再就職先は、ホロライブのスタッフに決まりました   作:DXフルーツパフェ

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アンケートの協力ありがとうございます。

取り敢えず、小説を投稿することを集中して、オリキャラ設定集はゆっくりと書いていこうと思います。

あと、感想も書いていただいてありがとうございます。




第13話 ターニングポイント

 

 

 

 

 

 早朝6時、今にも雨が降りそうな天候のなか、花菱関連の会社に警視庁の強制捜査が行われた。本来なら多くのマスコミがこの光景をカメラに収めるのだが、この日は地方の新聞社とテレビ局しか集まらなかった。

 

 なぜなら、キー局*1・大手新聞社の社長達が芸能事務所スターライトのアイドル達の性接待を受けていたことが分かり、不同意わいせつ罪で次々と逮捕され、本社では強制捜査が行われ混乱していたからだ。国民に真実を伝えるマスコミのトップが、芸能事務所の性接待に足繁く通い、アイドルと性的関係に耽っていたことが白日の下に晒されて世間が憤慨するなか、鉄平はえーちゃんと共にタクシーで谷郷社長を迎えるために羽田空港に向かっていた。

 

 大川の不祥事・三つの企業の資金提供の突然の打ち切りなどの報告を受けた谷郷社長は、轟専務一人に任せるのは荷が重いと感じて、海外から帰国を決めたことをえーちゃんに告げたのだ。

 

 平日なら空港までの道のりは混雑しているが、事件の影響なのか道は空いておりスムーズに空港に着き、鉄平達は社長を探すためタクシーから降りて国際線の第3ターミナルへ向かう。

 

「さて、さっそく社長を探そうか」

 

「そうですね……。す、すみません。ちょっと待ってください」

 

 二人は社長を探そうと1階のエントランスプラザに入ろうとするが、えーちゃんのスマホに着信音が聞こえて、ディスプレイを見ると社長からの電話だった。

 

「もしもし、社長ですか!?」

 

『ああ、えーちゃんか……。予定より早く着いてスマホでニュースを見てるけど、いったいどうなってるの? キー局の社長達が逮捕されたり、花菱関連の会社に強制捜査が……』

 

「私達もついさっき羽田空港に着きましたから、今から説明するのでそこで待っていて下さい!」

 

『えっ!? うん、分かった……』

 

 えーちゃんの声に圧倒された谷郷社長は疑問に思うことが言えなくなり、彼女の言われるままに電話を切った。

 

「急ぎましょう、如月さん」

 

 そう言うと、鉄平は頷き彼女と共に急いで社長の元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 電話を切った谷郷社長は空港のファーストフード店でコーヒーを飲みながら、少しでも情報を得ようとスマホを使ってニュースを見ていた。普段は冷静なえーちゃんが切羽詰まった声で話すのを聞いて、ただごとではないとひしひしと感じながらニュースアプリを見てると、信じられないような見出しが次々と溢れていた。

 

『次期総理に最も近い男、民自党大泉 準外務大臣がスターライトの性接待を受けたことが分かり、不同意わいせつ罪で逮捕!』

 

『国営テレビ局社長、容疑が固まり不同意わいせつ罪で逮捕!』

 

『スターライト所属のアイドル・新島 刹那、自宅で覚醒剤が見つかり覚醒剤取締法違反で逮捕! 性接待で使われたのか?』

 

『スターライト事務所の性接待の中心人物である花菱 栄一、行方が分からず……。海外に逃亡か?』

 

 頻繁に『スターライト』『性接待』という言葉が出る見出しに、谷郷社長は自然と顔をしかめてしまう。このニュースを見る前にえーちゃんに説明を聞くべきと判断して、ニュースを見るのやめてスマホをスーツのポケットに収めた。再びコーヒーを飲み始めると、息を切らしながらメガネをかけた女性が駆け寄って来た。

 

「しゃ、社長……。遅くなって……。申し訳ありません」

 

 急いで走って来たせいか息を途切れながらも挨拶するえーちゃんに、谷郷社長は心配そうに声をかける。

 

「えーちゃん、大丈夫か? 別に急いで迎えに来る必要は無かったのに……」

 

「それには事情があるのだよ、社長」

 

 声が聞こえる方を振り返ると、そこには真剣な表情を浮かべる鉄平が立っていた。意外な人物が現れ、思わず谷郷社長が狼狽する。

 

「如月さん!? 一体どうしてあなたが……」

 

「社長、疲れておるじゃろう。詳しい話は近くのホテルでしようか」

 

「ホテルですか? 僕としては事務所に帰って轟君と話し合いを……」

 

「申し訳ありませんが、それは出来ません……。社長、如月さんの言うことを聞いていただけないでしょうか……」

 

