急ピッチに書いてみたけど、何とか書けたと思ったら何と1万文字超えていた。すげぇ100文字つづ毎日書くつもりが、覚醒したか‥って思ったけど下手くそだって自覚あるし、先ずは書いて継続する事が大事。言い訳せずコツコツ続けます。漸く出港できたけど、別の場所では何かヤバい影が動き始めている。
「これで‥いいよな」
城のある一室では一人の男があまり特徴のない一般的な薄緑色のリュックに、ハンカチや衣服などを放り込んでいく、それはどれもあまり特徴的な物はない
部屋の中もそうだ、内装は城の給仕達が使用していた個室で目立つものと言ったら少し質が良い木製の机と椅子、外には汚れを知らない美しい海が見れるベランダくらいだ。
この部屋とも別れか、然程長い間暮らしていたわけではないし、心に残るような思い出もない。
この部屋自体然程内装を弄ったり、家具を移動させたりとかはしていない。仕事で疲れたら寝る程度の部屋だ
この部屋を使っていた前の住人の面影は大きく残っている結果がある。
彼等はこの部屋で起き、仕事をして、ここからエレジアを支えていた。そこにどんな想いがあったのかは知らない
巧自身、いたであろう彼等に思い入れがあるわけではない。
この部屋を最初に見た時消したくないと思った、ここで過ごしてきた存在を消してしまったら、いけない様な気がしてならない。
生きた証を消される事は死んで忘れられると同義ではないか、深い考えがあるわけではないが、そんな事は未来へ向かう事を否定しているという事も自覚していた。
でも今日は船出だ。借りていたこの部屋に別れを告げる日、未来へ向かっての明確な道標がない、確定していない道だ。
ジャンパーのポケットから鍵を取り出した、この島で暮らすことが決まった時受け取った鍵だ。
この島での生活の中で様々な想いを知って、共に背負うと決めて、色々と奔走した時間がもう懐かしくなっている。
っと手の中の鍵を落としてしまった。チャリンと落ちた鍵を拾おうと手を伸ばす、すると一瞬視界が揺らいだ。
そして揺らぐ視界の先には、手先から灰がこぼれる光景が見えた。
嘘だ、未だ俺は大丈夫脳内ではこれが幻覚だと分かっている、でも否定しようとも自分に訪れる未来だと感覚が知っている。
彼は死んでいる、この部屋の前の住人達の様に本来はこの世に生きている筈のない存在だ。
彼の体は少しずつ崩れてきている、周りからは気づかれてはいないが、確実にこの体は急速に死に向かっている
「っ‥‥‥」
その幻覚から目を背けようと一度手を大きく床に叩きつけた。痛いっと神経が感じると手先をもう一度確認する手の先は灰になっておらず、床にも灰らしきモノは溢れていない。
自分がこの部屋で生きて死んだ人物と、この世で生者のふりをし続ける自分を重ね合わせたせいで見えた幻覚なのか、生者として振る舞い続けるせいで見せられた幻覚なのかは分からない。
未だ消えれない‥‥まだ、無理やり幻覚から目を反らず逃げだ、臆病な現実逃避分かっているつもりだ。
でも今はまだ無理だ。未来へ向かって歩き出そうとする仲間を一人置いて行くわけにはいかない、例え消えるとしても、彼女を一人置いて行けない。
鍵を強引に掴みポケットに突っ込み、リュックの中身を然程確認せず立ち上がり、部屋の外まで歩き鍵で扉を閉めた。
この部屋にいるのは死者の記憶だけ、生者のふりをし続ける存在である彼はいない、例え嘘をつき続けていても彼は生者として仲間と共に歩むつもりあるからだ。
部屋の窓は閉められておらず、海風が入り込み白い透明のカーテンは揺れた。
エレジア 城地下 船場
そこでは出発の最終準備に入っていた。
