世界の歌姫は夢の守り人と旅に出る   作:柳瀬悠

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あまり時間を空けずに書く事を第一に書く事を胸にする事にしました。下手くそなのは百も承知なので、伏線とかも入れつつ、文章の向上を考えるなら、「書く」これだけを取り敢えず意識します。


幕間 支える者達の想い (前編)

 

 

「いい話だなぁぁぁぁ!長い間共に暮らしていた父親が娘を送り出すなんて泣けるゥゥゥ、感動するぞぉぉぉ」

 

うるせぇ‥船を渡したウタとゴードンその様子を少し離れて見守っていた、感動的な場面のまま彼は二人が話し終える前で風でも感じようと、目を閉じて、船にもたれかかっていたのだが、野太い暑苦しい男の声が耳に響いて、全然気が休まらない。

 

もたれかかった背筋を少し伸ばしながら、声の方向を見ると先ほどのマッチョ三兄弟が涙を流して、ウタ達の事の成り行きを見守っていて、感動したのか号泣していた。

 

「お前らいたんだな、さっきから静かだと思ったら」

 

「馬鹿っ、さっきから一緒にいただろう。ゴードンさんがいきなりシリアスに話し始めるから、入り込む余地なんてなくて」

 

「俺達が水を刺すわけにはいかず、お前さんらが話し終えるまで待っていたんだよ。悪いかっ!」

 

開き直りか何のか次男三男が巧迫る、ドアップになった男の泣き顔を間近で見せられて、暑苦しっと手で防ぎながら二、三歩後ろに下がる。

 

「お前ら辞めてやれ、今は静かにあそこにいる二人の親子の別れを見守ろうじゃないか、うぉぉぉぉぉぉ!感動するぞぉぉぉぉぉ」

 

「「兄貴が一番五月蝿い!」」

 

先程までの感動的な場面での空気が途端に冷めていく。滝のように涙と鼻水を話しているキメ顔の兄貴に他二人の兄弟がツッコミを繰り出す。

 

コイツらやっぱり芸人じゃねえのか、その兄弟のコントの様なやり取りのスムーズさに言葉にしないが、疑ってしまう。

 

さて、向こうの二人も話し終えた事を確認する。お互い今まで伝えていなかった事を、話し終えた二人の表情は少し軽くなったように見えて、少し喜ばしいと思える。

 

二人の間には養父と養女のつながりだけではなく。自分が知らない深い事情がある、この島での暮らしの中で学んだ事の一つだ、その事に余計に首を突っ込む気もなれない。

 

ゴードン自身ウタについては色々と思うところがある、先日教会で言われた彼女の過去のついての事、彼女のもう一人の父親の事、夢の事も色々と謎が多く残っているが、それはいずれ彼女自身から話すだろう。

 

仲間の過去をあれこれ詮索して、傷付けられるほど残酷にはなるつもりはない。新たしい仲間としての巧の心掛けられる唯一の事

 

二人の方向を見つつ、船に登ってくる複数の足音が聞こえてきた、ウタ達もそちらに振り向く。

 

「ゴードンさん!船の整備完璧に終わりましたで、欠陥、不備、不調、全て大丈夫、いつでも出航できますぜ」

 

上がってきたのは交易船の船員達だった。全身に汗を浮かべた彼らの顔には疲れの色が見れた1週間程この船の修復に時間と労力をかけた証拠である。

 

船の整備の完了を報告してきた彼らのリーダーらしき人物にゴードンが「ドップリさん」っと挨拶していた。

 

一般的な男性より背が小さく黒髪短髪で口髭が間黒い老人、船大工のリーダーゴードンに船の完全整備を終えた挨拶の為に船ににってきた。

 

ふっとこっちに視線を向けてきた。すると涙を流す三兄弟を見つけるとぐわっと皺を広げた。

 

「お前らァァァァ!仕事サボって何してやがるんだァァァァ!」

 

「「親方ァァァァ!」」

 

親方の怒りの表情を見たレッドブルーは顔面蒼白恐怖の叫びをあげた、その場からの逃走を図るが、タタタタっと素早い足音を立てながら、二人に標的を定めると

 

ゴンっとその場に響く音を立てた拳骨を喰らわした。ぐわっとイッテェっと直ぐに、痛む頭を押さえて、膝を崩した。

 

「何、客呼ぶだけでこんなに時間食いやがって、こっちはまだ仕事が残っているってのに、サボる時間なんてねえだよ、いい加減にしねえと給料なしだぞアホ坊主ども」

 

