死神の幻想   作:エヌラス

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私にしては脅威の7500文字…


というか普通にバンバン1万文字以上をすっげーペースで更新し続ける人たち本当に何者……??

単語やシチュエーションに引き出しが多すぎやしません??俺なら多分散らかった部屋みたいな地獄になりますよそんなん


104.記憶の蓋

 

 

「解析完了……イージスタワーの閉鎖命令を解除するぞ」

 

和泉が解析を始めてからどのくらいが経っただろうか、気が付けば解析を終えて月歌達へと言葉を伝えていた。

 

「了解、いつでもいいぞ」

 

「やっと……やっとここまで来た」

 

その言葉に月歌は頷き、東城は震える手をギュッと握った。彼女にとっては果てしなく長い時間にも思えただろう。

 

「……おお」

 

次の瞬間、イージスタワーの封印が解除される。タワー全体を覆っていた緑の膜と電子の鎖が解かれていき、漸く膜で覆われていないタワーそのものが目の前に現れた。

 

「こっから入れるみたいやで」

 

直ぐ様傍に近寄り、正面玄関のような所に着く。マジックミラーのようなものになっているのか、外側から中の景色は一切分からない。

 

「区画のロックも解除しておいた、ぶち破る必要はないぞ」

 

何をしようとしてるのか、準備運動をする月歌と逢川目掛け、目論見を見破った和泉が声を掛ける。2人はそれにフリーズした。

 

「……マジ?」

「ええ……」

 

「マジだし、そんなしょげるなよ。それにメインロビーだし大丈夫だとは思うが何が手掛かりになるかは分からない。無益な破壊は出来る限り回避したい」

 

「ちぇー、了解」

 

「子供か」

 

「……とりあえず、扉開けはめぐみん、突入は蔵っちともなにゃんが先行。後はあたしらがカバーする。」

 

「――その前に、黒崎一護と朽木白哉。2人に聞くよ」

 

突入の算段をつけ、全員が頷く。蔵は後ろに立つ白哉と一護を指さした。

 

「なんだよ」「……」

 

「こっから先はあんた達は一切関係ないよ、今回は本当に軍規違反もいい所だ。余所者のアンタらがそこまでする義理はないけど……本当に来るかい?」

 

「しつけぇな、俺はついてくぞ」

 

「……無論だ、兄らは未知の力を操る人間。その技術が中にあるとすれば、我らが元の世界に帰る手がかりがあるかもしれない、そう私は考える」

 

「了解、ならもうとめないよ」

 

「蔵っち、確認はいい?」

 

「あいよ、もう大丈夫さ」

 

「じゃあ行くよ!」

 

――――――

 

 

「……豪華なロビー、広さもバスケが出来そうなくらいある」

 

「ホコリっぽいけど、思ったよりも綺麗ですね」

 

「換気も空調も生きてるからな、ただ放棄されたビルとは比べ物にならないさ」

 

入った瞬間、全員を迎えたのは凡そ長年放棄されたとは思えない程綺麗なロビーだった。ところどころ瓦礫が落ちていたりするのを除けば、ただ快適な空間である。

 

「……ここ、見覚えがある」

 

「本当か!?」

 

床をなぞりながら、東城がそう呟く。月歌が隣に立ち驚愕の声を上げた。

 

「ええ、ここを私は通ったことがあるわ。それにあのエレベーター、何度も使っていたような……」

 

「そうか、もう少し正確に思い出せないか?」

 

「そうね……お母さんに会いに来て、カードキーを使って通った、気がするわ」

 

細い糸、今にも千切そうな記憶の糸を辿り東城が思い出していく。

 

東城の視界の先に、かつての昔の自分が浮かび上がる。色んな人に囲まれてそのエレベーターを使って上に昇った記憶。

 

「エレベーターを使う為には、カードキーがいるの。私はお母さんの研究室に行く為に、特別に渡されていたの」

 

「でも今、それは無いんだな」

 

月歌の言葉に東城が小さく頷く。

 

「セラフ部隊は入る前の付近の記憶がないってのと、私物は全部持ち込んだんだろ?なのにそれがねぇってなると、益々きな臭くなってきやがったな」

 

軍の不信感を更に募らせる一護、ここ数週間で軍に対して入りたてのような頃の感情は無かった。もしここで非人道的な事が露呈すれば

 

――黒崎一護は爆発する。そう言っても過言では無い。

 