交易船の船員達は急い急と船に積荷を入れ込み、棟梁の指示の元急ピッチで最終確認をしていく、積荷は食料、物資、音楽機材などなど様々な物が運び込まれている。
その場にはゴードンとウタの姿もあり、自分のLive用の衣装や小道具などを自室に入れながら、ゴードン一緒に船員達への細かい指示と既望を伝えていく。
ブオーンっと船場の入り口から、機械の排気音が聞こえてきた皆そちらに視線を向けると、前後に一輪ずつ付いた鉄馬が走ってきた。
後方の筒からは排気音と轟音を響せ、船場へと向かって行く、馬の上のハンドルを握り、ヘルメットを装着する男がおり、船の近くまで来ると減速しながら、目の前で止まった。
「あっ、巧!こっちこっち遅いよ。ちゃんと全部荷物持ってきた、出航したら暫く戻って来れないんだから、思い残しはないように」
ヘルメットを脱いだ彼をウタが確認すると手を振って大きな声で言ってくる。
あぁ〜っと慌てずに適当に返すと、鉄馬の鍵を抜き取りエンジンを止める。部屋にあった持っていくモノは全てリュックとバジンの後部座席に縛り付けた。
その場にいる男性の船員達の視線が巧に向けられていた。正確には巧が乗ってきた件の「オートバジン」に向けられていた
「おいおい、にいちゃんそのバイクってまさかこの前の変形したやつか、スゲェーかっこいい」
目をキラキラ輝かせながら、船員達は子供用にはしゃいでいる、ヒーローの乗り物それが実際変形して戦う姿をみているため、余計に興奮して、バイクを見ている
その興奮気味の軽く引きながら、自分の愛用しているバイクを褒められるのは悪い気分ではない。巧はこの前の件と言い人の好意的な視線に、こそばゆくなる
「あぁ、まぁそうだ。悪りぃがこいつを船に運んでくれな?後ろに荷物とか縛ってる、から頼む」
「おう、任せなにいちゃん。寧ろやらせてくれ変形ロボを運べるなんて光栄だぜ、近くでもてみるとこの銀色と赤の光沢が堪らないぜ!」
「おいずりーぞ!お前、前のサイン書いてもらっただろう。ここは先輩の俺に譲れよ」
「あぁ〜、そんな事関係ねぇ、先に俺が言ったんだ横入りすんじゃねえよ。はっ倒すぞ」
変形ロボットに触れられるっという男の夢を前に、少年というには色々と無理があるメンツが、運ぶ主導権を巡り言い争い、喧嘩しそうな雰囲気にもなっている
「おい、おめえら誰でもいいから早く運べバカども!ジャンケンでもなんでもいいから、早く仕事をしろ!じゃねえと‥ヤルゾ」
「「「「すみません。親方「アレ」だけはこ勘弁して下さい」」」」
言い争っていた馬鹿どもを抑えたのは彼等の親方である、怒りのオーラを垂れ流しながら、ギラっとした目で睨みつけ、馬鹿達を沈めてみせた。
親方のお仕置きが恐ろしすぎるのか、速攻争いを辞めて必死に頭を下げている。前に見たあの地獄の追いかけっこよりもやばい仕置きがあるのか‥っとウタ達は聴きたくなったが、正直恐ろしいのでやめた。
平等にじゃんけんで聞けることになり、数人のグループに分かれて「じゃんけんぽい」っと一斉に始めた。誰が運ぼうが粗く運ばなければ巧にとっては、然程気にしはしない
荷物を背中と片手に背負い直すと、ウタ達の近くに来ると、ゴージャンパーのポケットに放り込んだ、城の鍵をゴードンに渡した
「鍵、部屋は別に荒らしたりしてねえから、掃除はあんまりしなくていい」
「気にしないでくれ、部屋は城に余るほどあるから、問題はない、誰も使うものがいなくて、寧ろ使ってくれる者が良かったくらいさ」
ゴードンが鍵を受け取ると、不器用ながら笑顔を向けてくる。
彼にも色々と世話になった。かなり多くの恩を
