死神の幻想   作:エヌラス

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私情ですけど、最近ウルトラマンネクサスという作品を見たんですよね。

めちゃくちゃ神作でしたよアレ……ウルトラマンすっげぇ……

そして後書きですが、感想で頂いたアイデアを実践してみました!!ミニ話的なやつです!!死神図鑑的な…?


112.生きて帰る為

 

 

「ここは……斬魄刀の中?」

 

セラフ部隊の基地、その中にある場所の1つにナービィ広場というものが存在する。ヒユ自身よくこの場所にいた事もあり、かなり縁ある場所だ。

 

だがそれ故に、直感的に理解していた。ここは、普通のナービィ広場では無いということに……

 

 

 

「……流石に分かる?」

 

 

 

ヒユの横に立っていた少女、ミユはナービィを抱き抱えていた。何を考えているか分からないナービィも、今では久しぶりに見るような感覚に襲われる。

 

「流石にね、詳しく見れば意外と違う所とかあるから……」

 

「斬魄刀の中、っていうのも合ってるけど。ここはヒユちゃんの精神世界でもあるんだよ」

 

「……精神世界?」

 

「うん、だからほら……」

 

そう言って彼女は指を指す。その方向に顔をやった瞬間――ヒユの顔が強ばった。

 

「……何あれ」

 

「ヒユちゃんの心は音を立てて壊れてる、それはこの精神世界にも影響を及ぼしてるの。だからこうして崩壊が始まってる」

 

平和なナービィ広場、その向こうにあるセラフ部隊の基地の一角が崩壊を始めていた。音を立てて崩れ落ちていく施設等を見て焦るヒユだが、ミユだけは落ち着いていた。

 

「私の心が、壊れてる……?」

 

「そうだよ、ヒユちゃん……あの戦いが始まってから、多くの敵を殺してきた。ここに来る直前に……多くの仲間を殺してきたよね」

 

「……っ」

 

その言葉に、ヒユが顔を背けた。だがミユは止まらずに話し続ける。

 

「多くの仲間が死んだ、多くの仲間が傷ついた」

 

「……やめて」

 

「――そして、大切だと思ってた人が死んだ」

 

「……っ!!ミユ――――」

 

やめてと言ってもやめてくれる素振りすら見せないミユに、ヒユが苛立ちを募らせて彼女の顔を見る。

 

「……なんで」

 

だが彼女の顔を見た瞬間に、ヒユの苛立ちが一瞬にして消えていくのを感じた。ミユの顔は真剣そのものだった。追い詰めようとしている訳でもなく、バカにしているのでもなく、ただ起きた現実を淡々と伝えているだけ……

 

「ヒユちゃんの知らない所で、多くの人が死んでる。今も、ほら――」

 

そうして音を立てて崩れていく世界……その隙間から見えている景色を、ミユとヒユは共有した。

 

 

『嫌だ……嫌だァ!!!』

 

『畜生、殺してやる!!』

 

それは、尸魂界の光景だった。崩壊していく世界から見えるソレは――ヒユにとっては絶望でしか無かった。

 

『なんで!?なんで!!』

 

『誰か来てくれよ!たすけてくれ――』

 

『なんなんだ、なんなんだよお前ら!!』

 

『どけよ。ジャマなんだよ!』

 

『大丈夫か?こっ――』

 

『なんで死んじゃうの!!なんでええええっ!!』

 

『いやだ、もう嫌だっ!!あああっ!!』

 

『ぐあ――』

 

『ぎっ……あぁ』

 

『助けて……助けて助けて助けて!!』

 

 

 

 

「――うぷっ……」

 

次から次へと流れ込んでくる悲鳴、断末魔、怒声、罵声にヒユは耐えきれずに口元を抑えた。隣で見ているミユも、目を瞑る。

 

(皆の想いが、伝わる……)

 

それ以上に、ヒユは殺されていった隊士達の想いを感じ取ってしまった。それがさらに彼女の様々な物を上へと上げる。

 

(皆の想いが、消えていく……)

 

