死神の幻想   作:エヌラス

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既に2週間近くは経っておりますが、明けましておめでとうございます!!今年もこの作品をよろしくお願いします!

自分はヘブバンの5章後半を終えて、もうすんごい気持ちになってます。ネタバレ解禁前だったと思うのでめちゃくちゃ詳しいことは話せませんが、もう、見て欲しい……すごいから。

あと新ユイナ先輩と新月歌ゲットしたんで使ってみたんですけどね、強い。超越ゲージとかすんごく強かった。

ユニゾンかれりん復刻ですか。石あるわけねえだろ。

1月17日追記

スーツ蒼井!!!石!!あるわけねえだろ!!!


116.FlatHand___2

 

 

『――――――!!』

 

誰も居ない空間、そこに黒崎一護は一人存在していた。自分が立っているのか、それとも倒れているのかすら分からない空間で、一護は瞬きをする。

 

「アンタ……誰だ?」

 

目の前に立つ誰かへと声を掛ける一護。だが次の瞬間には異変に気づく。目の前にいるはずの誰かの声は、有り得ないほどに遠く、まるでそこに居ないように聞こえた。

 

「なに言ってんだ……!!アンタは俺に何を……っ!!」

 

徐々に霞始める世界で、一護は必死に自分に何かを伝えようとする人物へと手を伸ばす。目の前にいるようで遠くにいるような、そんな存在を目の前に……一護はただ叫ぶしか無かった。

 

 

『お願い、届いて……!!』

 

完全に消えてなくなる寸前、その存在は確かに、少女の声で一護へと手を伸ばしているのを彼は目で見た。

 

その存在が誰なのか、黒崎一護には直ぐに心当たりが着いた。

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

「…佐…原……?」

 

爆音とそれに伴って吹き付ける爆風の中、黒崎一護は目を覚ました。最初は自分がどうなっているのか困惑しそうになったが、肩などにある針の激痛が一気に意識を覚醒させた。

 

「づっ……!?」

 

痛みに顔を歪め、すぐさま針を肩から引き抜く。中で無数に広がっていたのか刺された時よりも傷口が広がり、そこから血がボタボタと零れ落ちる。

 

(クソ……あの時俺は意識を失ってたのか……!?――戦闘からどれくらい時間が経った……!?)

 

脳内の記憶が錯乱するなかで必死に頭を振るう。徐々に浮かび上がる記憶に一護は冷や汗を流した。

 

とうとう現状を全て理解した一護、その顔を前へと上げる。

 

 

「っ……!!」

 

目の前では、姿を変えたフラットハンド、それに加えて無数の小さなキャンサーを相手にしている茅森月歌達が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一護……っ!!白哉!!」

 

2人が無数の針に貫かれて意識を失ってからすぐ、月歌達は彼らを助け出そうと走り出していた。だがフラットハンドの頭上から飛び出した数個の塊がそれを阻んだ。

 

「増えやがったぞ……!」

 

塊がボコボコと形を変えて、キャンサーへと姿を変える。道を塞がれ足止めを食らった月歌、後ろに居た和泉ユキが声を出す。

 

「コイツ……、形は小さいし歪だがフィーラーと同種だ!油断するなよ!」

 

「速攻で潰さないといずれ囲まれちゃうねぇ!」

 

次の瞬間には、召喚された数体のフィーラーが討伐される。月城と蔵の2人は直ぐ様駆け出していたのだ。

 

「牽制しつつ各個撃破、包囲されないように速さ重視で当たれ!」

 

蔵や和泉の意見を元に月歌はそう指示を出す。その場にいた全員がその指示に頷いて目の前のフィーラーを撃破していく。

 

「――回避!!」

 

フィーラーを蹴散らした瞬間には、既にフラットハンドの手が月歌達へと向いていた。まともに喰らえばいくらデフレクタでガードしていようとも潰される一撃。

 

「っ!!」「!!」

 

月歌達は何とか回避し、再び反撃の隙を伺うべく目の前のフラットハンドへと視線を向ける。

 

「当たれ……!!」

 

和泉が遠方から無数のエネルギー弾を放ち、フラットハンドへと命中させていく。

 

「あれだけ図体がデケェと効いてるのか分かり辛いな……!!」

 

悪態を着きながら再び射線をフラットハンドへ目掛ける和泉、だが狙い撃ちしようとスコープを覗いた瞬間――先程フィーラーを打ち出した塊がこちらへと迫っていた。

 

「しまっ……」

 

