オモダカさん、初見は今作の黒幕かと思った……だって髪型がユニークすぎるもん!(フラダリを見ながら)
ボクはポケッターやポケトックにポケモンバトルとサンドイッチ作りの動画や写真をあげ続けた。
「今日の配信はここまで!貴方の目玉をエレキネット!なにもんなんじゃ?ナンジャモでした~!皆の者、まったね〜!」
東3番エリアでのピクニックでの簡単な料理の撮影を終えてひと息つく。
「ふぅー、今日も頑張ったぁ……」
バトルも料理も大バズリとなり再生数とフォロワー数が一気にシビルドン登りに。
またパルデア各地へ行ったり来たりとしてるから散歩動画も再開。これもまたたくさんのイイネをもらって好評だ。ナッペ山はすっごく寒かったけど……
配信を始めてかれこれ2年が経ち、今は人気を博した配信者に。
ドギマギしていたひよっこから注目されるようになるなんて、ここまで来れたのもユズリハくんが応援してくれたおかげだ。
落ち込んだボクを、頑張ってるボクをずっと見続けて、励まして、支えてくれた……そう考えたら……えへへ♪
っと、ゆ、ユズリハくんだけじゃなくてボクを応援してくれたリスナーの皆の者のおかげだよ!
そろそろ活動や再生数にマンネリがぶつかってくる時期だ。ここからがボクの頑張りどころ、頑張るぞっ!
何か変化を起こさなくては。衣装は大好評だから変えなくてもいいかな。
うーむ、いい考えが浮かばないなぁ……
「少しお話よろしいでしょうか?」
突然声をかけられて慌てて顔を上げる。考え込んでて気づかなかった……
声のした方を向くとスーツ姿のボリュームのある黒髪の特徴的な髪型をした女性がにこにこと佇んでいた。
「え、えっと……」
「突然お声をおかけしてすみませんね、貴女がナンジャモさんですね?」
なんだろうか、常に笑顔を見せて物腰が柔らかそうだがボクを見る目と佇まいから尋常じゃないほどの覇気を感じる。わ、悪そうな人じゃなさそうなんだけど……
「確かにそうだけど、あ、貴女は…?」
「失礼、私はオモダカと申します」
オモダカと名乗った女性はにっこりと笑って名刺を渡してきた。時たまくるピクニックグッズのスポンサーさんかな?
名刺を見るとポケモンリーグ運営委員長と書いてあった。
ん?
んんっ⁉リーグ運営委員長!?
ボクは名刺とオモダカさんの顔を何度も見る。
「り、り、り、リーグの運営委員長ってことは………トップチャンピオン!?」
「はい、そうですね」
今目の前でにっこりと笑うこの人はパルデアのジム運営とリーグ運営の委員長で、ポケモンリーグのチャンピオンで、このパルデアで1番偉いだ!
そしてユズリハくんの上司にあたる人でもある…
「あ、あ、あのっ!ぼ、ボクに何かご、ご、御用ですかっ!?」
「ふふふ、そうかしこまらなくていいですよ。今日はお話にきました」
「お、お話?」
「ええ……
オモダカさんの部下……もしかしてユズリハくんじゃないだろうか。そうだとしたら少し恥ずかしいな。
「彼の言った通り、なかなかバトルがお強い。可愛さと可憐さだけでなく勇猛な姿があって魅力的だ、と褒めてましたよ」
これ絶対にユズリハくんが話をしたな‼熱弁しやがって!は、恥ずかしいじゃないか‼会ったら噛みついてやる!
「そして今はパルデアで注目される配信者……ポケモンバトルの楽しさを皆さんにお伝えしてくださってる」
「い、いやぁ〜……そ、そんた大したことはしてませんよ?ボクの他にもバトル配信をしてる人達もいますし?」
「いいえ、貴女は強さも姿勢も群を抜いている。貴女はこのパルデアに貢献なさっていると私は思いますよ」
と、トップチャンピオンがそこまで言うなんて……な、なんだか照れちゃうな。
「そこで貴女に提案があります」
先程までにこやかで穏やかなオモダカさんの眼差しが真剣な眼差しに切り替わった。口は笑っているけど目がじっとボクを見据えてて緊張感が漂う。
「ジムリーダーになってみませんか?」
えっ?
