再就職先は、ホロライブのスタッフに決まりました 作:DXフルーツパフェ
梅雨明けの公式な発表は気象庁から発表されて、空は真っ青に晴れ上がり、真夏の太陽が地面を照りつけていた。
だが、事務所の会議室では空調機は効いており、ホロメンやマネージャー達が密集していても涼しい空間が保たれていた。
「1週間後、タレント専用のマンションを建設するために事務所の会議室で説明会を行う」とホロメン達に通達して、どのようなマンションが建設されるのか疑問に答える場を設けたのだ。
そして、ホロメンは一堂に会することは滅多にないので各々喋り出すが、そんなところに鉄平が書類を携えて会議室に入って来た。
「遅くなって済まなかった。みんな揃っているかね?」
「はい。タレントの皆さんは全員揃っています」
鉄平の返事に答えたのは、0期生のマネージャーを勤めているえーちゃんだった。
「あの人が如月さん? 元刑事って聞いていたから体格は良いと思っていたんだけど、小柄で普通のおじいちゃんだね……」
「……」
初めて鉄平の姿を見る5期生の桃鈴 ねねは興味津々で見ていたが、ねねの隣に座っている同期の獅白 ぼたんは彼女の返事には答えず、彼の隙のない動きを注意深く観察していた。他のホロメン達もねね同様に初めて見る鉄平の姿に興味を持つなかで彼が口を開く。
「今日も忙しいのにこの日のために集まっていただき、本当に感謝している」
そう言って鉄平は一礼すると、6期生のホロックスの総帥であるラプラスが元気な声で応じた。
「おう、じーちゃん! 久しぶりだな! 元気だったか?」
「ああ。久しいな、ラプラスさん。元気でやっておるよ!」
気さくにラプラスの返事に答えるが、6期生の鷹嶺 ルイが慌ててラプラスの代わりに彼女の不躾な挨拶に謝罪する。
「如月さん。ラプラスが失礼な挨拶をしてしまってすみませんでした」
「おっ、おい! どうして謝る必要があるんだっ!?」
畏まって謝るルイにラプラスは理解出来ず思わず彼女を怒鳴るが、同じ6期生の博衣 こよりが言い聞かせるように話し始める。
「よく聞いてね、ラプちゃん。如月さんは、もうスタッフじゃなくて社長相談役の役職に就任しているから、気軽に話しかけたらダメだよ」
だが、こよりの話を聞いても納得出来ずラプラスは頬を膨らませる。そして、こよりの話を聞いた鉄平はそれを否定するために口を開く。
「博衣さん。あなたは勘違いをしているよ」
「えっ!?」
「確かにワシは社長相談役に就任しているが、ワシの仕事は君達の世話役をしておる。君達の不平不満を聞くために、ラプラスさんのように気軽に話しかけても良いんだよ」
鉄平の言葉を聞いたこよりとルイは戸惑うが、ラプラスはどうして注意されたのだと理由が分からずに憤慨する。
「じゃあ、吾輩は何も間違ってないじゃないか! 何で、注意されたんだよ!」
「最低限、目上の人には敬語で話そうよ……。それにしても、如月さんは相変わらずラプラスに甘くない?」
同じ6期生である沙花叉 クロヱは、ジト目でラプラスを嗜めつつも彼女に甘い鉄平に愚痴をこぼした。
「そうかい? 甘くはないつもりだがな……。それより、貴重な時間を使って説明会を開いたから、そろそろ本題に入ろうか」
そう言うと、鉄平は書類に目を通しながら説明する。
「まず、君たちタレント専用のマンションを建設する場所だが、この事務所からバスで10分の場所に雑居ビル群がある。そこを潰して建設する予定じゃ」
みんなが鉄平の説明を静かに聞いていたが、ゲーマーズの猫又 おかゆがいつになく真面目な表情で質問する。
「如月さんが言っている場所って、喫茶やすらぎも含んでいるんですか?」
「うん。オーナーにも話がついておる」
「そっ、そんな……。私達の憩いの場所だったのに……」
同じゲーマーズの戌神 ころねが不満げな表情でぼやくが、構わず鉄平が説明を続ける。
「マンションの規模は中規模で地下を含む高層マンションを建てようと計画しておる。君達タレントが住む間取りを10LDK、マネージャーの住む間取りを5LDKにしようと思っている。この高層マンションには様々な施設を入れる予定じゃが、ここまで質問はあるかね?」
豪華なマンションだと知ったホロメン達がざわつくなか、鉄平に質問をしようと0期生のときの そらが質問しようと挙手をする。
「すみませんが、質問をしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わぬよ」
「様々な施設を作るとおっしゃいましたが、具体的にはどういった施設でしょうか?」
「そうじゃな。アイドル業に必要なトレーニングルームや少数のコラボ配信用のミニスタジオ。それと、君達だけが利用できる店舗などを考えておる」
鉄平の言葉を聞いたホロメン達がざわめくなか、同じ0期生の星街 すいせいが鉄平に質問する。
「あの、失礼なことを聞きますけど、私達専用のマンションを建設する資金はカバー株式会社にはあるんでしょうか?」
彼女の忌憚のない意見に、鉄平は真摯に答える。
「資金はカバー株式会社も出しておるが、輪島重工をはじめとする我が社に資金提供している企業も出しておるよ」
カバー株式会社は、セキュリティーのあるマンションにホロメン達を住まわせることで株主達を安心させるために。輪島重工をはじめとしたカバー株式会社に資金を提供している企業は、弱体化してしまったテレビ業界に見切りをつけて、ネットでアイドルをメインに配信者として活躍しているホロメン達に協力するためにそれぞれの利害が一致したため、このような高層マンションが計画されたのだ。
そのような思惑が分からないホロメン達は、鉄平の説明を聞いてもどうして自分たちが優遇されるのか分からず戸惑うのだが、そんななか1期生の夏色 まつりと白上 フブキの新人マネージャーとなった有栖川 俊太郎が挙手をする。