「それで殴るのは違うんじゃねえんですか?親方ぁ」

 

「そうだぜ、俺達別にサビってなんかいませんぜ。そう言うなら兄者も同じ様にお願いします‥俺たちだけ不憫ですぜ」

 

「はぁ?そういえばお前らだけか、アイツどこに逃げやがった‥‥あっ」

 

馬鹿兄弟のリーダー特に汗臭く熱苦しい兄貴の姿がどこにも無いまわりをぐわぐわっと見回してみると、背中を丸めてこっそり船を降りようとしている、背中が見えた、「あっ」っと後ろを振り向くと、どうもっと頭を下げて、いそいそと逃げ出そうとする

 

「テメェ、何一人で逃げてんだ!男らしく堂々としやがれ!」

 

「「そこなんですか!親方、怒るとこ」

 

怒る起点がおかしい事にツッコミを入れてしまう兄弟、彼らのツッコミにはさして反応せず、装着しているベルトホルダーから、トンカチを取り出すと大きく振りかぶり、それを投げ飛ばした。

 

それは瞬間的に一直線に飛んだそれは、船の船体を慌てて降りようとする彼の額に直撃し、「ぐわっ」っと鋭い一撃が脳内に響き渡り、衝撃で手を離してしまった。

 

ぎゃぁぁぁぁっと短い悲鳴と共にザバーンっと水面に落ちる音が聞こえてきた。「兄者っ」と流石に恐ろしい一撃を喰らった兄貴を心配して、慌ててそちらに走って行く兄弟

 

流石の一撃にそれを見ていたウタがえぇぇ!っと慌てて親方に近づいた。

 

「ちょっと、親方さん流石にやり過ぎだよ。確かにあの人頑丈そうだけど、あんな危ないもの投げるのは良くないよ」

 

「おう、歌姫さんかい大丈夫。あんな一撃で死ぬほどうちの連中は柔じゃねえ。お客様の前って事もあって、いつもと比べれば100倍優しくしてやってるくらいだ、カっかっかっ」

 

流石にあの兄貴でもトンカチを食らったら怪我をしているかも、っと心配しているが親方は然程気にせず笑ってみせる。

 

普段あの兄弟はこの小さな親方に一体どんな仕置きをされているんか気になったが、仕事仲間連中も然程気にせず、ドンと構えている。

 

すると交易船の船員達が歌姫だっと、船の上にいた彼女の気がついた、いやおせぇよっとあの兄弟と親方の一悶着でそっちに意識が持っていかれていたようだ。

 

オォーっと船員達の意識は完全にウタの方向に向いたのだ。感激した彼らはすごい勢いで彼女の周りに群がり始めた、「おいオメェら客に対して礼儀をもってっ」とはしゃぐ船員を戒めようとするが、吹き飛ばされてしまった。

 

親方ぁぁぁっと哀れにも吹き飛ばされた彼に、他二人の兄弟だけはちゃんと反応している。

 

何なんだコイツらっと色々と濃すぎる光景に、巧は頭を抱えたくなる。

 

「ウタちゃん、いや、スゲェぇモノホンと会えるなんてマジで感激、前は色々と大変だったから、今日マジで嬉しい」

「悪いんだけど、どうか握手してくれませんか?俺ウタちゃんがデビューし始めた時からも大ファンなんだ。」

「ウタちゃん、良かったらサインしてくれないか。俺の子供達が君のサインが欲しいってせがまれちゃったんだ。どうか頼むよ」

「この前は本当にありがとう、君達のおかげで俺たち今日も生きてる感謝させてくれ」

 

彼女の周りに集まった彼らは一堂に、世界の歌姫と評されるウタのファンであり、海賊の襲撃から救われた者達の集まりなのである。

 

ウタも見覚えのある顔の人たちがちらほらおり、四面八方からの声に困りながらも、うんいいよっと握手やらサインやらをして行く。

 

いつものライブでファン達との交流あってのものなのか、期待や感謝する彼らに応えようと一生懸命のなっている。

 

その様子を眺めながら、騒ぎが終わるまで静かに待とうとする巧‥‥だったのだが、集団の一人が巧の方を見ると、うん?っと凝視してきた。

 

まずい‥っと面倒ごとに巻き込まれる気配を感じた彼はその場から去ろうとしたが、あぁ!っと叫ぶ声に一瞬足が止まり、そちらに視線を向けなくとも分かった。

 

「あの時の仮面のにいちゃんだ!おい皆んなこっちに「ヒーロー」のにいちゃんがいるぞ」

 

