再就職先は、ホロライブのスタッフに決まりました 作:DXフルーツパフェ
午前九時。
獅白 ぼたんは自分のスマホに設定された目覚まし時計の電子音が部屋に鳴り響き、ようやく体を起こして目覚ましを止めた。
大きなあくびをすると、さっそくスマホのスケジュールアプリに目を通す。
(えーと、12時にはホロックスとスタジオでコラボ配信の収録。17時はダンストレーニング。19時にはわためと食事を兼ねての打ち合わせか……)
あれから一週間が過ぎた。マネージャーの岩田の配慮で神威にはマネージャー室の雑用を押し付けて、自分達に顔を合わせることなく安心して快適に仕事をすることが出来た。だが、ラミィだけは不安なのか、ぼたんと一緒に仕事が出来るようにスケジュール調整が行われていた。厳つい顔をしているが、配慮してくれる岩田マネージャーに感謝しつつ、身だしなみを整えると普段着に着替えて事務所に向かうためにタクシーを呼ぶのだった。
「ハイっ、カット! みなさん、お疲れ様でした」
ホロックスとぼたんのスタジオのコラボ配信が無事に終わり、楽屋に戻るとラプラスが急いで帰り支度を終わらせてぼたんに挨拶する。
「ぼたん先輩、今日はありがとうございました。吾輩はこれで失礼します! おい、行くぞ! 柏木!」
「はっ、はい。お疲れ様でした」
ラプラスに続き新人マネージャー蓮もぼたんに挨拶すると二人は足早に楽屋を出てしまい、ぼたんは不思議そうな表情でルイに質問する。
「ラプちゃんどうしたの? せっかく、みんなでご飯食べようと思っていたのに……」
「すみません、ぼたん先輩。ラプはこれから京都に行くんですよ」
「京都に!? 一体どうして……」
なぜラプラスは京都に行くのか理由が分からず、ぼたんは怪訝な顔になるがいろはが答える。
「京都にある和菓子屋の松屋さんの企業案件をラプ殿は任されたので、打ち合わせをするために京都に向ったのでござるよ、ぼたん先輩」
「そうだったんだ……。せっかくホロックスのみんなと食事したかったんだけどな……」
ラプラスが企業案件を任されて嬉しい反面、一緒に食事が出来ないことにぼたんは落胆するがクロヱをはじめとしたメンバーが喜んだ。
「ぼたん先輩、私は大丈夫ですよ!」
「こよも大丈夫ですよ。ところでどこで食事をするんですか?」
「うーん。人数多いから焼肉でいいかな?」
ぼたんがそう尋ねるとみんな笑顔で頷き、ぼたんが予約をしている焼肉屋にタクシーで向かった。
人気の焼肉店に着いたぼたん達は予約してある個室に行き、全員席に座るとぼたんが微笑みながら口を開く。
「私の奢りだからさ、遠慮なく食べてよ」
ぼたんがそう言うと、ホロックスのメンバーは彼女にお礼を言って、メニューを見ながらタッチパネルで注文する。そんな中で、ぼたんが質問する。
「ところでさ、ラプちゃんと一緒にいた人って誰なの? 新しいマネージャーさん?」
「はい。今年入社してきた柏木君です」
ぼたんの質問に答えたのは、注文を終えたルイだった。続けて彼女は口を開く。
「彼、凄いですよ! 彼が如月さんに進言したおかげで、ラプに企業案件をもらうことが出来たんですよ。ところで、ぼたん先輩のところにも新人さんが来たんですよね?」
「来たんだけどね……。色々と問題があって、最近は会ってないんだよね……」
ぼたんが困った顔で話すと、ホロックスの中でその新人を知るクロヱは頷きながら口を開く。
「ああ、その新人って神村って名前ですよね……。イケメンだけど終始笑顔で、何考えているか胡散臭い男でしたね」
「そんなにひどい人でござるか……。如月さんに報告した方が……」
話を聞いていたいろはが二人の会話に割り込み提案するが、ぼたんが慌てて口を開く。
「いやっ、まだそこまでする段階じゃないよ。もし、何かしてきたら岩田マネージャーに相談するから」
ぼたんがそう言うと、ホロックスは5期生担当で強面の岩田マネージャーを思い出し、この人ならば何とかしてくれるだろうと安心して、ルイは焼肉を奢ってくれるぼたんに感謝の意を述べる。
「ぼたん先輩、今日は本当にありがとうございます」
「いいって、一緒にご飯を食べたかったし、聞きたいこともあったからさ」
「聞きたいことですか……。私達で良ければ……」
普段からぼたんとは仲良くしてもらっているので、ルイは先輩である彼女の言葉に耳を傾けた。
「ところで、ホロックスは如月さんとは仲良いよね?」
「えっ、ええ……。まあ……」
「率直に聞くけどさ、如月さんって本当に元刑事なの?」
