あ、BLEACHとコラボ待ってますね(私欲)
「ねえねえ!ヒユってさ、好きな人とかいた!?」
「えー??」
長期任務の最中、23Aと共に野外で火を囲み、軍のレーションを口に放り込む。その中でツユキがヒユに聞く。
「確かに、貴女の好きな人は気になりますわ。淑女の嗜み……ですわね」
「絶対関係無いよね!?」
「いやいや〜、普通この位の年頃なら布団囲んで好きなタイプで盛り上がるもんでしょ!」
「軍用レーションってなんかアレだし、話で甘くして!」
綺麗な星空、パチパチと音を立てる焚き火。そして恋バナ、年頃の女性達だけのこの空間は一見して平和なキャンプのようにも見える。
だがここはある意味戦場でもあった、彼女達はセラフ部隊として日々戦い続けていた。そんな彼女達の数少ない娯楽話題のようなもの……それが恋バナだ。
「私……私かぁ」
「軍入った後は女しかいないから……入る前とかは?」
「私そういうのてんで興味なかったからなぁ」
そう言いながら顎をさするヒユに全員が如何にもうわーつまんねーみたいな反応をする。
「そんなつまんねーみたいな顔されても……」
「じゃあ好きなタイプとか……?」
「好きなタイプかぁ」
「流石にあんだろ!好きなタイプ!ちなみにアタシは強い奴だ!」
「ツユキさん……貴女ゴリラと結婚した方がよくて?」
「んだとルリィ……!?」
「ツユキは強いからなぁ、見つけるのも一苦労……じゃない?」
「ミユまで!?」
意外な方向から突かれ、ツユキが項垂れる。それを笑いながらヒユは夜空を見上げる。
「私の好きなタイプ……かぁ」
「どう?」
「優しい人……かなぁ。私ってこうやって1番前で指揮したりするからさ、たまにあるんだよね。誰かに甘えてみたい〜的な?――ってみんなどうしたの?」
「「……」」
ヒユのその言葉に、全員がうわー……と如何にも顔にそう書いてあるような表情を浮かべる。
「ヒユ……悪い男に捕まるなよ?」
「大丈夫ですわ佐原さん、貴女に這い寄るコバエは全てあたくしが弾き落としてやりますわよ」
「でもヒユちゃん、騙されたりするとカッとなるからなぁ」
「カッとなったら……殺しちゃいそ〜」
「なんで慰めムーブ!?それに余計なこと言わない!!」
夜は暗く、長く、今の時期は冷たい。だが彼女達の周りは明るく、一瞬で過ぎて行く時間。そして暖かな空間が広がっていた……
――――――――
『佐原ヒユ、君とこうして話をするのは初めてかもしれないな』
浦原喜助から受けとった携帯電話を片手に、黒腔を走るヒユ。虚圏から尸魂界に向かうにはこれが最速だというお墨付きなのだが……
ヒユは初めて黒腔を通る、その道は己の霊圧で作る為初めての彼女には中々しんどいものだった。
「は、はい…!私、佐原ヒユです。えっと……」
「阿近だ。技術開発局の者だが……今はそれどころじゃないな」
「尸魂界は……?皆さんは?」
『――絶望せずに聞いてくれ』
一瞬だけ言葉に詰まった阿近、通話越しでもわかるその空白にヒユの表情が強ばる。
『現時点でこちらの損害は隊士が2000名以上、席官が56名、副隊長が1名だ。数値は秒単位で増加している』
「……っ」
増加している、ということは今この1秒の間にも尸魂界のどこかで、誰かの命が奪われているということ。
『敵の中で、隊長格と同等以上の力を持つ者は最低でも16名、奴らは自らを星十字騎士団と呼称し滅却師独特の白装束を身にまとっている』
「私のところに来た人と同じ……」
『現時点で敵の損傷は0、情報も0だ。奴らが滅却師だということ以外は何も分かっていない……!』
ギリ……と歯が軋む音が聞こえる。それほどまでに悔しいのだと、嫌という程ヒユに伝わる。
ヒユも同じ気持ちだった、ふつふつと煮えたぎるマグマのようなドロっとした怒りが込み上げてくる。
『君がどんな力を持っているのか、それは私達でも把握していない。そもそも君が卍解に目覚めたというのをさっき聞かされた時……正直驚いたよ』
「……」
『でも、それでも、君がどれ程できるかは分からない――黒崎一護が居てくれれば、なんて事を言ったら怒るか?』
少し気まずそうに言う阿近さんに、携帯越しで見えはしないがヒユは首を横に振った。
「いえ、その気持ちは私もです。あの人が居てくれれば……きっともっと上手くいった、尸魂界でこんなに人が死ぬ事は無かったと思うんです。すぐに駆け付けて、敵を倒して、仲間を全員護り抜いて……」
その言葉に阿近も静かに頷いた。
「でも今、あの人は居ない。だからここに私がいる」
『君の力……期待していいのか?』
「私も尸魂界、護廷十三隊の隊士なんです。例え頭ひとつになっても食らいついてやりますよ」
『えげつないハングリー精神……って言うのかそういうの。だがわかった』
「――おっと、お話中すいませぇん」
2人だけの通話のはずだったが、突如そこに浦原喜助の声が加わる。
「浦原さん?」
『浦原か、何か分かったか?』
浦原の介入に驚くこと無く、2人は冷静に聞き返す。
「先程の戦闘、そして解析したデータを伝えます」
その言葉に阿近もヒユも驚いた。先程から今の一瞬で解析を始め情報提供まで持って行けるとは
(セラフ部隊にも欲しかった……!!)
