再就職先は、ホロライブのスタッフに決まりました   作:DXフルーツパフェ

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第7話 鉄平、轟専務に真意を問う

 

 

 

 

 

 

 

 鉄平がホロックスと契約を交わしている頃、ホロライブ事務所では大川の処分を決めるために谷郷社長を交えた緊急役員会議を開き、その結果無期限の出勤停止が決まった。

 

 最初は役員の中には大川マネージャーの所業を疑う者もいたが、轟専務が大川の暴言を録音しており、それを公表したのが決め手となって彼を庇っていた役員は口を閉ざしてしまった。その上、谷郷社長・轟専務の二人が大川に会議室で詰問したことで、中途採用枠で採用された如月 鉄平を誹謗中傷していたことも発覚してしまい、近いうちに大川が解雇処分になるのも時間の問題になるだろう。

 

 そして、大川に一任していた「ホロライブタレントの地上波進出計画」を轟専務が引き継ぎ進捗状況を調べたのだが、戌神 ころねに花菱社長を接待させるばかりでテレビ局に営業をしていないことが発覚したのだ。

 

 深夜にも関わらず、大川の部下達を呼び出し事情を聞くのだが口を濁すばかりで当てにならず、大川に心酔している戌神 ころねのマネージャーに至っては「大川マネージャーに任せれば、全てうまく行きます!」と言うばかりで話にならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、今日。

 

「ホロライブタレントの地上波進出計画」の第一号タレントである「戌神 ころね」と親友である「猫又 おかゆ」が消息不明になった以上、社長と相談してこの計画を破棄しようと考えていたところに轟専務が使っているパソコンに三通のメールが届いたのだ。

 

 メールの相手は、ホロライブ事務所を運営しているカバー株式会社に資金を提供している会社からだった。内容は三社とも共通しており、資金提供を打ち切るという一方的なものだったのだ。これには彼女も驚き、理由を知るために電話をするも「とにかく決まったことだから」と一点張りで話にならず、原因を探ろうとしているところにドアを叩く音が聞こえてきた。

 

「入りなさい」

 

 そう言うと、初老の男性が入ってきた。

 

 如月 鉄平である。

 

「初めまして、専務。今年入社してきた、如月……」

 

「きっ、如月さんですか。私は、轟 楓と言います。会社の所属タレントが行方不明で……」

 

「ああ、話しはえーちゃんに聞いているよ。ワシは轟専務に聞きたいことがあって、ここまで足を運んできたんだ」

 

「そうでしたか……。如月さん、申し訳ありませんが私は忙しいので後日……」

 

 轟専務は作り笑顔でやんわり断ろうとするが、鉄平は眼光鋭く見据えて彼女を問いただす。

 

「単刀直入に聞きたい。どうして大川のような悪党を雇ったのだ?」

 

 鉄平がそう言うと、轟専務は彼のただならぬ威圧感に観念したのか、大川の噂を思い出すとため息をついて語り出す。

 

「確かに、正直に言って彼にはあまり良い噂は聞きません。ですが、実力もあり様々な業界の人脈もあったので採用したのです」

 

「彼に実力があれば、タレントが行方不明になる事態にはならんと思うがのぉ…………。ところで、専務。大川の噂が『真実』だとしたら、あなたはどうするんだい?」

 

「えっ!?」

 

 鉄平に痛いところを突かれて轟専務は顔を顰めるが、それよりも聞き捨てならないセリフを聞き思わず声を上げてしまう。というのも、彼女も大川の噂が真実であれば、会社に計り知れないイメージダウンを与えるので念入りに調査を行い、問題がなかったので彼をスカウトした経緯があったのだ。

 

「お言葉ですが、彼については身辺調査を行っているのでそのようなことはありません!」

 

 轟専務は鉄平を見据えて断言するが、彼は静かに語り出す。

 

「ワシが懇意にしている探偵事務所の所長に頼んで、大川のことを調べておいたんだよ。まず、これを見てほしい」

 

 そう言うと、鉄平は自分が愛用しているタブレットを轟専務に手渡した。彼女は手渡されたタブレットを見たら「大川 清に関する報告書」と映し出されていて、彼女は目を細めて恐る恐る指でスライドしていく。

