迷宮戦隊ウィザードリン 第七話『負けるな斬葉(きりは)! 刀を失くしたサムライ娘』※一~六話は存在しません 作:木下望太郎
「ほう、村正を手放したと? 真ならば、奴らよくよくのうつけと見える」
ゲムゲノム地下基地の広間で、ドラックェン将軍はそう言って笑う。その前には魔怪闘士サガンがひざまずいていた。
「少なくともアホウなのは間違いねェようで。それより面目ねェ、奴らを一人も殺れなかったとはよ……!」
ドラックェンは首を横に振る。
「よい、斥候の任は十分に果たした。そして好機と判れば間を置かず攻め込む他なし。今宵こそ彼奴(きゃつ)らの血を、我らがMother(マザー)に捧げようではないか!」
サガンが、そして広間を埋めた迎魔人たちが声を上げる。その大音声(だいおんじょう)に広間が揺れるようであった。
Motherの名を呼ぶ声がそこかしこから上がる中、血に飢えた者たちが志願の名乗りを上げる。
「俺らも連れてってくれよ。村正のない奴らなんぞ、俺らの連携技の前にゃ無力ってもんだ!」
言ったのは日本刀を手にした赤毛の少年、その横にはカエルの顔をした剣士。コンビネーションを武器に戦う二人組『黒野と李賀(クロノとリガ)』。
その横で口を開いたのは、獣の骨や革で作られた武具に身を包む野生的な男。
「おいおい先輩よ、大物狩り(クエスト)なら声かけてくれや」
辺りの者たちがとたんにざわめく。
「おい、あいつは……」
「まさか噂の『惑星狩り』……!?」
自らの評判を聞いた男が、髭の伸びる口の端を上げた。新進気鋭ながら「惑星ごと狩り尽くすのではないか」と噂された超A級ハンター、モーン。『モーン“惑星狩り(スターハンター)”』だった。
その後ろで、つぎはぎだらけのローブを着た青年がなまりのある声を上げた。
「サガンどん、できればオイも、寄せ手ば加えさせてもらえんとですか」
多くの弟妹(キャラ)を養わなければならず、貧乏生活に甘んじている実力派召喚士(サモナー)『左門 内斗(サモン ナイト)』。
横でジーンズの青年があくびをする。
「そんなことよりお腹がすいたよ」
情けない音を立てて腹を鳴らした。二足歩行型のポンコツじみたロボットに乗っている以外はどう見ても一般人、浪漫も大活劇も似合いそうにない男。『 “一般人(パンピー)”トロット』がなぜかそこにいた。
辺りを見渡し、ドラックェンが口元を緩めた。
「者ども、その意気や良し! サガンよ、手勢を選ぶが良い。貴様の指揮で――」
そのとき、ぽつりと声が聞こえた。
「その話。……興味あるね」
とたん、広間が静まり返った。口を開く者はいなかった、喋りかけていたドラックェンも含め。
隅で壁にもたれていた、声の主が身を起こす。ブーツの音を広間に響かせ、ドラックェンの方へと歩いた。海が割れていくかのように、周囲の者らが素早く身を引く。
広間の明かりがその青年の姿を照らし出す。輝く金髪は角を思わせて攻撃的に尖り、夜の色にも似た紺色の衣服が全身を包んでいた。簡素なプロテクターを備えたその服は装飾を廃した実用的なデザインで、どこか特殊部隊の兵士(ソルジャー)を連想させる。背中には一度見れば忘れようもない特徴的な武器。身の丈ほどもある、片刃の大剣を負っていた。
辺りから、息を潜めるように小さく声が上がる。
「まさか、あの方が帰っておいでになるとは……」
「ああ、将軍に次ぐかつてのナンバーツー……いや、もう一人のナンバーワン」
「最愛の女性を亡くして以来、何事にも『興味ないね』という態度を通していたあのお方が」
ドラックェンが口を開く。その顔から、笑みはすでに消えていた。
