死神の幻想   作:エヌラス

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そんなこんなでこの作品も100話を迎えました。一体いつまで俺の妄想が続くのかは分からないですけど、気長に暖かく見守っていただけると幸いです

ヘブバンという物語もどういう終わり方をするのか、まだまだ予想はつかないですけど俺も必死に本編追いかけます!!

つい数日前、漸く5章中編越したんですけどね!!!めちゃくちゃ難しいんですけど!?新しいシールドクッッッソウザイ!!固くは無いのはありがたいけどウザァイ!!!

でもそれを上回る感動のストォォリィ!!!それの為に頑張れるよ俺!!!これからも強化して頑張るからヘブバン!!

それはさておきユニゾン豊後欲しいんだけど!?!?


100.オペレーション・ベガ

 

「ついに来たな…決戦の朝だ」

 

起床のアラームがなる30分前、既に31Aは全員が起床しいつでも出られるようになっていた。最も…作戦当日の為他部隊もほぼ起床アラームなんて聞く前から準備を済ませていることだろう。

 

「作戦途中で抜け出して、つかさっちの母親の研究室に辿り着いてみせる」

 

「ああ、そうだな……」

 

「どんな真実が待っていたとしても、みんなの力を借りて暴いてみせるわ」

 

「……んで、なんで一護はこんな所にいるんだよ」

 

「オレもお忘れなく!」

 

31Aの部屋、つまりは31A全員の部屋となる。セラフ部隊は女性しかいない為今の黒崎一護はただの変態となるのだ。こちらが呼んだのならまだしも呼ばれてないのに平然と中に入りまるで今までいましたよ感を出されてしまっては黒崎一護の社会性にも関わってくる。

 

和泉は危うくスルーしそうになったが、既に死神の姿というものになり、背中に斬月という名の太刀を背負っている黒崎一護を見逃さなかった。あとぬいぐるみ一匹

 

「いや、茅森からとりあえず部屋に来いって……」

 

指をさされた黒崎一護は、頬をかきながらそう和泉につたえる。

 

「そうなのか?月歌」

 

「うん、なんかこう、作戦当日だしなんかあるかなーって」

 

「なんだその曖昧な理由……」

 

事実確認を取り、一先ず黒崎一護は変態では無いことを確認した和泉ユキ。あいもかわらず変な理由で人を呼ぶなと思いつつもズレた眼鏡をかけ直した。

 

 

――――――――――

 

 

「……」

 

少し時間が経ち、31Aと一護は発着場へと向かう。一護達が合流した頃には全部隊が集まっており、列を作っていた。

 

「作戦前につき、司令官から訓示があります」

 

そこから少し経ち、全員の前へと七瀬が立つ。その後すぐに手塚司令官が現れた。張り詰めた緊張の空気がビシッと引き締まるのを一護は肌で感じた。

 

「訓練の時から通達しているけど、相手はフラットハンドというレベル4相当の超大型キャンサーよ。強大な敵に違いない――」

 

「――だけど、私達に負けは許されない。総力を結集してこれを排除するわ」

 

司令官の言葉は、夢や理想ばかりを詰め込んだ物じゃない、厳しい現実を月歌達へと突きつけてくる。

 

(だが、自然と士気が上がるのを感じる……。これが司令官の器ってやつか)

 

周りを見回す一護は、そう感じていた。疑う時もあった、少々ぶつかりそうになった時もあった。だが……目の前の手塚司令官という女は、セラフ部隊のことを第一に考えている。

 

 

「それでは……総員、出撃!!」

 

 

(ま、司令官なんだ。部隊のことを第一に考えてるのはあたりめぇか……)

 

司令官の言葉に、全員が答える。一護もぐっと拳を握りしめ……覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒崎一護」

 

「白哉か」

 

それぞれが持ち場へ向かう中、白哉が声を掛ける。一護は声のする方向へと振り返った。

 

「兄がどう考えていようとも、私は私で動く」

 

「ああ、分かってる。この世界は、アイツらに任せる……俺は俺の仲間と世界を護るよ」

 

「……そうか」

 

