死神の幻想   作:エヌラス

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ヘブバンの最新イベスト私は完走したんですけどね、前半笑えねぇって思いながら改めてセラフ部隊の基地内部のえげつなさに顔が引きつってましたよ。

そして後半はもうひたすらに盛り上がってましたよ、主人公してるよあのキャラ。あの子凄いよほんとに。


113.FlatHand___1

 

 

「くっ……」

 

フラットハンドが大きく振りかぶり、ムチのように左手を振るう。一護はそれを間一髪で回避し、完璧に伸び切った瞬間に月城と蔵の2人が斬りかかった。

 

「浅いっ……!!」「チッ……!」

 

だがあの二人でもその腕を切断する事は容易では無かった。攻撃の全てが今の所溜めがあり隙はある。

 

だがしかし浅いとはいえ確実にフラットハンドにダメージは入っている。それのせいか先程よりも攻撃が苛烈になっていた。

 

 

(デフレクタを割らないと白哉や一護が直接的に攻撃出来ない……っ!!)

 

 

徐々に焦りが募り始める月歌、タダでさえ相手とのサイズ感に怯みそうになる。だが必死に堪えながら指示を飛ばそうとする。

 

「なっ……!?」

 

だが直後、フラットハンドにある5箇所の目のようなところから赤い光が降り注ぐ

 

――その対象は全て茅森月歌に向いていた。

 

「月歌ッ!!」

 

回避しようと走り出すのと同時に、和泉が少しでも気をそらさせようとフラットハンド目掛け攻撃を仕掛ける。

 

だが既に、フラットハンドの攻撃速度は月歌達の反応速度を上回っていた。

 

 

 

「っ……!」

 

 

 

直後、轟音と共に真っ赤なレーザーが月歌目掛け放たれる。一瞬死を覚悟した月歌だったが、横から助けに入った一護が月歌を抱えその場を離れる。

 

「大丈夫か!」

 

「う、うん!大丈夫!」

 

抱えられた月歌はさっきまで自分がいた場所に視線をやる。その場は黒く焦げておりもし攻撃を食らっていたらと考えるとゾッとさせられた。

 

「攻撃は全部単調だ、回避は難しくねぇ……さっきのレーザーは初めてだけどな」

 

抱えた月歌を降ろした一護が、そう口を開く。月歌も頷いて再び前を向く。

 

「蔵っちともなにゃんのお陰でフラットハンドもそっちばっかりに気がいってる。あの2人本当に強いよ」

 

「……ああ、セラフ部隊最強の名は伊達じゃねぇな」

 

「感心してる場合?」

 

「つかさっち……」

 

何とか東城達が居る場所まで引き連れることができた、同時に彼女から耳の痛い言葉を投げつけられる。

 

「あの二人は確かに強い、でも消耗は避けられないわ。とっととデフレクタを割って最大火力を叩き込んで倒すしか無いわよ」

 

「……」

 

「それに早くアイツを倒して此処を去らないと――面倒臭いのに絡まれそうだわ」

 

面倒臭い――その言葉に月歌や一護は顔を歪ませる。

 

 

ここはイージスタワー、セラフ部隊の人間でさえ立ち入り禁止に指定されている場所。

 

タダでさえ作戦を無断で抜けているのだ、加えたそんな場所に勝手に入りこうして漁っているのが司令部にバレてしまえば

 

 

「……タダじゃ済まないでしょうね」

 

思っていた言葉を、東城が口にする。

 

 

「……分かってる」

 

月歌の言葉に、覚醒した東城も素直に頷いた。司令部も厄介極まりないが、これ以上時間をかけると目の前のフラットハンドが何をしでかすか分からない。

 

倒すなら今、攻撃が単調な内に速攻で叩く。切り込み部隊である31Aが最も得意とする戦法。

 

 

(だが何だ……この違和感)

 

 

「皆!!最大火力で一気にここを突破する!デフレクタが割れたら一護と白哉を主力にして一気に削る!!」

 