 社長の話を遮るように口を開いたのはえーちゃんだった。普段はこんな不躾な行動をしない彼女の行動に、只事ではないと感じた谷郷社長は頷いて口を開く。

 

「分かりました。移動しましょう」

 

 そう言うと、谷郷社長は飲んでいたコーヒーを飲み終わると紙カップをダストボックスに捨てて、二人と共に目的地のホテルへ歩くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 羽田空港から徒歩10分程のところのホテルに案内した鉄平は、予約していた部屋に入ると谷郷社長に椅子に座るように促し、自分が愛用しているタブレットを彼に手渡す。

 

「このタブレットに大川に関することが書かれておる。ワシの懇意にしている探偵事務所で調べてもらった。ぜひ、目を通して欲しい」

 

 どうして鉄平が大川を探偵事務所まで使って調べたのか谷郷社長は疑問に感じたが、真剣な表情で語る老人が嘘をついてると思えず、タブレットの電源を入れると『大川 清に関する報告書』が映し出され、指でスライドしていくうちに段々と表情が険しくなり里中 舞に関するページになると怒りがこみ上げてしまい額に青筋を立てていた。報告書を読み終えた谷郷社長は大川を追求しようと、スマホを取り出そうとするが鉄平に止められる。

 

「社長、スマホを取り出して何をするつもりじゃ」

 

「このことが本当のことなのか、大川君をここに呼び出すつもりですが……」

 

「その大川なんじゃが……。警察に逮捕されたよ」

 

「逮捕ってどういうことですか!? ニュースに目を通しましたが、そんなこと書かれていませんでしたよっ!」

 

「公安に口外せぬよう約束されてしまって、社長には申し訳ないがこれ以上のことは言えぬ……」

 

 大川の逮捕という予想もしなかった出来事に、ただただ困惑する谷郷社長に鉄平はどうしたものかと思案していたらえーちゃんが静かに語りだす。

 

「社長、大川さんのことは話せませんが、これまで何があったのか報告してもよろしいでしょうか?」

 

「そうだね……。僕は断片的なことしか知らないから頼むよ」

 

「分かりました……。まずは戌神さんのことから報告します……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうでしたか……。僕がいない間にそんなことがあったなんて……」

 

 原宿・ホロライブ事務所の襲撃事件を除いて、全ての話を聞き終えた谷郷社長は戌神 ころねの苦しみに気付いてやれず、己の不甲斐なさに悔やんだ。そして、人脈を駆使してころねや他のホロメンを保護した鉄平に感謝の意を示すために深々と頭を下げる。

 

「如月さん、ころねさん達を保護したばかりか、輪島重工との資金提供に協力してもらってありがとうございます」

 

「社員として当然のことをしただけじゃよ。そんなことより、問題は大川のことをマスコミや暴露系配信者達に知られれば面倒なことになる。大川が花菱 栄一の手先と分かれば、ウソをでっち上げてホロライブのタレントに薬物を渡したと嬉々として話すのは目に見えておる」

 

「そうですね……。今回の事件でマスコミは信用は失墜しましたが、暴露系配信者は厄介ですね……」

 

 そう言うと、谷郷社長は暴露系配信者がタレント達の名誉を著しく傷つけたのを思い出し、思わず苦虫を噛み潰した顔になった。そして、鉄平は暴露系配信者に対抗するために自分の意見を述べる。

 

「これはワシの提案なのだが、身の潔白を証明するために全社員・タレント達の薬物検査を行い、結果を会社のホームページに公表するべきだと思っておる。轟専務も、この案に賛成したよ」

 

「ところで轟専務はここには来ていないんですか?」

 

「轟専務は大川の件で任意の事情聴取を受けておる」

 

「そうでしたか……。彼女はどうなるでしょうか?」

 

「しばらくの間は事情聴取をされるが、共犯でないと分かれば無罪放免じゃろう」

 

 そう言うと、谷郷社長は表情を曇らせるが鉄平が意見を述べる。

 

「彼女は涙を流しながら戌神さんを助けてくれと懇願する姿を見て、ワシは彼女が大川と共犯者では無いと確信している。社長、お前さんも彼女を信じてあげなさい」

 

 もし、彼女が大川の共犯者ならば、鉄平の入社を阻止していただろう。そう考えると彼女は共犯者では無いと確信してホッとする反面、大川をスカウトしたことで会社に混乱をもたらした責任を重役達は追求するだろうと考えると彼女の扱いをどうしようかと思案するが、それよりも鉄平に対して疑問に思っていたことを聞こうと口を開く。

 

「ところで如月さん。改めて聞きますが、どうしてホロライブプロダクションで働こうと思ったんですか?」

 

「それは、面接の日に話したではないか。あとで面接官が社長だと知った時には驚いたがな……」

 