「じ、ジムリーダー……?」
ボクが……ジムリーダーに?
いきなりの話にボクはキョトンとして思考が一瞬止まる。間が空いて数秒経過、トップチャンピオンにジムリーダーのスカウトをされたという事実に辿り着き驚愕する。
「ぼ、ボクがジムリーダーに!?」
な、なぜ!?どうして!?ナゼにホワイ!?
「3ヶ月前にハッコウシティのジムリーダーが引退したのはご存知ですか?」
確か話題になってたね。ハッコウシティのジムにはフェアリータイプのジムリーダーのお爺さんがいたのだけど…
長く連れ添っていた相棒のプクリンが天寿を全うしたことを機会にジムリーダーを引退。故郷であるカントー地方へ帰ったと。
「その後はハッコウシティに新しくジムリーダーになってくれはそうなトレーナーを探していたのですが、中々見つからくて……」
ユズリハくんも言ってた、リーグの試験はめちゃくちゃ厳しいって。特に面接の圧が物凄くて怖かったと……あとオモダカさんは手加減しなさすぎって愚痴をこぼしてた。
「そこで私の部下が貴女の話をしていたことと動画を思い出しまし、貴女に話をしたしだいですが……いかがです?」
ジムリーダー……確かにその話は魅力的だ。ジムリーダーで配信者となれば更に注目の的、人気がたきのぼりになるかもしれない。
ジムの運営とか、かなり忙しくなるが今の状況を変える転機だ。
「あの、ジムリーダーになれば有名になれますか?」
「勿論。きっと今まで以上の人気を博しますね」
「……ボクが配信を始めたのは有名になりたいだけじゃない。
彼はバトル以外はうっかりやで抜けてるけどボクに勇気をくれた。
「動画を見てくれているパルデア中の人達に元気と夢をふりまく、そんな人になりたいと決めたんです。今はバトルとかを通してポケモンバトルの楽しさを伝えてます」
今のボクがあるのは彼が後押しして応援してくれたから。とても嬉しいことだ。
だけど彼は今やチャンピオン。アカデミーのあの時のようにボクより先に進み、届かないところにいる。
わがままを言うとしたら、ボクは彼に追いつきたい。彼のそばにいたい。彼…ユズリハくんと並んでいたい。
「ボクがジムリーダーになって、配信すれば……見てくれてるパルデア中の皆の者も大盛りあがりになる」
これはこの現状を打開する、二度とないチャンスだ。これを逃したらボクはずっとユズリハくんに追いつくことができなくなる。
やってやる……やってみせるんだ!
「……やります。ジムリーダーになってバトルの楽しさを広めてパルデア全土を盛り上げていきます!」
ボクの話を真剣な眼差しで見つめていたオモダカさんはにっこりと笑って頷いた。先程までのプレッシャーをかけているような視線は消え、柔らかな雰囲気に戻っている。
「ふふ、頼もしいですね。パルデア中の人達を楽しませてくださいな」
オモダカさんが手を差し伸べる。ボクも萌え袖を捲くるのを忘れてたけど手を差し伸べて握手を交わした。
これでボクもジムリーダーに………
「一次試験は合格ですね。では明日、二次試験を受けにリーグにいらしてください」
ん?
は?
はい!?
ボクは思わず二度見した。
「に、二次試験ですか!?と、というかさっきのが一次試験!?」
「ええ、本来はリーグで面接を受ける流れですが……今回は直接お話聞いてみようと思ったのですよ。緊張感のある面接も大事ですが、トレーナー本来の姿でのお話も聞いてみたいですし」
にこやかに話すオモダカさんに茫然とする。お、おっかないことするなぁこの人……
「に、二次試験って何をするんですか…?」
「もう1人、面白いトレーナーがいたものでその方にも勧めているんです。その方とポケモンバトルをしていただきます」
勝った方がジムリーダーに。オモダカさんは楽しそうに笑って語る。
思い出した……ユズリハくん、『トップはその場の思いつきで動く時があって大変』って愚痴をこぼしてた。
それでは明日、とオモダカさんはにっこりと笑みを浮かべて去っていった。あ、嵐みたいな人だ……
な、何がともあれジムリーダーになれるチャンスを得た。絶対に勝ってなってみせるぞ!