一護の言葉に一瞬だが目を見開いた白哉、だが次の瞬間にはいつもの仏頂面に戻り30Gの元へと歩き始めていた。だが振り返るその一瞬、白哉の口元が微かにほころんでいたのを、一護は見逃さなかった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「なぁ、皆」

31Aと一護が乗ったヘリが飛び立ってから暫くした時、一護は31Aのメンバーへと声をかけた。

 

「どうしたんですか?」

 

「……」

 

何も知らない國見達は疑問を浮かべていたが、知っている月歌は目を伏せる。どこかわかっていた和泉もまた、一護の目を見ていた。

 

「作戦中にもしだ。俺の身に何があっても、気にせずにお前らの戦いをして欲しい。何があってもだ」

 

その言葉に全員が黙り込む。まるでこれから別れが来るような物言いに、月歌と和泉以外の全員が少し困惑する。

 

「……どうして、ですか?」

 

その困惑から来る静かな空間を壊したのは、國見タマの一言だった。

 

「……黙ってて悪かった。この作戦が、俺がお前らといられる最後の時間になるかもしれねぇんだ」

 

「そんな…」

 

可憐につかさ、めぐみにタマの4人。最早隠す必要すらないだろうと考えた一護は31Aの全員に全ての事を話した。それでもってもう一度、皆に問う。

 

「だからだ、もう一回だけ言う。絶対だ。作戦中に俺達に何かがあっても気にせずにアイツと戦え」

 

その言葉にめぐみ、可憐、つかさの3人は頷いた。元々分かっていたであろうユキと月歌に2人は笑みを浮かべながら頷く。まるで背中を押すように、頑張れと。

 

だがそんな中、國見タマだけは納得がいってなかった。

 

「どうして、そんな事をずっと黙ってたんですか…!」

 

「お前達に心配かけたくなかったんだ、悪いと思ってる」

 

その言葉に目尻に涙を浮かべたタマは、31Aの方へと振り返った

 

「皆さんもどうして……!一護さんが居なくなるかもしれないんですよ…!?どうしてそんな平然としてられるんですか!?」

 

「おいタマ」

 

「めぐみさん…!!」

 

「一護の決心や、ウチらが邪魔するもんやない。それに元はといえばここにおらんかった奴やろ。ほかの世界から来た言うなら尚更や、一護には一護の守るべきものがあるし、一護の事を思う仲間もおるんやろ」

 

「逢川……」

 

「それに誰も死ぬぅ言うてへんやろタマ。コイツならまた来てくれる気がするわ。ウチのサイキッカーの勘……やけどな」

 

「すました顔してとんでもねぇこと言うぞコイツ……」

 

さりげなくホイホイ世界を超えさせるような言葉を言う逢川に和泉が呆れる。一護も流石に苦笑する。

 

「でも……」

 

だがそれでもタマは引かない、一護にもその気持ちが伝わる。

 

「國見、俺は死ぬ訳じゃない。生きて元の世界へと帰ろうってだけだ」

 

「……約束、してくれますか?」

 

「約束?」

 

「一護さんも戦ってる、なら一護さんの世界にもきっと敵がいるんですよね」

 

「敵…か」

 

「なら一護さんの世界が平和になったら!もう一回だけここに来てください!!1泊2日でも日帰りでもいいんで!!その時までには、一護さんより強くなりますから!!」

 

「……ああ、約束だ。こっちに旅行、しに来るぜ」

 

そう言ってタマの差し出した小さな小指に、一護の小指を絡ませる。指切りげんまん的なやつだ

 

「……旅行感覚で世界超えられちゃ、あたしの人生がオカルトでぶっ壊れんだけどなぁ」

 

それを端で見ていた和泉が、ズレた眼鏡をかけ直しながらそういった。その言葉に31Aの全員が吹き出した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫かよ、蒼井」

 

同時刻、31Bを乗せたヘリが座標ポイントへと向かう最中、その中で座っていた蒼井にいちごが声を掛けた

 

「いちごさん……」

 

俯いていた蒼井がいちごの方へと視線を向ける。その表情を見たいちごは何かを言いかけたが……口を閉じて肩を優しく叩いた。

 

