再就職先は、ホロライブのスタッフに決まりました   作:DXフルーツパフェ

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明けましておめでとうございます。

本当なら昨日に投稿する予定でしたが、今日になってしまいました。

今回は短いですが、お暇な時にお読み下さい。


第14話 二人の決断

「わっ、ワシを社長相談役にだとっ!? 正気なのかね、社長!」

 

 鉄平が驚くのも無理がなかった。

 

 社長相談役とは経営上のアドバイスや助言を行う役職で、過去に社長や取締役を務めた経験者が就任するのだが、鉄平の場合はそのような経験は無く、どうして自分なのかと首を傾げるが、谷郷社長は柔和な笑みを浮かべて語りかける。

 

「如月さんにお聞きします。我が社で優先すべきことはなんだと思いますか?」

 

「……言っておくが、ワシは経営の経験が無いので、素人の考えであるがそれでもよろしいかね?」

 

「はい、お願いします」

 

「優先すべきことは……。まずは、タレントが気持ち良く仕事ができる環境を整える必要がある」

 

 そう言うと、喉が渇いたのかえーちゃんが用意していた緑茶が入った湯呑みを一口飲んでから話し始める。

 

「例えば、スタジオ収録の日は決まって夜からスタートして終わりは深夜になる。彼女達は自宅に帰ろうにも終電に乗れず、深夜のタクシーは高いからと彼女達は寝袋を持参して楽屋で寝とるんじゃ。はっきり言うが、タレントにそこまで用意させるのはどうかと思うぞ……」

 

 忌憚のない意見に聞いていた谷郷社長は思わず苦笑いするが、鉄平は再び自分の意見を述べる。

 

「ワシとしては事務所にタレント専用の宿泊施設を作ることを希望するが、社長はそれを認めるのかね?」

 

「もちろんです。ぜひ、お願いします」

 

「おお、認めてくれてありがとう社長。それならば、ワシは彼女達が安心して働けるように社長相談役に就任するよ」

 

 社長の了承を得て鉄平は満足げに微笑んでいると、えーちゃんが二人の間に割って入ってきた。

 

「あの、如月さんは先に昼食を召し上がってもらえませんか? 私はまだ報告をしなければなりませんので……」

 

「ああ、分かった。先に食べてくるよ」

 

 時間はいつの間にか12時を過ぎており、鉄平も腹が空いていたので二人に会釈してホテルの食堂に向かうために部屋を出て行った。

 

 鉄平が部屋を出て行くのを確認したえーちゃんは、真剣な表情で谷郷社長に問いかける。

 

「社長、どうして如月さんを社長相談役に就任させようとしたんですか? 重役の方達は絶対反対しますよ!」

 

「えーちゃんに聞きたいけど、今回の事件で轟専務以外の重役達はどう対応していた?」

 

「そっ、それは……。特に何もしてませんでした……」

 

「だろうね……。轟専務が大川君の暴言を録音していなければ、重役達は疑うことなく彼を信用していたからね……」

 

 今回の出来事は鉄平が動いたおかげで被害は最小限に抑えられたが、もし彼がいなければ悲惨な結末になっていたことは想像に難しくない。仮に、おかゆのマネージャーである長谷川の相談を重役達に話しても一笑に付すのは、えーちゃんは想像してしまい頭を痛めていた。もっとも、平社員であるマネージャーの言葉に耳を貸すような重役はいないのだが……。えーちゃんがそう考えていると、谷郷社長は話を続ける。

 

「それに如月さんは輪島重工の会長と親密な関係なのに、相応の役職を与えないと相手も納得しないよ」

 

「それはそうですが……。大丈夫でしょうか……」

 

「そう不安にならなくてもいいと思うよ。確かに彼は会社経営の経験は無いけど、行動を見てたらタレント達を大切にしていることが分かる。僕はそこに期待しているんだ」

 

 えーちゃんの不安とは裏腹に谷郷社長は鉄平に期待を寄せるのだが、ホロメンを最優先に考えるいわゆる「ホロメンファースト」に谷郷社長を大いに悩ますのだが今の彼は知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかゆさんですか? あの、返事をしたいので自分の部屋に来てほしいっス……。部屋の番号を伝えますので……。あと、緊張するからおかゆさん一人で来てほしいっス……。わがまま言ってすみません……」

 

 おかゆから相談を受けた長谷川はようやく答えを出して、彼女をこの部屋に招き入れるために電話をしていた。しばらくすると、ドアをノックする音が聞こえたので開けるとおかゆが立っていた。

 

「長谷川君、顔色悪いけど大丈夫?」

 

「すっ、すいませんっス。考えすぎて知恵熱が……。まぁ、ここは病院なので後で薬を貰いに行くっスよ。さあ、部屋に入って下さいっス」

 

 そう言うと、おかゆをリビングのテーブル席へ座らせて、長谷川は彼女のカップに紅茶を注いだ。

 

「あのさ、長谷川君。今すぐ答えを出さなくてもいいんだよ。もうちょっと考えても……」

 

「いえっ、そんな悠長なことを言ってられないっスよ! 国民的アイドルの新島 刹那が逮捕されて、芸能界は大混乱……。もしかしたら、テレビ局のスポンサーだった企業が一斉にホロライブに企業案件を持ち込む可能性も考えられますので、早めに決める必要があったんっスよ……」

 

 本音を言えばまだまだ熟考したがったが、テレビでは連日芸能事務所スターライトの性接待を報じており、週刊雑誌はスターライトが国営テレビの社長や重役達に多額の賄賂を渡して、ホロライブ所属の星街 すいせいとにじさんじ所属の戌亥 とこの二人を年末の歌合戦の候補を外すように裏工作していたと書かれており、誰が見てもテレビ業界の信用は失墜しつつあった。

 

 そんなテレビ業界にいつまでも企業はスポンサーになることはなく、インターネットで活躍している芸能事務所に企業案件として仕事が流出するのは長谷川でも分かることだった。

 

 心配そうな表情で長谷川を見つめるおかゆに対し、彼は意を決して自分の意見を述べる。

 

「けっ、結論から言います……。おっ、オレ、今年で2年目のマネージャーで失敗もしますけど……。こんなオレでよければ、ゲーマーズのマネージャーを引き受けるっス!」

 

 真っ赤な顔をしながら必死に言葉を紡いで話す長谷川に、おかゆは満足そうな表情で優しく語りかける。

 

「引き受けてくれてありがとう、長谷川君。気まぐれなボクのマネージャーを務めているんだから、もっと自信を持っていいんだよ」

 

「いっ、いえ、そんなことは……。失敗ばかりで……」

 

「大きなミスなんかしてないから、気にしてないよ。あたふたしている長谷川君は面白いからね♪」

 

 そう言いながら無邪気に笑うおかゆに、長谷川はなんとも複雑そうな表情を浮かべていた。

 

 その頃、テレビやスマホのニュースアプリで『花菱 栄一、アメリカで緊急逮捕!』というニュース速報が一斉に流れた。

 

 

 

オリキャラの設定集を書いた方が書くべきなのか迷ってます。書くべきなのでしょうか?

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  • いいえ。結構です。
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