やっとポケモンホームがSV連携したよ!
これでヨマワル連れこれるよ!
ポケモンホーム「出禁です」
ファーーーーーーーーーーー!!!!
「あなたの目玉をエレキネット!なにものなんじゃ?ナンジャモでーす!」
昨日、ユズリハくんがパルデアを出ると告げたその後のことはあまり覚えていない。いや思い出したくないだけだと思うんだ……
「……あっ、ど、ドンナモンジャTVの時っ間だぞ〜!」
いけない、いけない!視聴者の皆のものを待たせるわけにはいかないんだよね!
「さーて、今日はおウチ配信の時間だけど今日のテーマはぁ………」
今は配信に没頭しなきゃね!昨日の事なんか忘れて配信に……忘れて………
ユズリハくんは来週にもパルデアを出ていく。もしかしたらユズリハくんは二度とパルデアに帰って来ないかもしれない……
忘れられるもんか……ボクは……
【涙たすかる】
【ないちゃった!!!】
【めっちゃ泣いてるやんけ!】
【ナンジャモのガチ泣き!】
「えっ、あ……」
リスナーのコメント欄を見て気がついた。配信に写っているボクはいつの間にか涙を流していた。
「え、えへへ……な、なんでボク泣いてるんだろ?」
袖で涙を拭っても涙はとまらないし、だんだんと表情がくもっていく。
「あ、な、なんでだろ。涙が止まらないや……」
そして頭の中でユズリハくんがパルデアを去る事ばかり浮かび、胸が痛みだした。
「………みなのもの……ごめん、やっぱり今は配信できないや……ちょっと切るね」
配信を切った直後、胸が更に痛みを増して溜め込んでいた感情が大爆発した。
「……うあ……うわああああああああああああああっ‼‼」
ボクは声を大にして泣いた。昨日と同じように悲しみのぶつけどころがなくて、悲しくてつらくて胸が張り裂けそうな気持ちが溢れ、泣いた。
「バリバリィ……」
ボールからハラバリーが飛び出し心配そうな眼差しで歩み寄る。
「ひぐっ……んぐ……ハラバリー……!」
泣き続け嗚咽でうまくしゃべれないボクはハラバリーにぎゅっと抱きついて再び泣いた。
会いたいよ……ボクを置いていなくならないでよ……ユズリハくん……
_________
「えっナンジャモが休み続けてるんですか!?」
アカデミーの生徒にポケモンバトルのルールやジムバトルのルールなど運営委員主催のジムチャレンジ説明会を終えてやっとこさ一段落ついたとだった。
背伸びしてたところ、チリさんがやって来てハッコウジムが長く閉じてることを聞いた。
「せや、『体調悪いから休む』とか言うて休んでな。代わりにチリちゃんが代理をやってたんやけど……まさか6日間も休むとはなぁ」
知らなかった……他のジムの視察とか説明会の準備、あとは妹のことでいっぱいで気づかなかったわ。
「そういえばあの子の配信?『ナンジャドヤサTV』やっけ?」
「いや『ドンナモンジャTV』です」
「それも長いこと配信休んでるみたいや。リスナーも心配しとるらしいで?」
ナンジャモが配信を休んでる!?そんなことはあり得ない、彼女は毎日欠かすことなく配信を続けていた。
それがいきなり活動休止になるなんて……彼女の身に何かあったのか。
「……ん?」
スマホロトムでナンジャモの配信動画を確認すると最後に配信した日付が気になった。
この日に配信してから休んでいる……あれ、ちょっと待って。その前日は確か………
―――ボク、ユズリハくんのことが、好きなんだ
「あっ」
そうだ、その日はナンジャモがユズリハのことを好きだと話して告白しようとしていたわ!
その日から様子がおかしいとなると……あまり考えたくないけど、嫌な想像が過る。
もしその通りだったら……背筋がゾッとした。
「チリさん、ちょっと様子見てきます!」
「おう…って、ちょい待ちい⁉あの子の自宅わかるんか!?」
「リップさんと女子会で一度行ったことあります!」
「マジかほな頼むな。って、いやおい待てや。なんでその女子会にチリちゃん呼んでくれへんかったんや!?」
「すんませんっ!」
だってあの日チリさんはアオキさんとつるんでたし、あの様子じゃあたしゃ誘うの野暮だなぁってわけでそっとしておいたし?
いや今はそれどころじゃない。急いで向かわなければ。空飛ぶタクシーに乗ってハッコウシティへ。
駆け足でナンジャモのいるマンションへ。セキュリティ?ゲンガーで無理矢理通したのは秘密な!