見知らぬ自分に住む場所をくれて、食事も提供してもらい、こうして船もくれた彼には心の底から感謝している。
「今まで‥‥その、ありがとう、色々と」
「ありがとう」言葉にしては短い、感謝を表す言葉で証であった
それはされたゴードンも少し驚いた表情を見せたが、然程動揺はせず巧の肩に手を置いて、大きな男の父の暖かい手である
「これから、君もウタも長い旅になる、だからたまにで良い疲れた時にはまたこのエレジアに旅でできた仲間達と来てくれ精一杯歓迎させてほしい、一緒に暮らした家族として」
1ヶ月時にしては短すぎる期間、しかしこの1ヶ月は大きく状況と気持ちに変化もあった。新たな同居人を迎え、様々な出来事を経験し、弱い部分を話しあった存在
それは最早「家族」と言っても過言ではない。ゴードンにしては、溺愛して子供の時から見守った娘と不器用でもその娘の背中を押して、支えようとしている不器用な息子、子供二人を送り出す。そんな感覚だ
サングラス越しの瞼から涙が溢れた。彼の表情に戸惑いつつ、気恥ずかしそうに頬をほんのり赤らめ「‥気が向いたら‥」っと指で頬を掻いた。
その様子を微笑ましそうに見守りながら、お互いの挨拶を終えるまで、ウタは二人の顔を見ていた。
これで良いよな、自分部屋になる簡素な船の一室に荷物を放り込んだ。家具としては机とふわふわの毛布付きのベット、天井についている蝋燭のランプ入れ、別段目立つようなモノは置いていない。
リュックをベットに放り投げて、椅子を引いて椅子に座ってみる。天井を見上げると埃一つない木の天井が見える、あの交易船の船員達は交易だけじゃなくて、船大工としてもこの海で名を上げているらしい。
以前海賊に襲撃された際はウタの身柄を手に入れる為に、人質として捕らえていたが、後で知ったが彼等は船の整備の為に、ウタを捕らえた後、捕虜として修復作業をさせるつもりだあったらしい。
捕虜にすれば金を払わず済むからだ。この天井もそうだが船の内装も外装も通路も、一つの誇りもなく点検させて、フローリングされた船は本当に非の打ち所がないない程の技術である。
実際金銭を払うとなれば、かなりの額になる。それを見越しても誘拐だったのか。海軍の船に連行されてその考えも聞く機会はない
バイクの後方に縛り付けていたカバンを机に置いた。「スマートブレイン」と書かれたロゴ付きのアタッシュケースである、これは流石に彼等に持たせるわけにいかず、自室には自分で持ってくることになった。
アタッシュケースを机に端に立てて置くと、気分を切り替えようと船の後部に向かった、船に細長い通路を歩きながら、階段を上がりすぐ目の前のデッキ手すりに腰を落ち着けると、海の香りが匂ってくる。
船場の方を見てみると、ウタと船員達がテンション高めで盛り上がっていた。
「皆んな1週間ありがとう!今日は頑張ってくれたみんなの為に、私の船出記念Liveをしちゃうよ」
ウタのその発表に男達のテンションは急上昇、世界の歌姫が自分達の為にLIVEを開くのだ、それは上がらずにはおられないだろう。
巧も私のライブ見て行きなよ、そうだ一緒にステージで歌はないっと手を掴まれてねぇねぇと誘われたが、別にいいと軽く断り、ぶーっと頬をフグの用に膨らませるウタから逃亡して、今遠目から彼女の様子を見ていた。
「ここにいたのか、にいちゃん」
ウタのライブを横目で眺めながら、一人風に耽っている巧みに話かけてきたのは、マッチョブラザーズ兄である。
3人で1セットの熱苦しくもお人好しのガチガチマッチョ兄弟、最初は胡散臭くて相性が悪いと余り触れてはいないが悪い奴等ではない為、嫌いではない