しまった――そう思った瞬間には遅く、回避不可能な距離まで塊は迫っていた。

 

だが次の瞬間、和泉の顔スレスレの距離を無数の桜の花びらが蠢き、その塊を弾き飛ばした。弾かれた塊が当初とは別の場所でブチブチと孵化する。

 

「おしまい」

 

それを予測していたかのように撃ち出された東城つかさの弾丸がフィーラーを撃ち抜きデフレクタを破壊する。そして瞬きする暇もなく、無数の桜の花弁に蹂躙され砕け散った。

 

「この技……」

 

 

 

「無事か」

 

 

 

見たことがある技に和泉が口を開く、だがその桜の主はそれよりも先に和泉に心配の声を投げていた。

 

「あ、あぁ……すまねぇ」

 

自ら立ち上がり、辺りを見回す和泉。31Aの仲間はそれぞれ全力で戦っている。フラットの意識を出来る限り月歌達から逸らすために……

 

実際効果は出ているようで、蔵や月城、月歌の場所に呼び出されるキャンサーの数は最初に比べかなり激減していた。

 

(その代わりあたしらの所に来るキャンサーが増えやがった……!!)

 

今の所全員がギリギリで踏みとどまっていたが、この拮抗がいつまで続くとも限らない。

 

「現状は見ての通りなんだ、アタシ達のサポートを頼みたいんだが、出来そうか?」

 

月歌に任されたこの役目を果たすべく、和泉ユキは白哉へと声を掛ける。同時に目の前に現れた多数のキャンサーへセラフを撃ち込んで撃退していく。

 

「了解した、茅森月歌は心配せずとも良い」

 

「……なんで」

 

「あそこには、30Gのふたりが居る……それに」

 

直後、凄まじい圧が2人の上を通り過ぎた。何度も感じたその圧が、今は凄まじいくらいに頼もしい。

 

「……そうだな」

 

その圧に背中を押されるように、2人は目の前のキャンサーと戦い始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッソ……!!厄介だな!!」

 

「うむ……、これだけの相手を一気に陣取るのは何時ぶりだ……!!」

 

フラットハンドの腕部から繰り出される薙ぎ払い、小さなキャンサーを召喚する小技、稀に現れる赤いレーザーのような物。それら全てを回避し、撃退しフラットハンドへと攻撃を続けていく3人。

 

「さぁね……!!でも本当に久しぶりだよ!」

 

蔵が鎌を振り回し目の前に産み落とされたキャンサーを撃退する。

 

「はぁ……はぁ……っ!!」

 

月城と蔵の2人が、お互いに軽口を飛ばしながら攻撃を続ける中、茅森月歌だけは疲労が徐々に身体を蝕みつつあった。

 

(2人に助けられて何とかここまでやってこれてる……、でもこのままじゃ2人に迷惑だ……!!)

 

実際今も、次々と迫り来る猛攻を2人が出来る限りカバーしてくれている。2人は一切何も言わないが、庇われている月歌がそれをいちばん痛感していた。

 

このままお荷物のままなんて真っ平御免だと力を込めるが身体はその意志とは裏腹に、徐々に疲労が勝り始めていた。

 

「あっ……」

 

フラットハンドの眼前まで迫り、蔵、月城に続いて一撃を入れようとした瞬間だった。左手からスポンとセラフが抜けたのだ。

 

(握力が……っ!!)

 

疲労が勝った結果、手に残っていた力はもはやセラフを握れなくなる程弱くなっていた。

 

「っ!!」

 

同時に迫るは致死の一撃、デフレクタを使い回避行動を取ろうにも体勢は最悪の状態、踏み込みの位置から強制転移すればその後の着地からの立ち回りに苦労する。

 

それにデフレクタを下手に使い、いざという時に何も出来なければそれこそ今までの全てが無駄になる。

 

視界の端にはこちらに走りよる2人の姿、だがどうやっても間に合わない。

 

一瞬が永遠に感じる世界で、月歌は最期の最期まで頭を振り絞り……やがて諦めかけた時だった。

 

 

「!?」

 

黒と赤に染まった斬撃がフラットハンドと月歌の間で炸裂する。凄まじい風が月歌を遅い、反射的に目を瞑った。

 

「大丈夫か?」

 

風に吹かれるまま、地面に身体を打ち付けそうになった月歌だったがその衝撃はいつまでも来なかった。代わりに伝わったのは誰かに抱えられる感触と――――今1番聞きたかったかもしれない声だった。

 

「……一護!」

 

