パルデアのあるポケモントレーナー達のお話   作:サバ缶みそ味

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ポケモンホーム「5月24日にSV解禁やで!」

5月26日 よーし!ついに入替えでき……あれ?SVのリストがないぞ?バグか?


ポケモンホーム「誤報やったわwww」


おのれ運営いいいっ‼‼




9、離れる心とすれ違う気持ち

 ボクがジムリーダーに就任してからかれこれ二ヶ月は過ぎたかな?

 

 ジムリーダーになった翌日はジムチャレンジャーがハッコウジムに殺到してかなり大変だった。

 

 手配されてる運営スタッフでも捌ききれずボク達は救援を求めた。それからユズリハくんと上司のチリさんが駆けつけてきてその場はなんとか収まったがあの後チリさんに説教された……怖かったー……

 

 ちゃんとジムチャレンジのルールを決めて、レベルに見合った手持ちに変えてバトりを挑む……最初は黒星が多かったり加減が慣れなくて大変だったけどそこはこのボク、チョチョイのチョイで慣れたのさ!

 

 今や3人目のジムリーダー、最初のジムチャレンジの難関、新米トレーナーの登竜門、とか色々と呼ばれるようになり、配信者として大注目だ!

 

 もちろん、強いトレーナーとか強いバトりを望みたい人には本気でバトりをするよ!

 

 

「ふぅ、今日のスケジュールもおしまいっと♪」

 

 夕方に予定していたジムバトりの生配信も終えて控え室でひと休み。今夜は配信の予定はないし、お家でハラバリー達とのんびりしとこっかな~…

 

 

 ロトロトロト……

 

 

 ん?スマホロトムが鳴ってる。誰だろうか…?

 

「もしもし?」

 

『ナンジャモ……いま大丈夫か?』

 

 電話の相手はユズリハくんだ!何故か声を小さくしているし声色からしてどうやら焦っているようだ。

 

「ユズリハくんどうしたの?ボクはぜーんぜんっ大丈夫だけど?」

 

 何か困ったことでも起きたのだろうか……はっ、これはいつも助けてくれるユズリハくんへのお返しのチャンスでは!?

 

「ユズリハくん、困ってるならボクに遠慮なく頼っていいよっ!」

 

 ニョロボンのはらだいこ……またはマリルリのはらだいこの如くぽんと腹をたたく。

 

『あー……そうか?うーん……』

 

 ユズリハくんは何を躊躇ってるのかしゃべりがおぼつかない。

 

『なんというか……すまん!』

 

「いいよいいよ、謝らなくても!なんでもお任せさ!」

 

 

 

 

『今晩だけ泊まらせてくれっ‼』

 

 

 

 

 …………え?

 

「え……お、お泊り?」

 

 

 

 えええええっ!?

 

 

_____________

 

 

 事情は後からユズリハくんに聞くとして……ボクはコイルの髪飾りを外し、ポニーテールに髪をまとめ、ダボってるパーカーを脱いでグレーのパーカーを着てフードを深くかぶる。

 

 一応サングラスをしてタウンの皆のものにも気づかれないよう

裏口からジムを出て、空飛ぶタクシーに乗ってユズリハくんが待っているマナリードタウンへ向かった。

 

 昔のマナリードタウンは喧嘩っ早い人達の溜まり場で喧嘩は日常茶飯事だった。だけどトップや運営委員、街の人達の活動もあってか今や新鮮な食材や珍しい物が揃う観光地に変わった。

 

 時たま珍しいアイテムとか、競りに出たりしてる。ボクも欲しいオシャボが出た時は死にものぐるいで競りに参加したが大爆死、あれ以来は来ることはなかったが……あ、いたいた。

 

 

「おーい、ユズリハくーん」

 

 市場の出入り口のすみっこでしわしわピカチュウの様にしょんぼりしているユズリハくんの姿が。

 

「おぉ!ナンジャん゛ん゛っ……ジャモ、来てくれたんだな」

 

 ユズリハくんは一回咳払いして辺りを見回しながら小声を出して合流する。

ここでボクの姿がバレたらマナリードタウンの皆のものも驚き、ボクにみだれづきみたいに殺到するかもしれないもんね…ユズリハくんも気を使ってくれてる。

 

「んも〜いったいどうしたの?泊まらせてくれってさぁ」

 