「まさか貴様が動こうとはな。食いたいときに食い飲みたいときに飲むだけ、などとうそぶいていた、雲(クラウド)の如き風来坊が……なあ、前副将軍。『ファイナー・ファンタジェンⅦ世(ななせい)』」
金髪をかき上げてファイナーが言った。
「なに、雲ゆえの気まぐれだ。それより今夜の祝祭(パーティ)、俺も交ぜてもらえるんだろうな?」
ほんのわずか黙った後、表情を変えずにドラックェンは言った。
「貴様ほどの戦力が復帰するとは、これほど頼もしいこともない。一行(パーティ)は貴様とサガン、それに――ドラグオン」
脇に控えていたドラグオンがひざまずいて口を動かし、傍らの竜が代弁する。
「『承知いたしました』と、こやつは申しております」
ファイナーは肩をすくめてみせる。かぶりを振って言った。
「やれやれ、保護者つきとはね。まあ、送り迎えと思えばちょうどいい」
サガンの方を向いて言う。
「悪いな、横取りするみたいで」
サガンは首を激しく横に振った。
「とんでもねェ、むしろ光栄ってもんで! しかし、段取りはどうしやすか」
考えるようにファイナーが人差指を頬に当てる。
そのとき、品のない声が広間に甲高くこだました。
「イィィエッフゥゥゥウ! OKOK(オーキードーキー)、そぉいうこったらワイにお任せヤデぇぇぇぇ、ヒュイゴーウッ!」
幼児ほどの身長しかない何かが人波を縫い、あるいは信じ難い跳躍力で跳び越し、何か柔らかい音を立てて他人の頭を踏みつけて、ちょこまかと走り来る。通り過ぎかけ、ブレーキ音を立ててようやく立ち止まった。
奇妙な男だった。操り人形のようにくるくるとよく動く表情。子供のような背丈をした、立派な口ひげをたくわえた中年の男。帽子は赤と緑の縦縞に染められ、配管工風のオーバーオールも同じ色をしている。
サガンが息をついた。
「どうしたってんだ、今日は古株がお揃いだな。『 “操り人形(マリオネット)”リュイージ』よ」
甲高い声で笑いながらリュイージが言う。
「なあに、せっかくのクリスマスイブやさかいナ? あんさんらに、とっときのプレゼント持ってきてン。策っちゅうプレゼントをナ」
ファイナーが片手の掌を上に向け、小さく肩をすくめる。
「興味ないね。ま、聞くだけは聞いておこうか」
小刻みに肩を揺すってリュイージが笑う。
「エエんかなぁそんな態度で? この策がありゃあ人間どもの感情エネルギー、ギョ~サン集められるんヤデ? ホレ……目ン玉かっぽじってマンマ見ぃヤ!」
リュイージが広げた書類にファイナーは目を通す。つぶやいた。
「悪くはないね」
「でさ、ブルーちゃんさ? ボクだってあんまり言いたかないけどー、正直……正直どうかなー、って思うよそれはさ?」
慎重に肉をよけ、鍋から豆腐とネギを取りながら。メイジグリーンこと小角 晴明(おづの はるあき)はそう言った。向かいでは斬葉が箸と皿を構えたまま正座している。
こたつの上でスキヤキの鍋が音を立て、湯気が立ち込める小さなアパートの一室。ブラックの部屋に集まっての忘年会。
晴明は湯気に曇りきった眼鏡を額の上に乗せ、皿に入りかけた髪を首の後ろにかき上げた。それから、はふはふと息をこぼして皿の中身をかき込む。また斬葉を見た。
「まあ過ぎたことは仕方ない、仕方ないよ? でもさ、こう、もう少しね?」
斬葉はうつむいたまま力なくうなずく。
「……はい」
斬葉に茶を差し出しながら、プリーストピンクこと瑠璃戸 泉(るりど いずみ)が言う。
「まあまあ、しょうがないですっておうちの事情じゃあ。斬葉先輩、お肉取りますね」
「ああ……すまない」
長い髪を今は後ろでくくった泉は斬葉の皿を取り、少し腕をまくってから鍋の中身を取った。
