パルデアのあるポケモントレーナー達のお話   作:サバ缶みそ味

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 皆様あけましておめでとうございます。

 今年もよろしくお願いいたします!

 初夢はサワムラーに殴られる夢を見ました。なんでや……


4、はじめての出会い

「んぅ………」

 

 

 喉の渇きでボクは目を覚ました。重たい瞼を擦らせながら静かに起き上がる。 

 

「ふあぁ……あふ」

 

 まだ真夜中……あちこちのビルから明かりが灯されて外は薄明るい。

 

 ボクはチラッと隣へ視線を向ける。

 

 

「んぬぅ……」

 

 

 隣でユズリハくんが変な寝息をたてながらすやすやと眠っている。なんとまあ気持ちよさそうに寝ていることか

 

 

「……うりゃっ」

 

「ふみゅっ……」

 

 

 眠っている彼の頬をつつく。一緒に寝るのは久しぶりだね……まあ前回はユズリハくんは床で寝てたけど。あの時と比べたら……ああいけないまたニヤニヤしてきた。

 

 ボクはシャツの上からガウンを羽織って静かにベッドから離れる。キッチンの冷蔵庫からおいしいみずを取り出して喉の渇きを潤す。

 

 ベッドに戻る前に動画編集に使うデスクへ寄る。デスクに置かれている写真立てを手に取り写真を眺めた。

 

「……えへへ」

 

 今のボクは計り知れないくらい幸せだ。この当時のボクには思いもよらないことだろう……

 

 一枚の写真、アカデミーの頃のボクとユズリハくん、アキギリにラリアットしているアマモっちが写っている。

 

 懐かしなぁ……全てはこの頃から始まったんだ。ユズリハくんと最初に出会った時から、ボクはユズリハくんに………

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

 

 ボクは人と少し違う。生まれつき歯がギザギザなのだ。

 

 

 どうしてこうなったのかはわからないしかんがえたくない。このギザギザの歯のせいで他の生徒に距離を置かれている。話しかけようとしてもみんな引いていく……

 

 更に長い髪ことも合わさってかボクのことを野生のポケモンだと悪口を言う生徒も出てきた。

 

 ひとり現ればふたりさんにんと次々と増えていく……だからボクは他の生徒と関わらないよう喋るのを止めた、離れることにした。

 それからボクはアカデミーのロビーの人に見られにくい隅っこで静かに本を読むことにした。

 

 

 

「………」

 

 

 今日も生徒にも先生にも会わないようひっそりと静かに読書を続ける。だけど今日は不安が募って読書に集中出来ない。どうしようか、そろそろ授業に出なきゃいけないし……だけど教室には戻りたくない……

 

 

「おい、こんなところに野生のポケモンがいるぞ?」

 

 

 3人の男子生徒がボクを見つけるやいなや近寄ってきた。まずい、ここは隅っこだから逃げられない…!

 ひとりの生徒がモンスターボールを取り出してボクの顔に押しつける。

 

 

「野生のポケモンのくせになかなか捕まらないなぁ」

 

「や、やめてよ…」

 

 生徒はやめることなくぐりぐりとボールを力強く押し付けてくる……かなり痛い。

 

「そうじゃないって、ボールを投げて当てないと捕まらないって習ったばっかりだろ?」

 

 連れの生徒が囃し立て、ニヤリと笑う。前にもボールを投げ当てられたことがある……あれはとっても痛かった

 

「だよなぁ!勢いつけて投げたらいいんだっけな!」

「この間通販で買ったヘビーボールがあるよ!これ使ってみたらいいよ!」

 

「やめて…やめてよ…!」

 

「へっ、なきごえで攻撃力を下げようたってきくかよ!」

 

 やめてと言ってもいじめっ子達はやめようとはしない。もうボクにはどうすることも出来ない……

 

 

 助けて……誰か助けて…!

 

 

 祈っても誰も助けに来てくれない…ボクは痛みにこらえるため力強く目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨマワル、おどろかす」

 

 

 え?

 

 声がしたのでちらっと目を開ける。

 

 

 

「ヨマママァァッ‼」

 

 突然、いじめっ子3人の目の前にヨマワルが現れ大声を上げておどろかした。

 

「「「うわああぁっ⁉」」」

 

 いきなり現れておどろかされたことでいじめっ子3人は尻もちをつく。

 パルデアにいないヨマワルがなんでこんなところに……ボクは声がした方に視線を向ける。

 

 

「おまえら、人が嫌がることはしちゃいけねぇってばっちゃんに教わってねぇのか?」

 

 

 そこにいたのは赤髪のムスッとした顔をした独特な訛り方で話す男子生徒がいた。

 確か……ボクのクラスメイトでホウエン地方から引っ越してきたっていう生徒だったっけ……?