「確かにいきなりでわるい。だがもう頼れるのがナンジャモしかいなくて……一時野宿を考えたんだが……」

 

 直後にユズリハくんのお腹が鳴る。これはこれはかなり腹ペコのようで。

 

「別にボクは構わないけど……どうしてこうなったのさ?」

 

「まずはこいつを見てくれ」

 

 ユズリハくんがそう言うと突然ユズリハくんの影が大きくなって影から大きな手が特徴のある大きなポケモンが現れた。

 

「これって……ヨノワール?」

 

 特徴からしてヨマワルの最終進化ポケモン、ヨノワールだ。

 

「ヨノワッ」

 

 ボクの問いにヨノワールがこくりと頷く。もしかしてユズリハくんのサマヨールが進化したのか!

 

「すごいよユズリハくん!サマヨールをヨノワールに進化させたんだね!」

「はっはっは、念願のヨノワールに進化できたぜ」

「ノワノワ」

 

 ボクとユズリハくんは嬉しくてヨノワールの周りをぴょんぴょん跳ね回る。

 

 いやーすごいな!ユズリハくんのサマヨールがヨノワールに!

 

 

 ……ん?ちょっと待って?

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()だって?

 

 ボクはジト目でユズリハくんを見つめる。

 

 

「ねえユズリハくん……たしかサマヨールが進化するにはアイテムがいるよねぇ?」

 

「……」

 

 ジト目で見つめるボクに対してユズリハくんは静かに視線を逸らす。

 

 一部のポケモンにはある特定のアイテムがなければ進化しないポケモンがいる。サマヨールもその一匹、『れいかいの布』がなければ進化できない。

 

 そしてここは競りで有名なマナリードタウン。ボクは「あっ」っと察しがついた。

 

「ユズリハくん、もしかして……」

 

「……ま、まあ話を聞いてくれ。これには深ーいわけがあるんだ」

 

__________________

 

 

「アオキさん、大丈夫ですか?」

 

 ポケモンリーグの本部、休憩室にて昼食を食べ終えた俺はふらふらと体をよろめかせながら入ってきたアオキさんに声をかけた。

 

 いつも疲れ切った表情をしているのだが今日はとくにひどい。目に濃いクマが出てるし、かなりやつれている様子だ。

 

「いえ……手持ちのジム用とリーグ用のポケモンのトレーニングとジムの視察が2件、会社の仕事と出張、リーグと会社の書類作成、上司との外回りをしてただけです」

 

 いやめちゃくちゃハードワークじゃないですか。アオキさんはチャンプルタウンのジムリーダーとリーグの四天王を務めつつ、会社にも務めたりとバリバリ仕事をしているのだ。

 

 トップはなんでかアオキさんを酷使しているようで、いつか倒れてしまうんじゃないかとハラハラしてる。

 

「ていうかアオキさん、寝てないんじゃないですか?」

 

 休憩室にいたアマモもアオキさんを気にかけ尋ねる。見るからに睡眠を取ってないようだが……

 

「?4徹ですが?」

 

 いや4日も寝てないんですか!?しかも当たり前みたいな顔して答えないでくださいよ!?

 

「いやいやいや!アオキさんちょっと休みましょうよ!」

「そうですよ!有給つかっても誰も白い目で見ませんから!」

 

 チリさんは愚痴りそうだけどアオキさんは休みを取るべきだ。

 

「お気持ちは嬉しいのですが、これからカラフジムへ視察へ行かなければなりません……」

 

「今からですか!?」

「休憩もしてませんけど!?」

 

「いえ今休憩してたので……では」

 

 ああまずい、アオキさんがふらふらしながら休憩室を出てしまう!俺はアマモに目で合図を送りアマモは頷く。

 

 

「ゲンガー、さいみんじゅつ!」

 

「ゲガーッ‼」

 

 アマモはゲンガーをくり出し、ゲンガーがアオキさんにさいみんじゅつをかけた。

 さいみんじゅつが命中したアオキさんは眠りにかかりぐらりと倒れ、すかさず俺が受け止めた。

 

「よーし、運ぶぞ」

「せーのっ」

 

 アマモと一緒にアオキさんを担いで休憩室のベッドに寝かせる。ふかふかの布団を被せてこれでよし。

 

「なんか死んだような寝顔だな……」

「かなり疲れてるようね……ユズリハ、アオキさんの代わりにカラフシティに行ってくれる?」

 

