パルデアのあるポケモントレーナー達のお話   作:サバ缶みそ味

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 ニャオハは立ってしまったが…最終進化はかなりすこすこのスコヴィラン


 最初に選んだのはホゲータでした……まさかお前が立たなくなるんかいな


2、おかえりなさい

『ロトロトロトロト……』

 

「んお?」

 

 ホテルスボミーインに着き、帰る仕度が済んだので明日に備えて寝ようとしたところスマホロトムが鳴った。

 

 えっと電話の主は……やっぱりな

 

 一段落ついたからそろそろかかってくる頃だろうと思ってた。スマホロトムを宙に浮かせて通話を開く。

 

「はいよー?」

 

『やほー!ユズリハくんお疲れさま!今電話ダイジョーブ?』

 

 

 やっぱりナンジャモだ。電話はファイナルトーナメント決勝戦でキバナさんを破りチャンピオンへの挑戦権を得た日の夜以来だな。

 

「あぁ、インタビューが終わってやっとこさ休めたところだ」

 

『えへへ…よかった♪』

 

 あーほっとした…ナンジャモの元気な声が聞けて今日の溜まった疲れが一気にぶっとんだわ。

 

 

『決勝戦すごかったよ!ユズリハくんもヨノワール達も頑張ってたけど、やっぱりガラルのチャンピオンは強かったねぇ』

「惜しいとこまでいったけどなぁー…」

 

 最終決戦…ヨノワールとエースバーンの一騎打ち。激闘の末、エースバーンのかえんボールをもろにくらってヨノワールが戦闘不能に。結果はチャンピオンの勝利に終わった。

 

『あんこくきょうだとゴーストダイブをくらってなかったら勝負はわからなかったかもね。二人ともゴリ押しすぎだよ』

「たはは、そうかもなぁ」

 

 まあ勝負は勝負、結果はしっかり受け止めよう。ヨノワール達もよく頑張ってくれた。

 

『ところで……ユズリハくん?もし試合に勝ってチャンピオンになってたらどうするつもりだったのかなぁ?』

 

「うっ……」

 

 ナンジャモが痛いところをついてきた。もしチャンピオンになってしまったら暫くパルデアに帰れなくなってしまう。そのことをすっかり忘れてた。

 

「あー………すまん、考えてなかった」

 

『むぅーっ!チャンピオンの座が変わるまで何年もかかるし!ボクを何年も待たせる気なのかな⁉』

 

 やっぱり怒るよな…ナンジャモが頬を膨らませてプンスカと怒っている姿を思い浮かぶ。

 

「す、すまない。そこは浅はかだったな」

 

『はあ……まったく、ユズリハくんはバトル以外はマイペースのんきのポンコツトレーナーだってのは前から知ってたし』

「うぐっ…」

 

 ナンジャモのクソデカため息に猛省する。ご、ごもっともで返す言葉もないです…ナンジャモが何度も急所を当ててくるぅ

 

『でも…そんなユズリハくんが好き……チャンピオンになろうが何年経とうがボクは待つよ!』

「な、ナンジャモ…!」

 

 ああいっぱい好き。これはナンジャモを待たせる訳にはいかん、早くパルデアに帰らなくてはな…!

 

『だからユズリハくん……待ってるからね!』

 

「お、おう!明日には船に乗るからな!だいたい明明後日にはマリナードタウンに着くから!」

 

『ニシシ、お土産楽しみにしとくよっ♪またね~』

 

 通話が終了し、ふうっとひと息ついてスマホロトムをベッドに置きドカリとベッドへと寝転ぶ。

 

「長かったなぁ……」

 

 パルデアのジムチャレンジを盛り上げるため、視察と修行を兼ねてまずはシンオウ地方へジムを巡り…

 

 次にガラル地方へ赴きジムチャレンジを受け、チャンピオンカップに挑んだ。シンオウとガラルのあちこちを見て廻って2年が経った。

 

「やっと…やっと会える」

 

 ナンジャモとは何回も電話を通して会ってはいたがやはり生身のナンジャモに会いたかった。

 

 

 ガラルのカレーは美味かったがナンジャモの作るサンドイッチの方がめちゃくちゃ美味い。早く食べたいなぁ……そう思うと早く会いたくなってきた……寂しくさせてしまった分の埋め合わせをしてあげないとな。

 

 なんだろうか、会えると思うとドキドキしてきた。ああもう落ち着かないから早めに寝るか!