そして彼女の自宅である場所に辿り着きインターホンを押す。
「お願い……出てきて!」
ユズリハのバカ野郎が何したか分からないけどナンジャモの様子が最優先。まさかショックのあまり自ら……いや、そんなことは……ショックがでかすぎたら、まさか……
最悪の状況が頭から離れない。なんとか払拭しようとしていたらドアの鍵が解除される音が聞こえドアが開かれた。
「バリバリィ……」
出てきたのはナンジャモではなく彼女の相棒のハラバリーだった。
「ハラバリー!ナンジャモは、あの子は大丈夫なの!?」
「バリバリ、バリバーリ」
ハラバリーはポヨンポヨンと体を伸び縮みしながら身振り手振りで話す。
ごめん、何言ってるのか分からない。でも様子からして会いに行ってほしいというのはなんとなくわかる。うん、なんとなく……
玄関を上がり、部屋へと進むと……ベッドの上で布団を被りクルマユかコモルーの様に丸まっているナンジャモの姿があった。
「ナンジャモ…!だ、大丈夫!?」
「……アマモっち?」
彼女の声にいつもの元気と明るさがない。
「とりあえず無事……とは言いきれそうにないわね。だけど心配したわよ?」
「………」
布団から出てきた彼女の顔はとても暗く、瞳にも明るさが見られない。
「……何かあったのね?あたしが話聞くよ?」
その言葉を聞いた途端、ナンジャモは我慢のひもがプッツンと切れたようで…涙が溢れ、堪えきれず声を上げて泣いた。
「うわあああああああ!アマモっちぃぃぃっ‼」
彼女はあたしに抱きついて涙を服に擦りつけながら大声で泣いた。
「ユズリハくんが…ユズリハくんが…!」
「よしよし……気が晴れるまで泣きいちゃいな。話は後から聞くから……」
……ユズリハのバカ野郎が何かやりやがったのは確かね。
_______
「……は?マジ?」
涙が枯れるまで泣き続け、ようやく事情を聞けるようになったところでナンジャモから話を聞いたあたしは言葉が出なかった。
「ユズリハがパルデアを出る……?」
咽び泣く彼女は涙を拭いながら彼女は何度も頷く。
そんな話、あたしは聞いてないわよ⁉ユズリハは何も言ってなかったし、そんな様子も見られなかった。
事実を確認するためあたしはスマホロトムでチリさんに電話をする。
『もしもーし、チリちゃんやで!アマモ、そっちは大丈夫かいな?』
「はいひとまずは……ところでチリさん、ユズリハがパルデアを出るって知ってましたか?」
『なんやあいつ、話してなかったんかいな?トップの提案で地方のジムに行って学ぶ出張するんやで』
ナンジャモの話はどうやら事実らしい……
『シンオウ行ってガラル行って……まあ2年の出張やけど、もしかしたらあいつ運営委員やめて地方へ旅に出るかもなぁ』
バトルバカのことだからやりかねない……と冗談を言いたいが、今はそんな気分じゃない。ふつふつとマグマのような熱い怒りが湧き上がってきてる。
『とにかく、ナンジャモちゃんには元気出してもろうて復帰してくれんと。トレーナーにナンジャモやないのかぁって目の前で愚痴られるのはもう懲り懲りや。ほな、よろしくなー』
スマホロトムの通話を切り、再びナンジャモに視線を向ける。彼女は終始俯き暗くなっていた。
「そういうことだったのね……」
出立日は明日……あのバカ野郎め、やってくれるじゃない。あたしは拳を強く握りしめ、立ち上がる。いますぐにもばくれつパンチをおみまいしなければ。
「ま、待ってアマモっち……」
ナンジャモが裾を掴んであたしを止める。
「ユズリハくんを殴らないであげて……」
「……」
なぜそういうことを言うのか、あたしは尋ねず彼女の話を聞いた。
「ユズリハくんのやってみたいことなんだって……だから、ボクには止めることはできないよ……」
彼女は諦めたかのように、悲しみを紛らわせるかのように、力なく笑う。
「……ボクなんかが、ユズリハくんに追いつくことはできないんだよ……」
「………」
弱々しく笑う彼女にあたしは屈んで、彼女の両頬を軽くつねった。
「ひゅわっ!?あ、アマモっち……?」
「まだ諦めちゃダメでしょ……自分の気持ち、まだ伝えてないんでしょ?」
「……で、でも」
「でもじゃない。やらないで泣き寝入りするのが一番後悔するの。あんたは周りがどう言おうがあんたは受け止める覚悟があったんでしょ?」
「……」
おどおどしながらもナンジャモは頷く。よし、まだ心の奥底は折れてない。