なにっ!っと一斉に巧の方を見るとキラーンっと、目を輝かせたむさい男連中が巧にターゲットを構える。ドドドドっと足音を響かせながら今度は巧を取り囲んだ

 

「あの時のにいちゃんじゃねえか、元気か、飯ちゃんと食ってるのか、良かったらうちの魚食うか、美味えぞ」

「マジでみんな死にかけた時に助けに来てくれてサンキューな。歌姫と仮面のヒーローに助けられるなんて、マジで奇跡みたいだった」

「にいちゃん達これからこの船で海に出るんだろう。安心してくれよ俺たちの整備に不備はねえ。安心して乗りな」

「悪いんだけど、サイン書いてくれないか。俺の息子にいちゃんの話をしたらすっかりアンタのファンになっちまって、今日の事話したら絶対に欲しいって、頼む」

「なぁ、あの時一緒にいたあのロボは今どこにいるんだ。もしかして、にいちゃんが変身したら駆けつける感じなのか教えてくれよ」

 

密度、集団、熱気、好意的な視線。苦手な事が一気に襲いかかってきた。逃げようともがくが男達の感謝の想いと少年心を持つ大人達の集団戦術に、変身もしていない彼に防ぐ術はない。

 

敵であれば変身して蹴散らせるが、敵でもないまして一般人を蹴り倒すなどできるはずもなく、周りに助けを求めるが、先ほどまで取り囲まれていたウタがニヤニヤとコチラを向きながら、手を振ってくる

 

「良かったね!巧、大人気じゃん。ファンの期待にはちゃんと応えないといけないよ、頑張ってね」

 

「お前なっ!俺のっ‥‥状況‥‥楽しんでっ、いやがるだろう」

 

「いや別に、全然そんなこと考えてないよ。寧ろファンの皆んなを取られて私悲しいんだ。でも安心して邪魔なんてしないから、ゴードン良かったら船の中案内してくれない」

 

あの女、完璧に分かっていやがる。巧が人の好意に困り果てて困る姿が面白いのか、ウタはニヤニヤしながら視線をこちらに向けて、呑気にゴードンと船を見回そうとしている。

 

あの女っ、絶対に後ではっ倒す内心に怒りのパワーを溜めながら、集団から抜け出そうともがき続けるが、集団の密度で動きにくい!

 

ザバンっとまた水飛沫が舞う音がそちらを振り向くと全身びしょ濡れになった親方が片手には気絶したマッチョ兄貴を持ちながら、はぁはぁと息を整えていた。

 

その場にいた男達の背筋が凍った。ゆっくりと顔を上げていく、親方の顔は怒りに震えていた。ベルトからはノコギリと巨大なトンカチを抜き取り構える

 

「このバカどもがァァァァ!上司である俺を蹴り飛ばすバカがいるか、蹴り飛ばしたやつ前に出ろ今日は、88殺しで許してやる、さっさとしろバカどもぉぉぉ」

 

「お、お、親方がキレたァァァァ!お前ら逃げろ殺されるぞ」

 

群がっていた集団は命の危険を察知した彼らはその場から全速力で逃げ始める。待てこのクソガキどもがァァァァっと鬼の形相で追いかけて行く。

 

漸く解放された巧はその場にどかっと座り込むと、手で額を拭う手には汗がびっしょりついており、ゆっくりと首を回して、ゴキゴキっと音が鳴る。

 

酷い目にあったと、船の下の船場を見てみると怒りの親方のトンカチやノコギリの打撃と斬撃を避けまくる全速力で避けまくる船員達の姿があった。

 

「アイツら‥‥良く生きてるな」

 

暫く慣れない集団に翻弄されて疲れた彼はその場の横たわり、大の字に眠った。

 

その後、親方の指導の元絞られた船員達は大人しく船に荷を運び入れる作業に従事する事になった。

 

ウタ達も出航のために船に乗せていく荷物を運び入れながら、これからの航路のことなども考えながら、旅立ちの朝を迎える事になる。

 

 





Next Φ

「俺はこの世界にも突き通せる「信念」がある事を証明したい、例え死ぬとしても」

「お前が死んだら誰よりも悲しむのは、他の連中だろう、お前の大切な奴らの気持ちも考えろよ。お前の代わりなんてアイツらにはいねえから」

「よぉ〜し、出航だぁぁ!いっぱい仲間を作って、私は新時代を作ってみせる」

「いよいよ、始めましょう。我々オルフェノクの新たな仲間達を迎える準備を、この世界は変わりますよ。我々の力の元で」
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