血鎖の一護とか俺が好きすぎる。いつか書きたい。
「ッ!!!」
「っ!」
ぶつかるのは、二つの力、片方は……誇りをまとい、己を極限まで鍛え上げたものが振るう力。
もう片方は、これ以上何も失わない為に極限まで自分を戒め、前を向き、鍛え上げた無の極地。まさに無我夢中という言葉が相応しい。
(正面から受ければこちらの刀が折られる……であれば)
右から左へ振るわれる大剣をギリギリで躱した白哉が1歩踏み出す。狙うは手元……彼女は武器を失った状態でも充分脅威だが、セラフを持っている時よりも格段に抑えやすくなる。
(卍解を使えば、彼女を傷一つなく抑えるのは不可能になるだろう……だがこちらとて限界は近い)
左右上下から振りかざされる大剣を受け止め、軌道を逸らし、白哉が隙を伺う。
蔵里見も、すぐさま呼吸を整え月城を救おうとするだろう、何せ2人は相棒と呼ばれるまでになっている。
(どの道キャンサーに対して有効打が無い我や黒崎一護が優先してこの場で消耗せねばなるまい。帰還時にも一体も出会わないこと言うことはないのだから)
そう思考し、月城の腕を目掛け峰打ちを狙った一閃_____
「なっ……」
「ッ!!」
しかし、両手で持っていたはずの大剣を右手だけで持っていた月城は、刀を左手で握り受け止める。
当然刀を握れば構造上必ず手を斬る。現実今目の前の彼女の手からは血が流れ滴り落ちていた。白哉が引き抜こうとするが——刀はびくりともしなかった。
(なんという腕力だ……!刀が動かぬ……っ!)
驚愕による思考の遅れ、それを最強は見逃さなかった。
「っ!!」
次の瞬間、目の前に迫った大剣を白哉が間一髪回避する。だがその代償に刀から手を離してしまった、
「……」
刃を持った月城が、持ち主が離れた刀を一瞥する。だが使おうなどともせず、ぶっきらぼうに投げ捨てた。
「白哉……ッ!」
「案ずるな」
刀を失えば、死神にとっては主戦力を失うも同然……一護がよろけながらも立ち上がり参戦しようとするが、白哉がそれを手で止める。
「——卍解、千本桜景厳」
次の瞬間、投げ捨てられたはずの刀が床へと吸い込まれ、消えていく。
「投げ捨てられる直前、卍解を発動させたのね……どうやったのかは分からないけど」
一護の横にいたつかさが、そんな事を呟く。恐らく、そんなことをできるのは白哉だけだろう。そしてそれができるのは……千本桜景厳だからこそであった。
消えた刀は、その全てを桜の花びらとし白哉が操る。
「ッ!!!」
「……っ!」
武器を失った白哉へと、セラフを叩きつける月城、だが瞬間その間に無数の花弁が舞い上がり白哉を護る盾となる。
無数に拡がる花弁、だがその一つ一つ、全てが刀と同様の斬れ味を誇っていた。凡そ花弁にぶつかったとは思えないギリギリという音を立てて両者が拮抗する。
(奴がキャンサーであれば、このまま無数の千本桜を背後や横からぶつけ倒すこともできる。だがあやつは蔵の仲間……)
普段の2人を見ていればわかる。戦闘だけではない、日常生活でさえお互いがお互いを支え合って生きていた。
背後に居る蔵里見はどのような顔をしているのだろうか、恐らくこんな時そこ自分が一番前に立ち、止める役目を背負いたかったはずだ。だが白哉を信じ……その役目を譲っている。
ならば白哉のする事は、時間を稼ぎ……託してくれた蔵里見に、託す事。
「白哉!」
「っ……!!」
思考の瞬間、桜の花弁を無理矢理押し切った月城と目が合う。一瞬の驚き。
白哉は後ろへと飛び上がり上からの斬撃を回避する。地面を叩きつけた瞬間床がヒビ割れ、粉塵が舞う。年頃の女性が出していい力加減ではなかったが、今はそんなことを言っている暇もない。
「……フッ」
「ッッ!!」
千本桜景厳を舞わせ、狙いを拡散させる。四方八方から舞い上がる花弁の刃を本能が警戒させているのか、月城が距離をとったまま視線を左右させる。
(知性が完全に消えていれば、幾らか楽だったなのだがな)
そんな事を内心思いつつ、左右から一斉に花弁を迫らせる。大抵の相手ならここで上に飛び上がり回避を試みようとする。その瞬間を——縛道を使い捕らえあげる。