連太がしらたきをすすり上げた後で言う。
「それはそれとしてっスね? 実際わびしいっスよね、イブに鍋て。イブに鍋て」
「いやいや、そりゃ早計でしょ若人よ」
ニンジャブラックこと黒野 しのぶがセルフレームの眼鏡を押し上げる。力強く胸を叩き、黒いセーターの下の豊かな乳房が揺れた。
「なんつったってケーキがある! クリスマスといえばケーキケーキといえばメリークリスマス! ケーキがあれば何でもできる!」
皿からつゆを静かにすすり、剣志がつぶやく。
「ええ、そう言うしのぶさんを当てにして誰もが買ってなかった上にしのぶさんも買ってなかったんで、急遽コンビニに残ってたバラ売りケーキを大量に買って円に並べてみた、夢のようなクリスマスケーキが確かにありますんで何でもできます、はい」
「……はい。はい」
しのぶは小さく正座した。
箸を突き出して連太が言う。
「オレが言いたいのはそうじゃなくってー、もっとラブ! ラブ的なものはないのかと! そうテエゲンしたいワケっスよこれが!」
うふふ、と澄んだ声が小さく響く。こたつの上から。
「何をおっしゃいまして? 男子三人に対して女子五人。これはもう男子的にはハーレムと言う他ない、そう思いませんこと?」
ビンから出たリィンが小さく切り分けられた肉を食(は)み、濃い色をしたラム酒を小さじですすっていた。
連太は眉根を寄せる。
「いやいやいや、女子五人ったって一人は中学生」
斬葉の横で、太刀村 鞘果が小さく頭を下げる。斬葉を心配した泉の配慮で、鞘果も姉についてきていた。
「んで一人はサイズおかしい! ってかヒトじゃない!」
箸でリィンを指す連太。だが、とがめるように晴明が鋭く声を上げた。
「待て」
一同が静まった後、おもむろに続ける。
「こうは考えられまいか? ――『二次元に近い分、むしろ妖精たんは有り』だと」
静まりかえったままの一同の間で、鍋だけが音を立て続けた。
やがて剣志がゆっくりとうなずく。
「なるほど。その気持ち俺も、とってもよく分かりかねます」
「おお、レッド君も分かるか……って『分かりかねる』のかよ! 分かりづらいなそれ!」
――そうこうするうち、宴もたけなわとなり――
熱燗に酔ったしのぶが真っ赤な顔でセーターを脱ぎ捨てる。
「あっつぅ~いぃ、もぅ脱ぐ、ぜぇんぶ脱いで楽になる~なるなる~」
横から斬葉と泉が押さえる。
「先輩、そこまでで!」
「いろいろマズいですから!」
しのぶはなおも笑っている。不意に両手を一つ叩いた。
「あ、そぉだ! 戦うときも脱いでた方が動き易いしアリなんじゃ!?」
剣志も押さえるように掌を向け、制止する。
「個人的な感想は別ですけど勘弁して下さい。正義の味方的に勘弁して下さい」
リィンがラム酒をすすって笑う。その小さな顔はもう、ルビーのように赤かった。
「回避率がすっごく上がりそうですねうふふそれ、うふふ? やりましょうふふ、是非やりましょうようふふふふふ? あ、今度からしのぶの変身は防具なしの裸に設定しときますね?」
鞘果が真顔で言う。
「あの、やめてあげて下さい」
隅で体育座りをし、スナックをかじりながら連太が言う。
「そういや、先輩は酒飲まないんスか」
同じ姿勢でスルメを噛みながら晴明が言う。
「あーいう大人にはなりたくないしねー。あとブラックちゃんは浪人だったらしいけど、ボクまだ十九だし」
――そんなこんなであった――。
「それじゃどうも、ごちそう様でしたー」
片付けを終え、しのぶの部屋を出たときには。黒い空にうっすら白く、粉雪が待っていた。
アパートの前で皆を見回して剣志が言う。