 

 明かりを消して布団に包まって寝転がる。睡魔がふりかかり瞼が重くなる。

 

 

 

 

 やらなくちゃな…再会した彼女に………もう一度伝えるんだ

 

 

____

 

 

 

 

「エヘヘっ…エヘヘヘヘ♪」

 

 ボクは相棒のハラバリーに抱きつきほっぺをぷにぷにさせる。この嬉しい気持ち、溢れかえってだいばくはつしそうだ。

 

「ハラバリー…ユズリハくんがいよいよ帰ってくるよっ♪」

 

「バリバリィ」

 

 ハラバリーはぽよんぽよんと軽く跳ねて答えてくれる。わかってるわかってる、ハラバリーも楽しみなんだね。

 

「………」

 

 動画編集に使うデスクに視線を向ける。パソコンのそばに置いてある写真立てにはボクとユズリハくん、あとユズリハくんの親友達が写っている写真が入っている。

 

「2年かぁ……」 

 

ユズリハくんがパルデアを出て2年が経った。あの日々のことは覚えている。 

 

 ユズリハくんがパルデアを出ると聞いたその翌日は落ち込みすぎて生放送を中断したり一時活動休止したり……そして()()()()()()のせいで色々あったりと周りに迷惑かけちゃったっけな

 

「はあぁあー……」

 

 くそデカため息をついてベッドに寝転がる。短いようで長い時間だった。

 

 

 はやく、はやく会いたい

 

 

 

 この胸がキュンっと締め付けるような気持ちが込み上げてくる。

 

 

「ユズリハくん……っと、いけないいけない!もう寝なきゃね!おやすみ、ハラバリー!」

 

 

 明日も配信の予定があるんだった!明日に備えておかないと!ハラバリーをボールに戻し明かりを消して就寝する。

 

 

 やっと……やっと会えるね。2年も待たされた分うーんっとお返ししてもらわなきゃ。いっぱいサンドイッチ食べて、いっぱい話しをして………

 

 

 それからもう一度伝えるんだ……ボクのこの気持ちを

 

 

 

_______

 

 

 

「うんうん♪いい天気だねハラバリー!」

「バリィ♪」

 

 

 ボクはシートを敷いて暖かい日差しを浴びて背伸びをした。今日は仕事はオフ。ハラバリーとピクニックに出かけた。

 

 今日はとってもわくわくしてる。なんたって今日はユズリハくんが帰ってくる日だ!

 

「『あの場所で待ってる』ってメールをしたし、ここならユズリハくんが来てくれる…!」

 

 ここは東3番エリアのとある高台、パルデア十景が一つ『100万ボルトの夜景』が見える映えスポット。ハッコウシティの夜のビル等の明かりがとても綺麗に見える場所。

 

 そして動画配信を始めた頃のボクがユズリハくんと再会した場所だ。

 

 懐かしいなぁ……配信を始めたばかりのボクは緊張しててトークは下手っぴだったし、この格好に慣れてなくてオドオドしてたっけ。

 再生数があまり伸びなくて、再戦数を伸ばそうとパルデア十景の動画を撮ろうとした時、当時問題になっていた動画配信初心者狩りをしていた配信者に絡まれた。

 あの時はまだ手持ちはズピカだけだったし自分の配信がめちゃくちゃにされるされるかと怖かった……

 

 そんな時に助けてくれたのがユズリハくんだった。

 

 

 

 アカデミーの時からもユズリハくんはボクを助けてくれた……ボクにとってのヒーローだ。

 