「ちょうど手が空いてたところだ。行ってくるぜ」

「じゃあ私はトップとチリさんに伝えてくるからよろしくね」

 

 休憩室を出てアオキさんの代わりにジム視察へ向かう。

 

「っと、せっかくアオキさんが休んでるんだ。邪魔が入らないようやっとくか」

 

 俺は『アオキさん睡眠中、入るべからず』と休憩室の入口に張り紙を貼っておいた。これならアオキさんがぐっすり眠れて疲れが取れるだろう。

 

_____________

 

 

「いや〜なかなかこってますね」

 

 カラフジムの視察を終えてカラフジムのジムリーダーであるハイダイさんと話をしていた。

 

 カラフシティはローストさばくの中にある水源豊かな街、砂漠故にバトル中に砂嵐が起きてフィールドが砂嵐になる時がある。バトルも面白いし何よりハイダイさんのおおらかな人柄か、たくさんの観客が押し寄せバトルを更に盛り上げてくれる。

 

 バトルはなかなか楽しいのだが……

 

「ジムテストはちょっと厳しすぎじゃないですか?」

 

「はっはっは!いやぁこれだけは料理人の性というか、譲れないものがあるんだなぁ」

 

 ハイダイさんは『ハイダイ倶楽部』という中華料理の店主。激流料理人と呼ばれ料理の腕は超一流でハイダイさんの作る料理はかなり美味しい。

 だが料理人故に、ジムテストは厳しいもので……ハイダイさんが納得のいく食材を手に入れないとテスト合格できないというのだが、これがなかなかOKをもらえないのだ。

 

「やっぱり美味しい料理をお客さんに出したいというには美味しい食材が絶対必要なんだい!」

 

 その気持ちはよく分かるのだけど……テストに合格できずここで折れるジムチャレンジャーが続出している。

 

「トップも学園もこれには困っているようでして……どうにか優しめにできませんか?」

 

「うーむ……わかった。テストの内容を変えてみるかな……?」

 

 その後ハイダイさんと話し合ってテスト内容をサンドイッチ作りか、または料理を作るとか、色々と案を出しては考えてみた。

 

 話し合ってたらいつの間にか夕方になっていた。

 

「っと、こんな時間ですね……今日はありがとうございました」

 

「はっはっは!なかなか楽しい時間だったぞ!そうだ、マリナードタウンの競りには行ったことあるかい?」

 

「いえ、まだですが……」

 

「なかなか面白い食材やアイテムが競りに出る時があるんだな!言ってみるといい」

 

 それじゃ、とハイダイさんはカラフジムへ帰って行った。マリナードタウンの競りか……今日は両親はホウエン地方にいるばあばの家へ里帰りしてるから家は俺だけになる。夕飯の材料でも買って帰るか。

 

 リザードンに乗ってマリナードタウンへひとっ飛び。

 

 

「いやー賑わってるなぁ!」

 

 夕方の時間帯でもマリナードタウンの市場は人で賑わっていた。こいつはすごいや。

 どんな食材を買って、どんな料理にしようか吟味しながら市場の中を歩いていく。

 

 ふと目をやるとたくさんの人だかりがいるお店が。確かあそこは競りをやってるお店だったか……どんな商品が競りに出されてるかひょっこりと覗く。

 

 

「さあさあ今日の限定品はシンオウ地方から仕入れた『れいかいの布』だよ!」

 

「」

 

「しかもかなり年季の入った『れいかいの布』!鑑定によると『ヒスイ』と呼ばれた時期の年代物だよ!」

 

 

 

 その時電流が走った。

 

 

 買わねば

 

 

 俺のサマヨールが進化できる滅多にないチャンス。これを逃したらいつになるやらか……

 

 

 絶対に買わねばならぬ

 

 

「まずは10000円からのスタート!さあ始めっ‼」

 

「20000‼」

 

「25000‼」

 

「40000‼」

 

 まずい、オカルトマニア達が次々に値段を上げてきた!こうしちゃいられん。俺も勝負に出る!

 

「80000‼」

 

 こうしてれいかいの布をめぐって熾烈な戦いが繰り広げられた。

 

 戦うこと数十分………

 

 

「はいよ、毎度あり!れいかいの布だよ!」

 

「や、やったぁ……!」

 

 

 ねんがんのれいかいの布をてにいれたぞ!