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翌日、空飛ぶタクシーに乗ってテーブルシティへ。その足でポケモンリーグへと赴く。
入口の前にオモダカさんと……アマモっちが待っていたのが見えた。
「ナンジャモさん、お待ちしておりましたよ」
「トップがヘッドハンティングしたのって……ナンジャモだったの!」
「ど、どうもー……」
オモダカさんはにっこりと笑い、アマモっちはほっと胸をなでおろしていた。
「アマモ、彼女ともお知り合いでしたか」
「はい、ユズリハと同じアカデミーの親友でした。ナンジャモ、全力で応援するからね!」
「う、うん、ありがと」
緊張してたけどアマモっちがいてくれて少しは和らいだ気がする……
「ちょっと待って。さっきトップが『彼女
なんだろう、少し嫌な予感がするぞ?
「ま、まあ中に入ればわかるから……」
アマモっちが少し遠い眼差しをしている。すっごく気になるんだけど。いや気にしない方がいい、何よりバトルに勝てばいいんだ。
「では中へどうぞ」
言われた通りにリーグの中へ。受け付けを通り、面談室を抜けて二次試験の会場であるバトルコートに着く。
そこに先客の姿が……迷彩柄のジャケットを羽織り、ドヤ顔で腕組みをして佇んでいるトレーナーがいる。
あれ?どっかで見覚えのあるような……
「ふっふっふ……久しぶりだな!」
「……げぇっ!?アキギリ!?」
イラッとするドヤ顔に元気すぎるやかましい声。思い出したボクはものすごーく面倒臭そうな顔をした。
まさかバトルの相手って、アキギリだったの!?
「あ、アキギリかぁ……」
「まあまあみなまで言うな。久しぶりすぎて嬉しいよな!」
いやまだ何も言ってないけど。勝手に話を進めるんじゃない。そう思ってもアキギリのマシンガントークは止まらない。
「いやぁ~宝探しの巡る旅してアカデミーを卒業しても中々ユズリハに勝てんくてさぁ、そんでひたすら修行してたんだぜ!そっからジムリーダーのスカウトされてよ!これでジムリーダーになりゃユズリハに追いつくかもしれんと思って立候補したんだ!」
なるほど、アキギリはライバルに並びたいと思ったからジムリーダーの話にのったのか。目的は違えど追いつきたい人がいるのは同じだ。
「彼はリーグでも面白い戦い方をしてて、気に入りましたのでスカウトしました」
「悔しいけど私にも勝ってハッサクさんを追い詰めかけたほどの実力よ……ナンジャモ、気をつけて!」
「おいぃ!負けたからってあっちに肩を持つなよ!?」
アキギリがアマモっちにも勝つほどの腕前を持ってるのには驚いた。これは油断できないね……
「では二次試験のルールを説明します。手持ち3匹のポケモンバトルをしていただきます」
このバトルに勝てばジムリーダーになれる。そう考えたらますます緊張してきた。
「質問!手持ち1匹だけですが大丈夫ですか!」
は?
アキギリの手持ちが1匹だけ⁉
というか1匹だけでここまで来たの!?
「問題はありません。ですがジムリーダーになったら手持ちの編成はちゃんと考えてくださいね?ではアマモ、審判をお願いします」
「わかりました……では両者、ポケモンを出してください!」
アキギリの手持ちがすっごく気になるなぁ。1匹だけなら勝てるかもしれないという気持ちが薄っすらと浮かんでは過る。
「っしゃあ!暴れてこい、バンギラス‼」
「ギララァッ!!」
アキギリが投げたスーパーボールから繰り出されたのはバンギラスだった。
ズシンと大きな音を立てて登場したと同時にバンギラスの体から砂が勢いよく吹き出しバトルコートにすなあらしを巻き起こす。
「舞台はできた!バンギラス、ぶちかますぞ!」
「ギラッ‼」
勇猛そうなバンギラスを見た瞬間、1匹だけなら勝てるかもしれないというボクの浅はかな気持ちはドラゴンテールでぶっ飛んだ。
これ、絶対に負けられない‼
少し長くなりそうなので分けました……
テラスタルのおかげで弱点の多いバンギラスのタイプを変えて意表を突くことができる……!