再就職先は、ホロライブのスタッフに決まりました   作:DXフルーツパフェ

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Mr.エメト様、芋プレート様、でんでん虫カルゴ様、ハーバート ウェスト様、エレブー様、評価して頂きありがとうございます。


第24話 鉄平、総理に会う

 

 

「何ですと!? 総理がワシ達に会いたいと……」

 

「そうです。原宿・ホロライブ事務所騒乱事件に巻き込まれたタレントに、謝罪したいと申されまして……」

 

「そうですか……」

 

「今週の日曜日の午後六時。場所は銀座の料亭『月島』で総理にお会いすることは可能でしょうか?」

 

「もちろん、可能です。快くお受け致します」

 

「分かりました。総理にそのようにお伝えいたします。それでは……」

 

 電話を切ると、鉄平は一息ついてスマホを取り出し、えーちゃんに電話をかける。

 

「もしもし、えーちゃんかね? ワシじゃがのう、星街さんとさくらさんを至急ワシの部屋に来るように伝えてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、ホロックスはラプラスの生誕祭ライブに向けて、事務所のボイストレーニング室で練習に勤しんでいるところに、新人マネージャーである柏木が慌てた様子で現れた。

 

「皆さん、すみませんが練習は中止してください!」

 

 そう言うと、真面目に練習していたホロックスの総帥であるラプラスが、納得していない表情を浮かべながら不満を口にする。

 

「何事だ、マネージャー! せっかくボイストレーニングをしているのにっ!!」

 

「まっ、まあまあ、ラプ殿……。柏木マネージャーに事情を聞くでござるよ」

 

 いろはは苦笑いを浮かべながらラプラスを窘めると、柏木マネージャーは息を整えて口を開く。

 

「如月相談役からの連絡で、至急自分の部屋に来てほしいと言うことです」

 

「至急って……。そんなに急いで部屋に行かないといけないことなのか?」

 

「それが……。内容も言わずに、とにかく自分の部屋に来るようにとのことです」

 

 柏木マネージャーがそう言うと、それを聞いていた鷹嶺 ルイが首を傾げながら口を開く。

 

「内容も言わずにって……。如月さん、よほど慌ててるみたいね……」

 

「うーん……。今日の午後から、生誕祭の初顔合わせに『ぶいすぽっ!』から橘 ひなのさんと八雲 べにさんに会う予定だから、早くじーちゃんの部屋に行こうか!」

 

 そう言いながら、ラプラスはこの部屋を出ようとするが沙花叉 クロヱだけが難色を示す。

 

「えーっ、せめてさシャワーを浴びてから行こうよ! 汗を流さないと……」

 

「汗ぐらいタオルで拭けばいいだろう!」

 

「クロヱ、まさかお風呂に入ってないの?」

 

 ルイの質問に、クロヱは顔を俯きながらか細い声で答える。

 

「はっ、入ったもん……。おっ、一昨日は……」

 

「一昨日はって……。昨日は、お風呂に入っていないのでござるか? 暑い日が続いているのに……」

 

「だっ、だって、色々忙しかったんだからお風呂に入れなかったんだもん! 仕方ないじゃん!!」

 

 クロヱの言い訳を聞いた他のメンバーはドン引きしつつ、ラプラスは自分の鼻を指でつまみながら指示を出す。

 

「クロヱ、お前だけはシャワーを浴びて来い! 体を入念に洗って、じーちゃんの部屋に来いよ!!」

 

「鼻をつまむな〜! イジメです! 今、イジメが発生していますっ! ルイ姉、ラプラスを叱ってよ!」

 

 クロヱが悔しい顔を浮かべて抗議すると、ルイも自分の指で鼻をつまみながら口を開く。

 

「クロヱ、私達は先に行くから……」

 

「ゆっくりシャワーを浴びてくるでござるよ!」

 

「じゃあ、先に行くね、クロたん!」

 

「ルイ姉達まで鼻をつまむことないじゃんか! イジメだ〜! 絶対、如月さんに言うからな〜!!」

 

 クロヱの絶叫がボイストレーニング室でこだまするなか、他のメンバーは汗をタオルで拭きながらこの部屋を出るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じーちゃん、吾輩達が来たぞー!」

 

 そう言いながら、ノックもせずにドアを勢いよく開けると、ソファに座ってお茶を飲んでいたさくら みこは、驚きのあまり咳き込みながらもラプラスに注意する。

 

「おい、ちびっ子! ドアを開ける時はノックぐらいしなさい! ビックリするだろ!!」

 