 

「進化ができるよ!」

「………」

 

サマヨールは『やったねユズリハ!』と祝ってくれず無言で見つめる。

 

 激しい死闘の末、ついにサマヨールを進化できるアイテムを買うことができた。さっそくサマヨールに持たせてアキギリかアマモに交換進化の手伝いを頼んで……

 

 

 サマヨールにれいかいの布を持たせたその瞬間…サマヨールの身体が光り、みるみる身体の形や大きさが変わり、大きな体格をしたヨノワールへと進化した。

 

「ヨノ……」

 

「は!?いきなり!?」

 

 いきなりで俺は驚いた。ヨノワールも突然進化できたことに驚いていた。

 

 進化の石みたいに使うだけで進化できるパターンもあるか…?まあそれはそれとして。

 

「やったなヨノワール!これからもよろしくな!」

「ヨノワ…」

 

 よし、ヨノワールに進化できたことだし、お祝いに豪華なご飯でも食べるか、と思った直後に今の財布の状況を思い出す。

 

 ペラペラでとっても軽い財布……

 

「……やっちまった……」

 

 そう、れいかいの布を手に入れるために有り金全部はたいてしまったのだ。

 

 お金をおろすにも今は銀行は閉まってるし……仕方ない、お家に帰って冷蔵庫にあるもので凌ぐか……

 

 ポケットに手を突っ込んだその時、俺は顔を青ざめた。

 

 そう、お家の鍵がないのだ。

 

「えっ!?か、鍵がねぇ!」

 

 そんなばかなとポケットを探るが鍵は入っていなかった。鍵はポケットに入れたはず……俺は記憶をさかのぼらせる。

 

 確か……両親は家にいないから、鍵は身近な所に入れとこうと思って……休憩室でカバンから鍵を出して………ポケットに入れようとした時に……アオキさんが入ってきて………

 

 

「あ……や、やっちまったぁぁぁ……」

 

 

 全てを思い出した俺はその場でへこんだ。そう、鍵はポケットに入れておらず休憩室の机に置きっぱなしなのだ。

 

 なんということでしょう。家に戻るにも鍵がないし、リーグに戻るにも空飛ぶタクシーに乗る運賃もない、更には今日の晩ごはんを買える金もない。

 

 最悪きのみを探しながらの野宿か……あるいは……誰かの家に泊めてもらうか……スマホロトムで連絡先のリストを見る。

 

 アマモは……確か妹の件で何かと忙しかったな。寄るのも野暮か。

 

 アキギリは……やめよう。いきなりバトルしかけてくるかもしれんし、ナッペ山まで行く気力がない。

 

 他にも友人の何人かリストにあるが、仕事とか修行とかで忙しいだろうな……

 

 そうして残ったのは……ナンジャモ。

 

「……いや、ダメだろ。普通に考えてダメだろ」

 

 今やパルデアで大注目のインフルエンサーだし、今もジムリーダーの仕事で忙しいだろうし……それに……俺が関わるべきではないだろうし……

 

「……わるいな、ヨノワール。今日はみんなで野宿でもry」

「ヨノワッ」

 

 ヨノワールがぶんっと大きい手を伸ばすとスマホロトムの着信ボタンを押した。

 

「あっおまっ⁉なにすんだ!?」

「……」

 

 ヨノワールは無言で腕を組む。ていうかお前着信ボタン押しやがったな!?しかもナンジャモに電話をかけちまったじゃねぇか!

 

『もしもし?』

 

 あ゛っ‼しかもかかっちゃった!

 

 ええいままよ、もう頼る相手がナンジャモしかおらんのは事実。ヨノワールはお泊り所望だしやるしかねぇ……

 

_______________

 

 

「……と、言うわけで頼れるのがナンジャモしかおらんので電話をかけたというわけ」

 

 

「………はぁー………」

 

 事情を聞いたボクはクソデカため息をこぼす。なんというかユズリハくんらしいや。

 

 バトルは強い熱血漢なところがあるけどそれ以外はぬけてるところがあるんだよなぁ。

 

 でもボクを頼りにしてるなんて……そう考えたら嬉しさで笑みがこぼれてしまう。

 

「しょうがないなぁ~、ボクに任せたまえ!」

 

「おぉ……ありがたやありがたや」

 

 はっはっは、どんどんボクを崇めてもいいのだよ?