「その階は何階だったか覚えてるかい?」

 

蔵の言葉に、一護の意識も現実に引き戻される。

 

「多分、最上階じゃないかしら。よく背伸びをして1番上のボタンを押していたことを覚えているから」

 

「イージスタワーは52階建てだったはずだ、その最上階、か」

 

「なら登るかぁ……」

 

面倒くさそうに頭をかきながら言う月歌だが、和泉が首を横に振った。

 

「現実的じゃねーよ」

 

「ただ登るだけならまだしも、もしキャンサーがいらば戦闘になる。日が暮れちまうよ」

 

「和泉さんのハッキングは……?」

 

「無理だ、セキュリティが厳しすぎる。時間があればなんとかなるかもしれないが……今じゃ足りない。」

 

「一護さん達に壁をぶっ壊してもらって、空浮くやつで一緒に飛ばして貰って、それで何とか!!それか私たちもデフレクタ使って飛ぶとか」

 

「ここがどうなってるのかは分からない、中にキャンサーが居る可能性もあるんだ。調子乗ってデフレクタ使い切っていざ逃げられないってのも勘弁だ」

 

「じゃあ俺が壁ぶっ壊せば良いんだな」

 

天鎖斬月を肩に乗せ、一護がそう言いつつ歩いていく。だが和泉はその肩を掴み引き止めた。

 

「それはここの情報収集が済んでからだ。様子を見る目的も含めて1回低層階の探索をやんだよ」

 

「……わかったよ」

 

虚圏の事を思い出しながら、不意に和泉の姿が石田雨竜と重なる。ラスノーチェスに乗り込んだ時も石田に同じようなことを言われた記憶がある。

 

あの時はお構い無しに壁をぶっ壊して割と酷い目を見た記憶がある。今の一護は成長しているためとりあえず一旦止まる。

 

「探索でカードキーが見つかればラッキー、だな」

 

「了解、一先ず捜索しよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「茅森、この先にエスカレーターがあったぞ。動いてはいないが……あそこからなら二階に上がれる。」

 

探索してそう時間は経っていなかった、そんな中月城がエスカレーターを見つけたという報告を入れる。

 

「了解、ユッキー、行先はそっちでよかったな?」

 

「ああ、研究フロアは2階からだ」

 

「よし、皆行こう。」

 

全員がそれに頷き、早速エスカレーターを歩いて昇っていく。

 

「……似たような景色だな」

 

「ああ、だが明らかに部屋数が増えた。それに……」

 

和泉が視線をやった先には、確かにキャンサーが居た。数こそ少ないもののこの建物の狭さと環境、そしてタイムリミット……最悪のケースだ。

 

「やっぱり居やがったな」

 

「ああ、想定の中でも最悪のケースだ――でも進むしかない」

 

「勿論そのつもりだ」

 

その場に居た全然が既にセラフを展開していた。キャンサーも月歌達に気付いたのかこちらへと走り始めていた。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「にしてもこの部屋数……」

 

キャンサーを払い除け、改めて膨大な部屋数に唖然とさせられる。

 

「ここからが研究区画か……手前から順番に見ていくしかなさそうだな」

 

全員がそれに頷き、早速操作を開始した。

 

 

 

扉を開けた先にあるのは、如何にもな空間やフラスコ、どっかで見た事あるようなものばかりだった。

 

時にコンクリートの強化実験や、統一理論の資料、セラフ部隊の研究所としていた割には全く関係の無い資料ばかり出てくる。

 

 

しまいには國見が戦艦のプラモデルを見つけた!!などとはしゃぎ出したり、月歌がR18そうな本を見つけそれを一護に押し付け一護がなんとも言えぬ顔をしたり……

 

ビックリ箱のようにキャンサーが出てきたり、それは月城達が一瞬で撃破していく為にそこまで驚異ではなかった。

 

「うりゃ!」「とりゃ!!」

 

「お前ら原始人並に野蛮だな……」

 

ロッカーを蹴っ飛ばして強引に開け、中身が無いことに肩を落とす年頃の女性達に一護の顔が引き攣る。和泉が野蛮だな……と言いつつも近くのデスク、そのロックがかかっている場所を東城のセラフを利用して破壊して物色していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……数が多いな」

 

ある一部屋を開け、中を見る白哉と月城の2人、その部屋の奥に光るキャンサーの光。それも先程までとは違い数が多かった。

 