「っと、ハラバリーお腹すいた?サンドイッチを作って待っとこうか」

「バリリィ!」

 

 

 今はマリナードタウンに着いた頃かな?ユズリハくんもお腹すかしてるだろうし、ユズリハくんとヨノワールの分をうんと沢山作っておかなきゃね♪

 

_____

 

 

 

 

 

 

 時刻は正午……ユズリハくんは来ていない。

 

「………」

 

 

 あ、あれかな?帰ったらまずはポケモンリーグに行って四天王の皆とトップのオモダカさんに挨拶しないといけないとね!

 

 きっと土産話が弾んでいるんだろうね!

 

 

 その後にユズリハくんはボクに会いに行くはずだ!

 

「バリバリ」

「ハラバリー……うん、待っておかないとね!」

 

 どーんと身構えて待っておこう!

 

 

 

 

 

 

 

_____

 

 

 

 

 

 時刻は午後の2時……ユズリハくんはまだ来ない。

 

「………」

 

 

 あ、あれれぇ?おっかしいなぁー……

 

 

 沢山作っておいたサンドイッチはハラバリーが全部平げてしまった。

 

 あー…アレだ、たぶんアレだ。きっと四天王の皆とオモダカさんとお昼にしてるんだきっと。

 

 きっとお土産話に拍車がかかって大盛り上がりしてるんだ。ハッサク氏が大号泣してアオキ氏が大爆笑してるんだきっと。

 

「バリバリ」

「ハラバリー……そ、そうだよね!待っておかなきゃね!」

 

 四天王とトップとお食事なら仕方ないね……その後ユズリハくんはボクに会いにきてくれるんだ。

 

 心配しないで待っておかないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______

 

 

 

 

 

 時刻は午後5時……ユズリハくんはまだ来ない

 

 

 

「ぐぬぬぬ……!」

 

 そろそろボクのがまんの限界で、いかりのボルテージがマックスに。

 

 もう夕暮れ時だし!いつまで経ってもユズリハくんは来ないし!いったいどこで油を売ってるのかな⁉

 

 もしかしてボクが待ってる場所を忘れた…?

 

 いやユズリハくんが忘れることはな……いやぁうっかり忘れてたってことがありそうだなぁ。

 

 ええい、こうなったらあまり急かしたくないけど電話をかけて……

 

 

「バリバリ‼」

 

 ハラバリーが何か見つけたのかボクに呼びかけてきた。

 

「うん?ハラバリー、どうかした?」

 

 ハラバリーがポヨポヨと跳ねて向こうを指差す。なんだろうか、ボクはハラバリーが指差す方へ目を凝らしてみる。

 

 よく見ると誰かがポケモンと一緒にこちらに向かって走ってきている………

 

「うむむ………あっ……」

 

 ようやくはっきりと見えてきた時、ドキリと胸が高鳴る。

 

 

 白色のシャツにベスト、黒いズボンに茶色のブーツ。赤い短髪をなびかせながら走っている人物……間違い無い、ユズリハくんだ!

 

 

 ユズリハくんの姿が見えてボクは満面の笑みを浮かべるが……

 

 

 

 

 

 シャツの袖を通し捲くって必死に走るユズリハくんと隣でドタドタと走るリザードン、呆れながらあとに続くヨノワールの姿にボクは真顔に戻る。なんでや、なんでリザードンと走ってるんだ……

 

 

 

「な、な、ナンジャモぉぉぉ!」

「バギュア!!」

「……」

 

 

「ユズリハくん、遅い!かなり待ったんだよ⁉」

 

 

「ひい、はあ……ふう……こ、これには訳がぁ……あるんだ」

 

 

__________

 

 

 

「ユズリハくん、この度の視察ご苦労様でした」

 

 

 リーグの入口でパルデアのポケモンリーグ運営委員長でトップチャンピオンのオモダカさんがにこにこと変わらぬ笑顔で出迎えてくれた。

 