崩壊した世界の隙間から見えるモノ、それが全て小さな光のようなものになり、断末魔などを上げて徐々に消えていく。少し大きな光や小さな光、それら全てが尸魂界に住む者達の命の灯火だということを理解するまで、そうそう時間はかからなかった。

 

 

「黒崎一護や朽木白哉が訪れていても、結果はさほど変わら無かった」

 

「……ミユ?」

 

崩壊する世界から視線を背け、後ろにある青い空を見たミユが呟いた。それにヒユが眉を顰める。

 

「ヒユちゃんはよく頑張ったと思うよ、アレだけ傷ついて、アレだけ戦って……」

 

「……」

 

「ハルキもルリもツユキも、もう皆ヒユちゃんに傷ついて欲しくないって思ってる」

 

「3人は……?」

 

そこまで言われ、漸く違和感の1つに気がついたヒユ。ミユの話を遮って自分の問いを投げかけた。

 

「今も貴女の生命を繋ぐ為に頑張ってるよ、私は……こうして貴女を迎えに来たの」

 

「迎えに……?」

 

疑問を浮かべるヒユに、ミユが手を差し伸べる。

 

「――帰ろう、ヒユちゃん。私達が本来居るべき場所に」

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

差し出された言葉と手、全ての意味が理解できないヒユは、ただ漠然とその手と顔を眺めるしか無かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「全て思い出した、戻りましょう」

 

冷たい声が、イージスタワーの1つの部屋を支配する。その声を出した当の本人――東城つかさを囲むように31Aのメンバーと黒崎一護が立っていた。

 

外では今も断続的に戦闘が続いている、少しばかりの音と揺れがこちらにも伝わっていた。だがそれよりも、一護達は今の状況に困惑していた。

 

「これが……?つかさっち、あたしのこと分かるか?」

 

「ええ、茅森月歌さん」

 

困惑したままの月歌がつかさへと言葉を投げる、その問いにつかさは寸分の狂いもなく、的確に、今迄月歌が歩んできた人生を答える。

 

「よくそんな言葉知ってるな……」

 

「諜報員だもの、それくらいの情報なんて事ないわ」

 

澄まし顔で佇むつかさの横で、和泉が本を片手に悩み顔をうかべていた。

 

「このページの絵に、何か意味があるっていうのか?」

 

「うちらが見てもなんも起こらへんで」

 

全員で回し見してみるも、東城以外の全員に何かしら変化は無かった。黒崎一護も例外無く、何かしらが起こることはなかった。

 

 

「っ……!!」

 

「っ!?」

 

だが次の瞬間、ドゴッという轟音と共に……建物が大きく揺れた。

 

「あら、外でなにか起きたようよ?」

 

「なんかやばい事になってそうだぜ……!?」

 

「白哉達が何かしたってのかよ!」

 

口々に言いながら、ひとまず本が並んだこの部屋を足早に立ち去る一護達。

 

「状況が把握したいわ、廊下に出てみましょう」

 

その言葉に全員が賛成し、母親の部屋を抜け出す。抜け出してそのまま廊下を走り、その階のエントランス付近まで来た瞬間、目に拡がった光景に全員が唖然とするしか無かった。

 

「なんだ?下の階がひしゃげてやがる……」

 

「やっと来たかい、さっきの揺れで来た道は塞がれちまってるよ」

 

別方向から蔵の1人が合流する特に怪我を負ってる様子もなく月歌達は一先ず安堵する。

 

「っ!?」

 

だが次の瞬間、再び激しい揺れがその場にいた全員を襲う。そして、上から幾らか瓦礫が降り注いできた。そしてその真下に、月歌と和泉の2人が立っていた。

 

「はっ……!」

 

瓦礫の破片とはいえ、人の頭にぶつかれば命を奪いかねないソレを一護が全て砕く。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、ああ……ありがとう一護」

 

「とにかくここに居たらヤバそうだぞ!」

 

「アイツらはどうした?」

 

「2人には逃げられそうな通路を探してもらってるよ、あっちさ」

 

一護が蔵に問いを投げる。アイツらとは月城と白哉のふたりのことだった、蔵含めた3人は一護達に探索を任せて敵の足止めをしてくれていた。

 