自分の態勢を然程変えずに軽く手を上げて答えると、相手もいつもは喋り尽くして、その結果噛んでしまうベロを余り動かさず、少し距離を空けて巧の隣に立つ
「お前さん行かないのかい、団長なんだろう、行ってあげたほうが喜ぶぞ」
そう彼の方に目線を向けて質問した。まぁ‥然程空けずに今絶賛ダンスを踊りながら、笑顔を向ける団長に視線を向ける。
「別に、アイツの歌は散々聞かされてる、周りにあんなに客がいれば俺がいても変わんねえだろう、歌なら此処でも聞こえる、お前はどうなんだよ、あの暑苦し二人は‥」
兄貴は何処かを指さしながら、小さくウィンクする。そちらの指差す方には群がる男達の中に特にゴツい筋肉をした赤青の二人組の姿がある
「「うぉぉぉぉぉぉぉ!ウタ!ファイオ!ファイオ!ウォォォ、ファイアァァァァ!」」
頭に「UTA 命」と書かれたハチマキをくくり付け、法被に無数のペンライトを貼り付け「UTA!UTA!」っと此処からでも暑苦しさが伝わる様なキレッキレの全力ダンスをしていた。
彼等の必死な応援に軽く引きながら、引きずった顔を目の前の三馬鹿筆頭の兄貴に向ける。
「あれ、何だ」
「いやぁ、今まで弟達はUTA ちゃんのLive全然興味がないって言って、他の船員達にバカかって、半日ずっと見せられちまって、っで朝起きたらあぁなってた。まぁ、弟達が楽しければ構わないがな、ガハハハ」
半日程度で人があそこまで熱中できるものなのか、此処にいる男を含めて熱苦しい分類の人間だったのが、アイドルにハマって、更にその暑苦しさがレベルアップしている
必死に汗を流して踊っているダンスにはキレと執念と相手へのエールが詰まっており、半日で習得した踊りにしては完成度が高すぎる、UTAに対してのファンとしての愛ゆえなのか知らないが、その思いは尊敬すら憶えるだろう。
そんな彼等を何の疑問もなく、見守るこの兄貴の度量もそうだが、兄弟が急激に変化すれば何かしら思うはずなのに、どっしり構えて笑っている。
必死に頑張る兄弟を見守っている。そんな彼の兄弟への眼差しを見ながら、ふっと疑問に思っていた事があり、ずっと疑問のままでは気持ち悪い、巧は尋ねることにした
「なぁ、アンタ何でこの前アイツらを投げ飛ばさなかった」
ん、アイツら?こちらに振り向いた彼は巧の質問に反応した。
ずっと記憶にあった出来事、それはUTAが急に城を飛び出した際、彼女を追いかける様に海辺のついて座礁した船に乗り込んだ時だった。
ウタが柄の悪い海賊相手の剣を避けて、戦闘を開始した際、自分も戦いに参加しようとした時、視界の端に、変な光景を目撃した。
それは妙に肌に吸い付くくらいぱっつんぱっつんな水兵服に身を包んだ筋肉質な男が後ろに同じく、筋肉質な二人を庇いながら、海賊の攻撃を避けながら、敵が振り上げた剣を両手で受け止め、握力で粉砕しながらも、決して「海賊」に手を上げてはいなかった。
敵を何で倒さねえんだよっと疑問に思いつつ、巧は片手にアタッシュケース持ちながら、敵の攻撃を避けながら、蹴りを、拳を叩き込み、海賊相手に引けを取らない戦いを繰り広げていた。
「あの時、お前海賊に後ろから殴られてボコボコにされてたよな。それなのに何でアイツらを殴らなかった‥‥死んでたぞ、俺たちが来なかったら」
「あぁー、それか、あれは俺が海賊を殴っちまったらアイツらと一緒になっちまうって思ってな、やり返さなかったんだ」
言っては悪いが、ウタや巧が来なかったら死んでいた。例え敵の剣を全て叩き割れたとしても、殺す勢いで襲いかかる海賊、人数も多く、悪魔の実を食した船長もいる一味を、反撃せず倒すのは不可能、無理難題だ。
それを傷を負った仲間や家族を庇いながらなんて、馬鹿げてる。
