でも日常パートはどうも苦手なんですよねぇ…めちゃくちゃほんへよりになってしまう…
一体どうすれば日常パートも上手くオリジナルでかけるでしょうか…
「蒼井の人生は、只々平凡です」
静かに、語り出すようにして蒼井は自身の過去を少しずつ話始めていった
「そうなのか?」
「はい、強いて言えば勉強の虫でしたから」
何処か寂しさが混じった声で蒼井がそう言う。去ろうとしていた一護も足を止めていた
「黒崎さんも聞いてて大丈夫ですよ、そんな面白い話でも無いですけど…」
照れるかの様に頬に指を添えながら蒼井が言う。一護は少しばかり考えたが蒼井の言葉に甘えてもう少し此処に居る事にした
「両親は2人とも教師でした、だから良い点を取る事でしか褒めて貰え無かったです」
「んだよそれ…こんな面の良い娘持ってそりゃあねぇだろ」
「えっ…あ、あの…」
「…?__どうした蒼井」
一護が呟いた瞬間、蒼井が少しばかり俯いた。月歌で表情が見えない為に少しばかり心配になった。やっぱり蒼井にとって過去は辛いものなのだろうかと
「はいはい一護は黙ってて」
「お前に言われると無性に腹立つ…」
「…其れに蒼井は、ハイパーサイメシアなので暗記だけは得意だったんです。」
「ハイパー…んだよそれ」
突如飛び出した聞き慣れない単語に一護と月歌が首を傾げた
「あれだよ一護の近くにいそうだろ?こうやってオラは怒ったぞー!!みたいな感じの奴」
「そんな奴いねぇよ!!____いねぇよな…?」
自分で否定しておいて少しばかり不安になってしまった、居ない様な気がするのだが何処かで聞いた事の有る感じだったからだ。例えば同じ雑誌に載ってても必ず交わる事の無い2つのストーリー的な感じの…そんな感じだった
「そんな元気そうな玉を打つ人じゃないですよ…!__1度見た物は必ず覚えられる。そんな能力です」
「へぇ!そりゃあ良いじゃねぇかよ」
「すご…!!其れじゃあ座学とか最強じゃん!」
「ふふっ…そうですね」
「良いなぁ…私も欲しいなぁそんな能力」
月歌がそう言った瞬間、蒼井の表情が少しだけ曇った様に窺えた
「…そんな良い物では無いですよ」
「そうかなぁ?」
「其れでテストは毎回、100点でした」
「良いじゃんか!」
「でも…其れだけでした。得意なのは暗記した回答を埋めるだけで、其れだけだったんです。其れ以外に取り柄がありませんでした…」
少し俯きながらそう言う蒼井、月歌と一護はそんな蒼井を見る事しか出来なかった
「…蒼井?」
「皆は夢があったり、他にやりたい事があったり夢中になれる物があったり…蒼井には暗記は出来ても蒼井自身は空っぽだったんです」
暗記さえ出来てしまえば正直あとは全てどうにかなる、教えあったり目標にわくわくしたり…そんな事が1度も無かったのだろうか
だが一度見てしまえば全て覚えてしまう能力は周りから見れば羨ましい物であったが、蒼井本人からすればある意味呪われている物でもあった筈だ
「其れに気づいた時は愕然としました…」
「でもよ、暗記が得意なら親と同じで教師を目指せば良かったんじゃねぇのか?」
一護がそう言うが蒼井は首を横に振った
「個人的にはそんな目標も無かったです」
「でも今は31Bの部隊長だ、それなりにやりがいはあるんじゃないのか?」
「茅森さんはそうなんですか?」
蒼井のその問いに月歌は何も気持ちも無く只純粋に答えた
「ああ、手間は掛かるけど良い仲間だ」
「良いお仲間に恵まれたんですね」
「まあな」
「でも、蒼井は茅森さんの様には慣れていなくて…何時も皆さんを巻き込んでしまってて…」
立ち上がって2人とは逆の方向を見る蒼井、
「だろうな、見てりゃ分かるさ」
「蒼井は最初、部隊長に任命された時に漸く全う出来る使命を見つけた。皆を纏めて、引っ張って、誰も死なせない…皆で世界を守るんだって、その為に蒼井は頑張るんだって…そう決意を固めました」