「そんな顔すんなって、大丈夫だ」

 

「でも、今回のキャンサー……マザーにも匹敵する強さだって」

 

「茅森達が心配なんだな、それに……アイツの事もか」

 

「はい……」

 

答える蒼井の声は少し震えていた。いちごは自分の不器用さに少し苛立つ。こういう時はどう励ませばいいのか……今まで生きてきた中でこういう経験は無かったからだ。

 

「アイツも、31Aも、めちゃくちゃ強いんだ。何も心配するこたねぇよ。それにあたしらだってあの時よりも強くなってる、アイツらだけにいい顔させねえよ」

 

「……そうですね。今はただ、茅森さん達を信じます」

 

「おう、その意気だ蒼井!」

 

「ありがとうございます、いちごさん」

 

「お、おう……」

 

礼を言われ、少しばかり顔を逸らすいちご。その隙を見逃さずにすももがひょこっと現れた

 

「姉さんの機嫌がいいにゃ、さっき貰ったお守りストラップがそんなに嬉しかった……むぐっ!?」

 

「いい子だなーすももォ!!」

 

ジタバタと暴れるすももを脇で抱え口に何かを突っ込むいちご。そんな2人を見ていた蒼井が堪らず吹き込む。

 

「ふふっ……あははっ!」

 

その反応にわちゃわちゃしていた2人はポカン…とするが、すぐさまつられて笑った。

 

「それにしても本当に良かったです、またこうして皆さんと肩を並べられる日が来るなんて」

 

「……くだらん」

そんな3人のやり取りを遠目で見ていた柊木が横に座る樋口へと笑みを浮かべながら言う。だが樋口は電子軍事手帳から目を離すことなく辛辣な意見を口に出した

 

(そう言いながらストラップ、持ってるんですね。樋口さん)

だが、笑みを浮かべることを辞めない柊木。樋口の電子軍事手帳には、ストラップがかかっていたからだ。

 

 

「ヴァウ…」

 

ヘリでは大人しくしろっての……と言わんばかりにビャッコが呆れ半分で鳴いている……それに気づくのはもう少し先だった

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「司令部、応答願う。こちら31A茅森、配置が完了したんで待機状態に入る」

 

月歌達を乗せたヘリは、31A配置付近まで飛行し、後は月歌達がヘリから飛び降りデフレクタを使い着地をするという今では慣れた光景だった。一護も瞬歩を巧みに扱い月歌たちの元へと合流する。

 

『こちら司令部、了解しました。他部隊の配置も完了しています。そのまま開始命令まで待機して下さい』

 

「了解」

 

司令部へと連絡を入れた茅森、その他のメンバーは軽いストレッチなどをして身体と緊張を解していた。

 

「黒崎一護」

 

「……白哉!?」

 

「いつの間に…!!」

 

茅森達につられて柔軟体操をしていた一護が、突如背後からかけられた声に驚く。気が付けば後ろには朽木白哉が立っていた。31Aも遅れて気付き尻もちをつきそうになっていた

 

「お前、自分とこはどうしたんだよ……!?」

 

「既に白河部隊長からは別行動の許可を得ている、ここは任せろと」

 

「……そうか」

 

「私達なら大丈夫だ、必ず生きて帰ってこいと、そう伝えられた」

 

「……白哉」

 

「心残りはないと、そう感じていたのだがな」

 

「お前がそんな事言うなんて珍しいじゃねぇか」

 

意外そうに言う一護に、白哉は目を伏せる。

 

「朽木さんも一緒なのね」

 

「ああ、そうなる」

 

「一護さんが帰るってなったら、当たり前か……」

 

東城と可憐が白哉を見ながら口を開く、一護も頷いた。

 

「よろしく!」

 

「……」

 

月歌が手を出し握手を求めるが、後ろへ振り向きそれを拒否。汚かったかなーと残念がる月歌の横で和泉はスターの握手を拒否るとは……と謎の怒りに包まれていた。怒るところはそこじゃない気がするのだが……

 

 

『全部隊、作戦開始』

 

次の瞬間、月歌達の電子軍事手帳から着信音のようなものがなり直後――司令官の声が響いた。紛れもなく作戦開始の合図だった。

 