「なん……っ!?」
だが月城が取ったのは思いも寄らぬ前進だった。筋肉質な足が地面を蹴り、衝撃を生む。足蹴にされれば頭が吹き飛びそうなソレで白哉へと急接近する。
「くっ……!!」
白哉は千本桜景厳を使い回避を試みようとするが、花びらの行先には朽木白哉自身の手があった。
だが白哉は構わず花弁を自らの盾とする。大剣の一撃は回避することに成功したが、白哉の手が花弁へと触れ、無数の裂傷を生み出す。
月城が流していた血と、白哉の血が空で混じりあった。
「白哉!」
「……まさか」
一進一退の攻防を見守る31Aと一護。顎に手を当てて考え込むつかさが何かに気付いたような反応を示す。
「つかさっち、どうしたの……!?」
「千本桜景厳、一見天鎖斬月よりも最強に見える。ただ刀になって超高速になるよりもああやって全方位から迫られる方は相手が困る」
「ひでェ言い方だなオイ……」
「でもそれを操るのは朽木白哉本人、一見完璧に見えるソレも人の手が加われば少なからず弱点が生まれる……」
「そういう事かい……」
ふと何か合点がいったようで、蔵が呟く。
「千本桜景厳には、恐らくだけれど朽木白哉と相手の間に無意識に、操る彼自身が自滅しないように設定してある範囲があるのよ」
「ジブン、えげつない解析やな」
「でも道理がいくかも、ゲームでも全方位攻撃は必ず範囲があって……その範囲より内側の相手にはそれが当たらない。それと似たような感じなんだよね。多分……」
「ええ、ただゲームと違うのは、そこに命がかかっているということ。アレは範囲が予め指定してあるけど……今この現実は指定されてない、全ては朽木白哉の操る精度次第」
「ッ……」
そこで漸く一護も理解する。始めて卍解を見せられ、それとぶつかった時も……超高速で迫った一護が不意をついた時、確かにその範囲があった。
言わば、自分を傷付けない千本桜景厳を操れる範囲————無傷圏
(やはり学んでいる……っ!)
千本桜景厳を操り、自らの無傷圏を限界まで狭めて白哉は応戦する。だが月城はソレを理解しているのか、どんどんと速度をスピードを上げてくる。
月島との戦いの時も、無傷圏を見破られ危うく敗北を味わいそうになった。だからこそ、その経験を次の戦いへと活かす為の特訓はしてきた。
だが不殺が絶対のこの状況で、普段とはちがう戦いを強いられた白哉には、事前の特訓で得た知識はほぼ役に立たなかった。
「ぐっ……!!」
更に狭められた無傷圏、花弁が白哉の腕を斬り裂いていく。このまま続けば白哉は自滅の形で命を落とす。
「があああアアッ!!!」
「……っ、おおっ!!」
宙を舞い、地面へと手と足をつける月城、獣のような姿でこちらを睨んだ瞬間——その手と足を使い、今迄とは比にならない速度でこちらへと迫る。
白哉も吠え、それに応戦する。
狭めろ、自らの傷を恐れるな、彼女達を守るのが今自身に課せられた使命であろう。
「——!」
「——!!」
ぶつかる、右からの斬撃を受け止め、拳を拳を使って受け止め壁のある方面へと投げつける。だが空中で姿勢を整えた彼女は壁に足を着いた瞬間蹴り上げ更に加速し接近する。
それをどう交わすか、その後どう立ち回るか、一瞬で全てを判断し、思考し実行する。
ガキィン!!と一際大きな音を立てて、お互いが散らした火花が顔を照らす。
「ッ!」
「っ!」
傷まみれの手が彼女へと触れる——ことはなく虚しく空を切る。返ってくるのは言葉ではなく、刃……
「似合わぬ笑みだ……」
触れ合う寸前まで迫った彼女の顔、浮かべる笑みを見て白哉は呟く。嬉しい時、彼女はもう少し不器用に笑う。
それを知っているからこそ、今の彼女を獣と評した。
「っ!」
「ッ!!」
再び激突、目線を後ろの蔵へと向ける。
「朽木……」
目線を向けられた蔵が、何かを察したのか息を呑んだ。
(朽木にはもう時間を稼ぐ手立てが無いって事かい……)
恐らく、白哉が本気を出して月城最中と戦えば、勝敗がどちらに傾くのかは分からない。
だがそれは、同時に月城最中を”殺す”ということの表れでもある。本気で戦えば……手加減する隙間が無くなる。
(月城ちゃん、アンタはどう思う?)