「悪ィ、遅くなった」

 

その声の正体が一護だと分かり、直ぐに声を出す月歌。一護もそれに笑顔で返す。

 

「ふっ……!!」

 

だがフラットハンドはその再会を待つ間もなく、右と左から同時に腕部を振るう。

 

 

「ッ!!!――――うおおおおっ!!!」

 

天鎖斬月に月牙を纏わせ、一護が身体を拗らせる。渦のような月牙が左右から押し潰そうとする腕部と激突し凄まじい衝撃を生み出す。

 

ギチッ……バチッ……と音を立てて拮抗する2人、だが黒崎一護の顔は決して苦痛には歪んでいなかった。

 

「今だ――!!!」

 

『――――!?』

 

一護が声を荒らげ、フラットハンドが驚愕する。気がつけば、自分のすぐ真下に、3人の影があった。

 

「言われなくても……!!」

 

一護の言葉に蔵が反論し、鎌を振るう。突如として猛攻を受けたフラットハンド、微かに怒りの気配を感じさせつつ反撃に出ようとする。

 

「させるかよッ!!」

 

だが黒崎一護もそこで引かない、自らが持てる力を尽くしてフラットハンドの気を少しでもこちらに集めようとする。

 

月牙を纏わせた斬撃、デフレクタに防がれ直接ダメージは無いものの、これだけの衝撃が伝われば本能的に防御姿勢へと入ってしまうのが生き物というものだ。

 

キャンサーもまた生きている、機械のように決められた手順で動作するわけでもなく、それぞれが意志を持ち、今この瞬間を生きている。

 

――フラットハンドも、例外ではなかった。

 

「入ったッ!!」

 

眼前にいた蔵が叫ぶ。月城と月歌が同時に斬りかかった。一瞬でも完璧にこちらから気を逸らせたならば、後は全力で叩き切るのみ。

 

「はあああっ!!!」

 

大剣を、自らの身体を回転させる事でさらに威力を底上げさせる技。この一瞬で凄まじい破壊力を出すほどまで持ち上げられるのは月城最中だからこそできる事だ。

 

次の瞬間、叩き切るというより叩き伏せるに近い音がフラットハンドに響き渡る。未だイージスタワーにしがみついている身体の一部が後ろへ仰け反った。

 

「茅森ッ!!」

「今だ!」

 

「これで…………どうだぁっ!!!」

 

その月城の後ろから更に茅森月歌が飛び出す。明確にフラットハンドの眼が彼女を捉えるが、次の瞬間には横から叩き込まれた月牙天衝が頭をブレさせる。

 

そして、二刀を持つ月歌の左手の剣がフラットハンドを捕え、デフレクタを破壊させる。

 

「うおおおっ!!」

 

右手の剣を大きく振りかぶり、フラットハンドへと繰り出す。一際大きな音を出すフラットハンドだったが、次の瞬間には猛攻が止まり、完全に活動が停止した。

 

「はぁ……はぁ」

「なんとか、なったな……」

 

「息切れしてんじゃないか、2人とも……さっきの威勢はどこに行ったのさ」

 

「蔵っち……」

 

「アンタの所のお仲間は無事さ、もう片付いてるよ」

 

着地し肩で息をする月歌の元へ、同じく肩で息をする月城と蔵が歩み寄ってくる。月歌が仲間を方へ目線を向けるが、あちらももう終わったようで、全員がこちらへ走ってきていた。

 

「テメェも息切れしてんじゃねぇか」

 

一護もまたその場所に加わり、蔵へ言葉を投げる。

 

「1番ボロボロのアンタに言われたくないねぇ、今も血が出てるじゃないか……ったく」

 

「うむ……」

 

ボロボロの一護にちょっかいをかける蔵、そしてそれを見る月城だったが、一護は2人の様子と……フラットハンドに違和感を覚えた。

 

(……いや待て)

 

「とりあえず2体目に見つかる前にここを離れようぜ」

 

月歌がそう言い、31Aの仲間に声を掛ける。だがその時だった、和泉ユキが訝しげな顔をしながら、声を出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て……、こいつ”劣塔化しないのか?”」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッカーのユッキーは鋭いじゃないか、コイツはいよいよやばいよ」

 

「難儀な……」

 

和泉の疑問に、30Gの二人が頭を抱えている。

 

「……まさか」

 

月歌がフラットハンドを見あげようとした瞬間だった。

 

デフレクタが尽き、ひび割れたフラットハンドの全身から光が漏れ出る、まるで蛹から成虫へ進化するかの如く、殻を破り……新しい姿へ生まれ変わろうとする。

 