「だったら…まだ終わってないわ。気持ちを強く持ちなさいな」
あたしは再び立ち上がり、拳を鳴らす。
「あ、アマモっち……」
「あたしがその最後のチャンス、作ったげるわ」
____________
「よし……支度はこれで終わった」
夜まで続いた作業がようやく済んだ。
デスクはきれいに片付け持ち帰る物は箱に詰めた。リーグに戻ってくるかどうか分からないし、きれいにしといた方がいいだろう。
リーグの外に運びリザードンをくり出す。
「そんじゃ先に持ち帰ってくれ」
「バギュアッ‼」
荷物を受け取ったリザードンは翼を羽ばたかせチャンプルタウンの自宅へと飛んでいった。
「……いよいよ明日か」
明日の船でパルデアを出る……急なことだったが1週間の間に片付いてホッとする。
準備はできているし、あとは明日備えて寝るだけかと背伸びをする。
「ヨノノ……」
ヨノワールが腕を組んだままじっと見つめている。その眼差しは『本当にいいのか?』と言っているかのようだ。
「……いいんだ、これでよかったんだ」
頭にナンジャモのことが過るが首を振って払拭する。これでいいんだ……そうすればあいつの夢を壊さずにすむ。
「そこにいたのね、ユズリハ……」
ふと呼ぶ声が聞こえた。ゆっくりとアマモがこちらにやって来ているのに気づいた。
「この時間まで視察だったのか?おつかれさん」
労いの声をかけるが返事がない。よく見るとアマモの目がかなり怖い……まさか、あれか?パルデアを出ることをチリさんに聞いたのか?
「あぁ明日出ることか?黙ってて悪かったな。伝える暇がなくてさ?」
「……そんなことはどうでもいい……」
アマモは拳を鳴らして強く握りしめると、大きく息を吸った。
「歯ぁくいしばれこんボケがぁっ‼‼」
怒声と共に彼女の鉄拳が飛び、避ける間もなく強烈な一撃が顔面に炸裂した。
「ごぼへっ!?」
激しい痛みを受けて倒れた俺は何が、何でと痛みと混乱の中で起き上がる。
「痛っ……マジ殴りじゃねぇか!?なんだってんだ!?」
「あぁ?なんだってだとぉ~?そりゃこっちのセリフだ‼」
やばい……目がガチだ。アマモが本気で怒ってる。
「あんた……あの子にパルデア出るって言ったのよねぇ?」
あの子、と聞いて俺はすぐに察すとそっぽを向く。
「……お前には関係ないだろ」
「もう一度殴られたいようね……」
アマモが俺の胸ぐらをつかんで怒りにみちた目で睨んできた。
「あの子、泣いてたわよ。もう二度と会えないって悲しんでたわよ…!」
「……!」
覚えているさ……俺が出た後、あいつは大声で泣いたこと。それを聞いていながらも堪えて去ったことも。
「図星のようねぇ、ええ?あんたあの子の気持ち、気づいているんでしょ?」
「……あいつのためだ。あいつの夢を壊さないためだ!俺なんかが関わったら……!」
世間に暴露され、誹謗中傷の嵐に叩きのめされ、傷つけられ、それが原因で夢を捨てて諦めてほしくない!
だから……あいつには夢を突き進んでほしいと俺は離れることを決めたんだ。
「……こんのクソボケたわけがっ‼‼」
胸ぐらをつかんでいたアマモが頭突きをしてきた。
「おごっ!?」
い、いってえ!?なんだよこの野郎、アイアンヘッド並みに痛えぞ!?
「あの子はなぁ……あんたのために全て受け入れる覚悟だったんだぞ‼‼」
「……!?」
「それをあんたは見向きもしないで……何自分に嘘ついてんだ‼」
その言葉に俺はピクリと反応し反論することもできなかった。
「あんたは……好きなんでしょ?動画に写ってるエレキトリカルストリーマーじゃなくて、一緒にいてくれて一緒に笑ってくれる、あの子のことが本当は好きなんでしょ!」
あぁ……そうだ。
本当は……好きなんだ。
「……だけど……」
「だけどじゃねぇでしょ。まったくお互い気にし合ってお互い本当の気持ちを伝えあってないんだから……」
胸ぐらをつかんだ手を放してアマモはため息をついた。
「ここまで言えば自分でもわかるでしょ?後はどうするか……本当の気持ちに、正直な自分になって考えな」
アマモはそう告げるといつの間にかスタンバってたペンドラーに乗って帰っていった。
本当の気持ち……殴られどつかれた痛みと胸が張り裂けそうな気持ちが混ざり合って迷い答えられないでいた。
「俺は……どうしたらいい?」
モヤモヤした雰囲気を書きたいのにどうしてもふわふわが混ざっちゃう