蔵は一護の問にそう答えてその方向に指を指す。その場にいた全員は頷き、その方向へと走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もなにゃん!」

 

「無事であったか」

 

しばらく走った通路の先に、白哉と月城の2人が佇んでいた。酷く冷静な顔をした2人に突破口が見つかったのかと1つの望みを抱く。

 

「外に出れなくなっちまったのか……!?」

 

「うむ、我の見た限りエスカレーターはどれも使えなさそうだ」

 

「ならエレベーターで下まで降りるしかない」

 

「それは得策とはいえぬな」

 

「ああ、朽木の言う通りだ……最悪降りてる途中にワイヤーが切れたら全員お陀仏だぞ」

 

和泉がそう言った瞬間、再び2度、3度と大きな揺れが彼女達を襲った。

 

「くっ、中に居続けても潰されかねない!」

 

「……やむ得ない」

 

ここに居ても他に脱出路は無く、あるのはエレベーターのみ。月歌達に残された選択肢は1つだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!」

 

エレベーターを使い降りていく最中にも、揺れは何度か続いた。だが今の揺れが来た瞬間、エレベーターが止まり中を照らしていた照明が消える。

 

「最悪の事態じゃない?」

 

「言われんでもわかるわ!」

 

嫌に落ち着いてる東城に、めぐみがツッコむ。その傍ら、扉を指でなぞっていた蔵が不意にセラフを呼び出した。

 

「おい――」

 

 

 

「ここはあたいに任せな、どうなるかは分からないけどねぇ」

 

 

何をするつもりだと近寄る一護を他所に、蔵が呼び出したセラフを用いてエレベーターの扉を一刀両断する。

 

「……っぶねぇ!!」

 

危うく扉と同じように一刀両断されかけた一護が、文句を言いたげにしながら蔵へ視線を送る。

 

「ほら行くよ」

 

だがそれを遮るように蔵が言い、全員が頷いてエレベーターを出ていく。一護も渋々と言った顔でそれに続いて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……?ユッキーどこかわかる?」

 

「悪いが情報が無い、位置関係から中階層の何処かだな」

 

外に出た瞬間、今迄見たことも無い壁と床が月歌達を出迎えた。あっちこっち明かりがついたり消えたりしており、今の揺れがどれ程のものだったのかというのを理解させられる

 

「向こう、空が見えてるよ」

 

「……ああ」

 

だが一護と蔵は、その壁や床よりも先に、少し進んだ場所に見える違和感に気付いていた。

 

イージスタワーは基本的に窓がひとつもない、外側から見た時からなんとなく分かっていたが、中に入れば確信に変わっていく。

 

「あの揺れの正体はこれか……ヤバいな」

 

その違和感に近寄りながら、ユキが声を漏らす。視線の先には大きな穴が開けられおり、あっちこっちに瓦礫などが吹き飛んでいた。

 

「つまりそれって」

 

「――この大穴を開けた敵が居るってことだ」

 

「だが丁度いい、あの穴から飛び降りればいい。我らなら出来るだろう」

 

戦慄する月歌達の横で、月城は冷静に物事を見ていた。今自分達に出来る最適解を提案する。

 

「どの道グズグズしてても埒が明かないからねぇ、あたいは賛成だよ」

 

「……今はそうするしかないか」

 

何処か決めきれない月歌に、蔵が後押しをする。今自分たちにできることはなにか、それを理解した月歌はそれに頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コイツはひでぇな」

 

「なんて有様だよ……」

 

一先ず先程の場所からデフレクタを使い下の階層へとワープする面々。着地した場所はまだ高い階層だったが壁は壊されあちらこちらから鉄筋が剥き出しになっていた。

 

「……ねえ、あれって」

 

眼前に広がる景色を見た可憐が、震えた声を漏らし、指を指す。

 

「嘘やろ……!?」

 

「あれって……!!」

 

彼女達の目線がその場所へと集まる。曇り空の中でも圧倒的な存在感を放つキャンサー。

 

 

 

――フラットハンドがそこにいた。

 

相手もこちらに気付いている様子は一見無さそうに見えるが如何せんサイズがサイズ、遠距離用の攻撃手段を持っててもおかしくない。

 