そう思ってしまうのはしょうがないものなのだろうか。
『そうか……』
「……」
聞かされた情報に息を飲むヒユ。滅却師の能力、その中でも重要な3つを聞いたのだ。
滅却師完聖体、静血装、動血装
この3つだけでもかなり手強い、情報がほぼ無い尸魂界がこれ程までに押されてしまうのも無理がないとも言えるものだった。
だが問題は3つ目にある。
”卍解奪掠”
「ですがここで重要なのは佐原サン、そして黒崎サンの卍解は奪えないということです」
『なんだと……!?』
「ええ、アタシもその瞬間をみてます。それに彼は口を滑らせていた。黒崎一護だけでは無かったのかと」
「……」『……』
「このことから推察するに、元々敵サンは黒崎さんが居ない時に尸魂界を攻め落とすつもりだったんでしょうね。虚圏で騒ぎを起こしたのもそれがあるかもしれません」
彼の英雄的思想は虚圏の奴らも分かっている。1度誰かが助けてと言えば必ず助けに来る。例えそれが罠であったとしても
「だが今は黒崎サンは居ない、敵サンにもそれが伝わって……怖いもの無しの敵サンは尸魂界へと侵攻したんでしょうね」
『だがそれじゃ、俺達は勝てねぇ……既に二、七、十番隊の3人が卍解を奪われている』
「なんですって!?」
流石に予想ができなかったのか、浦原が大きな声を出した。
『これは確定情報だ。あまりにも情報が足りないんだ……、俺達にはっ!!』
そう言い、机を殴りつける音がした。
「だから私が行くんです」
「……?」『……は?』
不意をつかれたように、2人がハテナを浮かべるのが想像着く。ヒユさえ自分がとんでもないことを口走っているのは分かっていた。
だが、今現状それくらいの気概が無ければ恐らく負ける。慰めでも何か前向きになれる事を言わなければと、前線の勘が言っていた。
「敵は私の力を知らない、だからこそ私が尸魂界に行って、アイツらが知らないこの力で倒す」
「……ヒユサンのその力は正直得体がしれない、アタシすら知らない類の卍解です。くれぐれも無理をしないように」
「はい」
『だが今はそれが切り札だ、頼むぞ……』
黒腔もそろそろ終点が見えてきた。ヒユは携帯端末を懐にしまい込み刀を抜き放つ。
その目には、かつてないほど、自分でも驚くほどの覚悟を決めていた。
――――――――――
「く、来るな……っ!!」
「クソッタレ!!」
尸魂界の一部分、戦闘区域の中、隊士が雨の中刀を持って立っていた。
だがその刀にもはや力は籠っておらず、誰がどうみても……赤子ですら捻れるような物だった。
「……」
敵はそれを見逃さない。直ぐ様間合いへと詰め寄り相手から手首ごと刀を奪い取る。
「あがっ!!ああっ!!」
戦意喪失、もはや隊士に戦う気力は無かった。だが彼ら滅却師に下された命令は皆殺し、例え降参し無様にも頭を地に擦り付けたところで殺すことには変わりない。
失った手首を抑えようとしても、もう片方も手首から先がない。それがさらに隊士の絶望を深める。
「……」
とどめを刺そうと、剣を首に添えた瞬間だった。
「……?」
刃先が折れていることに気づく。
次の瞬間、一瞬の閃光が見えたその瞬間、その滅却師の首から上が吹っ飛んで転がった。
「……大丈夫!?」
そのまた次の瞬間、隊士は抱き抱えられていた。
「俺の手がっ……」
「ごめん、でも4番隊まで行けば……!」
ヒユがそう言い前を見た瞬間、その顔は絶望に染った。
死体、死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体
壊れた建物の中に死体
外にも死体
崩れた場所にも死体
道にも死体
1面死体と死体、そしてその骸から流れ出る血が尸魂界の全てを覆っているような物だった。
「あそこだ!」
それを蹴飛ばし、踏みつけ、亡き物をゴミのように散らかしながらこちらへと走り寄る滅却師の軍団。両手がない隊士を別の隊士に抱えてヒユはその場に留まる。
「アンタも逃げるんだ!!」
「大丈夫、それよりもその人を!」
「あ、ああ……死ぬなよ!」
そう言いながら隊士が走っていく。滅却師がそれを追おうとするが、その頭を斬魄刀が貫いた。
「っ!」
隊列が急ブレーキをかけてヒユの前で止まる。そんな中、ヒユは目の前の滅却師の集団を見回していた。
多勢に無勢、懐かしい感覚に思わず身体がブルっと震える。セラフ部隊時代にはよくあった光景だ、大量のキャンサーの中を、道を切り開くためにたかが5、6人でよく走ったものだ。