「だが個々の力は大したものではない――彼女達に報告する必要も無いだろう」

 

白哉の発言に、意外そうに月城が彼を見る。もっと堅実な人間かと思っていたが、案外そうでもないらしい。意外な一面が見れたことに驚きつつも、視線はキャンサーから動かさずに言葉を紡ぐ。

 

「我と朽木のみで対処するという訳か」

 

「出来ぬ……訳ではなかろう?」

 

「無論だ」

 

目を伏せ微笑みセラフを構える月城と、斬魄刀を抜き放つ白哉。

 

 

その2人の連携攻撃に、部屋のキャンサーは為す術なく倒れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく……あの時みてぇにぶっ壊しゃ速ぇだろうに」

 

悪態を着きつつも、部屋の扉を慎重に開ける一護。その3歩後ろに可憐が立っていた。

 

「あの時……前にも似たような経験あるの?」

 

「……ああ、仲間が攫われた事があってな。取り返す為に別世界の迷宮に行ったことがあったんだ」

 

部屋の中に入り、二人で物色を開始する。あまり朝倉可憐とは2人になった事がないな……と思いつつ、部屋を見ていく

 

「その時は面倒くさくてよ、壁ぶっ壊して進んだぜ。ろくな目に合わなかったけどな」

 

「ふふっ……」

 

思い出すだけでゾッとする、その話に可憐が口を抑え笑う

 

「……今回は壊さねぇけどな、東城の思い出がある場所ってのもあるからよ」

 

「優しいんだ、一護さん」

 

「俺のせいで大切なものが吹っ飛んだら、なんて言えばいいか分からねぇしな……」

 

ガサガサと探す一護の背中を、可憐は見ていた。目は合わせてくれぬものの、年相応の反応をしているのを何となく察した可憐が笑みを浮かべる。

 

最初こそ、彼はもっと大人だと思っていた節が朝倉可憐にはあった。だが共に過ごしていくにつれ、彼もまた……一人の少年なんだなということに気付かされる。

 

「探そう、つかささんの為にも」

 

「おう」

 

 

――――――

 

 

「どう?何かあった?」

 

「此方は何も無かった」

 

「そっか……」

 

「一護の所はどうだ?」

 

「……ダメだ」

 

捜索を開始してからどのくらい経ったろうか、稀に奇襲されるキャンサー。代わり映えの無い景色、そして突き付けられるハズレの部屋。

 

月歌達は徐々にだが疲労が溜まりつつあった。

 

「皆!」

 

「東城が見つけた、多分だがエレベーターのキーだ」

 

だがその疲労は東城達のお陰で吹っ飛んだ。

 

「よし!近くのエレベーターで使えるか試してみよう!」

 

直ぐ様エレベーター方面に飛び出すメンバー、幸いエレベーターは思っていたよりも近かった。直ぐ様東城が記憶の通りにキーを通す。

 

電子音と共にエレベーターの使用許可を促すディスプレイが表示され、彼女達がいる階層に到着するべくエレベーターが動き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよだな、つかさっち」

 

動き出したエレベーターに全員が乗り込み最上階に向かう。その最中口数が少ない東城、その心情を見抜いた月歌がそっと声をかけた。

 

「ええ、やっとここまで来たわ。ようやく会いに来れたよ……お母さん」

 

キーをギュッと握り、そう呟く東城。その心境はこの場にいる全員には計り知れない。自分に違和感を持ち始めたあの頃から、恐らく眠れない夜もあっただろう、漸く……全てを知るチャンスが来た。

 

「……着くぞ」

 

エレベーターが止まり、最上階に来た事を知らせる。それぞれが様々な心境を胸に抱き扉の方へ警戒を向ける。

 

 

「っ!!!」

 

扉が開いた瞬間、キャンサーの拳が彼女たちを襲った。だが既に気付いた一護が直ぐ様その間に割り込みキャンサーを蹴り飛ばす。

 

「一護!」

 

「安心しろ!部屋が少ねぇほうに飛ばした!!」

 

一先ず全員がエレベーターから飛び出し、中型のキャンサーへと視線と警戒を向ける。

 

一先ず先に攻撃を仕掛けた一護が、ビリビリと痺れる手をみやって冷や汗をかく。

 

「こいつ、今までのヤツより硬い……!」

 

デフレクタがあるからとか、そんなもの関係ないのが一護でも分かる。先程の一太刀といい蹴りを決められたのは不意を付けたからだろう。次は恐らく不意をつけない……

 