 

 マナリードタウンに着き、久しぶりにパルデアの地に帰ってきた俺はまずはポケモンリーグへ向かいみんなに挨拶と報告をした。

 

 

「シンオウとガラルの地はいかがでした?」

 

「パルデアと違った環境で、とても楽しい冒険になりましたよ」

 

 リーグに入るとパルデアの四天王であるチリさん、ポピーちゃん、アオキさん、ハッサクさんが待っていた。

 

「よおユズリハ!なっがーい旅行はどうやった?」

「ユズリハおにいちゃんおかえりさないですー!」

「……出張お疲れ様です」

「ユズリハくん、よく頑張りましたね。シンオウやガラルの旅で得た経験はかけがえのないものになりますよ」

 

「みんな……ただいま戻りました!」

 

 いつもと変わらない元気な姿にほっとする。相変わらずここは楽しいところだ。

 

 さっそくみんなにガラルのお土産を……

 

 

「ユズリハー、この間の決勝戦見たでー」

 

 チリさんがにやにやしながら肩を組んできた。今日はガチ仕事モードの眼鏡をかけてないのだが……笑みから見える圧が半端なく怖い。

 

「あのまま優勝してチャンピオンになってしもうたらどないするつもりやったんかなぁ~?」

 

「お、おうふ……の、ノープランでした……」

 

「ほーん?そのままこのチリちゃんに他の仕事押し付ける気かー?」

 

 いたいいたい!頭をぐりぐりしないでください!

 

「そういじってはいけませんぞチリ。彼がガラルのチャンピオンになったら我々としては誇らしいことではありませんか」

 

「ハッサクさん優しすぎますよ…『あの時』もウチとアオキさん、あとあの子がめっちゃ働いたんやで?」

 

 あ、あの時か……確かその時は四天王の皆とオモダカさん、後は俺の親友がめちゃくちゃ動いて大変だったと聞いている。

 

「ほんとご迷惑をおかけしてすいません……」

 

「いい仕事になりました……」

 

 

 アオキさん、目の下のクマが濃くなってませんか?ほんっとご迷惑おかけしました……

 

「ユズリハおにいちゃん、シンオウとガラルにいた時のおはなしを聞かせてほしいですの!」

 

 そうだ、ジムチャレンジやリーグの報告だけでなく旅で見てきたことを話さないと

 

 

「ここでもなんですから各地方のジムチャレンジやリーグで見て体験したことを食事しながらお聞かせくださいな」

「小生も聞きたいですな、他の地方のドラゴン使いはどのようなものでしたかな?」

 

「……昼休憩ですね」

 

「よっしゃ、ほんならテーブルシティで昼飯や!もちろん、ユズリハの奢りやな?」

 

「なんで⁉」

 

 

 

 

 そうしてみんなでテーブルシティへ。バル・キバルでお昼を食べた。久しぶりにパルデアの御飯を食べたらホームに帰ってきたって感じがする。その後はシンオウとガラルの旅の話で会話を弾ませた。

 

 

 すると足元の影からヨノワールが出てきて俺を横から小突いてきた。

 

「っと、ヨノワールどうした?」

「……ヨノッ』

 

 ジト目で時計を指差す。時間は午後の1時……あ

 

 

「いかん、もうそんな時間か」

 

 

 そろそろ行かないと……ナンジャモが『あの場所』で待っている。

 

「すいません…俺、他の用事が……」

 

「お?彼女のとこに行くんやな?」

 

 チリさんがニヤニヤしながらガスガスと小突く。かなり痛いんですけど⁉

 

「大事な人を待たすわけにはいきませんな、ユズリハくん行ってらっしゃい」

「ユズリハくん、今日はこのまま上がっていいですよ。明日からよろしくお願いしますね?」

 

 

 ハッサクさん、オモダカさん、ありがとうございます。席を離れようとしたその時だった。

 

 

「トップーーーっ!!」

 

 

