でもめちゃくちゃよかった、最終回一歩手前で1ヶ月待った甲斐がありすぎて興奮冷めやらぬ……
あとミラハイが結構楽しい!!!
「白哉……!」
蔵里見へとバトンを渡し、月歌達が居る場所へと下がった白哉。やはり連戦に続く連戦で消耗していたのか彼女達の元へ来た瞬間に片膝を着いた。
「無理もないわ、私達も出会ったことのないレベルのキャンサー……それに月城最中。とっくに限界を超えててもおかしくない戦いね」
倒れた白哉を見下ろしつつ、つかさがそんなことを口にする。だが一瞬で白哉から目を離して月城と蔵の方へと視線を戻した。
「蔵っち、もなにゃん」
「月歌……」
月歌が視線を送る先では、2人が壮絶な戦いを繰り広げていた。
「今日はやけに元気じゃないか……っ!」
目の前に迫る大剣、その全てをギリギリでかわしつつ動きを最小限に留める。あの攻撃を真正面から受け止めてしまえば恐らく拮抗する事すらなく斬られてしまうだろう。
「っ……」
だが蔵里見も限界が近い、その証拠に一太刀受ける度に身体には傷が走りそこから血が流れていく。致命的なダメージはなくともこのままでは時期にこの状態も崩れてくるのは必須だった。
「月城ちゃん、ほんとにアンタは……相変わらず強いねぇ!」
大剣を流すように受け止め、地面へと重心を傾けさせる。だが月城はその恐るべき体幹を存分に振るい直ぐ様体勢を立て直した。
「があああああっ!!」
「でも、その懐に飛び込んで見せるよ!!」
次に駆け出したのは蔵だった。勢いに気圧される事なく果敢に飛び込んでいく。月城も負けじと本能的にその刃を振るっていくが
——蔵里見の命にまで届かなかった。
「これまでだって、何度も……何度も!!」
「う……ぐぁぁああっ!!」
「月城ちゃんの剣技を弾き続けてきたからねぇ!!」
2人が揃えば最強だった、どんなピンチも跳ね返せるような無限の力が2人にはあった。
「今度だって、上手くやってみせるさ!!」
無我夢中を止めることだって、容易に出来る。だからこそ背中を預けて月城最中は前に進んできた。
いつだって、蔵里見がそこにいたから。
「生きて帰ってもらうよ!!」
ふと、蔵が一護達の方面へと視線を向けた。いつものように軽く微笑んだ笑みを……見せる。
次の瞬間、地面を蹴り飛び上がった月城の一撃を真正面から受け止めた。
「う、うおおおっ!!」
腹の底からの叫びと共に、大剣を振り切り弾き返す。
「っ……!」
「ちっ……」
だが月城は宙を舞い、背後へと着地した。真正面から受け止めた影響か、衝撃で体が痺れる蔵が膝を着いて舌打ちをする。
「うううっ!!」
そこに、背後から両手で大剣を持った月城の凶刃が蔵へと差し掛かり————————————
「うう……!!」
その瞬間だった、月城最中の無我夢中が解除され……重たい沼から引きずり出されたような感覚と共に意識が戻る。
「蔵、か……?」
眼前に見えるのは、これ迄幾度となく死線を乗り越え、その背中を託してきた相棒である蔵里見の顔だった。
いつものように慈愛に満ちた微笑みを向ける彼女が口を開く。
「漸く……お目覚めかい、月城ちゃん」
「は……、なんだ、どうしてだ……」
月城の顔が、安堵、疑念——そして絶望へと感情が、変わっていく。
「どうして、我が蔵を貫いている……?」
月城最中の白く染まった大剣は、蔵里見を突き刺して貫通していたのだ。
「可愛い後輩達が、わがまま言うもんでね…」
貫通したまま、蔵が全体重を月城に預けた。だがその重さは……まるで今にも消えそうな程軽く、彼女の死が近い事を嫌でも実感させられた。
「違う、こんな……我が、我が死ぬ筈だったのに」
世界から音が消えそうになるほど心臓が煩い、だがこちらへと迫ってくる足音が、月城を現実へと引き戻そうとする。
「皆の者……!蔵の、蔵の応急手当を頼む!」
迫る31Aや一護達に向けた顔は、セラフ部隊最強という肩書きを忘れさせるほど——悲痛な、目の前で失われようとしている命に、それを手にかけた自分に怯える1人の少女の顔だった。
「わかった……!」
全員がどうすればいいか分からない中、和泉だけは逸早く動き始め応急処置を施そうとする。だが医療品を出そうとする手を止めたのは——蔵自身だった。
「見りゃわかるだろ……?致命傷だよ」
その一言に、一護の顔が悲痛に歪みそうになる。託して、信じて、任せた結果がこれだと言うのなら、自分が前に出て戦えばよかった。
「黒崎、後悔なんて……しないでおくれよ」
「……っ」
「あたいがやりたくて、やったことなんだ。何も、後悔なんてしてないさ」
