世界の歌姫は夢の守り人と旅に出る   作:柳瀬悠

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海外に行きたいっていうか、世界を見て回りたいと思ってます。

フランスで優雅にフランスパンを齧り、アメリカではステーキバーガーを齧り付きながらディズニー、イタリアではピッツァを食べながらイタリア美人と優雅にワイン

取り敢えず今はお金を貯めるしかないけど、現実は世知辛い



東の海の風来坊記者 (2)

 

 

「襲撃、襲撃ダァァァァ、全員位置につけぇ!」

 

船の中心に取り付けられたベルのトンカチで叩きつけられる金属の接触する金属音と共に、船内にいる船員達の緊張感が高くなり、急いで所定の位置に着こうと走りまくっている。

 

黄色と緑のルージュカラーのバンダナをつける船長は、前方に見える海賊旗を見据えながら、重い舵輪を掴み、勢いよく回転させる。

 

最悪だ‥隣の島の交易が成功して金もたんまりはいたっていうのに、口の端を悔しそうに噛みながら、彼は海賊旗を、強まった眼差しで睨みつける。

 

この世界で生活するには島と島との交易しかない。一つの島で賄える、資材、食料、燃料にも限界がある。

 

つまり他の島との交易はいわば生命線、島が生み出した商品で生まれた「利益」を奪われれば、生きてはいけない。

 

自分達も島の果物や木材などを商品に、隣の島まで3日掛けて航海、そこには事前に商品の仕入れを知らせており、商談はスムーズに、今期の果物品質もよく、見積もった利益の2倍程の資金が舞い込んできた。

 

これは決して、幸運で舞い込んだ利益ではない。

 

島の農家家や職人達の努力賜物であり、努力と汗の証であり、商談を終えた後に、自分達の島では取れない調味料や衣服、子供達のおもちゃなどを仕入れた後に出航した。

 

っとさっきまで、島の皆んなが喜ぶ顔を想像しながら船員達と呑気に談笑していたのだが、状況は一変していた。

 

「おい、オメェらマストをしっかり掴んどけ、おいそこのアホども、急いで船室に入れてある樽もってこい!アイツらの足止めに使える」

 

「くっそ、海賊共なんでこうも、虫みたいにうじゃうじゃ湧いてきやがる。これで何度目だよ」

 

船でドタバタしている船員達に、檄を飛ばしているなか、下から上がってきた服船長が苦言を漏らす。

 

「文句を言う前に手を動かせ、積荷を奪われたら今回の成果もパッー、死ぬ気で動け、じゃねえと後で死ぬぞ」

 

「まぁ、分かってるけど、愚痴ぐらい言わないとやってけぇねえだろう。どはっ」

 

船は揺れた。船の左舷に大きな砲弾と共に大きな水飛沫が舞う、飛んできたのは海賊船、後方から迫ってくる海賊船から火薬の打撃音と共に砲弾が船の両側に落ちていく。

 

迫ってきてやがる。相手の船はガレオン船でこっちの船はその中くらいの大きさの商船、大砲もこちらの三倍積んでいる、スピードもある、今は距離を維持できているがいつまでもつか

 

このまま追いつかれたら、船の商品も持っていかれて船員達も人身売買されるか、殺される。最悪な状況を考えながら口を閉じ、ふいに苦笑する。

 

「おい、もしもの事があったらお前らは、出来るだけ商品を持って小舟で逃げろッ、この距離なら島につける」

 

「何言ってんだよ船長、俺達がアンタを見捨てて逃げれるわけねえだろう。アンタも一緒に」

 

「いいか、ここでお前らも死んだらどうなる。何も残らねえし、お前の家族も悲しみ商品も届かず仕舞いなら、血の繋がりがある身内なんていねえ俺が死んでも被害はねえ」

 

追いつかれた時の際の自分のすべきこと、それは仲間を生かし、島民を生かすために自分の命を捨てる覚悟で、敵を引きつけること、それ以外の方法は思いつかない。

 

仲間達が少ないが利益を持ち帰れば、待っている家族や仲間達は救われる。賭けるものが、自分一人の命と島民と仲間であれば、自分を捨てる方がいい。

 

覚悟した顔付きになった事が分かった副船長は、悔しそうに唇を噛んでいる。

 