「……質問を変えます。あなたは輪島重工の会長と親密ですよね? 彼に頼ればそれなりの地位と収入を得られたはずなのに、どうしてホロライブで働こうと考えたのですか?」

 

 最初は和やかに答えていたが、その質問に鉄平は目を細めて真剣な表情で答えた。

 

「そんな甘い汁を啜りながら余生を過ごしていたら、同僚やワシを庇って死んでしまった刑事に対して申し訳が立たぬよ。それよりは、一社員として額に汗して働く方がワシには性に合ってるよ……」

 

 鉄平の真意を知った谷郷社長は、この人ならば欲に溺れず己を律してホロライブを正しき方向に導き、タレント達を大切にしてくれるだろうと確信してある提案を出す。

 

「如月さん。お願いしたいことがあります。社長相談役に就任して、私をサポートしてくれませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃。

 

 猫又 おかゆのマネージャーである長谷川 純は、霞ヶ関総合病院を訪れていた。

 

 鉄平達と別れたあの日から、彼は最低限の荷物をバッグに入れて、闇組織に捕まらないように関東地方のビジネスホテルを転々としていた。茶髪だった髪の毛を黒く染めて、耳のピアスを外し、素性を知られないように恐怖に体を震わせながらの逃亡生活だった。だが、里中 舞が外国人記者クラブで会見を行った日に、えーちゃんから霞ヶ関総合病院に来るよう連絡を受けて彼の逃亡生活は終了した。

 

 そして、彼を出迎えたのは1階のロビーで寛いでいたおかゆだった。

 

「長谷川君? 随分と雰囲気が変わってるけど、どうしたの?」

 

「闇組織の連中に見つからないように、思い切ってイメチェンしたっスよっ! ところでころねさんがいませんけど、どこにいるんすか?」

 

「ころさんなら、地下の温水プールでフブキちゃん達と遊んでいるよ」

 

「温水プール!? いや、ここ病院っスよ……」

 

「ボクも驚いたさ……。他にもノンアルコール対応のBARやエステルームまであって、さすが資産家御用達の病院だよ〜」

 

 5つ星ホテル並の設備を持つ病院に、長谷川は思わず口をあんぐりさせる。最初は予想通りの反応をする彼の姿を見て、にこやかに話していたおかゆだったが、今度は打って変わって真面目な表情で語りかける。

 

「長谷川君、君のおかげでころさんは救われた……。ありがとう」

 

「えっ!? オレ、何もしてないっスよ。お礼は如月さんに言った方が……」

 

「ううん。君がえーちゃんに相談したのがきっかけで、如月さんがころさんを助けることができたんだ。本当にありがとう」

 

 そう言うと、おかゆは感謝の意を込めて長谷川に深々と頭を下げた。

 

「やめてくださいっスよ、おかゆさん! オレはただ、マネージャーとして当然のことをしたまでっスよ」

 

「……ありがとう、長谷川くん。それでね、またお願いしたいことがあるんだけど……」

 

「お、オレでよければ……」

 

「……あ、あのね、ゲーマーズのマネージャーになってもらえないかな?」

 

 ゲーマーズとは、その名の通りゲーム実況をメインに活動するグループ・ユニットで、メンバーは1期生を兼任している白上 フブキをはじめとした大神 ミオ・戌神 ころね・猫又 おかゆの四人で構成されている。

 

 長谷川は今年で2年目の社員で、ようやくマネージャーの仕事に慣れてきたが複数のタレントの経験は無く、流石の長谷川も即答はできなかった。だが、彼女がこのような発言をする心情もよく理解できるのだ。

 

 ころねのマネージャーは大川に心酔し、彼女の気持ちに寄り添うことなく無理難題な仕事を押し付けたのだ。そして、大川の暴走を止めることなく、見て見ぬ振りをしていたマネージャー達をホロメン達が不信感を持つのは当然のことだった。

 

 難色を示す長谷川に、おかゆは困った表情で口を開く。

 

「これはね、ボクの独断じゃなくてゲーマーズの総意なんだ。みんな長谷川くんのことを頼りにしているんだよ」

 

「すっ、すいませんっス……。少し、考える時間を下さい……」

 

「いいよ、すぐに答えを出す必要はないから……。じゃあ、ボクはころさんのところに行ってくるね」

 

 長谷川に考えさせる時間を作ろうと、彼女は温水プールの方へ向かった。

 

 一方、一人残された長谷川は真剣に考えるために自室へと戻った。

 

 この事件で勇気を出してころねを助けたのをきっかけに、長谷川は人生の大きな岐路に立つのだが、決断できず自問自答し続けるのであった。

 

 

 

 

*1
全国放送権を持つテレビ局のこと

オリキャラの設定集を書いた方が書くべきなのか迷ってます。書くべきなのでしょうか?

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