 オモダカさんの下にオレンジアカデミーの制服を着た女の子が猛ダッシュで駆けつけてきた。

 女の子はゼエゼエと荒い息をあげるやいなや大きく深呼吸し顔を上げて満面の笑みを見せた。

 

 

「聞きましたよ!ここに前のチャンピオンがいるって!!」

 

 

 女の子はめちゃめちゃ目を輝かせてオモダカさんに尋ねる。

 

「ユズリハ、紹介しますね。彼女はネモ、新しくチャンピオンになった生徒ですよ」

 

「あっ!貴方がユズリハさんですね!私はネモっていいます!」

 

 

 眩しいくらい輝く笑顔を見せて握手をしてきた。元気いっぱいの子だね…その元気、アオキさんに分けてやってほしいくらいだ。

 

「テレビ見ました!とっても興奮しましたよ!ユズリハさん、とっても強いんですね!」

 

「あ、あはは…ありがとね。まあ試合には負けちゃったけど頑張ったよ」

 

「なので、早速ポケモン勝負しましょう!」

 

 

 ………はい?

 

 

「パルデアの前チャンピオンの実力、見せてください!」

 

 

 え、あの、理解が追いついてないんですけど?ちょ、チリさんもアオキさん、なんで視線をそらしてるんですか⁉

 

「ネモさんはバトルがとても好きなんですよ?」

「………」

 

 トップ?ちょっと言ってる意味が分からないんですが?ポピーちゃんはハッサクさんの後ろに隠れちゃった⁉

 

「ユズリハくん……頑張れ」

 

 ハッサクさんが諦めの境地に⁉

 

 よ、要はバトルに勝てばいいんだな?パルデアに帰ってきたんだ。いきなり黒星をくらうわけにはいかん、やってやらぁ!

 

 

______

 

 

「リザードン、かえんほうしゃっ‼」

「ばぎゅあっ‼」

 

 リザードンが勢いよくかえんほうしゃを放ち、相手の最後の手持ちであるマスカーニャに直撃させる。

 

「ウニャァッ⁉」

「マスカーニャ‼」

 

 耐えきれなかったマスカーニャは戦闘不能に。ネモはマスカーニャをボールに戻す。

 

 

 勝負は俺の勝ちだ。流石はチャンピオンランクのトレーナー、彼女のポケモン達はとても強い。手を抜くとこちらが負けるところだった。

 

「お見事、実力は衰えていませんね」

 

 オモダカさんは笑顔で拍手を送るが……ネモは俯いて震えていた。

 

 ちょ、ちょっと大人気なかったかな…?

 

「わ、悪い…き、君のポケモンもかなり強くて……」

 

「すごい!!すごいですよ‼」

 

 ネモは目を輝かせて笑顔を見せて興奮していた。元気すぎるんだが!?

 

「ユズリハさんのポケモン、みーんな強くて興奮しました!いやー、テレビを見て対策を立ててたのにそれも破るなんて、すごいです!」

「お、おぉ…」

 

 この子のテンションがよくわからない‼ま、まあ勝負できて満足なんだろう……

 

「行くところがあるからそろそろ……」

「よし!早速勝負しましょう‼」

 

 はいぃ⁉いまさっき勝負したばかりだよね⁉

 

「あ、あのー……もう一戦するの?」

「もと楽しい勝負にしましょう!今度は負けませんよ?あ、ちょっと休憩してから勝負します?」

 

 

 オモダカさん達に助けを求めるが…オモダカが苦笑いしてる⁉四天王のみんなは首を横に振っている。

 

 やばい、この子戦闘狂……バトルが好きすぎる子だ!

 

 このままだと日が沈むまでバトルさせられる……これ以上ナンジャモを待たせるわけにはいかん‼

 

 

「あぁっ‼あんな所に色違いのひかえめジバコイルが飛んでる!!」

「えっ⁉」

 

 

 ネモは目を輝かせて後ろを振り向いた。よし、今だ!