 

 その報告書によれば、大川が勤めていた前の芸能事務所「スターライト」の駆け出しのアイドル達が次々と失踪しているのだ。だが、スターライトは警察に捜索願を出すどころか相談すらしていないのだ。そして、連絡が取れなくなって心配した彼女達の両親達も事務所を訪れてるのだが、事務所側は「彼女達は勝手にこの事務所を辞めたのだからわかりません!」と説明し、話を聞こうとせず門前払いをしているのだ。

 

(どういうことよ…………。スターライトは多くのアイドルや女優が所属している一流芸能事務所なのに…………)

 

 険しい表情になりながらも震える指で画面をスライドすると、不安げな表情を浮かべた少女と醜悪な笑みを浮かべた中年男性が一緒にホテルに入っていく画像が映し出された。

 

「えっ!? この子、里中 舞じゃないの! これは、どういうことよ!!」

 

 轟専務が声を荒げるのも無理もなかった。

 

 里中 舞とは、去年のアイドルの頂点を決める「アイドルグランプリ」の最優秀者に選ばれたスターライト所属の新人アイドルだった。このグランプリに選ばれたアイドルは、必ず成功を収めると言われていたのだが、彼女はその三日後に自宅で自殺未遂を起こしたのだ。幸い、命に別状はなかったが、いまだに意識不明で病院に入院している。

 

 遺書が無かったため、当時は世間を騒がせ、ネットの掲示板でも原因がなんなのか議論が白熱し、マスコミも彼女の実家に押しかけたほどだ。

 

 この画像に写っている中年男性の正体は、アイドルグランプリの主催しているテレビ局の社長であった。里中をマークしていたフリージャーナリストを自称する男性が撮ったのだが、その男性は車に轢かれて死亡したと書かれていて報告書は終了している。

 

(もしかしたら、大川はアイドルを業界人達にアテンドしたことでコネを築き上げたのね…………。スターライトがこの行動を黙認しているのは、きっと花菱社長がバックにいるからとしか考えられない。だとしたら私は…………)

 

 報告書を読み終えた轟専務は、自分の眼力の無さに悔しさを滲ませ苦虫を噛み潰したような渋面になった。

 

 そして、一呼吸を置いてから静かに如月の問いに答える。

 

「私が大川をスカウトしたのは、ホロライブに所属するタレントの知名度を上げるためです」

 

「ワシは素人だから分からんが、桐生さんのおかげでホロライブは海外に知れ渡っている。それだけじゃダメなのかい?」

 

「確かに海外には知名度が上がりましたが、国内では若い世代にしか知名度がありません。現に、年末に行われているテレビの歌合戦では、星街さんはおろか国内の配信者で活躍している歌手は一人も選出されていないのが現状です。少しでも彼女達に活躍の場を与えたかったんですが…………」

 

 そう言うと、彼女は手で顔を覆い肩を震わせて泣いてしまった。

 

 テレビ業界や経済界にコネを持つ大川を雇い、ホロメンの活躍の場を広げようとした轟専務だった。だが、その大川が駆け出しのアイドルを業界人にアテンドしてコネを築いたとなれば良心はもう捨てているだろう。そして、行方不明になったころね達も、大川の息がかかった人間に攫われたと考えた彼女は鉄平に土下座をして懇願する。

 

「お願いですっ! 彼女達を…………。戌神さんと猫又さんを大川から救ってあげてください!!」

 

「お、おいっ、あの二人は……」

 

「戌神さんも猫又さんも大切なタレントなんですっ! もし、彼女達が不幸な目に遭ってしまったら、彼女達の家族に申し訳が立ちません! 里中のようなことになってしまったら…………。私は……、私は…………。うっ、ううっ…………」

 

「なぁ、専務。そう、一人で全ての責任を背負い込むな」

 

「私が…………。大川を雇わなければ…………。ホロライブタレントの地上波進出計画なんて採用しなければ…………。こんな事にはならなかったんです!」

 

「大川を雇ったことも、その計画もあなたの独断ではなく、社長や役員も話し合って決めたのだろう? それよりも、お前さんは少し休むべきだよ」

 