 

 

 とまあそれはさておき、ユズリハくんを連れて空飛ぶタクシーでハッコウシティへと戻り、街の皆のものにボクだと気づかれないよう進みながら自宅へと向かう。

 

 

「あ、あのさ…別にバレてないから隠さなくていいんだよ?」

 

「バギュアッ!?」

「そうなのか!?」

 

 

 ユズリハくんはというと、キョロキョロと終始辺りを見回しながら歩き、リザードンが翼でボクを隠し、ヨノワールがガードマンの様に隣についていかせてた。

 

「ていうか逆に目立つからね?」

 

「バギュッ!?」

「な、なんだって!?」

「……」

 

 ユズリハくんとリザードンはそうなのかと驚き、ヨノワールは呆れて肩をすくめる。

 

 まあなんやかんやで自宅のマンションに辿り着く。セキュリティも万全だし、部屋の中も手持ちのポケモン全部出しても快適な広さを持つ。鍵を開けて自宅の部屋へとすたこら入る。

 

「ふぅーただいまっと!ユズリハくんも遠慮なく寛いでね」

 

 

「おう、玄関で寛いでるから」

 

「いや遠慮しないでって言ってるよね!?」

 

 どういう寛ぎ方をしてるんだい!?ユズリハくんはヨノワールに引きずられながらリビングへ。

 

「さーて今からご飯作るから待ってて!」

 

「お、おう…」

 

 ユズリハくんはいつもと違ってそわそわしついる。もー…遠慮すんなし。パーカーを脱ぎ、エプロンをつけたら冷蔵庫の中を漁りながら今日の献立を考える。ふむふむ、今日は腕によりをかけてオムレツにしようかな?

 

 材料を取り出してさっそく調理に取り掛かる。料理をしている間ユズリハくんはボクの動画編集用のデスクとパソコンを拝見し、ヨノワールはハラバリーと仲良く話をしている。

 

「バリバリ。バリバーリ」

「ヨノ、ヨノノ……」

 

 いったいどんな話をしてるのやら、ポケモンの言葉が分かればなぁ。

 

「ユズリハくん、仕事は順調かな?」

 

「まー……相変わらずオモダカさんのいきなりの思いつきにぶんまわされてる毎日だ」

 

 ユズリハくんの仕事っぷりと愚痴やら何気ない会話をしながら料理を進める。

 ユズリハくんは相変わらず忙しそうだ。でもバトルの話になると楽しそうに話す。ニヒヒ、ユズリハくんは楽しそうな顔を見てるとこっちもニヤけてしまうよ……

 

 お皿に盛り付け、ケチャップでハートマークを描いてっと……ナンジャモ特製ふつーのオムレツの出来上がりっ!

 

「おぉ、前より料理の腕が上がってんな」

 

「ふふーん、これも見てくれてる皆のものの応援の賜物さ♪」

 

 おかげさまでサンドイッチだけでなく色んな料理を作れるようになった。そんでもって視聴者数もシビルドンのぼりさ♪

 

「うまーいっ‼うますぎるっ‼」

 

 ユズリハくんはボクが描いたハートマークを気にすることなくガッツリ食べる……少しは気にしろっての。まあ喜んでくれたからヨシ!

 

 食事を終え、ユズリハくんは手持ちのポケモンを順番に出してはポケフードをあげて手入れをしている。

 

「それじゃボクはお風呂にいってくるからゆっくりしててね!」

 

「おー…」

 

 ユズリハくんはラグラージを撫でながら生返事で返す。むぅ、ボクの入浴シーンだぞ⁉少しは興味ぐらい持てよこのドンカン!

 

 仕方ない、ユズリハくんはバトルバカのてんねんマイペースどんかんヤドンマンだからなぁ。

 もしかしてボクに魅力がない?ぐぬぬぬ、今度リップ氏にどんかんでもメロメロになるメイクや仕草とかご教示願おう。

 

 悶々としながらお風呂に浸かり、体を洗って汗を流してサッパリする。

 

「ふぅー、おまたせー!ユズリハくんお風呂空いたよー!」

 

 ボクの出たあとのお風呂だからぁ、ちょっと気になっちゃったりー?ユズリハくんはドキドキするか反応を伺おうと思ったら……

 

 

「グスピー……」

 

 マルマインのクッションを枕にスヤスヤと床で眠っていた。

 

 

「寝るのはやっ!?」

 

 寝るの早すぎだよもーっ!この後夜更けまで楽しいおしゃべりとかでエンジョイしようと思ったのにぃ!