「それが、あんなにかよ……」

 

飛ばした方向が悪かったか、キャンサーが仲間を呼んだのかは定かではないが、群がりはじめた。個体ではさほど強くは無いもの。そうでは無いもの……十人十色という単語が似合う光景だ。

 

「ここで時間喰ったら完全にタイムオーバーだぞ……!」

 

「そんな、ここまでの苦労が台無しになるなんて……」

 

焦りが出る和泉、そして絶望の表情を浮かべる東城。それを嘲笑うかのように襲いかかるキャンサー――――

 

 

 

「――卍解、千本桜景厳」

 

 

「はぁっ!!」

「ふっ!!」

 

 

次の瞬間、キャンサーと月歌達の間に突如として桜の壁が現れ、直後2人の影が近くのキャンサーを切り刻んでいく。

 

「久しぶりに全力を出してみると、案外疲れるものだな」

 

「もなにゃん!」

 

「ここはあたいらに任せな」

 

「兄らは部屋の捜索を……」

 

「なに、この程度の連中なら抑え込むのは造作もない」

 

「蔵っち、白哉……あたしも残る」

 

「何言ってんだい、この計画はアンタが発案者だ。アンタが行かなくてどうする」

 

残ろうとする月歌を、蔵が止める

 

「ここは問題無い、我らを信頼しろ」

「分かったらとっとと行きな」

 

「……わかった、みんな行こう!」

 

 

 

「……白哉」

 

「行け、黒崎一護。兄の務めはなんだ」

 

最前線に立つ一護だったが、その横に立った白哉がそう言う。その後ろには卍解した千本桜景厳が創り出す幾千万もの刀が備わっていた。

 

「ああ」

 

一護がそう答えると、彼女達31Aの方面へと走り出した。

 

「――それでいい」

 

「さあさあきたきた!あたいらの最高の見せ場さ!」

 

「うむ、先程までは手応えが無かったからな」

 

「……」

 

3人が並んで立つ、その場所にキャンサーが襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部屋の目星は着いてんのか!」

 

白哉達から反対へと駆け出した31Aと一護。だが闇雲に走った所で体力を消耗するだけだ。

 

「ええ、ここまで来てやっとわかったわ。今なら完璧に分かる……」

 

「わかった」

 

1番先頭を走る東城が、そう答える。いつもの諜報員の勘……というものとは全く違うその言い方に一護は信頼を託す。

 

「っ、ここ……」

 

思っていたよりも近かったようで、足で急ブレーキをかけて止まる。

 

「……部屋にロックが掛かってるぞ」

 

直ぐ様部屋の扉を開けようとするが、やはりそう簡単には行かず、セキュリティの壁にぶち当たる。

 

「ユッキー、ハッキングできそう?」

 

「ダメだ、間に合わない。今までとは比にならないくらい頑丈なセキュリティだ。」

 

「そんな……」

 

「一護、頼めるか?」

 

「あぁ」

 

次の瞬間、扉の前に立った一護が何度か扉を蹴り飛ばしぶち破る。

 

「すげー……」

 

「刀を使えば速かったんじゃない……?」

 

「扉ぶった斬って、中まで切ったらヤバいだろ」

 

「確かに!!」

 

可憐の質問に答える一護、それに國見が全力で賛同する。一瞬の軽口を飛ばしあいながらも部屋へと侵入する。

 

 

「……えらい綺麗だな」

 

「換気されてた証拠だな、保存状態も期待が持てるぞ」

 

中に入って最初に気がついたのは、先程までの部屋とは違い何もかもが綺麗に置かれた場所だった。

 

デスクの上の書類や後ろの本棚、その中にある様々な本、造花の数々。椅子などの備品。少し埃が被っている場所もあるが、それを払えば全てが昨日まで使っていたと言われてもおかしくないほど良好な状態だった。

 

「お母さんの部屋よ、時々あの椅子に座って遊んでたのを覚えてる……」

 

「あ!」

「このフォトフレーム……」

 

「わたしと……お母さん」

 

目に入った写真に、可憐と月歌が声を出す。その写真にはつかさとその母親が二人で写っている写真があった。

 

「つかさっちと同じで美人さんだね」

 

「ありがとう」

 

「他には何かあるか?」

 

「ううん……」

 

「和泉、落ち着け……そんだけ急かしたら出るものも出ねぇぞ」

 

「――悪い」

 