 轟専務の顔をよく見たら目の下にクマができていたことが分かった鉄平は、彼女を休ませようとするが首を振って断った。

 

「休むわけにはいきません。今日、資金を提供していた三社が突然断ってきたんです! 私が休んだら……。くっ……」

 

 そう言いながら、彼女は原因を探ろうと急に立ち上がったために立ちくらみを起こしてしまい、倒れようとしたが鉄平が咄嗟に彼女の体を支えて、長いフロアソファーに寝かせた。

 

「鷹嶺さん、すまんが入って来てくれ!」

 

 すると、部屋の扉の前で控えていたルイが入って来た。

 

「すまないが轟専務を介抱してほしい。そして、彼女が起きたら全てを話してくれ」

 

「介抱するのは別に良いんですが、話しても大丈夫ですか? もしかしたら、花菱と繋がっているんじゃ……」

 

 ルイはソファーで小さな寝息を立てていた轟専務に疑いの目を向けるが、鉄平は首を振って否定する。

 

「ワシもそう思って彼女を問いただしたが、自分の保身よりも土下座をしてまで二人の身を案じて、泣いて頼み込んでいたんだ。そんな彼女がワシを騙すとは思えないんだ……」

 

「刑事の勘だがな」と一言付け加えると、ルイは何とか納得したようだ。

 

(しかし、状況はあまり良くはないのぉ)

 

 谷郷社長が力を入れているメタバース事業など金がかかる事業を抱えているのに、資金提供の打ち切りは正直に言って痛いのだ。今は三社だけが資金提供を打ち切っているが、このまま放置していればまだ増えていくだろう。

 

(このタイミングで三社が資金提供を打ち切ったのは、花菱が脅したかも知れぬなぁ……。さて、どうしたものか…………)

 

 鉄平がこの状況をどう打開するか思案していたら、一人の少女がこの部屋の扉をノックして来た。

 

「あっ、あの、部屋に入っても大丈夫でござるか?」

 

「いろはじゃないの。何かあったの?」

 

「あの、如月殿に話したいことが……」

 

「ワシにかい? 別に構わないよ」

 

 そう言うと、いろはは真剣な目で鉄平を見つめたまま口を開く。

 

「お願いします! わたしに如月殿の護衛をさせて下さいでござる!!」

 

 真面目な彼女がこの考えに至ったのは、鉄平から老後の資金になるであろう大金二百万円を受け取り、良心の呵責に苛まれて考えた末の行動だった。

 

 だが、鉄平からしてみたらルイと共に轟専務を護衛してもらうために断ろうとしたが、いろはの意志が固くやる気を削ぐのも可哀想に思えたのだ。何より、彼女を説得する時間も惜しかったので渋々ながらも了承する。

 

「……‥分かった。その代わり、ワシの指示に従ってもらうのが条件だが守れるかね?」

 

「もちろんでござる!」

 

 断られると思っていた自分の提案が通ったことを喜ぶいろはの姿を見て、鉄平は和んでしまい微笑むが頭の中では会社の危機をどう乗り越えようかと思案していた。

 

(こうなったら、あいつに頼るしかあるまい…………)

 

 思案の末に捜査第四課(マル暴)に所属していた時に、自分に恩義を感じている人物に頼ろうと決断する。本来であれば目の前にいる専務や自分の上司であるえーちゃんに相談すべきなのだが、何よりも時間をムダにしたくなかった鉄平は動き出す。

 

「鷹嶺さん、すまんがワシは今から出かける! 困ったことがあれば、すぐに連絡してくれ!」

 

 言葉短めに言葉を交わすと、鉄平はスマホで誰かと連絡を取りながら足早にこの部屋から出て行った。

 

 あまりの突然の出来事にルイは返事をする暇も無く呆気にとられ、いろはは「待つでござるよ〜」と鉄平の後を追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃。

 

 戌神 ころねは、霞ヶ関にある霞ヶ関総合病院で平穏な日々を送っていた。

 

 この病院に来た翌日に薬物検査を受け、結果は陰性と分かったころねはおかゆと共に抱き合って嬉し涙を流した。

 

 そして、今は病院の日が当たるラウンジのソファでくつろいでいたが、内心は穏やかでは無かった。

 