 

「グーズピカー……」

 

 なんちゅう寝息をたててるのやら……気持ちよさそうに寝るユズリハくんの寝顔にボクはため息をこぼす。

 

「しょうがない、ユズリハくんも疲れてるようだし今日は寝よっと」

 

 電気を消してベッドに寝転ぶ。まったく、面白みがないなぁ……せっかくお泊りをしてるんだから楽しめよっての!

 

 

 ん……お泊り……

 

 

 お泊り………

 

 

 

 ユズリハくんがボクの家で……お泊り!?

 

 

 『ユズリハくんがお泊り』……この事実をはっきりと意識しはじめたらどうしてかドキドキしだしてきた。

 

 い、今さらぁ!?なんで今さらドキドキしてるんだボクは!?

 

 何でか心臓がバクバクしているボクはチラッとユズリハくんを見つめる。変な寝息をたてながらも凛とした寝顔に思わずドキッとする。

 

 な、なにドキッとしてるんだよもーっ!ボクは平常心を取り戻そうと頬をつねったり頭を振る。やっとこさ冷静になってふと思い出す。

 

 そういえば……ユズリハくんといっしょに過ごすのって中々なかったよなぁ……

 

 アカデミーの時はいっしょにいたりした時はあったがユズリハくんが『宝探し』に出てから逢うことはなかった。

 動画配信を始めてからもジムリーダーになってからもいっしょにいる時間はすくない……

 

 ボクは、ユズリハくんとずっといっしょにいたいのかな……はて、この気持ちはもしかして……

 

 いやいやまさかね……気にはなりつつもボクは眠りに落ちることにした。

 

__________

 

 

 部屋の目覚まし時計が喧しく鳴ったことでゆっくりと目を覚ました。

 

「んむぅ……」

 

 眠気とインファイトしながら起き上がってドゴームの形をした目覚まし時計のスイッチを切る。

 

 カーテンの隙間から入る朝の日差しを浴びながら背伸びをして意識をハッキリさせるとユズリハくんの姿がいないのに気づいた。

 

「なんだよぅ……先に起きて帰っちゃったのかぁ」

 

 せっかく早起きして朝ごはんを振る舞おうと思ったらのに……ユズリハくんにいないと思うと何でか胸がシュンとする。

 

 ユズリハくんに会いたいなぁ……

 

 

 この切ない気持ち……会いたい気持ち……そうか、やっぱり

 

 

 

 ボクはユズリハくんのことが好きなんだ……

 

 

_______________

 

 

 夜明けと同時に目が覚めてよかった。

 

 身だしなみを整えてすたこら歩く……ナンジャモを起こさないでさっさと退散してよかったぜ。

 

 はあ、と大きくため息をつく。これでいいんだ……

 

 これ以上、関わるべきではないんだ。

 

 変に関わったら……あいつの夢をぶち壊してしまう。

 

 

「スキャンダルほど恐ろしいものはない……」

 

 かつて俺が好きだったホウエン地方のコンテストマスター……動画配信をして人気だった彼女はあるポケモントレーナーとの熱愛がゴシップに曝され大炎上。

 その結果、コンテストマスターを引退し動画配信を終了させた。俺はすごく悲しかった……

 

 ましてやナンジャモは大人気の配信者。俺なんかと関わったことが世間にバレたら……大炎上間違いないし最悪配信を辞め、ジムリーダーの資格も剥奪……彼女の夢はぶち壊しだ。

 

 ナンジャモにはみんなに夢を振りまいて欲しい。だから、ナンジャモを悲しませるようなことはしないしさせはしない。

 

「今後はジムリーダーと運営委員との関係だ……」

 

 でも、本当は……いや、何でもない。深く関わらないようにしなくてはな。

 

「さ、リーグに帰ろうかヨノワール。リーグにシャワーもあるしサッパリしとくか」

「………」

 

 ヨノワールは腕を組んだまま無言だ。うーむ…進化してから何考えてるか更にわからなくなったな………

 

 

 




はやくヒスイのポケモンをパルデアで連れ回したい……
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