「すっ、すみません……。吾輩達だけが呼ばれたと思って、つい……。ごめんなさい」

 

「わっ、分かったらいいにぇ」

 

 素直に謝るラプラスにみこは驚きつつ謝罪を受け取り、今度はみこの隣に座っていた星街 すいせいが疑問を呈する。

 

「ところで、クロヱちゃんは?」

 

「あいつはシャワーを浴びています……。臭いんで……」

 

「ああ……」

 

 クロヱは配信でもお風呂は苦手と言っていたので、すいせいは数日間の間は体を洗っていないのだろうと想像して複雑そうな表情をするなか、鉄平が口を開く。

 

「分かった。沙花叉さんが来てから話そう。柏木くん、すまないがこれから大事な話をするので席を外してくれ」

 

 そう言うと、柏木マネージャーは頷き、この部屋を出て行った。

 

「久しぶりにこのメンバーが揃ったが、みんなは元気にしていたかね?」

 

 笑顔で話す鉄平に、真っ先に返事をしたのはラプラスだった。

 

「おう! 元気だったぞ、じーちゃん」

 

「随分と元気じゃないか。生誕祭の進捗は進んでいるのかね?」

 

「うん、もちろん進んでいるぞ! ライブ会場も押さえたし、今日の午後からは生誕祭のゲストと打ち合わせをする予定だ!」

 

「へー、順調に進んでいるんだね。もし、困ったことがあれば相談に乗るからさ、遠慮無く言ってね」

 

「ありがとうございます。すいせいさん」

 

 それから和気藹々(わきあいあい)と雑談していると、ドアをノックする音が聞こえて鉄平が部屋に入るように促すとドアが開いた。

 

「遅くなってすみませんでした!」

 

 頭を下げて部屋に入ってきたのは、クロヱだった。急いで来たのか、髪の毛は乾かす暇も無かったのだろう濡らしたままだった。

 

「シャワーを浴びていたんで遅くなりました。それより、聞いてください! 私、ラプラスたちにイジメられたんですよ!」

 

 事情を知らない鉄平は困惑するなか、ラプラスが怒りの声を上げる。

 

「何言っているんだ! お前が毎日風呂に入らないからだろう!」

 

「ラプ殿の言う通りでござるぞ」

 

「百歩譲って寒い日だったら二日に一回ぐらいでもいいけど、まだ八月なんだから毎日お風呂に入らないと、さすがに臭うよ」

 

 ラプラスだけでなく、いろはやこよりまで声を上げて反論すると、さすがのクロヱも声を詰まらせた。

 

「えっ!? こんな暑い日が続いているのに、毎日お風呂に入らないの!?」

 

 みこは驚きのあまり目を丸くし、すいせいはもう何も言えず呆れた表情を浮かべていた。そして、これまでのやりとりを聞いていた鉄平がやんわりと注意をしようと口を開く。

 

「のぉ、沙花叉さん。お前さんもアイドルなんじゃから、お風呂くらい入らんと仕事相手が不快な思いをするだけじゃぞ」

 

「ううっ……。わっ、分かりました。努力はしてみます……」

 

 沙花叉は苦虫を噛み潰した表情で頷き、その姿を見た鉄平は手を叩き口を開く。

 

「さて、沙花叉さんも来たことだし、君達を集めた理由を話そう。実はな、ある人物が君達に会いたいと言ってきたのじゃよ」

 

「ある人ですか? 一体誰でしょうか?」

 

 ルイが首を傾げて口を開くと、鉄平は一呼吸置いてから口を開く。

 

「ふむ……。東郷総理大臣が君達に会いたいと申し出があったんじゃよ」

 

 その言葉を聞いたみこは、自分たちを驚かすドッキリだと思い口を開く。

 

「おじいたん、嘘はいけないにぇ! どこかにカメラを置いてあるんじゃないかにぇ!」

 

「嘘なんかつかないよ。総理の秘書から電話が来て、君達に会いたいと申し出があったのだよ。そうでなければ、仕事を中断させて君たちを呼ばないさ」

 

 すいせいも信じられなかったのか、鉄平に疑問をぶつける。

 

「あの、もしそれが本当だったら、私たちに会う目的は何なんですか? 心当たりがなくて……」

 

「総理の秘書が言うには『原宿・ホロライブ事務所騒乱事件』に巻き込まれたタレント達に謝罪したいと申し出があったんじゃよ」

 