 

「この大穴を開けたのは、アイツなのか……!?」

 

フラットハンドの攻撃手段が未だ未知数の中、限りある最悪の展開を読んでいくユキ。だが東城がそれをバッサリ否定する。

 

「あそこは既に作戦範囲外、それにあの距離じゃあ幾ら攻撃手段を持ってるとはいえ流石に射程外よ」

 

「それなら別の個体がいるってのかよ……!」

 

「そう考えるのが妥当ね」

 

考えたくもない最悪なパターンが1つ増えた事に、ユキが頭を抱えた。

 

 

 

「俺が引きつけるか?」

 

 

 

 

遠くからでも圧倒的な存在感を放つフラットハンドにたじろぐ一同の中、黒崎一護は天鎖斬月を肩に乗せてそういった。31Aの面々は驚愕する。さすがの蔵や月城も想像できなかったのか唖然としていた。

 

「……」

 

同時にその横に一歩踏み出す白哉、一護は一瞬驚くが目の前の彼の目を見てそれ以上を言うのを辞める。

 

「一護……」

 

月歌も引き留めようと手を伸ばすが、肝心の言葉が出て来ない。彼らの考えを理解しているからこそ、ここで止めるのは野暮なのかもしれないと感じてしまっていたからだ。

 

「危険すぎる……!」

 

言葉が出ない月歌に変わるように、隣にいたユキが一護達へとそう言った。

 

「アイツの目線をこっちに向けて時間稼ぎするくれぇなら俺と白哉で出来る。その間にお前らはここから脱出すりゃいい――元々アイツに用事があるのは俺たちだからな」

 

「……っ!」

 

「それにアイツの攻撃手段を知れるんならお前らも今後の作戦が立てやすいだろ?」

 

「――お前……っ!」

 

止めようとする彼女に対し、淡々と話す一護。ユキが我慢の限界と言わんばかりに彼の胸ぐらを掴みにかかろうとした瞬間だった。

 

 

「「っ!?」」

 

一際大きな揺れが彼女達や一護を襲う。

 

「今度はなんだっ……!!」

 

「ッ!!――アレを見よ!!」

立ってられないほどの揺れが連続し2度、3度と続く中、月城が広がる景色の方を指さした。次の瞬間――下から長い腕のようなものが上へと伸びる。

 

――瞬きする間に、その腕の先端に付いている手のようなものが、目の前の床に食い込む。

 

「後ろに下がれ……ッ!!」

 

食い込むと同時に月歌がその場にいた全員に指示を出した。なぜなら既に上にはもうひとつの手のようなものがこちらに振り下ろされていたからだ。

 

「あっ……!」

 

「タマ……!!」

 

各々が後ろへと下がる中、揺れに足を取られたタマがその場に転がる。

 

「ッ!!!」

 

転がったタマにその手が迫る。だが次の瞬間に一護がその間に割って入った。刹那、凄まじい轟音が彼女達の耳を襲う。

 

「一護さんっ!!」

 

「早く行けッ!」

 

助けてくれた事に安堵するが、一護にそう言われ急いで立ち上がるタマ。一護の足元は既にビビ割れており、どれだけの力が彼に掛かっているのか知る事になる。

 

「うっ……ぐっ……!!」

 

月牙を天鎖斬月に纏わせ、謎の手を押し返そうとする一護。だがその細さからは想像もできない力に押しつぶされそうになる。

 

 

 

「ッ――――うあああアアアッ!!!」

 

 

 

かつてないほどの力を込めて天鎖斬月を振りかざす一護、何とか魔の手を回避することに成功する。

 

「……っ!」

 

直後瞬歩を使い月歌達の元へと移動する。

 

「はぁ……はぁ……っ!」

 

全身の骨が軋むのを感じながら一護は膝立ちのまま動けなかった。あのままだと恐らく10も数えること無く一護は押し潰されていた。

 

(なんだよアイツ……っ!押し返せなかった、逸らすのに精一杯だった……っ!)