敵である存在は海賊だ、人間性と情を持っている人間もいるだろうが、あの場にいた奴等は全員凶暴そのものだった。
いやぁーっと恥ずかしそうに鼻をかくマッチョ兄貴が、機嫌が悪い顔の皺を少し狭めながら、横目を向けていて、ゴッホンと咳き込んだ。
「俺達は両親を海賊と海軍の戦いで亡くしたのさ、もう12年前くらいになるか」
彼の表情は曇ってはいなかったが、おちゃらけたりふざけた雰囲気ではなく、ほんの少し空気が重くなった、巧もそれを聞いた時、眉がビクと動揺する。
「俺が未だ8歳の時、弟達が5歳の時だ。海賊が俺たちの島に攻め込んできて、通りかかった海軍が助けに来てくれたんだが、戦いは収まらなくて、島中が火の海になったんだ」
小さい子供達を庇いながら、炎に囲まれる街は恐怖と狂気に溢れる戦場に代わり人々の泣き叫ぶ声と恐怖に囲まれていた。
必死に逃げながら海に向かって走る一家、両親が当時子供だった自分たちの手を必死に引っ張って、海軍の救助船へと走っていた。
しかし運悪く略奪する海賊に見つかり、両親は子供達を守る為に武器を持って戦った、二人は泣き叫ぶ子供達に「逃げろ!お前達は逃げるんだ」「貴方達だけでも生きてお願い、私達が守るから」
その二人に背を向けて、両手に泣きじゃくる弟達を引きながら、必死に、火の粉が飛んで火傷しようとも、必死に走り続けた。
後方からは海賊の大笑いする声と共に、ザックと何かが斬られる音と液体が飛沫する音が聞こえた。
奇跡的に船場にいた海兵に保護され、避難船に乗る事ができた。でも島は燃え続いて、両親を求める弟達を抱きしめながら、大丈夫、大丈夫、っと恐ろしい光景を見せない様に、慰めた。
「海賊と海軍の戦いは終わった、でも両親は死体として見つかり、頼れる両親を失った、俺は幼い弟達の手を握りめながら泣いた‥俺は暴力を恨んだ、力があっても、それを誰かに振るえば力に溺れちまうって」
拳を前に掲げて強く握りしめた。この拳が一度でも相手の体を傷つけて、怒りのまま振い続ければきっとあの海賊と変わらない。
彼の握る力に怒りと恨みと無力な自分を呪う、様々な思いが乗せられている。その彼の様子に巧は黙っている。
「だから俺は弟達の前では暴力は振るわない。俺のこの筋肉は両親が産んで繋げてくれたこの肉体は、決して人を傷つけたり、殺したりするためのものじゃない!」
自分に縛りを貸す事で、彼は今日まで生きてきた。肉体を鍛えて、積み上げて、叩き上げて、貫いてきた想い、彼の揺るがない信念なのだ。
でもそれは同時に危ういものを秘めている。普段はふざけている様で、内心では様々な思いを秘めていた。
彼の信念い対する思いは嘘ではない。背中から伝わるその熱意と言葉はかなりの重量がある。
「でも、死ぬぞ‥‥それでもお前はやり続けるのか、命を捨ても」
「俺はこの世界にも突き通せる「信念」がある事を証明したい、例え死ぬとしても俺の体が切り裂かれても‥俺は示したいんだ、このイかれた時代に」
体を巧の方に向けた、その眼差しは剛柔で鋭く眼の奥の目はギラギラと燃えたぎって、確固たる信念の炎を灯して、そう簡単に燃え尽きない意思を移している。
彼の目力は確かに凄みがある、揺るがない「信念」、殺されそうになりながらも敵に屈せず、家族を守ろうとする姿を見せられて、それが余計に際立っている。
「お前のその信念に弟ってのはいるのか‥」
「えっ」彼の発言に一瞬困惑しながら、兄貴は彼が細目で向ける視線の先を見た。そこではウタの曲が終わり「みんなァァァァ!聞いてくれてありがとう」っとウタに感謝の念を送られて、隣同士肩を組んで喜び合っているファンの姿、その中には自身の弟達の姿もあった。