「じゃ、まあ良いお年をということで」
「ウス、良いお年を!」
連太が言い、泉が口を開く。
「ゲムゲノムが出なかったらいいんですけど……あの人たち正月休みとかないんですかね」
晴明が首の後ろをかく。
「あいつら正月特番とか見ながら雑煮食うの? 神社でおみくじ引いて『大吉だわー今年世界征服いけるわー』とか言うの? 逆に見たいねそれ……あ、そういえば」
不意に真顔で斬葉に向き直り、肩を叩いてくる。
「ブルーちゃん。キミもう、しばらく来なくていいから」
晴明の細い手にとてつもない重みを感じ、斬葉は何歩かよろめいた。
「つまり……それはつまりリストラで、それがし、京都、京都に……?」
泉が慌てて背中を押さえる。
「先輩、飛ばないで先輩!」
怪訝そうに眉を寄せながら晴明は言う。
「いや、旅行でも何でも行ってくれたらいいけど。リストラとかじゃなくてね、村正の代わりが見つかるまでバトルはお休みした方がいいんじゃないかってこと。お互いにとってね」
「え……」
斬葉が目を瞬かせていると剣志が言った。
「なるほど、一理あります。今日も俺がロングソードなんか渡したから……すまない、斬葉」
「え、え?」
斬葉が二人を交互に見ていると連太が言う。
「そっスね。刀系のが見つかったら速攻渡しますんで、それまでゆっくりしちゃってて下さい」
「え……」
斬葉が何も言えずにいると。鞘果がその手を握った。皆に頭を下げる。
「すいません皆さん、おねえちゃんのために。それじゃどうも、ありがとうございました。良いお年を」
口を開けていた斬葉も、やがて小さく頭を下げる。
「うん、ありがとう……ございます」
「帰ろ、おねえちゃん」
手を握ったまま背中を押し、鞘果が歩き出す。押されるままに斬葉も歩いた。
剣志が声をかける。
「一緒に行くよ」
斬葉はうつむいたままで、鞘果が答える。
「いいです、二人でだいじょぶですよ」
「でも、女の子だけじゃ難だし」
鞘果は笑う。
「太刀村流は柔術も併伝してますから。二人だし、素人相手なら二分で原型を留めない感じにできますんで」
剣志の頬が引きつる。
「えーとそれは……何だ、おめでとうございます」
赤い顔のしのぶが駆け寄り、斬葉に覆いかぶさる。
「え~じゃぁあ、おねーさんもメチャクチャにしてして~?」
「ちょっ……」
斬葉が顔を上げると、しのぶは微笑んだ。酒が香る口を開く。
「だーいじょうぶ、すぐ何とかなるから。それまでおねーさんに任せとき?」
犬をそうするようにわしゃわしゃとなでてくる。
「……はい」
それだけつぶやいて、その場を離れた。
「来なくていい、か」
帰り道。小さな公園に斬葉はいた。錆びたブランコをきしきしと揺らし、空を見上げる。おぼろげな街灯の光の中、黒い空から雪が散る。ため息が白く、そこへ混じる。
「はい、これ」
自販機の方から戻った鞘果がおしるこの缶を渡す。冷えた指先にその熱さが心地よかった。
缶をそっと頬につけ、斬葉はつぶやく。
「お荷物かな、私は」
鞘果は姉の前で立ち尽くす。
「おねえちゃん……」
「そうだな、そうかも知れない。家にあった刀がたまたま強かっただけの、ただの武器頼みだ……なくなったら何もできない」
「おねえちゃん」
斬葉は肩を落とし、地面に向けて息を吐いた。
「村正が、刀がなければ何もできない。弱いよ、私は」
顔を上げ、散っていく雪に目をやる。
「強くなりたいな。刀になりたいよ、いっそ。折れず曲がらずよく斬れる、強い刀に」
「おねえちゃん!」
叱りつけるように鞘果が声を上げた。
そのとき。斬葉の手首で、端末が警告音を上げた。