 みことすいせいにとってあの忌まわしい事件を思い出してしまい表情を曇らせるなか、そんな二人をよそにラプラスは腕を組んで複雑な表情で口を開く。

 

「まぁ、あの事件はテロリストではなく、ヤクザ崩れと闇バイトの少年達が起こした事件だがな……。それにしても、東郷総理が吾輩達を呼び出すとは……」

 

「知っているのでござるか、ラプ殿?」

 

「知っているも何も、今マスコミが騒いでいる人物だぞ。魔族だけ日本に入国する時の規制を緩和したり、台湾有事を未然に防ぐために尖閣諸島に軍事基地を作ると宣言したりと色々と物議を醸し出す人物だ。そんな人物と会っているところをマスコミに知られたら、吾輩達にとってマイナスになるんじゃないのか?」

 

「そのことは総理も考えておるよ。会うのは銀座の料亭じゃから、マスコミも騒がないだろう。他に質問があるかね?」

 

 鉄平がそう言うと、クロヱが手を挙げて尋ねる。

 

「あの断るってことは……」

 

「残念ながら特別な理由がない限りは難しいな」

 

「えー、めんどくさいから断ろうと思っていたのに……」

 

「すまんが断るのだけは勘弁してくれ……。他に質問は?」

 

 鉄平がそう言いながら見回すと、誰も手を上げる者がいなかった。

 

「質問が無いのなら、ここで打ち切ろう。今週の日曜日の午後三時にホロライブ事務所に集合して、そこから目的地の料亭に向かうので遅刻しないようにしてほしい。もちろん、他言無用でマネージャーにもこのことは言わないでくれ」

 

 鉄平がそう言うと、全員が頷き、しばらく雑談した後、ホロメン達は次の仕事場に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、時は過ぎ日曜日の午後五時三十分。

 

 鉄平達は社用車の車で、銀座の料亭「月島」に着いて全員車から降りると、スーツ姿で笑顔で近づく頭にツノを生やした女性が現れる。

 

「ヨォッ。みんな、久しぶりだな!」

 

 近づく女性の正体は桐生 ココだった。久しぶりに会う人物に、ホロメン達は彼女に駆け寄り会話をするなか、スーツを着た無表情の美しい女性が鉄平に近づいて挨拶をする。

 

「お久しぶりです。如月様」

 

「おう。お前さんは確か正造に仕えていたメイドではないか? お前さんも呼ばれたのかい?」

 

「はい。その通りでございます……」

 

 二人が会話をしているとすいせいは険しい顔で近づき、口を挟む。

 

「あんた! あの時の……」

 

「どうした、星街さん。そんな怖い顔をして……」

 

「如月さん、この人は原宿の事件の時に、いきなり私を気絶させたんですよっ!」

 

「あっ、みこもこの人に気絶をさせられたのにぇっ! 何であんなことをしたんだにぇ!!」

 

 二人はあの時のことを思い出し、怒りに満ちた表情で追求するのだが、彼女は無表情のまま高揚のない声で答える。

 

「あの時、パニック状態になっていたあなた方に説明するより、気絶をさせて逃走することを優先しただけです。すみませんが、あなた方と話す気もないのでこれで失礼します」

 

 そう言って、彼女は二人に一礼して料亭に入った。

 

「なっ、何よ、あの人! 失礼すぎる!!」

 

「本当だにぇ!!」

 

 二人は彼女の素っ気ない態度に怒りの形相になるが、当時その場にいたいろはは打ち明ける。

 

「先輩方、落ち着くでござるよ。でも、あの女性が言うように当時の原宿は危険地帯で、スタジオの裏口にいた少年達は銃を持っていたでござるよ」

 

「ほ、本当なのそれ!?」

 

「本当でござるよ、すいせい先輩。実際、その銃を見ましたし……」

 

「でも、説明してもらえば、みこ達は逃げてたにぇ!」

 

 いろはに当時のことを説明しても、なおも納得できないみこは反論するが、これまで話を聞いていた鉄平が口を挟む。

 

「じゃがのう、いきなりビルにバズーカが撃ち込まれて、二人は混乱していたのだろう? そんな状態で彼女に説明されても、納得できたかね?」

 

「そっ、それは……」

 

「もし、ワシが彼女の立場だったら、ワシも同じようにやっていたかも知れぬの……」

 

「……」

 

 鉄平の説明を受けた二人は、これ以上の反論せず渋々ながらも納得して、料亭に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、東郷は三十分前に料亭に到着し、菅原と共に如月達の到着を離れ個室で待っていた。

 