 

「来た、作戦開始の合図だ。それじゃ……気合い入れて参りますか!」

 

「ええ!」「おう!」「はい!」「ああ!」「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……かなり数が多いな!」

 

「次から次へとっ!!」

 

作戦開始から数十分、確実に目標の元へと近づく茅森達を襲うのは凄まじいキャンサーの群れだった。訓練の時も相当な数と難易度に設定され息を上げていたが、今現在それに匹敵する量のキャンサーに囲まれていた。

 

「正直、訓練の時はこんなに敵でないでしょって……思ってたけど!司令官達が!正しかったわね!」

 

「ああ……っ!だが!」

 

正確な射撃を飛ばしながら軽口を叩く東城、和泉もそれに応えて射撃する

 

「予想以上って訳じゃない!一気に突っ切るぞ!」

 

和泉の声に月歌が答え、一気に敵を蹴散らしていく。一護も白哉も参戦し戦況は大きく有利に持ち込んだ。

 

「しまった……っ!和泉!東城!そっちに一体!」

 

戦闘の最中、逢川がデフレクタを破壊したキャンサーを1匹取り逃し、後方支援に回るふたりへと襲いかかる。

 

「くっ……!」「っ!」

 

「――散れ、千本桜」

 

2人はすぐさま援護から自らの身を護る為に構えに入る――だがそれよりも早く、2人の髪を桜の風が撫でた。

 

「すげぇ……」

 

2人を撫でた桜の風は、キャンサーを包みそのまま蹂躙する。花弁全てが刃のように鋭くなっており、飲み込んだ刃は敵を逃さない――そのままキャンサーを撃破した。

 

「綺麗なものには毒がある……」

 

「その言い回し、ちょっと違うくね?」

 

助けられた東城と和泉、東城がそう呟き、和泉はそれに小さく突っ込んだ。

 

「お主もアイツみたいに多種多様な殺しの美学があるのか?」

 

「おおっ……!?」

 

その横で、敵の攻撃を薙ぎ払いそのまま一護へと弾き飛ばしたカレンがそう言う。一護も驚きつつそのキャンサーを斬月で受け止めて切り裂き撃破する。

 

「いや、俺はそんな技はねぇよ。斬月が教えてくれたのは月牙天衝一つだけだ」

 

「その月牙天衝だけで、今まで戦ってきたんですね!」

 

「ああ」

 

「なんか新しい技欲しいなーとか思わなかったの?」

 

敵を撃破し終えた月歌が、首を傾げながら一護の元へと歩み寄った。気付けばあれだけいたキャンサーはほぼ全滅しており、それに加えて全員まだ体力に余裕がある様子だった。司令官の厳しめの訓練は今ここで彼女達に余裕を生んでいた

 

「新技……んな事考えた事もねぇよ」

 

顎に手を当てしばらく考える一護、だがキッパリと月歌へ言う。

 

「つまんないのー、でも技って言っても刀1本だもんね。白哉みたいに刀身が散る訳でも無いし、難しいかぁ」

 

「俺の卍解なんて、あいつ初めて見た時そんな矮小な卍解は存在しないって否定しやがったからな」

 

「えー、そうなんだ。まぁでも、白哉の卍解ってやつを見た時は一護のはしょぼく見えたのは否定しないよ」

 

「しょぼくて悪かったな、俺は3日で卍解覚えたんだよ仕方ねぇだろ」

 

「3日……!?そんなんで覚えられんの卍解って!?」

 

「……本来ならそんなはずは無い」

 

一護の言葉に月歌が驚く、だが白哉は首を横に振って否定した。

 

「此奴は今まで、卍解も虚化も全て短期間で覚えた男だ。後は実践で無意識による上達とやらだ」

 

「はー、一護ってジ○ンプの主人公みたいな速度で成長したんだー……」

 

「例えが悪いぞ月歌、一護なんかにそれが伝わる訳ねぇだろ……」

 

「聞き覚えある名前だな……」

 