「本人が刑事って言っていますから……。ぼたん先輩はどうしてそう思われるんですか?」
ルイがそう言うと、ぼたんは躊躇いながらも口を開く。
「私の勘だけどさ、如月さんのあの隙のない動き、そして気配を完全に消すなんて芸当は普通の人間は出来ないよ……。刑事なのにそこまで修練する必要はあるのかなっと思ってさ、疑問に思っているだけ……」
ぼたんの返答にみんなは思うところがあるのか静まり返るが、いろはが口を開く。
「あの……ぼたん先輩。疑問に思っているなら、本人に聞く方がいいでござるよ」
「うーん。それも一つの手だけど、本人は素直に答えてくれるかな……」
ぼたんが苦笑いを浮かべながら言うと、クロヱが注文した高級カルビを持ってきた店員が部屋に持って来た。
「さあ、難しい話はこれでおしまい。じゃんじゃん、食べようか」
ぼたんは手を軽くパンっと叩き、鉄平の話をすることなく全員高級焼肉を堪能するのだった。
一方、ホロライブ事務所のマネージャー室で一つの企画書を巡って、えーちゃんは一人で頭を悩ませていた。
それは、社長相談役である鉄平にインタビュー形式で配信しようという企画書だった。なぜ、このような企画書が発案されたのか? 理由はホロメン達の配信で鉄平のことを語られるたびに、なぜ元刑事がホロライブプロダクションに再就職し、尋常ではあり得ない出世を果たした人物をリスナー達は次第に興味を持ってしまったのだ。
あとは鉄平にこのことを報告する予定だったが、今日は出社しておらず、そして想定外の出来事が起きた。警視庁から連絡があり「如月 鉄平に関する情報をこれ以上公開するな!」という抗議が出されたのだ。
どうして警視庁がこのような抗議が送られたのが分からず、えーちゃんが悩んでいるとドアをノックする音が聞こえた。
「開いてますよ」
入るように促すと、入って来たのは黒スーツに身を包み黒ネクタイをしている鉄平だった。
「どうしたんですか、如月さん。どなたか亡くなったんですか?」
「ああ……。輪島重工の会長が今日の明け方に亡くなったよ……。友人がまた一人減ってしまった……」
「えっ!? でも、ニュース見ましたけど、そのような報道はありませんでしたよ」
「マスコミには、明日発表すると言っていたよ……。ところで、ワシの留守中に変わったことは無かったかね?」
「実はこの企画書を如月さんに渡そうと思っていたんです」
えーちゃんがそう言って鉄平に企画書を渡すと、目を細めながら呟く。
「ほう、ワシのインタビューを……。しかし、ワシのような男にみんなは興味があるのかね?」
「あのですね、如月さん……。中途採用枠でホロライブプロダクションに入社した60歳の元刑事が、今は社長相談役に大出世したんですよ! 注目されない方がおかしいんですよ……」
異例の出世や経歴に無関心な鉄平にえーちゃんは呆れつつも自分の意見を述べると、鉄平は渋面を作りながら口を開く。
「ワシは一向に構わぬが、警視庁が抗議してきたじゃろう?」
「そっ、そうなんです! それで、どう対応していいか分からず、如月さんに相談しようと思ってたんです」
鉄平は目を閉じて、しばし思案して口を開く。
「インタビューの件は引き受けよう」
「宜しいんですか?」
「噂が一人歩きして、好き勝手なことを言われるくらいなら公表した方がいいじゃろう……。警視庁の方はワシがなんとかしよう」
「分かりました……。では、私はインタビューの構成を考えますから、警視庁の方はお願いします」
そう言うと、鉄平は自室に戻るためにマネージャー室を出た。
えーちゃんには言わなかったが、鉄平がインタビューを引き受けた理由はもう一つある。それは、自分の経歴を疑う一部のホロメンがいるのだ。
例えば、ホロメン専用のマンションの説明会の時に、5期生の獅白 ぼたんが自分のことを警戒していること。そして、最近になって自分に縁があるホロックスと接触していることも確認している。
そのような疑いを払拭しようと、鉄平はまず警視庁を説得しようと考えを巡らすのだった。
オリキャラの設定集を書いた方が書くべきなのか迷ってます。書くべきなのでしょうか?
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はい。お願いします。
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いいえ。結構です。
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それよりも、小説を優先して投稿してくれ