 なぜなら……。

 

(こっ、ここの病院の治療費…………。誰が払うんだろう…………)

 

 夜遅くにこの病院に来て最初に驚いたのはホテル並みのラウンジがあり、恰幅がよく品の良い男性が真剣な目でノートパソコンを見てたり、初老の男性と中年だが容姿端麗な男性が談笑していたのだ。

 

 そして、自分の病室に案内されるのだが、その病室は五階にあるVIP対応の個室だったのだ。驚いたころねは、警備担当となっている後藤に震える声で「普通の病室はないんですか?」と聞いたのだが、後藤は困惑した顔を浮かべて「申し訳ありませんが、この病室しかございません」と答えたのだ。

 

 薬物検査を終えたころねはおかゆと共に病院内を歩くのだが、最新技術の医療施設がある上に、地下には温水プールやボウリング場などのリハビリ施設という名の娯楽施設があるのだ。極め付けは、ノンアルコール対応のBAR(バー)や糖尿病患者対応の糖質制限されているスイーツ店もあるのだ。

 

(どっ、どうしよう…………。普通の病院じゃないと分かっていたけど、ここまですごい病院なんて……。こぉね、払えるかな……)

 

 ころねが顔を青ざめながら悩んでいたら、白衣を着た男性が話しかけてきた。

 

「どうしたんだい、戌神くん? 気分が悪くなったのかい?」

 

「松沼先生…………」

 

 ころねに話しかけていた相手は霞ヶ関総合病院の院長の松沼 栄一だった。

 

 彼は代々医者の名家であるが、名家特有の家柄を鼻にかけて一般人を見下すことはなく、気さくで優しい中年の男性だ。

 

 松沼はころねの近くにあるソファに座ると、彼女の不安な表情を見て心配になり声をかけたのだ。

 

「君のからだは健康なんだが、何か不安なことでもあったのかな? 無理に聞くつもりはないが、何か困ったことがあれば相談して欲しいんだ」

 

 親身になって心配している松沼に、ころねは院長の彼に迷いながらも治療費の金額を聞こうとする。

 

「あっ、あの…………。私の治療費とおかゆの宿泊費はおいくらなんでしょうか……」

 

 普通、正社員ならば会社が治療費を払うが、ころねやおかゆの場合はホロライブ事務社に所属しているが個人事業主だ。オリジナルCDやライブ等の活動の費用は全て彼女達が捻出しており、ホロライブ事務所は彼女達の活動をサポートするだけだ。

 

 そして、今回の場合も個人事業主であるころねが、自分の治療費とおかゆの宿泊費を払うものだろうと思い悩んだろうと松沼は察した。

 

「安心しなさい。私はホロライブ事務所に君の治療費と猫又くんの宿泊費を請求するが、君達に請求する気はないよ」

 

 笑顔で話す松沼だが、ころねはそれでも安心できず一抹の不安があった。

 

 それは、ホロライブ事務所を運営するカバー株式会社は、谷郷社長が力を入れているメタバース事業や大型スタジオを建設する予定だところねをはじめとするホロメンも知っている。それらを完成するには莫大な資金が必要なのはころねも知っており、自分達の治療費や宿泊費を払うゆとりはないだろうと落ち込むが、松沼は笑みを浮かべて口を開く。

 

「まぁ、如月さんがどうにかするさ。君は安心してここで静養しなさい」

 

「えっ!?」

 

 意外な人物の名前を聞いたころねは思わず声を上げた。彼女は訝しみながらも鉄平のことを聞いてみる。

 

「あの…………。如月さんって刑事さんですよね? どうして…………」

 

「如月さんはマル暴に所属していた頃に、暴力団に脅されていた資産家や企業を助けていたことがあったんだ。そのことで恩義に感じている人物が、如月さんに協力してくれるだろう」

 

「マルボウ? 如月さんって捜査第一課に所属じゃ…………」

 

「如月さんは捜査第一課の前に暴力団を取り締まっていたマル暴、つまりは捜査第四課に所属していたんだ。まぁ、詳しい話は本人に聞いてみるといい」

 