いつもの月歌のボケに和泉が呆れつつつっこむ。一護も謎の安心感に包まれかけたが頭を振る。そういえば気が付けば和泉が近くにおり、一護は辺りを見回す。

 

「いつの間に……」

 

気が付けば一匹残らず全滅しており、ここにいるのは31Aと一護と白哉だけになっていた。

 

「とりあえず一息つこう」

 

周辺警戒をしつつ、近くの木に腰掛ける月歌。それにつられて他のメンバーも手頃な大きさの岩の上などに座り込んだ。

 

「……これだけの数を相手してるとキリが無いな」

 

電子軍事手帳を見ていた月歌がふと呟く、その言葉に全員が頷いた。いくら訓練で鍛え上げられて戦場にたっていたとしても体力にはいつか限界が訪れる。

 

その1つの限界が仲間を全滅へと巻き込む可能性もある為侮れない。

 

「ユッキー、回り込んでくる敵の相手とか足止めは、他の部隊に任せてもいいかな」

 

「ああ、賛成だ。あたしらは先を急がないと行けないからな」

 

月歌の提案に和泉が頷く。その頷きに背中を押されたのか立ち上がる月歌。

 

「よし、それじゃあ休憩はここまでにして、蓼科山のポイントまで急ごうぜ!」

 

その言葉に全員が頷き、立ち上がった。

 

 

 

――――その直後だった。地面が微かに揺れた、その揺れに最初に気付いたのは一護と白哉の2人。だが遅れて31Aのメンバーも揺れに気づく。

 

揺れが酷くなる、全員が警戒した次の瞬間だった。

 

 

凄まじい轟音が31Aと一護達の鼓膜を叩いた。衝撃波などは一切来ていないにも関わらず、まるで地面にたたきつけられるような衝撃を受けた感覚に陥りかける。

 

「な、なんだッ!?」

 

「耳がっ……!!」「なんやっ!?」

 

「何があったの!?」

 

轟音……なにかの叫び声のようなものは一瞬だった。だが月歌達にある意味のダメージを与え強烈なインパクトを残すには充分すぎる結果となった。頭他を直接揺さぶられたような感覚に襲われる中、月歌は部隊長として成すべきことを成そうとする。

 

「くっ……ユッキーを中心に集合!外側に向いて周囲警戒!!」

 

「了解、皆気をつけろ!」

 

「ああ……クソ耳がっ!」

 

全員が集まり円形を組む。一護も背中の斬月を抜き放ちいつでも来いと言わんばかりに構える。

 

 

――

――――

――――――

――――――――何も無い。

 

 

 

「何も無い……か」

 

暫く固まり警戒する一護達、だが爆音以降仕掛けてくる気配もなく、周りにキャンサーが群がるということも無く、ただ静かな木々の揺れだけが一護達の耳を撫でていた。

 

最初に警戒を解いたのは和泉だった、逢川も「周辺に敵はおらへん」と言いセラフを下ろす。

 

「こっちも何も無いわ」

 

反対を見ていた東城もセラフを下ろし、こちらへと顔を向ける。

 

「了解、警戒態勢解除……皆、耳は大丈夫?」

 

月歌が視線を動かしながら仲間の事を心配する。タマが耳を触りながら答える。

 

「だいぶマシですけど、まだ耳がキーンってします……」

 

「白哉、今のまさか……」

 

「有り得る可能性だ」

 

そんな中、頭を抑えつつもそうそうに復帰を果たす一護と白哉。決してこういった経験がある訳では無いがやはり月歌達とは踏んできた場数の違いがあった

 

そして今の爆音、正確に断定出来るほどでは無いがこのレベルの音を出す物体なんて……キャンサーしかいない。しかもそれ相応のレベルのだ。

 

そうなってしまえば答えは簡単になる。一護と白哉が探し求めているキャンサー……その可能性が高い。

 

「月歌、どうする?爆音だけで情報が無いのがキツイな……」

 

流石の和泉も頭を悩ませる。作戦の最中に何かが起きると、案外反応しずらいものだ。だが冷静さまで失ってはおらず……直ぐに電子軍事手帳に手を伸ばしていた

 