 

 

「リザードン、急ごう!」

「ばぎゅあっ!」

 

 

 俺とリザードンは走ってその場を離れた。

 

________

 

 

「……と、言うわけでここまで走ってきたと」

 

「そ、そういう訳なんだ」

「ばぎゅばぎゅ」

 

「はあ……」

 

 

 まあそういうことなら仕方ない。ネモ氏は恐ろしいくらいのバトル好きだからね……でもさぁ  

「というか、リザードンに乗って飛んできたら早く着いたんじゃない?」

 

「…あっ」

「ばぎゅっ」

 

 ふたりしてそうだったという顔をした。ヨノワールは呆れて肩をすくめてるし…ほんっとユズリハくんってこういうところはポンコツなんだから。

 

「ほんとうに遅くなってしまって悪かった!」

 

 

 ユズリハくんは深く頭を下げる。まったく……ユズリハくんはわかってないなぁ

 

 ボクはくすりと笑って軽くため息をつく。

 

________

 

 

 ナンジャモを待ちぼうけにさせてしまった……かなり怒ってるだろうな。

 

 

 

 頭を下げてしばらく経過するとナンジャモがため息をついた。

 

 

 

 

「せっかく今日はオフだったのに」

「うっ……」

 

 貴重な時間を割いてでも待っててくれたんだ……悪いことした

 

「張り切って沢山サンドイッチを作ってあげたのに」

「うぐっ……」

 

 ナンジャモの作るサンドイッチはとびきり美味い。折角作ってくれたのに……ほんっとすまない。

 

「挙句の果てには夕方になるまで待たされちゃったし」

「うぐぐ……」

 

 俺のおバカ、なんでそらとぶタクシーに乗らなかったんだ!ナンジャモにはひどいことしてしまった……

 

 

 どうにかして許してもらえないだろうか……

 

 

「でも……じゃなかった。ユズリハくん、謝るより真っ先にボクにすることがあるんじゃないかな?」

 

 はえ?

 

 

 不思議に思って顔を上げると…ナンジャモが両手を広げて待っていた。彼女はそっぽを向いているが顔を赤らめている……

 

 それがどういう意味か、おバカな俺でもわかった。

 

 

 そうだったな…これをやらなきゃな

 

 

 ナンジャモに歩み寄り、ギュッと抱きしめた。ナンジャモも広がた両手を俺の背中に寄せて抱きしめる。

 

 

 

「ナンジャモ…ただいま」

 

「おかえり……ユズリハくん」

 

 

 ああ…暖かい……心が落ち着く。本当に帰ってきた、という感覚がする。

 

「…だいぶ待たせてしまったな」

「スッゴク待ったんだからね…!」

 

 

 ぐりぐりと顔をうずくまる。寂しい思いにさせちまったな、これからうんっと癒やしてあげよっと。

 

 それからは何も言わずぎゅっと抱きしめ合う。お互いが長く会えなかった分、満足するまで抱きしめた。

 

 

 

 

 抱きしめあってどれくらい経ったろうか…夕日が海へとゆっくりと落ちて辺りが次第に暗くなっていく。

 

 

 そろそろ伝えなくては

 

 

「ナンジャモ…あのさ、大事な事を伝えたいんだ」

「えへへ…ボクも」

 

 俺たちは体を少し離して互い顔を見つめる。

 

 

「結構大事な事で……今後活動に支障が出るかもしれない」

 

「えー、『あの事』やらかしといて今更ぁ?」

 

 

「お、おふ…ま、またぶり返すかもしれないだろ?」

 

「まったく……いい?ボクの活動がれんごくになろうがだいふんげきをくらおうがハサミギロチンで一撃必殺になろうがへっちゃらだよ」

 

 

 ナンジャモはギザギザの歯を見せてニシシと笑う。こういう可愛いだけじゃなくてたくましくところに惚れたんだ…

 

 

 

 ナンジャモが真剣な眼差しで俺を見つめる

 