俺の死場所はここだった訳か、たく、あの馬鹿は泣くかな。島にいる血の繋がりがない生意気な少年の姿を考えて、少し後悔がある。舵輪を掴み手が無意識の強まった。

 

そんな時だった。「お、おいあれなんだ」っとある一人の船員がある場所を指差した。全員が手元を止めてそちらに振り向いた。

 

「ありゃー、船だ。それも、なんかめっちゃカラフルなマストの‥」

 

一瞬海賊船かっと思ったが、マストには海賊旗に描かれている髑髏マークがなく、代わりにデカデカと『UTA』っと誰か名称とそれを囲む、何かのマスクが描かれていて、判断がしずらい。

 

海賊か海軍‥それとも何かの商船っかとよぉーく、見てみるがどの組織にもない特徴ばかりで、更に混乱するばかり。

 

「おいあの船、海賊船に真っ直ぐに向かってるぞ」

 

「えっ?」っと服船長が真顔になりながら告げる。本当だっと額の汗を浮かべながら、UTAっと書かれた船が凄いスピードで海賊船に突撃していく。

 

海賊船の方は、おいあれは何だとっと標的に集中していたせいでようやく気付いた時はもう既に遅く、真っ直ぐ進んだそれは‥

 

勢いよく船に激突した。船同士が接触した際の激突音はこちらにも響いてきた。埃と煙が立ちこみ、海賊船は急停止してしまった。

 

「なんか、分かんねえけど助かったのか俺ら」

 

「さぁな、取り敢えず今はあの、ファンシー‥のデザインの船を信じるしかねえ。おい、オメエら船に損傷がねえか調べろ、最悪また砲撃が来るぞ」

 

味方か敵か判断がつかない今は自分達の船と積荷の心配だ。取り敢えず様子を見て、あの船が味方が敵か判断する。

 

前者であれば味方をし、敵であれば逃げる。前者である事を祈りつつ、煙が立ち込める船を見ている。

 

 

 

何故こうなったのだ。

 

今日は、島の商船の月末の大規模取引の情報を、リークして予測通りの航路を通ってきた船を岩陰で確認した時、我々はほくそ笑んだ。

 

その後は予定通りに商船に砲撃し、敵が慌てふためいている姿を見ながら、じわじわと距離を詰めて、襲撃船の積荷をごっそり奪い、その後は手筈通りに船員は縛り放置と、トラブルさえなければなんとも簡単で余裕な仕事。

 

積荷はまた別の島で高値で売り捌き、金は船の整備費、船員達のボーナス、後は自分のへそくりにと、自分のズボンのポケットを軽く叩き、ヘラヘラと笑っていた。

 

そう余裕をこいていたのは20分ほど前、今現在は大きく状況が異なり本来であれば、余裕で終えられる仕事である筈が、右弦の方から急接近してきた船に激突されて、計画が揺らぎ始めた。

 

トラブルは予想外の方向からくるもので、完璧に回避する事はできない。ある人間の格言を聞いた事があるが、まさかそれが今だとは思わない。

 

「な、なんだ。何が起こった、私の船に体当たりしてきた間抜けなイカれた奴は」

 

大きく膨らました腹と太陽の反射で輝く頭を怒りで震わしながら、衝撃で倒れている部下に激昂する。

 

「相手の正体は、ふ、ふめい、船は恐らく片面が損傷、航海に問題はありませんが、先ほどの衝撃で先日新調した砲台「メタルナックル2世」は10台ほど海中に沈みました」

 

「なんだとぉぉぉぉ!ふざけるな、あの砲台は先日の武器オークションで、私が粘り粘って最後は恥を忍んで頭を反射させ‥ごっほん、輝かせてやっと買った特注品だぞ」

 

「申し訳ございません。確かに隊長‥いえ船長のあの見事なまでの光らせ具合は‥‥げ、芸術的なレベルで‥‥ぷ、ぷぷ」

 

必死に笑いを堪えて淡々と状況の説明をしていた部下から目を離し、損傷した右弦の瓦礫やら砲弾やらで撒き散らかされ、酷い状態である

 

「くっそ、こんな真似をしてタダでは許さん。身分知らずの馬鹿に私の恐ろしさを教え込んでくれる」

 

「おっと、そこまで貴方達の悪事もここでおしまい、だって私達がきたんだから」

 