その言葉に、一護は堪える。彼女に任せたのは自分だ。彼女もそれを選択し……受け入れた。それを後悔し、責めるのはきっと蔵里見にとっての侮辱となるだろう。
「月城ちゃん、あんたの夢はこれから叶う。死んだセラフ部隊隊員が……どうなるか」
「違う、そんなもの、夢では無い……!!」
蔵の言葉を遮るように、月城が悲痛に声を荒らげる。
「我は、我の仲間の生死を知りたかっただけだ!だが我はここで、蔵達を護って死ぬ事を選んだ!!」
「決して、決してこんな結果だけは望んでいなかった!!」
彼女の本心、彼女の心からの言葉。
「どうして置いていって——」
一護達へと振り返り、どうしようもない感情を向けようとした瞬間だった。一護や、白哉、そのふたりの見知らぬ傷を見て言葉が詰まる。
懸命に止めようとしていてくれたのだ、だが既に傷が深かった二人では止められず……蔵へと順番が回ってしまったのだろう。
嫌でも実感させられる、今日の自分はずっと気分が良かった。だから無我夢中もあそこまで続けて使うことができた。だがそれがこんな結末を迎えることになるのなら……やらなければよかった。
「そりゃあ……あんた、生きていて欲しいと思ったからだよ」
「っ……!!」
「誰も、誰にも死んで欲しくなんてないもんさ。それにあたいも…… 」
「何処迄も、月城ちゃんに惚れ込んでいたようだねぇ……一方的な、片想いだったけどね」
「違う!蔵!聞いてくれ、その想いはもう我には伝わっていたのだ!!」
その言葉に、今にも消えそうだった蔵の瞳の光が一瞬……眩く光った。
「痛い程伝わっていたのだ……!!この計画が終わったら、お前の立てていた夢を、定食屋の夢を手伝おうと思っていたのだ!!それ程までに、我の凄い仲間となっていたのだお前は!」
「それは、本当かい……?」
一世一代のプロポーズとも思える言葉に、蔵の顔はこれから死ぬようには思えないほど儚く輝いていた。
「だったら……これから死ぬってのに、良い気分だよ」
「すまぬ、伝えるのが遅くなってすまぬ、不器用ですまぬ……っ!!」
両手を武器から離し、懸命に蔵を抱きとめる。消えるのを嫌がる子供のように、消えてしまわないように必死で抱き抱える。
「こんな我で、すまぬ……!」
涙と後悔で顔をぐしゃぐしゃにして、蔵を抱き抱える月城。胸に抱かれた蔵は、本当に幸せそうな顔をしていた。
「謝ることないよ、そういう無骨な所が……好きなんだからさ」
「ありがとう、月城ちゃん」
「蔵……?」
微笑んでいた蔵が、そっと顔を月城に預けた。何かの重みが確実に消え去ったその身体を、月城が揺さぶる。
「蔵、蔵……!!」
致命的な物が消え去った、その事実を受け入れられずに居る月城、その肩を白哉が取ろうとした時だった。
「「っ……!?」」
その場にいた全員が、起きた現象に困惑を隠せなかった。
ドクンと、蔵の身体が鳴動した。2度、3度と脈打つように鳴動する。
「見つからないセラフ部隊員の遺体、基地内に溢れる未知なる生物」
覚醒した状態のつかさが、不意にそんな言葉を口にする。
「見てられない……」
徐々に、溶けるように人の形を失っていく彼女に可憐が目を逸らした。
「な……ぁ……?」
一護は、目が逸らせ無かった。さっき迄共にたたかっていた仲間が辿る末路を……その目に焼き付けてしまった。
同時にどす黒い感情が腹の底から渦巻くのを感じる。
「————」
白哉もまた、顔を顰め霊圧にその感情を示す。
「充分考えられたわ」
「っ………」
「これは、悪夢やないんか……?」
その間にも、蔵の身体はスライムのように溶けていき、縮み……見覚えのある姿に成り果てていく。
「……これが、軍の秘匿し続けた事実」
「セラフ部隊は、人間じゃなかった——私達は皆、ナービィなのよ」
「そんな事……」
月歌が頭を抱える、見下ろせば先程まで蔵が居た場所には……基地内で幾度となく見てきたナービィがこちらを見ている。辺りには蔵里見が着ていた衣服、装備品が落ちている。
その場所には、蔵里見だったナービィが居る。その周りには、衣服が散らばっている。
その真ん中には、ナービィが居て、蔵がナービィになって……荷物は落ちている。
「う……うぁ……」
月歌が必死に、何か違う理由を探そうとする。だが現実を直視すればするほど、蔵里見だったナービィが居て、その周りには衣服が散らばっているだけだった。
「そんな事ある訳ねぇえええっ!!!」
それでも、現実を受け止めるには重すぎたそれを、月歌は感情に乗せて口から吐き出した。
一先ずあと数話で3章が終わる予定です!!!
ヒユ達と一護はどうなるのでしょうか!!!
俺も気になります!!!(???)