全員に指示を飛ばす月歌を他所目に、一護は何処かザワつく心に疑問を持っていた。

 

目の前にいるのは確かにフラットハンドだ。あの時、上から降り注ぐ手を、謎の光を一護は見ている、現状で1番フラットハンドがそれに近い。

 

だがおかしい、今のフラットハンドに一護達を何処か別の場所へ飛ばす様な力を持っているとは感じれなかった。

 

「白哉――」

 

「分かっている、黒崎一護。だが今は前に集中しろ」

 

同じことを感じていたのか、白哉が一護の瞳を捉える。だが彼から投げかけられた言葉は意外なものだった。

 

少し驚きつつも前を向く。そして1つ、息を吸って吐いた。

 

「……あぁ」

 

曇り始めた思考の霧を頭を振って払う、今は目の前の彼女達を守る為に奔走するしかない。

 

 

 

「っ!!」「タマ!!」

 

タマとめぐみが同時に前へ出る、だがフラットハンドの視線はそっちに行っておらず只管月城と蔵の2人を攻撃していた。

 

(今でも見るだけで怖い……だけど!!)

 

自分と目配せしてくれる逢川めぐみという存在。そして今迄も何度も自分のことを助けてくれた黒崎一護という存在。

 

「わたしだって……っ!」

 

揺らめく炎の剣のようなセラフ、その炎が一際強く輝く。それはまるでタマの心を映しているかのようだった。

 

「やる気満々やな!!行くで!!」

 

「はいっ!!」

 

次の瞬間、離れてた場所にいる蔵と月城がフラットハンドの背後に回り込むように右へと走っていく。途中迫る職種のような手の攻撃を2人はお互いを守るように躱し、弾き返していく。

 

「後輩の見所を作る為にたたかうってのも、なかなか骨が折れるね月城ちゃん……!」

 

「ふっ……だが悪くない!!」

 

お互いにそんな軽口を飛ばしてフラットハンドの注意を引きつける。

 

 

 

 

 

『――――!?』

 

不意に動きを止めた2人を見たフラットハンド、だが次の瞬間――凄まじい衝撃が自身を襲う。

 

「よし……っ!!」

「……!!」

 

少し離れた場所から、2人の銃使いがこちらを攻撃してきていた。その攻撃から出る煙が煙幕のような役割を果たし、他の人間が見えなくなる。

 

『――――!!』

 

煙を晴らすように、そこに居るという可能性を信じるかのように自らの2本の手を叩き付ける。だが一向に潰せたような気配がしない。

 

「お留守じゃないのかい?」

「易く見られたものだな!」

 

次の瞬間、警戒していたはずの2人から視線を外したことを後悔させれる。範囲外の敵は対応出来ない……それは人間もキャンサーも変わらずだった。

 

「隙ありィ!!」

「はぁっ!!」

 

瞬きする暇なく、今度は反対方向から小柄な少女と大剣を担いだ少女からの一撃をくらう。だが次の間に2人はその場から消えていた。

 

「やぁっ!!」

「ッ!!!」

 

更に視線を動かした矢先、目の前を大胆にもふたりの少女が浮かび上がる。鎌を手足のように操りこちらに攻撃を与える者

 

――2本のセラフを振るい、こちらの命を刈り取る者。

 

『――――!!』

 

かつてないほどの激情に襲われ、そのままに動くフラットハンド。だが先に己のデフレクタに限界が訪れ硝子のように砕け散る。

 

ならばせめて、目の前の2人を潰してしまおうと赤い目を光らせる。

 

だがそれは致命的な隙となる

 

 

「月牙……!!!」

 

『――!?』

 

刹那、凄まじいプレッシャーを別方向から感じ取り、フラットハンドが本能的に防御態勢を取ろうとした。

 

だが舞い散る大量の桜の花弁がそれを阻害する。

 

 

「天衝ォッ!!!」

 

直後放たれた月牙天衝がフラットハンドに襲い掛かる。防御すら取れずに崩れ落ちていくのを彼女達は見ていた。

 