 

 

「お、おまえ!室内でポケモンを出したらいけないって教わっただろ⁉」

 

 腰が抜けているいじめっ子のひとりが文句を言うが、彼はふんと鼻で返す。

 

「ふん、それ以前に人に向けてモンスターボールを投げたらいかんだろ?」

 

 

「う、うるせぇ!野生のポケモンに投げて何がわるい!」

 

 

 いじめっ子がボクを指差して抗議すると彼の顔が険しくなった。

 

「あ?もう一度おどろかされねぇとわからんみてえだなぁ?」

「ヨママァ…!」

 

 彼とヨマワルの威圧にいじめっ子達はビクリと震えた。

 

「ひっ…⁉」

「う……し、知るかよばーか!」

「せ、先生に言いつけてやるぅ‼」

 

 

 いじめっ子達は焦りながらその場をあたふたと去っていった。

突然のことにボクはただポカンとすることしかできなかった……

 

 

「はっ、勝手にしてな…っと、なあ大丈夫か?怪我してないか?」

 

 ヨマワルを連れてる男の子はボクに手を差し伸べてくれた。

 

 

「えっと……」

「おれはユズリハ。んで相棒のヨマワル」

「ヨーマァ♪」

 

 

 ヨマワルは楽しそうにボクのまわりをふよふよと飛ぶ。ずいぶん人馴れしてるヨマワルだ……

 ヨマワルに気を取られていたら彼はボクをまじまじと見つめる。な、何かついてるのかな?あるいは…ボクがギザギザの歯だって今気づいたのかな…?

 

「うん、怪我はないな。よしよし」

「っ!?」

 

 彼はニッと笑ってボクの頭を優しく撫でた。この感触にボクはドキッとする。アカデミーでこんなふうにされたことは今までになく初めてだ。

 

「あ、あの…どうしてボクを助けてくれたの?」

 

「うん?それは……」

 

 

 彼が理由を答えようとしたその時、ドタドタとこちらに向かって走ってきている音が。何事か、彼が後ろを振り向くと……

 

 

 

「おらあああっ‼」

 

「ちょげぴぃっ!?」

 

 

 紫色の長い髪をした女子生徒がユズリハくんをラリアットでふっ飛ばした⁉

 

 

「おらぁっ‼すみっこで女の子をいじめるたぁいい度胸してんなゴラァっ‼」

 

 鬼の形相の女子生徒はたおれた彼の胸ぐらを掴んでぐらぐらと揺らす。はわわわ…何この人⁉怖すぎるよ⁉

 

「ま、待って…!この人は…」

 

「怪我してない?あっ、あたしはアマモっていうの!待っててね、ポケモンを使っていじめようとしたこんちくしょうをしばくから‼」

 

「ちょ、まてよ‼誤解だっ‼」

「誤解もゴクリンもねぇ‼覚悟しやがれオラァ‼」

 

 

「ま、まってぇ!?本当に誤解だからっ‼」

 

 アカデミーで久しぶりに大きな声を出した気がした。このあとボクが10回くらい事の顛末を話してようやく誤解を解くことができた。 

 

 

 

 これがボクとユズリハくんの最初の出会いとなった。

 

 

 

___________

 

 

 

 それから学年が進むに連れボクのことをいじめる生徒はいなくなっていった。

 

 

「あ?歯がギザギザだと?それがどうした?」

 

 

 教室にいる時も授業の時も休憩時間の時も一緒にいて話し相手になってくれたユズリハくんが助けてくれたことと

 

「おん?女の子に、あたしのダチにそう言うたぁいい度胸してんなぁ……ちょっとこっち来いや」

 

 

 『どくどくのアマモ』、アカデミーの女番長と恐れられるようになっちゃったアマモちゃんが助けてくれたおかげだ。

 

 

 あっ……あとついでに

 

 

 

「そんなことよりバトルしようぜ!」

 

 

 ユズリハくんにつきまとう自称ライバルであるアキギリが割り込んで変な空気にしてくるおかげ(?)でもあるか……

 

 

 裏で陰口をたたかれることは偶にあるがアカデミーのみんなと仲良くなることができた。

 

 ボクはあの時の出会いをさかいにユズリハくんとアマモちゃんとは一緒にいる親友となった。(アキギリは……たぶん友達?)