「お前自身、信念ってやつを抱いて死ねるなら‥いいんだろう。でも、お前には悲しむ奴等がいるんだろう」
信念を抱くのも理想を抱くのも人の「自由」でも、誰が自分にそん「理想」「夢」を抱かせてくれたのか、それは弟達の存在であった。
それが乾巧にとっては、すごく羨ましくて憧れる、家族を守り通そうと必死に耐えていたこの男の信念にも理想も決して、侮辱も否定もする気はない。
唯、彼を支えて、支えられてきた彼等が目の前で兄を失えばどんな喪失感に襲われるか、どれほど絶望するのか、前しか見えずに、破滅しかけた彼に問いをかけずにはいられなかった。
「お前の大切な奴らの気持ちも考えろよお前の代わりなんて、アイツらにはいねえんだよ」
それは自分に言ってるのか、目の前の理想を突き進む命知らずのマッチョ野郎に言っているのか、巧の鋭い言葉に、彼は再び兄弟達の方を見るとふっと笑みを浮かべる。
「まぁ、そうだな‥分かっていたつもりだったが、こう他人にそう言われてしまうと、自分の自己満足だってのを見せつけられる」
家族を愛して守っているつもりが、唯一の肉親である弟達の存在に支えられている事に指摘されて、気がついたら途端に、自分の馬鹿さ加減に目元に雫が流れながら苦笑してしまう。
「あぁ、お前とんだ自己満足野郎だよ!頑固でお人好しの筋肉バカって、そう、言いたかっただけだ」
「お前さんがそれを言えるか?アンタも十分だぞ‥ははは」
他人である自分に突っ込んで、アドバイスと本音で言い合う場面を作ったであろう、矛盾を感じながら口が悪いもう一人のお人好し野郎に笑ってしまう。
何だよ‥急に笑い出した男に少しムッとしながら何かスッキリした彼の顔を見て、ムカムカした何かが崩れていく。
「よぉ〜し、帆を開こう!」
出発の準備を終えた船、その船の上にはウタと巧しかおらず、船の下には彼等を船出を見送ろうとするゴードンと船大工達の姿が見える
船場の扉は開き、大きくなったマストは少しずつ前進していく。LIVEを終え皆んなへ別れを告げた二人は名残りなく、海へと漕ぎ出す
「いやぁぁ!漸く出港できる、いろんな人達が手伝ってくれて、笑って見送ってくれてLiveもできて楽しかった。ギリギリだったけど、マストにマークもかけたし、順調、順調」
はしゃぎながら皆んなに手を振るLive終わりの余韻がなく出航したハイテンションなウタに呆れながら、風を受けて大きくなったらマストを見上げた。
大きく「UTA 」っとデカデカと書かれた文字、それを囲い守る様に555の仮面の正面の顔が描かれて、その周りには様々な楽器がそれを彩っている。
「いいでしょ、巧は散々文句言うからみんなの意見も聞いて、新しくしたデザインしたの、私と巧が作った楽団の証!私の「夢」とそれを守る「555」最高じゃん!」
「まぁ、確かに前の落書きよりはずっと見られる」
マストのデザインにも文句なく、巧副団長も文句なくそれを見上げる事ができる。
オォーイっと船場の方から声が聞こえてきた。二人でそちらを見てみると、ポージングをとりながら大きく手を振っている三兄弟がいた
「達者でな、にいちゃん!ウタちゃん!またどっかで会ったら飯でも一緒に食おう!後ありがとうな、アドバイス、ちゃんと旨にするぜぇ」
「「UTAちゃぁぁん、船旅を楽しんでねぇぇぇ!おい乾巧!UTAちゃんに手を出したりしたら、どこまで行ってもお前をしばくからな」」
長男の満面の笑顔と筋肉から流れる汗で、太陽の光が反射して肉体美が際立つ、最後弟達が何やら巧に対して恐ろしい脅し文句を言った気がするが、別に気にしない巧は「何言ってんだ、アイツら‥」半ば呆れて、半分以上聞いていなかった。