「ほら、ユッキー。このPC持ち帰っていいから」

 

「あたしは何扱いされてんだよ……それにこのPC、めちゃくちゃ規格が古いじゃねぇか。対応出来るか分からねぇぞ」

 

悪態を着きつつも、持ち帰る価値はあると思ったのだろう。大人しくノートPCを懐へと忍ばせようとする。

 

「よく、隠れんぼをしてたわ」

 

「この部屋で?」

 

「暗い場所……」

 

徐々にモヤが晴れていくのか、紡ぐ言葉が鮮明になる。

 

「どっからどう見ても隠れんぼできそうなとこなんてないやんけ」

 

「奥の部屋の……本棚の」

 

「隠し部屋か!」

 

言いかけている途中で和泉が到達した可能性を声に出す。

 

「確か……ここをこうして」

 

探そうとする月歌たちを手で制止して、東城が記憶を頼りに本棚の本を触り始める。そして何冊か動き出した時、少し音を立てて本棚が引っ込んだ。

 

「すげぇ……」

 

一護も、アニメや漫画でしか見た事がなかったのか、珍しく感嘆の声を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「合ってる、ここよ、よくここに隠れていたの」

 

狭い入口と階段を抜けてひとつの部屋へと出てきた。そこも本棚まみれで、違いがあるとすれば骨董品と言われてもいい椅子と机だった。最初は暗い部屋だったが、その机の上にあるテーブルランプを付けた途端部屋の全貌が明らかになる。

 

「おい、これ……」

 

一護が机の引き出しを開けると、中から筆記具とノートがでてくる。

 

「……来たな、軍の先を行く情報を得られるかもしれないぞ」

 

その言葉に、更に空気感が張り詰める。一先ず一護は東城に渡して更に引き出しへと目線をうつす。

 

「ユッキー……何書いてあるか分からないんだけど」

 

「あたしもだ、何かの研究資料ってのは分かるけど。東城はどうだ?何かわかったか?」

 

「……ごめんなさい」

 

そんな会話が背中で行われている中、一護はもう1冊の本を取り出して中身を見る。

 

(んだこれ……絵本じゃねぇか)

 

中身は何の変哲もない絵本、先程の高度な研究資料とやらとは違い、なぜこんな所にあるのか分からない物だった。見当違いかと思い、その本を机の上に置く。

 

 

 

 

「……それ!」

 

「……?、ああ、絵本だったよ」

 

「懐かしい、私の1番好きな本だったの」

 

「なら、つかさっちにしか分からないメッセージとかあるかもしれない!」

 

「ありがちだな……だが時間は無いぞ。手短に頼む」

 

机の上に置いた本を持ち上げ、ペラ…ペラとページをめくる。

 

かつての自分と、そこに居た母親をおもいだすように……失っていた昔の自分を、取り戻すように……

 

 

「あれ……」

 

「……?」

 

「目を通したけど、”最後のページってこんなのだったかしら……”」

 

全員がその言葉に疑問符を浮かべた次の瞬間だった。

 

「……っ!?」

 

東城の手に持っていた絵本が床へ落ちる。

 

 

「あっ……あああああああっ!!!!」

 

間髪入れず、東城が頭を抱えて叫び出した。酷い頭痛に襲われているのか……それとも何か思い出そうとしているのか

 

「つかさっち!」

 

「月歌!無理に動かすな――」

 

倒れ込み、痛みを必死に抑え込もうとする東城に近寄ろうとする月歌。だが和泉がそれを止めようとする、頭が原因の時は揺さぶったりすると悪化する可能性がある、それを考慮したのだろう

 

 

だが

 

 

それよりも早く

 

 

冷たい声が、部屋を支配した。

 

 

 

 

 

「――全て思い出した。戻りましょう」

 

 

 

その声は確かに、先程までそこで膝をついていた東城つかさの声だった。

 

だが、その声色……そして立ち上がってこちらへと向けたその表情

 

「それは……」

 

あの夜、あの時一護へと向けた顔。普段の東城つかさからは有り得ないほどの冷酷な目。

 

 

 

和泉が、呟く。

 

 

 

 

 

 

「――”覚醒”」




蹴り技っていいですよね、例えそれが相手に効かなくても奇襲効果は絶大。そっから自分のペースに持ち込んでボコるもよしですし隙を伺ってからの撤退戦術にも持ち込める。

蹴り技っていいですよね(2度目)


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