 

 

 

 

 

「ねえユズリハくん、聞いてもいいかな?」

 

「うん?どした?」

 

 

 

 

 アカデミーのグラウンドのベンチで一緒に座って話を聞いてくれるユズリハくんに尋ねる。

 

 ずっと気になってたこと……ボクはおそるおそる尋ねることにした。

 

 

「……どうしてあの時、ボクを助けてくれたの?」

 

 

 始めて出会って時、あの時は聞きそびれた。ユズリハくんの真意を知りたい。

 

「あー……あれかぁ……」

 

 ユズリハくんは少し恥ずかしそうに頭をかく。答えにくい理由でもあるのかな、それとも理由なんてないのかな……

 

 

「ボクは人と違って歯がギザギザだし、暗いし……そんなボクなんかにユズリハくんはどうしてかまってくれたんだろって気になって……」

 

 

「……ナンジャモ、これ見てみ?」

 

 

 

 ユズリハくんはスマホロトムを取り出して画面を少しいじってからボクに見せた。

 

 これは……赤い綺麗なドレスを着た女性がポケモンと一緒に歌って踊っている動画だ。アイドルみたいな衣装でとてもかわいい。

 

 

「これはホウエン地方のコンテストマスターが配信してる動画だ」

 

「どうしてこの動画を……あっ」

 

 

 動画をまじまじと見ているとボクはあることに気づいた。

 

 

 この人……()()()()()()だ!

 

 

 もしかして。はっと顔を上げてユズリハくんに視線を向ける。ユズリハくんは少し照れて顔を反らした。

 

 

 

「ユズリハくん……もしかして歯がギザギザの人が、好き?」

 

 

「…………だってかわいいじゃん」

 

 

 えぇっ!?か、かわいい!?

 

 

 ユズリハくんの反応に驚いたがそれよりもかわいいってどういうこと⁉

 

 

「俺はさ、こういった人の明るい笑顔が好きなんだ。その人の良さを分かってない奴がいるのが考えられない」

 

 

 だからボクを………ん?今は好きって言わなかった⁉

 

 

 

「だからさ、ナンジャモの明るい顔や笑った顔がこんなにも素敵でかわいいのに……みんなに分かってもらいたいよなぁ」

 

 

 

 ユズリハくんはニシシッと笑う。彼の答えを聞いてドキリと胸が高鳴りだす。

 

 

「ユズリハくんは……ボクの笑顔が好き?」

 

「ああ!笑った顔は好きだな。ほら、スマーイル」

 

 

 ユズリハくんが口角を上げてにっこりと笑う。ボクも彼に合わせニッとギザギザの歯を見せて笑った。

 

 

 

 

 その時、涙が頬をつたった

 

 

「えっ?」

 

「あ、あれ?な、なんでボク泣いてんだろ?」

 

 

 今の状況にユズリハくんが固まる。笑わなきゃいけないのに涙が止まらない

 

「な、ななな、ナンジャモ?」

 

「え、えへへ……お、おかしいなぁ?……な、涙がとまらないや」

 

 

 あぁ……悲しくて泣いてるんじゃない。嬉しくて泣いてるんだ。

 

 ボクにこんなに優しくしてくれた人はいなかった。こんなボクにこれだけの優しい言葉をかけてくれる人は初めてだ。

 

 

 嬉しい気持ちがどんどん溢れてくる……あぁ、そうか。これが

……

 

 

「ユズリハくん……ありが」

 

 

 

 

 

「あーっ‼ユズリハ、泣かしてやんのー‼」

 

 

 

 

 いいところでアキギリが乱入してきた。一瞬にしてボクの涙が引いた……

 

 

「ち、違う。誤解だ!」

 

「そうかぁ?だったらバトルで証明してみな!」

 

 

 なんでさ。なんでそうなるのさ。兎に角、アキギリの誤解を解いてさっさと退散してもらおう。

 

 

 

「違うよ、これは嬉し涙……」

 

 

 

「あたしのダチを泣かしたクソ野郎はテメェらかぁぁぁぁっ‼」

 

 

「「ボヘえぇぇっ⁉」」

 

 

 男子生徒がボクを泣かしたと聞いて駆けつけてきたアマモちゃんがユズリハくんとアキギリにDDラリアットをかました。

 

 

 せっかくの雰囲気が台無しに。ああもうめちゃめちゃだよこれ………

 

 

 

 

 だけどこの日からボクはユズリハくんのことが好きなった

 

 

 





 ちなみにスカーレット版を買ったので舞台はオレンジアカデミーです。

 先生たち、個性がありすぎて全員好き。


 教師ではキハダ先生が一番かわいいと思う。その次はサワロ先生

 マホイップがいたら絶対に手持ちにしてただろうなぁ……

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