「1度司令部にかけてみる。もしかしたら何か状況を掴んでるかもしれない――こちら31A茅森、至急応答願う」

 

そう言いながら月歌も電子軍事手帳を取りだして司令部へと繋ぐ。だが月歌がいくら声をかけても、司令部に繋がっているはずの電子軍事手帳から出る音はノイズだけだった。再び数回試す月歌だが――――とうとう痺れを切らし電子軍事手帳から目を離した。

 

「ダメだ、全然繋がらない……」

 

「……恐らくフラットハンドのジャミングだな、どうする」

 

「状況の確認を急ごう」

 

「ならこのまま進んだ方がいい、現在地は山の中腹だ。このまま山頂まで突っ切れば嫌でも分かると思うぞ」

 

「わかった、ユッキーの言う通りこのまま山頂まで一気に行く!一護、頼める?」

 

「分かった」

 

月歌が一護へと問い掛ける、一護は間髪入れずに返事をした。その月歌たちの進行方向では、多数のキャンサーが群がってきておりこちらを視認していた。

 

着々と倒していては現状確認をする時間が遅れていく、ならばやることはただ1つ。黒崎一護の火力を持って進行方向のキャンサーを追い払う、倒す必要は無い。ただ道を掃除するだけだ。

 

「――卍解ッ!!」

 

月歌達に頷き、そのまま進行方向へと走り出す一護。斬月を前へと突き出し卍解と叫ぶ。次の瞬間――一護の周りを凄まじい風が覆う。

 

「ッ!」

 

その風を切り裂き走るのは、卍解し天鎖斬月を持った黒崎一護。和泉が「卍解する必要はあるか……?」と不思議がり声を漏らす。

 

(あともうちょいで奴とぶつかる……一撃目から全力を出す為にも卍解しても問題はねぇはずだ)

 

少し思考し、そのまま両手で天鎖斬月を構えた。キャンサーは狭い山道を群がってはいるがそれが逆にありがたい。

 

「月牙天衝ォッ!!! 」

 

刀に霊圧を込め斬撃として飛ばす、範囲は広くなくともこの狭い道なら防御したとしても吹き飛ばされるのは確実だった。

 

事実キャンサー達は為す術なく宙へと放り飛ばされ散り散りになっていく。

 

「他の部隊には迷惑かけちゃうかもしれないけど、大丈夫だよね」

 

「うん、皆なら大丈夫さ」

 

心配そうに声を漏らす可憐、横で走る月歌が親指を立てながら答える。

 

「行くぞ!」

 

それと同時に先陣を切っていた一護が月歌達へとそう言い、月歌達も頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「山脇様!」

 

同時刻、同じくオペレーション・ベガに参戦していた31C。作戦途中に上を見ていた豊後が指をさした。

「なんだい豊後、鳥でも飛んでたのかい?」

 

「このご時世鳥を見れたらラッキーですよ!」

 

そう言いながら山脇達が上を見る、最初に怪訝そうな顔をしたのは佐月だった。

 

「あれは……?」

 

「佐月さんも気付かれましたか…なんという凶報……」

 

「佐月殿?どうされたんですか!?」

 

「――あれ、キャンサーです」

 

「ええっ!?空からキャンサー!?」

 

「豊後!そういうのはもっと早く言いなさいよ!」

 

「り、了解でゲス!親分!空からキャンサーが!」

 

「今更遅いよ!!――総員戦闘態勢!」

 

黒崎一護が放った場外ホームランキャンサーが、四方八方で親方!空からキャンサーが!状態を作り出していたのはまた別のお話……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――よし、山頂だ!」

 

しばらく経ち、一護達含めた31Aのメンバーが山頂へと着く。かなりの距離を走破した為かなり息が上がっているが今は現状確認を優先する。

 

「――なん、だと」

 

一護が山頂から景色を覗いた瞬間、目の前に拡がった光景にただ唖然とするしか無かった。一護の反応に各々が反応し全員が見る。

 

「どういう……事だ」

 

白哉も、眼前の光景が信じられないのか、声を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「フラットハンドが……消えてる!?」




次話、久方振りのヒユさん視点。やっぱりダブル主人公的なことをするのは難しい。

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