イブの静寂(しじま)を切り裂くように、凶暴な駆動音が鳴り響く。魔怪闘士サガンの振り上げたチェーンソーの轟音。
「ヒャーッハッハッハァ! メリー・クリスマスってか人間どもォ! ヒャハハァ!」
勢いよく振り下ろすそれが民家の壁に食い込み、粉塵を散らしながら断ち切っていく。さらに縦横に振るった後、ズタズタになった壁を蹴破った。その向こう、薄暗い部屋の中にはベッドの上で震える子供がいた。
サガンの陰から現れたファイナーが笑いかける。
「やあ。お邪魔させてもらうぞ、招待状の持ち合わせはないがな。歓迎してくれるだろ? どうやらアンタは良い子のようだ」
リボンをかけられた包みを枕元に認め、ファイナーは土足で部屋に踏み込む。包みをつかみ上げ、手の上で何度か小さく放り上げてみせる。
「確かに良い子だ、サンタクロースも来てくれたらしい。だが……これはアンタの手には渡らない」
サガンへ包みを放る。子供が何か声を上げたが、その眼前にファイナーは大剣を突きつけた。
「なに、危害を加える予定はない。むしろ、人間たちによりふさわしいプレゼントを持ってきた」
ポケットから出した小さな包みを子供へ放り、きびすを返して壁の穴に向かう。
「じゃあな。メリー・クリスマス」
顔だけ子供の方へ向けてそう言うと、背を向けたまま一つ手を振る。部屋の外へと駆け出ていった。
二階から駆け下りてくる両親の足音を聞きながら、子供はおそるおそる包みを開けた。そこには液体で満たされた、青い小さなビンが入っていた。
次の家へと歩きながらサガンが言う。
「リュイージの野郎、また妙な手を考えたもんで」
「悪趣味だが、なかなか面白いじゃないか……そら、また集まったぞ。人間どもの想念が」
ファイナーがポケットから出した、六角柱状のクリスタルを示す。今それは、何かに反応したかのように青く明滅していた。
ファイナーは満足げにつぶやいた。
「夢と希望に溢れた子供たち、その感情が最も高まるこの夜。そこへきて、突然の強奪。おまけに置いていかれたのは『 “回復薬(ポーチョン)”と銘打たれた謎の青マズ汁』」
サガンが後を受ける。
「その落胆、絶望、失われた希望……そういう想念が、そのクリスタルに集まってくるって寸法でやしたね」
「ああ。さて、次の家ではこの『いかにも魔法薬っぽい外観の限定版』でもくれてやろうか……フッ、『期待とは裏腹に飾り蓋と中蓋のサイズが全く合ってなくて常にグラグラしてる』という絶望に打ちひしがれるがいい! フフ、ククク……ハーッハッハッハ!」
少し離れた所で騎士ドラグオンと竜、キャンセルが顔を見合わせた。顔をしかめたドラグオンが口を動かし、キャンセルが喋る。竜の背には奪ったプレゼントを入れた袋がくくりつけられていた。
「『あれ一軒一軒やるのかな』だと? 同感だな。何、『だったら本人に言えよ、俺喋れないし』? そんなところだけ我になすりつけるでない!」
ドラグオンは不満げにかぶりを振る。ため息をつくとポケットに手をやり、携帯ゲーム機を取り出した。
キャンセルが唸り声を上げる。
「お主……いい加減に、何の脈絡もなくリズムゲームを始める癖をやめんか! まったく、何なのだお主は! どうしたらいいのだ! ん? 『忠告、本当に、本当にありがとうございました』ではないわ!」
そのとき。不意に、鋭い声が頭上から降った。
「待てゲムゲノム! 貴様らの悪事もそこまでだ!」
建物の上でこちらを見下ろし、構えを取る戦士たち。
「ようやく来たか」
ファイナーは笑い、五人の戦士を順に見渡す。五人。奇妙なことに、サムライブルーの姿はそこになかった。そしてニンジャブラックは妙にフラついていた。