「うん、またどこかで会おうねぇー、ん、あれさっき大きな兄さんがアドバイスって言ってたけど何かあったの」
「別に」手を振っていたウタは先ほどの兄の言葉に疑問を抱くが、件の男ははぐらかし、前に振り向きなおした。
「っで、どうするんだ団長、お前が行きたい場所があれば言ってくれ、俺は別にどこでもいい」
「んー、そうだねぇ、先ずは風車村に行きたいけど、それよりもまず仲間をいっぱい集めたいな、まぁ最初は10人くらいかな、魚人とか人魚とか、巨人もいいな」
「巨人って、そんなやつらもいんのか」
「うんいるよ。私が小さい頃シャンクスに連れて行ってもらった島にスっごくデカい巨人がいたの、山みたいにデッカくて驚いちゃってた」
巨人なんて仲間に加わったらこの船は沈没する、半ば冗談なのだろうが、色々とぶっ飛んでいる団長様ならやりかねない。
島を飛び出したと言うのにウタの顔には余り不安の様子はなく、自分の父親との思い出を思い出しながら、これから始まる冒険に、ワクワクしていた。
「じゃぁ、先ずはそこら辺の島で仲間探しか」
「うん、そうしよう。巨人、人魚‥‥はいないと思うけど、面白い人ならきっといるはず、よぉ〜し、出航だぁぁ!いっぱい仲間を作って、私は新時代を作ってみせる」
大きく腕を広げて太陽に向かってそう叫んだ!そのUTAの横顔を見ながら、たくっと呆れつつ内心自分もワクワクしているので、何も言わなかった。
UTA楽団の旅は此処から始まるのだ。
同時刻 とある島のある施設
「たっく、せっかく何処かも知らない世界で戦場を渡り歩いたのに、全然成果が上がらないじゃないですか?」
暗い部屋に置かれたソファーに腰を落とした。ヒョロヒョロとしたメガネの優男が苦言をもらいした。
その前に置かれたテーブルの前には別の男がまぁまぁっと彼を慰める
「仕方ないですよ。此処は私たちのいた世界とは状況も常識も異なる、我々の細胞を受け入れて尚且つ「進化」できる人間の数なんて、そうそう多い訳ではないですよ」
「しかし、早めに成果を上げないと冴子さんになんて言われるか、最近取引している「ジョーカー」っていう男の協力を得る為には、明確な成果が‥」
「大丈夫」っと彼を安心させようと懐から、映像デンデン虫を取り出すと、壁に映像を投影した。その映像に目をギョッとして優男は驚いた。
「こ、これは本当ですか、このデータが本当であれば、私達の同胞が‥」
「はい、しかもこれは厳選に、厳選を重ねて掘り出した「金の卵」達です。きっと取引先の方にも気にってもらえることでしょう」
目の前で笑顔を浮かべる男の懐がしれない手腕の驚き少々ビビりつつも、喜ばずにはいられなかった。その反応に彼も売れそうに頬を緩ませる。
「いよいよ、始めまりますよ。我々オルフェノクの新たな仲間達を迎える準備を、この世界は変わりますよ。我々の力の元で」
デンデンムシの映像には「非検体A」と区別された男女が描かれており「オルフェノク因子適合成功者」っと赤マークで記されていた。
next Φ
「海軍の自作自演?あの海兵がそれをやってるって言うのか」
「正義の味方って皆んなを守る人達でしょ。なのにこの島の皆んなを騙して苦しめてるなんて、許せない」
「いいですか、貴方達の様な正義のヒーロー気取りはいらない。我々が此処を守っている。「部外者」ではなく守るのも助けるのも、我々「海軍の仕事」です、クスススス」
「俺はセン!この東の海の最強のフリー記者、オメェらみたいなクズ権力者を叩き落として、飯を食い、いつかこの世界が驚く記事を書く男!」