何だっと視線を声の方に向ける。女の声だ、それもまだ若く綺麗な声だ。煙の中からカタカタと靴に音が聞こえてくる

 

「私の名前はUTA、世界の歌姫にしてウタ楽団、団長!みんなの笑顔を幸せを奪う貴方達みたいな海賊を、どったんばったん懲らしめる!最強の歌い手」

 

煙の中から出てきたのは、今世界中で愛されている歌姫「ウタ」ファンシーなデザインのジャンパーと青色のズボンを着て、フードを勢い良いよく上げると、ニっと愛らしい子供用な笑みを浮かべた顔が現れる。

 

背中にはギターケースを持っており、状況が理解できていない海賊達に向かって、自己紹介をした。

 

決まった‥‥悪い海賊を懲らしめる際のカッコいい決め台詞を、この場面で言えた事に少し満足する。

 

そんな彼女の背後から、ゲホゲホッと人影が現れて、顔立ちは整っているのだが、目線が鋭く、頬が引きずった悪い人相の青年が、現れる。

 

「お前‥‥ゲホッ、何‥やって‥‥ゲホッ‥んだよゲホッ」

 

「巧、今に私の勇姿を見た。カッコよかったでしょ今のセリフ‥作曲の合間に考えてたんだ。いいでしょ‥イテッ」

 

セリフの感想を聞こうとするが、青年乾巧はウタの頭を軽くコツンと叩いた。何するのっと顔を上げると、頭に血管を浮かべて、不機嫌オーラを出している彼の顔があった。

 

「たくっ、ストレス溜まっていたのか何だか知らねえけどなぁ、船ごと敵にツッコむバカがいるか、船がぶっ壊れたらどうするつもりだったんだよ。このバカ」

 

「だからって、人の頭叩く事ないんじゃないの、船はそう簡単に壊れないだろうし、現に船は全然傷なんてついていないんだし、少し神経質じゃないの」

 

「誰のせいでこっちは咳き込んでのか、考えろ。たくっお前のどこが天使だよ。頭のネジが飛んでる唯の馬鹿だろう」

 

「何よッ」「何だよ」っと周りをほぽって喧嘩をし始める謎の二人組、人様の船で何をしているのだと周りがあっけらかんとしている。

 

「貴様らぁぁぁ、私の船に土足で踏み込みながら、私を無視するとは、良い度胸だな。いいか私はこの海で名を轟かせる海賊その名も「バズーガのナット」分かっただろう私は、そこら辺のチンケな海賊より有名‥」

 

「知るわけねえだろう!そんな奴」

 

「いいから口挟まないでよ。バッカーナットウ」

 

船の主人であるナットは船に乗り込んだ、身の程知らずに自分の名を聞かせて震え上がらせようとするが、世間知らずなウタと、そもそもこの海を知らない巧が、そんな名前を知るはずがなく。

 

喧嘩の邪魔をしたものに容赦ない言葉を浴びせる、また口喧嘩に戻った二人の様子に、開いた口が閉じないナットは怒りに肩を揺らす

 

ビシッと二人に指を向けると、船の部下達は緊張する

 

「おい、お前達この愚か者どもをぶちのめせ、私に喧嘩を売った事を後悔させろ、奴等に首を上げた奴にはボーナスをくれてやる」

 

了解しましたっと、下っ端達は怒りに振るわせる船長にビビりつつ、いそいそと剣を抜いて二人を取り囲む。流石にそれに気づいた二人はお互いに持っている、荷物を構えながら戦闘態勢に入る

 

「こっちは立て込んでるつぅーのに、おい、さっきの話は後回しだ。コイツらを倒す方が先だ、戦えるよな‥ウタ」

 

「うん、任せてよ。私にかかれば悪い海賊なんてあっという間に倒してあげる」

 

喧嘩を途中で切り上げると、お互いの背中を預け合いながら、お互いに目の前の敵に集中する。

 

ナットの「叩き潰せっ」っという声と共に一斉に敵が襲いかかってきた。二人は同時に前に駆け出す。

 

ウタと巧の東の海での本格的な初戦闘が始まった。





前よりかはペースが上がってるんだけど、中々書くスピードを上げられないのがネック、オリジナル小説の設定の基盤も整ってきて、漸く書けるのかなって段階で、こっちも大切にする気です。違和感や不満があればコメントをお願いいたします。
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