「質問があるのですがよろしいでしょうか?」
「構わぬよ。何が聞きたいのかね?」
「き、聞きにくいんですけど、僕達マネージャーの家賃はどれくらいなんでしょうか?」
有名なアイドル達が所属しているタレント事務所でもマネージャーの給料は決して多くは貰っておらず、分不相応なマンションに強制的に住まわせられるので家賃が気になってしまったのだ。
「マネージャーの家賃は無料じゃよ」
「むっ、無料なんですか? 無料で良いんですか!?」
「身の安全を守るためとはいえ、半ば強制的に住まわせるための処置だから家賃は我が社が全額負担するよ」
そう言うと、有栖川はホッとしたのか安心した表情になったが、今度は自分たちの家賃が気になったのか5期生の桃鈴 ねねが質問する。
「ねーねー、如月さん。ねね達の家賃はどうなるんですか?」
「君達の家賃も、もちろん我が社が全額負担するよ」
「へっ!? いいの?」
「君達タレントの安全を図るためとはいえ、強制的に住まわせるのだから我が社が負担するよ。もちろん、引越し費用も我が社が出すよ!」
この破格の待遇に一部のホロメン達は歓喜の声を上げて喜び、一方のマネージャー達はこの展開についていけず呆然としていた。
この光景を見て鉄平が微笑み、おもむろに腕時計を見たら、時計の針は11時を指していた。
「さて、質問が無いならこれで終わろうと思う。この机の上にマンションに関する資料を置くので、興味が有れば手に取って目を通してほしい。要望があれば、ワシに話しかけてくれるとありがたい」
そう言って辺りを見回すと質問する者達は現れず、鉄平は谷郷社長に報告するために会議室を後にした。
「ねぇ、見て見ておかゆ。私達が利用できる店舗の中に『喫茶やすらぎ』が入ってるよ!」
「本当だっ! 良かった〜♪」
ゲーマーズの戌神 ころねと猫又 おかゆは、憩いの場になっていた喫茶店が利用できるのか確かめるために鉄平が置いていった資料に利用できる店舗の中に入っていたので二人は安堵していた。
「それにしても、本当にこんなところに住めるのかな? 夢みたいな話でドッキリだと思っちゃうよ……」
「うーん。ボクも疑問に思うけど、如月さんが言うからには本当だと思うよ。まぁ、夢みたいな話だけどね……」
何とも夢のような話で、ころねはなかなか信じられず忌憚のない意見をおかゆに述べる。おかゆは鉄平を信用しているが、困った表情でころねの意見に同調してしまう。
他のホロメンも「ドッキリじゃないのか?」と疑い、会議室を見回し隠しカメラを探すほどだ。
だが、鉄平を信じて疑わないホロックスの総帥ラプラスだけは無邪気に喜んでいた。
「なぁ、有栖川……。とんでもないことになったっスね……」
「はぁ……」
ゲーマーズのマネージャー長谷川が呆然としつつも呟き、新人マネージャーの有栖川 俊太郎が軽く頷く。
タレントと共に高層マンションに住むという展開についていけず呆然とするも、俊太郎は資料を読みながら意見を述べる。
「それにしても、マンションの周辺に派出所を作るって凄いですよね……。警視庁と連携している可能性もあるし、ホロメン達はこのマンション計画はドッキリって思っていますけど、このマンション計画は本当かもしれませんね……」
そう言うと、長谷川はそんなことまで書いているのかと驚き、資料を食い入るように見ていた。
「ところで、えーちゃんさんに質問があるんですけど……」
「えっ。どうしたの、有栖川くん?」
俊太郎はどうしても聞きたいことがあったので、今度はえーちゃんに質問する。
「マネージャーの件は、どうなりましたか? どうしても、気になってしまって…」
テレビ業界に見切りをつけたマネージャーをスカウト出来るかもしれないとえーちゃんの考えを聞いた俊太郎は、その後どうなったのか気になり質問したのだ。
「じ、実は……」
えーちゃんは苦虫を噛み潰した表情で話し始める。
鉄平にそのことを相談をしてテレビ業界に人脈を持つ社長に経験豊富なマネージャを10人ほど紹介された。だが、鉄平は念の為に自分が懇意にしている探偵事務所にマネージャー達の素行調査をしたところ、7人が色々と問題があったので雇うことを見送った。そして、3人は問題が無かったためホロライブ事務所に移籍することが決定した。
その話を聞いた俊太郎は、三人しか雇えなかったことに絶句する。そして、それを察してしまったえーちゃんは俊太郎に謝罪する。
「事務所のホームページでマネージャーの求人を募っているから……。ごめんなさい……」
「いえっ、即戦力のマネージャーが三人も雇えたんですから、それで十分ですよ!」
俊太郎の必死のフォローで、えーちゃんは普段の表情を取り戻したが彼の心中は落胆していた。
タレント事務所で働いていたベテランマネージャーが10人も雇えれば、ホロメン達も自分たちでスケジュールなどの管理することなく全力で仕事が出来るのだ。だが、三人しか雇えなかったのは正直厳しく、ネットで大々的にマネージャーの求人をしても自分のような素人ばかりが殺到するだろうと考えてしまい、俊太郎は前途多難になるだろうと誰にも気付かれないようにため息をついた。
オリキャラの設定集を書いた方が書くべきなのか迷ってます。書くべきなのでしょうか?
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はい。お願いします。
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いいえ。結構です。
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それよりも、小説を優先して投稿してくれ