 

「大丈夫か一護!?」

 

「あ、ああ……大丈夫だ」

 

セラフを小脇に抱え、こちらへと手をさし伸ばす月歌、その手を受け取り立ち上がった一護が再び天鎖斬月を構える。

 

全員の視線が集まる中”ソレ”は酷くスローモーションに、同時に絶望感を与えるラスボスのように登場する。

 

『――――!!』

 

海で見たことのあるような顔をしたソレは赤い目をギョロギョロとさせながら顔の下から生えている触手を動かす。それと同時に地面にめり込んでいたモノが動き、人間で言う腕の動きをする。

 

先程、建物の床を軋ませるほどの力で振るわれたソレはやはり腕という認識で間違いはなかった。だがそれよりも、驚愕すべき事実が最初にあった。

 

「フラットハンド……!?どういうこと!?」

 

最初に口に出したのは月歌だった、戦う前からその迫力に押されているのか、額から冷や汗を流している。

 

「フラットハンドが目の前と奥、2体居るってことだよ!――くそっ、2体もいるなんて聞いてねえぞ!」

 

和泉ユキも流石に想定外のことが頻発し悪態をつく。

 

「一体でこの状況だ、奥のフラットハンドに気付かれたら間違いなく全滅だ!」

 

「ひええええっ!!撤退しましょう!!」

 

置かれた状況、あまりにも不利すぎる現状にタマが撤退を提案する。この場所から何とか逃げ出せばまだ何か出来ると。

 

「撤退はほぼ不可能よ」

 

だが覚醒した東城はタマの提案をバッサリ切り捨てる。ユキも想像できていたのか首を横に振った。

 

「この高さならトランスポートで一気に……」

 

「途中であの触手みてえなやつでぶん殴られなければな」

 

「それに不安定な空中で攻撃を受けたら、デフレクタなんてひとたまりもないわ」

 

冷静だが全て事実、もはや言い返す術がないタマは顔を青くさせて震えることしかできなかった。

 

 

 

 

「逃げられないなら、仕方ないねぇ」

 

「茅森、我らが前に出る――指揮を頼めるか」

 

 

 

だが30Gの2人は違った、即座にセラフを呼び出し未だ膠着状態のフラットハンドへと歩みを進める。

 

「……やるしかないってのか」

 

「ええ、生きて帰る為にはね」

 

撤退するか――ここでフラットハンドを討伐するか、揺れ動く月歌。

 

「わかったつかさっち」

 

東城の言葉を受け、目を伏せる。1秒にも満たない思考の後――31A部隊長茅森月歌はセラフを両手に持ち言葉を放った。

 

 

「――皆、ココであのデカブツをやるぞ!」

 

その言葉に異論を唱える者は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この場には誰も居なかった。




〜不定期後書きミニ話・いちごと一護〜





「ほっ」


黒崎一護がボールを投げる。そのボールをキャッチした少女___水無瀬いちごは受け取ったボールを再び一護へと投げ返した。

始まりはなんとなくだった、蒼井辺りをキャッチボールにでも誘おうとして、でもあと一歩勇気が足りなくて内心しょげながら歩いていた日、たまたまいつもキャッチボールをする場所に黒崎一護が立っていた。

なんとなく誘ってみると、案外彼は快く承諾してくれて、そして今に至る。



「最近はどうだ?蒼井とは上手くいってんのか……よ!」

いちごから受け取った球を再び投げ返す一護。

「ああ、前よりかはな……!」


「そうか……なら良かった」


「あの時お前が蒼井を助けてくれなかったら、今みてぇな関係にはなれなかったと思う。そこは…えっと」


「……?」

一護がいちごへと投げた球。だがそれが一護へと返って‎こなかった。それどころか彼女はその球を両手で遊ばせ、何やら言葉に詰まっていた。


「__ありがとな、一護」


やがて決心したのか、一度咳払いを挟んで一護へと感謝を述べるいちご。

「ああ」

その感謝に一護はただ笑顔で頷いた。








(2人とも仲が良さそうで良かったです!)

それを傍らで眺めていた蒼井は、満足そうに頷いてその場を離れていく。

彼女もまた、後にキャッチボールに誘われることになるのだった……
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