないんだが、念のために監視はするつもりだよ」

 

「そうだったんですか……。そう言うことなら監視でいいと思います……」

 

 滝川は飄々とした態度で鈴木に説明を終えると、また目を細めてタブレットを操作をし始めた。その姿にどこか余裕を感じたのか、鈴木は滝川が事件の全貌が見え始めているのではと思い始めていた。そう考えていると、滝川がおもむろに口を開く。

 

「ところで、鈴木君。この事件をどう思う?」

 

「どう思うとは?」

 

「普通ならさ、狙うとすればアメリカ大統領か我が国の首相の暗殺を狙うよね? だが実際は大統領達は狙わずに、妨害電波を使ったテロ紛いの騒乱と内閣府と総務省のサイバーテロだった……。やっていることが中途半端なんだよ」

 

「はぁ……。確かにおかしな事件ですよね……」

 

「確証は無いんだけどさ、これは天界・魔界・異世界の(ゲート)の場所を探ろうとした勢力の犯行だとオレは思うんだよね……」

 

「なっ!?」

 

 突然の衝撃的な発言に鈴木は驚いてしまうが、滝川は淡々と語りだす。

 

「まずは、内閣府と総務省で起こったサイバーテロなんだけど、マルウェアで情報を盗み出そうとした形跡があるんだよ。せっかく侵入したんだから他にも色々やれば良かったのに、それしかやっていないんだよ」

 

「でしたら、原宿やホロライブ事務所で起こった事件は……」

 

「おそらくは(かく)乱だったんじゃないかな……。亀沢達が妨害電波の装置を所持していたのは、犯罪組織が横流ししたことが判明している」

 

「そうなんですか? じゃあ、その犯罪組織を調べたら……」

 

「もちろん調べるけど、おそらくはもぬけの殻になっていると思うよ」

 

 そう言うと滝川は喉が渇いたのかペットボトルに入っている水を飲み、喉を湿らせる。

 

 現在、日本は三つの異世界の門が存在し管理をしているのだが、それを快く思わない勢力は確かにある。

 

 例えば国家で言えば、中国・韓国・北朝鮮・ロシアは明確に反対している。ことあるごとに「日本だけ異世界の門を独占しているのはおかしい! 国連が管理するべき!」と声高に言い、挙げ句の果てには「日本は異世界の勢力を利用して、世界を支配しようとしている!」と顔を真っ赤にして熱弁を振るう指導者が出る始末だ。そして、異世界人を警戒または脅威に感じた世界の人々は団体を組み、排斥運動を行なっているのが現状だ。

 

 鈴木もこのことは知っており、神妙な顔で滝川に質問する。

 

「この事件、日本を快く思わない勢力が起こしたのでしょうか?」

 

「確証は無いから何とも……。だけどね、無線機や固定電話を無効にする程の強力な妨害電波の装置を作る技術は、国家レベルじゃないと作れないと思うよ。それよりも、確実に分かっていることがある」

 

「何ですか?」

 

「柊巡査が持ってきたUSBメモリーに、会見での里中さんの発言を裏付ける証拠があった。長らく続いたテレビの時代は終わって、これからはインターネットの時代になる。さてと、オレも明日に備えてそろそろ帰るよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「如月さんって、魔界に行ったことがあるの?」

 

「ほっ、本当でござるよ、ルイ姉……。信じて欲しいでござるよ……」

 

 深夜、ルイは情報を共有するためにいろはを自分の自室に呼び、二人で話し合いが行われていた。その内容は日本を代表する企業である輪島重工の会長と親密だったこと、また魔界に赴き親善武道大会に参加したなどと、到底信じられない内容にルイは頭を抱えていた。しかし、いろはが嘘を言っているとは思えず、ルイは神妙な表情で口を開く。

 

「疑ってごめんなさい。取り敢えず、このことは二人だけの秘密にしておきましょう」

 

「秘密って……。他のメンバーには言わないのでござるか?」

 

「クロヱは大丈夫だと思うけど、こよりは興味本位で警視庁のサーバーにハッキングしかねないし、ラプは大騒ぎする可能性があるから迂闊に話せないのよ……。折を見て、クロヱには私が話しておくわ」

 

 話し合いが終わり、いろはは良く眠れるようにとルイが用意してくれたホットミルクを一口飲んで気分を落ち着かせてると、これからのことを考えてしまい不安な表情を浮かべながら口を開く。

 

「ねぇ、ルイ姉……。ホロライブはこれからどうなるでござるか?」

 

「そうねぇ……。今後のことは社長達がどうにかすると思うけど、如月さんが中心になって動くでしょうね……」

 

 いろはのホットミルクを作るついでに、ルイは自分が飲むために作ったホットミルクを口に含むと、いろはが眉間にシワを寄せて疑問を口にする。

 

「どうして、如月殿でござるか? 轟専務がいるのに……」

 

「今は専務だけど社長が戻ってきたら、大川のことで責任を取らされて失脚すると思うわよ。それに如月さんは輪島重工の会長と親密だから、色々と便宜を図るために出世させると思うわ」

 

 そう言うと、いろはは何とも複雑な表情で残りのホットミルクを飲み干して、眠くなったのでルイに挨拶して自室へと戻った。

 

 一方、一人になったルイは物思いにふけり、ある疑問が浮かび上がる。

 

(いろはが言ったことが本当なら、如月さんは輪島重工の会長を頼って役員になってもいいはず……。それに、魔界に行けるってことは日本政府にも信用されて、ある程度の人脈が構築されている可能性もあるし……。如月さんて、本当にただの刑事なの……)

 

 如月 鉄平の謎が深まるばかりで、この疑問を解決するにはこよりの協力が必要だ。彼女が警視庁のサーバーに侵入して鉄平に関する情報を盗めばいいのだが、もしバレてしまったらこよりは逮捕されてホロックスは解散するのは目に見えてる。自分達の立場を危うくなるまで鉄平のことを探る必要は無いと感じたルイはその考えを諦めた。

 

 時計を見たらいつの間にか深夜になり、寝る時間には早いのだが今日は疲れていたのでベッドに横になり珍しく眠りについた。

 

 一方、テレビではニュース速報で国営テレビ局の社長が任意同行されたのが影響なのか、深夜にも関わらず各テレビ局は特別報道番組を組み、朝まで必死に弁明をしていた。

 

 

 







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