漏れ出た光が青から赤へと代わり、直後その殻が破裂する。

 

「くっ……!!」

 

「「っ!!」」

 

破裂した刹那、凄まじい風と衝撃がその場にいた全員を襲い、一際小さい身体のタマが吹き飛ばされそうになる。

 

「タマッ……!!」

「めぐみさん……!!」

 

隣にいた逢川めぐみが間一髪手を取り、なんとかその場に踏みとどまった。

 

「なんや……なんなんやこれ……っ!!」

 

直後目線を向けた先に存在していた物を見ためぐみが声を漏らす。

 

「なんだよこれ……ユッキー……!!」

 

「もはや理解不能だよ……」

 

目の前に存在していたのはもはや生物と言っていいものかすら分からなくなっていた。

 

皮を脱ぎ捨てて現れたのは蠢き渦巻く黒い影、その真ん中には赤い塊が存在しており、一際光らせて存在感をアピールしている。

 

まるで何か、生物という枠を超えた大きな概念とぶつかっているかのような感覚に月歌だけではなく、月城や蔵も畏怖する。

 

「なん……だと」

 

黒崎一護も、今迄とは全く異なる存在を前に、恐怖が先走りそうになる。今迄戦ってきた物の中にも、自分より圧倒的な力を持つ敵はいた。

 

だが今目の前に存在しているのはもはや別のなにかだ。攻撃をしたところで殺せるかもどうか分からない存在。

 

 

直後、こちらを見下ろしていたフラットハンドの赤い塊が光を増し、こちらに無数の弾幕を放つ。

 

「全員避けろ……っ!!」

 

その弾幕がこちらに迫った瞬間、月歌が指示を飛ばし全員が逃げ回る。当たればどうなるかわかったものではないソレを回避するためにデフレクタを使い、只管に避ける。

 

「クソッ……!!」

 

眼前に迫る弾を天鎖斬月を弾き飛ばした一護。空中に飛び上がった彼は、彼女達よりも狙われている数は多く、エネルギーの弾が上下左右から迫る、その攻撃を必死に叩き落として行く。

 

「ッ!?――なんだよこれ……っ!!」

 

だが一人で叩き落とせる数には限界がある、天鎖斬月を握る右手に弾が激突し、ソレは形を変えてその場所へ固定する物になった。

 

「一護!!」

 

「月歌、伏せろっ……!!」

 

拘束されて尚迫る大量のエネルギー弾、月歌が助けに入ろうとするが、和泉が頭を抑えてその場に伏せさせる。次の瞬間彼女達のスレスレをエネルギー弾が通過、後ろの壁へと激突し揺れが襲う。

 

 

「ユッキー……!!あんなものまともに喰らえばッ!!」

 

「わかってるよ……っ!!分かってる!!」

 

 

「黒崎……一護っ!!」

 

次の瞬間、無数のエネルギー弾を桜の花弁が相殺していく、自らに迫る弾を躱しつつ、白哉もまた一護をその場から離れさせようとしていた。

 

「白哉……ッ!!」

 

「ッ!!」

 

だが次の瞬間、背後から迫った弾への反応が遅れ、白哉が背中からマトモに弾を喰らう。

 

「白哉!!」

 

背中から吹き飛び、その場に倒れる白哉へ一護が声を飛ばす。だが次の瞬間には……四方八方から迫る攻撃が一護を飲み込んでいた。

 

「一護ッ!!!」

 

手を伸ばす先にいた一護が、空中から放り出され地面へと落下する。だがそこに再び、フラットハンドの攻撃が襲いかかろうとした瞬間だった。

 

蔵と月城の2人がデフレクタを使用しテレポート、一瞬で白哉と一護を回収して攻撃を回避する。

 

「蔵っち、もなにゃん……!」

 

「ここはあたいらの踏ん張りどころみたいだねぇ」

 

「うむ、そのようだな」

 

 

目の前の敵を視界に入れ、2人がそう呟く。

 

 

フラットハンドは、何を考えているかも分からず、ただその場に存在していた。




読んで下さりありがとうございます!!

このフラットハンドの進化、俺も初めて見た時なんかもうすごいなこいつ…ってドン引きレベルでしたよ。これからの展開をご存知の方は、2人が絡むことによってどう物語が進むのか、佐原ちゃんがどう影響するのか、お楽しみにしていてください!!

それでは次回!感想や評価お待ちしております!
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