 最初は不安な表情だったころねだったが、今では鉄平に興味を持ったようで松沼に聞こうとするが、そこへスーツを着た一人の女性が近づいて来た。

 

 その女性は若くスレンダーな女性だ。そして、凛とした表情でころねの前で敬礼する。

 

「警視庁捜査第一課所属の橘 咲良巡査です! 戌神さんの護衛に参りました!」

 

 橘はハッキリとした口調で述べる。ころねは突然の出来事に呆然とするが、松沼は真面目な表情になり橘に忠告する。

 

「私はこの病院の院長の松沼だ。ホロライブ事務所の如月さんからの手紙を預かっている。内容は、戌神さんに事情聴取をする場合は、必ず私が立ち会うことを条件にしている。もし、その条件を破るなら警視庁に厳重に抗議をすると書いている。如月さんを怒らせたくなければ…………」

 

「きっ、肝に銘じます!」

 

 橘は変わらず凛とした表情で了承するのだが、鉄平が激怒した表情を思い出してしまい恐怖で悪寒が背筋を走り通った。

 

「あっ、あの…………。本当に刑事さんですか? 警察手帳を見せてほしいんですけど…………」

 

 刑事にしてはあまりにも美人だったので半信半疑になったころねは橘を疑うが、彼女は笑顔で警察手帳を見せた。

 

「これで信じてもらえたかしら?」

 

「ごっ、ごめんなさい! すごく美人だったから刑事って言われても、納得できなくて……」

 

 そう言って、ころねは顔を青ざめながら何度も橘に頭を下げるが、彼女は困った顔になり口を開く。

 

「私が美人? 生まれて初めてそんなことを言われたわ」

 

「うそだ! すごく美人だもん!!」

 

「私ね、小さな頃から剣道に明け暮れて男より強くなってしまったから、そんなことを一度も言われたことがないのよ」

 

 その証拠にころねに見せるように両手を広げて見せた。スレンダーな体なのに、指にはマメの跡があり手のひらがあまりにも分厚いのだ。これは竹刀を支えるのに筋肉がついてしまったせいなのだ。だが、それでもころねは納得することはなかった。

 

「ころさ〜ん♪ この美人さん、だ〜れ〜?」

 

 そう言いつつ、後ろから橘に抱きついたのはおかゆだった。病院の庭園を散歩していたが、ころねと橘が会話をしているところを見かけて混ざろうとしたのだ。

 

 橘はいきなりおかゆに抱き付かれるも、バランスを崩すことなく驚きながらも後ろを振り向き、彼女に注意する。

 

「ダメでしょ、猫又さん! いきなり、抱きついたら危ないでしょ!」

 

 だが、注意されたのに反省もせず、今度は匂いを嗅いで橘に質問をする。

 

「おねえさん、すごくいい匂いがするね。どんな香水を使っているの〜」

 

「香水は使ってません!」

 

「おがゆ! 橘さん、困っているでしょ! いい加減、離れないと迷惑でしょ!」

 

 マイペースで絡むおかゆに橘は翻弄されるが、助け舟を出したのはころねだった。

 

 ころねは橘に抱きつくおかゆを無理矢理剥がすが、今度はころねに抱きつき匂いを堪能する。

 

「おねえさんの匂いも良かったけど、やっぱりころさんの匂いが一番落ち着くよ♪」

 

「おがゆ……」

 

 ころねは照れつつも、橘が只者ではないと確信した。

 

 普通の女性はいきなり後ろから抱き付かれたらバランスを崩し下手をすれば倒れてしまうが、橘はバランスを崩すことなく平然としていたのだ。これだけで普段から体を鍛えており、体幹バランスが良いのが理解できた。それと同時に……。

 

(お、おがゆをたらし込むなんて、この人何者なの!? 警戒しないと……)

 

 ころねは嫉妬剥き出しで橘を睨みつけた。

 

(へっ!? なんで、戌神さんはこっちを見て睨んでいるの…………。何か悪いことをしたのかしら……)

 

 橘は、なぜころねが睨んでいるのか意味が分からず戸惑うのだった。

 

 

オリキャラの設定集を書いた方が書くべきなのか迷ってます。書くべきなのでしょうか?

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