少しづつ、頭の理性のリミッターが外れていく。外していかないと、勝てないと本能が判断したからだ。
「女の隊士か、だが女だからといって殺さない理由にはならないぞ」
先頭のリーダーらしき滅却師が、サーベルをこちらへ向けて仮面越しに微笑む。
「……あなた達のボスの居場所は?」
「知ってどうする」
気にもとめないヒユに少し眉をピクつかせるが直ぐ様ヒユの要望を拒否した。
「倒す、そうすればあなた達の負けでしょ」
「教えると思うか?」
「……そう」
明確に目標を伝えても一切会話のないそれに、また更にリミッターがはずれていく。
次の瞬間、何かを話そうとした敵の首を跳ね飛ばし、そのまま左右2人の首を足と腕を使いへし折る。更に斬魄刀から生首を抜き取り、1人、2人、3人、と斬り殺していく。
「嬲り殺しにしたんだ、あなた達は隊士を……」
更に、また更に、隊列が乱れたその中を走り回り斬る。折る。斬る。返り血を顔に、腕に浴びようが構わない。全て激しく降り続ける雨が流してくれる。
「こ、コイツ…ぐぁ!」
口に斬魄刀を押し込み、そのまま貫通させる。もはやこいつらに対話能力が無いと知った。
「い、イカレて――がぁ!?」
近くの死体の斬魄刀を拾い上げ目の前の滅却師を刺し殺す。そのまま押していき、やがてその刀には3人が突き刺さっていた。
「だから殺す」
1人の死体の上に乗っかり、ヒユがそう呟いた。
常軌を逸している、その凄惨な戦い方。
(敵はキャンサーから滅却師に変わっただけ、的は小さくなったけど、そこまで脅威じゃない)
敵は卍解を奪う力を持っている、だがそんなものがどうした。
――こんなヤツらには卍解すら要らない。
(久しぶりだなぁ、使える物はなんでも使う。こんな戦い方をするのは……)
いつぶりだったろうか、セラフ部隊を全てかきあつめた掃討作戦があった。
23Aもそれに参加したことがある。
あまりにも凄惨すぎる戦い、もはや命の価値があやふやになってくる。目の前で他の部隊が盾になり吹き飛び、骸が積み重なっていく。
『ヒユちゃん!!』
仲間に抱き締められるまで、自分がどのような戦いをしていたのかあまりはっきりとしていない。
だが後で見せて貰った映像には、ヒユは信じられない光景を見た。
そこには味方の、正確には死体のすぐ側に落ちていたセラフを拾い上げ、剣なら敵に投げつけ、切り刻み、セラフが消えれば自分のセラフを振るい、銃なら弾切れもしくはオーバーヒートするまで連射し、消えれば再び己のセラフをふるい、デフレクタが割れ素肌が剥き出しになったキャンサーに対しては脚で脚をへし折ったりとどこぞのハリウッド映画のような事をしていた。
あれから出来る限りそういうものは抑えてきた。あんな戦い方をするのは、なんとも気分が良くない。そしてそれは自分が死ぬ事になったあの日も、それを貫いて死んだ。
(だけど今は違う……相手は凄まじい数、そして弓や剣、私もこれくらいしないと勝てない)
それに怖いくらい意識がはっきりとしている。自分のやることが全て手に取るように分かる。
「撃てェ!!!」
「っ……!」
滅却師が一斉に弓を展開し一斉にヒユを狙う。目の前の滅却師を殺し、それを盾に前へと進む。
「ひっ……」
恐怖に支配されれば、動きは遅くなる。どうやらそれは滅却師も同じらしい。
直ぐ様刀で貫きそのまま隣の奴にも突っ込む。足場は悪く、足をかければ直ぐ様転がった。顔を踏みつけ、的確に首を刺し貫く。
「射撃も疎ら……ルリちゃんの方が凄かったなぁ」
そう呟くと残りの弓兵も一気に斬り殺していく。
「なんなんだ……コイツ…………あがぁ!!」
弓兵の1人が化け物を見る目をする。だがそれに一切揺さぶられることなく首を切り落とす。
「私が皆を護るんだ、一護さんの代わりにっ!」
そう言うと、直ぐ様別の戦場へと駆り出す。
少女は卍解と同時に記憶を取り戻している。
切り込み隊であるAの称号、そしてその隊長は伊達ではない
ええと…、その…最近、ジョンウィックを見まして…
なんか、銃とかでドンパチかっこいいなって、それで書いてたら気がついたらヒユちゃんがとんでもジャンキーな戦い方になってしまった……
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