 

 

「ユズリハくん……ボクは覚悟できてるよ」

 

 

 ナンジャモは目を瞑って顔をあげた。

 

 

 耳まで赤らめて……きっとドキドキが高まっているに違いない。

 

 

 

 俺も答えてあげなくては

 

 

 

 ゆっくりと顔を近づける

 

 

 

 

 

 

 

 それから伝えよう俺の気持ちを

 

 

 

 

 

 それから話そっか、ボクの気持ちを

 

 

 

 

 

 俺はこれからもずっと

 

 

 

 ボクはこの先もずっと

 

 

 

 

 大好きな人と一緒に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ハッハッハァーっ‼探したぜユズリハぁぁぁぁっ‼」

 

 

 

 

 突然クソデカボイスが俺たちを遮った。

 

 

 俺たちはバッと離れて声の方へ視線を向ける。

 

 そこには緑の迷彩柄のジャケットとグレーの迷彩柄のズボン、いかにも山に登った格好をしたトレーナーが

 

 

 

 そうだった……こいつもパルデアに帰ってきたのを忘れてた

 

 

「アキギリ……」

 

「いやー、カンムリ雪原で修業しててすっかりチャンピオンカップのこと忘れてたぜ」

 

 こいつはアキギリ、アカデミーからの親友でフリッジタウンのジムリーダーのライムさんの姉のタイム先生の孫である。

 

 

 自称俺のライバルという顔で俺の後についてシンオウとガラルを廻ってたらしいが……今はタイミングが悪い。

 

 

「あー…アキギリ?今はちょっと……」

 

「まあまあみなまで言うな。オレの新しい岩パにビックリ仰天してんだろ?まだ見せてないけどな!」

 

 

 ははは…話を聞いてくれません。どうしよう…ナンジャモと一緒に追い払って……あれ?ナンジャモ?

 

 

 

「あなたの目玉をエレキネット!なにものなんじゃ?ナンジャモでーす!」

 

 

 

 動画配信しちゃってるぅ⁉

 

 

「皆の者ー!おはこんハロチャオー!ナンジャモのドンナモンジャTV、ゲリラ配信の時間だよーっ!」

 

 

 

 な、ナンジャモ?かなりハイテンションのようだが……

 

 

 

「皆の者ー見て見てー、100万ボルトの夜景のスポットから見える夕日は映え映えでしょー?いい雰囲気でボクもうっとりメロメロになってたのに……トレーナー氏にバトルを挑まれたんだー」

 

 

 おや?ナンジャモのようすが…?

 

 

「お?やるか?忙しいなら1対1でいいぜ!」

 

 

 アキギリ!なんとなくだが今はやめたほうがいいって‼

 

 

「せっかくの時間にー、ふいうちくらっちゃったかさー、ボク本気で頑張るぞ☆だからトレーナー氏には」

 

 

 

 一瞬、ナンジャモの星のような綺麗な紫の瞳に光が消えた。

 

 

 

ちょっとあたまひやそっか

 

 

 

 

 あ……ナンジャモかなりキレてるわこれ

 

 

 

 

 その後……激昂するナンジャモのハラバリーの10万ボルトでいわ/じめんで電気の効かないゴローニャが丸焦げになった

 

 

 リスナー達はかなり戦慄したとか

 

 

 

 

 





 キャラ紹介……


ユズリハ


 ホウエン地方から家族でパルデアに引っ越してきた。

 父と母はチャンプルタウンで喫茶店を経営。ホウエン地方の料理とフエンコーヒーが売り。

 ナンジャモとはアカデミーからの友達。あと2人ほどアカデミーからの親友がおり、一人は腐れ縁のアキギリ。

 卒業後パルデアのチャンピオンランクのチャンピオントレーナーになりリーグ運営の社員となる。


 今現在の手持ちはヨノワール、カイリキー、リザードン、ラグラージ、ジュナイパー、パッチラゴン



 ナンジャモが大好き
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