「そろそろ、如月君達が来ることだろう……」

 

 東郷がそう言うと、菅原は腕時計を見ながら同意する。

 

「そうですね……」

 

「如月君と会うのは魔界で行われた親善武道大会以来だな……。少しだが緊張するよ」

 

 東郷がそう言うと、何やら姦しい声が聞こえてきた。

 

「オウッ! すごい庭園だな!」

 

「見て見て、会長。池に鯉がいっぱい泳いでるにぇ〜」

 

「あの鯉はな、非常食用に飼われているんだぞ!」

 

「そうなのか!? 物知りだな、チビッ子!」

 

「いや、どう見ても観賞用の鯉ですよ……。ラプ、ココ先輩にウソをついてどうするのよ!」

 

 この声に菅原は顔を顰めながら口を開く。

 

「どうやら来たようですね……」

 

「ふふっ、緊張している様子もないか……。さすが、日本を代表するアイドルだな……」

 

 東郷が彼女達をそう評すると、ドアをノックする音が聞こえた。

 

「失礼致します。先生、如月様達をお連れいたしました」

 

「女将か……。ああ、お通ししてくれ」

 

 東郷がそう促すと、女将はドアを開けて、如月達に席に座るように案内する。

 

「久しぶりだな、如月さん。見ないうちに随分と出世したなぁ……」

 

 東郷がそう微笑みながら話すと、鉄平は慌てて弁明する。

 

「いっ、いえ……。先生と比べたら、私なんか……」

 

「本当なら君と交えて話をしたいが、まずは彼女達だけで話がしたい。すまないが、君だけ席を外してもらえないかな?」

 

「分かりました……」

 

「すまないな……。君のために一席を設けている。菅原くん、案内しなさい」

 

「分かりました……」

 

 そう言うと、鉄平を案内しようと菅原は立ち上がり、二人ともこの部屋を出るのだった。無愛想な表情で案内する菅原の姿に不快に思ったのか、ラプラスは思わず口に開く。

 

「何だ、アイツ! 無愛想な奴だな……」

 

「そう言ってくれるな。菅原くんは元警視総監で、如月くんと仲が良いんだ。今日はあれで機嫌が良い方なんだよ、ラプラスさん」

 

「そうなのか? というか、何で吾輩の名前を知っているんだ?」

 

「君だけじゃない。ここにいるみなさんの名前は知っているさ。さて、君たちとどうしても会いたかったのは、私の政権下であのような事件が起こり、君達を不安にさせて誠に申し訳なかった」

 

 そう言うと、東郷は深々と頭を下げて謝罪すると、すいせいは質問しようと口を開く。

 

「あの謝罪はいいです……。それよりも聞きたいことがあるんです……。私達を襲ってきた連中は、どうなるんですか?」

 

「みこもそれを聞きたかったにぇ……。アイツらが刑務所から出てきたら、きっと私達に復讐するもん……」

 

「本当ならば、君達に教えることは出来ないが、特別に話そう……。そのために菅原くんを追い出したしな……」

 

 東郷がそう言うと、喉が渇いたのかテーブルに置いてあるお茶が入った湯呑みで喉を潤してから、再び話し出す。

 

「結論から言うと、彼らは二度と刑務所から出所しないように、テロリストとして扱うことを政府として決定したんだ。裁判所は、死刑か仮釈放無しの無期懲役を判決を下すだろう……」

 

「闇バイトの少年達をテロリストにでっち上げたのは、それが理由なのか? あれだけの騒動を起こしたんだから、極刑になると吾輩は思うんだがな……」

 

「甘いな……。もし、彼らが未成年だとマスコミに知られたら、それを理由に弁護士会や人権団体が減刑するように活動するだろう。例え、彼らが金目的で人を殺そうとしていた理由でもな……。だから、彼らを危険人物と見做しテロリストとして扱うんだよ」

 

 それを聞いても、すいせいは不安なのか再び東郷に質問をする。

 

「あの、もし彼らが闇バイトの少年だとマスコミにバレたらどうするんですか?」

 

「私の政治生命をかけてでもマスコミにバレないように、最後まで彼らをテロリストとして扱うよ。減刑でもされて、彼らを野に放てば必ず害を及ぼす犯罪者だからな。だから、君たちは安心して活動なさい」

 

 真剣な表情で話す東郷に、すいせいとみこは安堵したのかホッとした表情をするのだった。

 

 

 

 

オリキャラの設定集を書いた方が書くべきなのか迷ってます。書くべきなのでしょうか?

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