白哉と相対する彼女へと、蔵が目を向けた。目線が返ってくることも、正気に戻り、声を掛けてくれることもなかった。
ただ吠えて、暴れる獣が目線の先には居た。
「蔵……?」
「蔵っち?」
立ち上がる、身の丈程の大鎌を持ち、蔵里美が立ち上がった。
(そう、だよねぇ……あたいはいつだって、月城ちゃんのブレーキだった。あたいを信じてくれたから……月城ちゃんは)
そう思って、1度息を吸って吐く。口元には笑みが浮かんだ。この場には不釣り合いな笑みだった。
その顔は、まるで恋焦がれるかのような表情をしていた。
「蔵っち、まさか」
何かを察したのだろう、月歌が蔵の前に立つ。
「どきな」
「嫌だ、第一皆消耗しきってる!今の蔵っちじゃ無理だよ!」
「力尽くで、気絶させるさ」
「1人じゃ無茶だよ、せめて白哉と一緒に……!」
「朽木と連携を考えつつ、月城ちゃんを止める。そうしたいのは山々だけど、あたいはそこまで器用じゃないからねぇ」
「じゃああたし達が……!」
そう言ってセラフを握り直す月歌だが、ユキがそれを止める。
「あたし達じゃあの速さと攻撃は受けきれない、足を引っ張るだけだ」
その言葉に、蔵が指をパチンと弾いて口を開いた。
「さすがハッカーのユッキー、その通り」
「……蔵っち!」
「今までずっとサポートしてきたんだ、月城ちゃんの太刀筋は誰よりも分かってるつもりさ」
「待てよ蔵、俺だってアイツとは戦ったことがあるんだ。太刀筋なら……俺だってわかる……っ!」
そう言いながら、一護が立ち上がる。天鎖斬月を床に突き立て、今にも倒れそうになりながらも……その目は蔵を見ていた。
「はっ、気持ちだけは受け取っておくよ。でも今のアンタじゃ1度受け切れるかどうかだろ?ここは大人しく、あたいにやらせてくれ」
「蔵……」
その言葉に、一護もそれ以上を言えなくなる。過ごした日は長いものではなかったが、その間にあったことは、彼女をかけがえのない仲間だと思うには充分だった。
「くっ……!!」
一際大きな音がなり、白哉が後ろへと弾き飛ばされる。千本桜景厳の無傷圏を突き、攻撃を通す頻度が上がる。白哉が消耗していく度に、彼に傷が増える。
限界は——近い。
「でも安心しなよ、月城ちゃんの夢は叶えてもらうからさ」
衝撃で髪がなびく、蔵は数歩歩いて、一護と月歌達に背中を見せる。靡いた髪はサラサラと、立ち方も酷く綺麗に見えた。
「蔵——」
「月城ちゃんに説明してやっとくれよ、あたいが死んだらどうなったかをね」
これから始まるは一世一代の死闘。
生き証人は、月歌達と——黒崎一護、朽木白哉だった。
BLEACH特有のオサレポエム、考えた日はあったんですけどね。なんか恥ずかしくなって辞めました。二次創作書いてる時点で世間体は恥ずかしいのかもしれない!!!!