 

「はぁ、はぁ……やったか……!」

 

肩で息をする月歌、月城達もフラットハンドが居た方向に視線を向けていた。

 

 

 

――その直後、凄まじい揺れと衝撃が月歌達を襲った。

 

1度目の衝撃は、イージスタワーから落ちようとしていたフラットハンドが力を込め、この場に留まった衝撃。

 

 

「……なんだよアレ」

 

閉じていた赤い目がビキッと開かれ、同時に体のあちこち、特に頭部のような箇所が盛り上がり歪な形へと姿を変えていく。

 

初めて見る現象に月城や蔵も驚愕していた。

 

だがそれと同時に一護と白哉のふたりは自然と駆け出していた。ボコボコと膨らむ箇所からとてつもなく嫌な予感がしたからだ。

 

 

「っ!?」

「……!?」

 

そして次の瞬間、膨らんだ箇所から全方位に黒い棘が伸びた。その速度は瞬きする暇もなく、空に、イージスタワーに突き刺さる。

 

イージスタワーに突き刺さった棘は、余っ程の威力を誇っていたのか刺さった瞬間に爆発のような音が響き、そして揺れと衝撃が月歌たちを襲った。

 

「なんだいありゃ……脳みそ飛び出しちまったのかい?」

 

「類を見ぬ奇天烈さよ……!」

 

「感想並べてる場合じゃないよ!!見ただけでやばさ爆発じゃん!!」

 

「クソ……次から次へとピンチの大セールだな!!」

 

その場に居た全員が戦闘態勢をとる。

 

「クッ……」

 

「……」

 

だが、東城、そしてカレンちゃんの2人は違和感に気付いていた。

 

「カレンちゃん……?つかさっち?」

 

2人が棘の衝撃により粉塵渦巻くイージスタワーの別方向を向いている。それに気付いた月歌が疑問の表情を浮かべる。

 

「おい待て月歌……」

 

「庇われた……このワシが……ッ!!」

 

「そのようね」

 

遅れて和泉ユキも違和感に気づく。

 

同時に悔しさか、恐怖か、カレンがギリっと歯を食いしばって口を開いた。

 

漸くその場所にいた全員が同じ違和感に気付き、イージスタワー内部の方向へと視線を向けた。

 

崩れた瓦礫などから大量の砂埃が舞い踊り、視界は随分と悪い。

 

「あ……あぁ」

 

最初に絶望に満ちた声を漏らしたのは誰か、だがそれを問い詰める余裕がある者はこの場所にはいなかった。

 

徐々に煙が晴れていく。

 

見覚えのあるシルエットが煙の中から現れる。

 

「ぐっ……っぁ……!!」

 

「っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先刻、凄まじい速度でフラットハンドの体内から射出された棘。その一瞬の間に一護と白哉のふたりは動き出していた。

 

瞬歩に月牙を纏わせた斬撃、舞い散る花弁の猛吹雪。だが凄まじい勢いで射出されていたその棘は全てを貫き2人をも貫いた。

 

一瞬の出来事だった。かつて帰刃を使い黒翼大魔となったウルキオラ・シファーとの戦闘のようだった。

 

あの時の一護は迫るウルキオラの気配や霊圧にすら気付かず、まるでボロ雑巾のように扱われ敗北した。

 

「……ッ!!」

 

走馬灯のようなものが見えた次の瞬間、刺さった棘から無数の小さな棘が飛び出してくる。フラットハンドが確実にこの場所に固定するように変形したのだろうが……一護達にとってはただ体内で変形し痛みを鋭くさせるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今に至る、煙が晴れ、その中から二人の影が映り込む。

 

「っ……!!」

 

その姿が完璧に映された瞬間、その場にいた全員が声を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

彼女達の視界の先には、棘が突き刺さり床に倒れ伏す白哉の姿と…

 

 

「――――――」

 

壁に押し付けられ、そのままピクリとも動かなくなった一護の姿があった。





読んで下さりありがとうございますー!!

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