「…蒼井」
「でも、実際は出来なかった…蒼井には、向いてなかったんです…皆先に逝ってしまって、誰も残らなくて…そんな光景がずっと続いて」
ポツポツと語られる蒼井の心情は、余りにも重かった。其れを普段から感じさせない様にしているのも驚いたが、其れ以上に其れを1人で抱え込んでいる蒼井を考えれば…其れは本当に本人にとっての地獄だっただろう
「其れは終わりの無い…途方もない地獄の様で…、何処までも何処までも続いて行く悪夢で」
そう言う蒼井の肩が少し震え、腕をギュッと抱き締めていた
「なぁ蒼井___」
「おめぇさっき言ったじゃねぇか、自分にも全う出来る使命を見付けたってよ。じゃあ何で其れを最後まで貫き通さねぇんだ?」
月歌と一護、2人が口を開いたのはほぼ同時だった。其処は大人しく月歌が譲ってくれアイコンタクトで感謝を伝える
「蒼井にはもう…貫き通す覚悟が足りません」
「なら何で隊長やってんだよお前は…」
「一護…!」
月歌が一護を止めようとするが構わず一護は続ける
「俺の知ってる隊長ってのはよ、どんだけ力が有ろうが無かろうが己の信じたもんだけを信じてバカみてぇに突き進むってのが定番だぜ」
誇りと信念で揺らぎ、迷った者も居る。正義を貫き通す為に向こうへ行った者や自身の想いの為に戦った者も居る
信じられなくとも、前に進んだ者だって居た
「能力が有るとか無ぇとか関係ねぇ!___只、自分がそう決めたってんなら死ぬまで貫け」
「…!!」
「少なくとも俺とコイツはお前を信じてるからよ、隊は違えど此だったら少しくれぇはお前も信じれるんじゃ無ぇの?」
「茅森さんと黒崎さんは…私を必要としてくれてるんですか?」
「ああ、だからさっきのアリーナ…2人で潜り抜けただろ?俺はお前を必要として、お前は俺を必要として戦ったじゃねぇか__だから俺はお前の力を知ってる、お前のその力を信じる理由がある」
蒼井が一護の盾となり、一護は蒼井の剣となり戦った
「ああ、あたしも蒼井の力を信じてる。一護みたいに一緒に戦った訳でも無いけど…訓練の時に頼りにしてるぜ____でも一護だと純愛だけどあたしだと百合か…?」
珍しく月歌が良い事言ったと思ってしまったがその後直ぐに其れをぶち壊していく
「何言ってんだおめぇはよ」
一護が軽く小突くと月歌は両手を顎に添え舌をチラッと出して言う
「てへぺりんこ!」
「和泉が発狂する理由が分かった、其れされるとクソムカつくな」
「えぇ!?一護までそんなん言うの!?」
「あたりめぇだろ、其れされて見ろよクソムカつくぞ!」
「なんだとぉ!?」
「ぷふっ…なんですかそれ…」
2人がぎゃーぎゃーと言い合ってると気付けば蒼井が笑っていた、其れは月歌のてへぺりんこから来たのだろうか、2人の取っ組み合いからウケたのだろうか分からなかったが…
「んだよ…ちゃんと笑えんじゃねぇか」
「見ろ!!一護!!ウケたじゃないか!!」
「ぜってーおめぇのてへぺりんこじゃ無ぇよ」
「やった!!何でユッキーが此処に居ないんだよ…ちくしょう!」
「てめぇは人の話を聞けよ!」
「ち、ちょっと2人とも…!ぷっ…何ですかその顔…っ」
そして暫くの間お互いに変顔をさせながら取っ組合う2人を蒼井はずっと笑って見守ると言う光景が続いた
「はぁ…はぁ…」
「はっ…はっ…疲れたぁ」
「ふ、2人共大丈夫ですか?」
「全然大丈夫…」「あぁ…大丈夫」
倒れる2人を眺めながら蒼井が心配の声を掛ける、2人は大丈夫と言いベンチに這う様にして腰掛けた
「そうだ…蒼井を必要しているのは私達だけじゃない。ビャッコだって居るじゃん」
そんな月歌の一言に蒼井が静かに頷く。その目はさっきとは少しだけ変わりしっかりと前を見据えていた
「黒崎さん、茅森さん、有難う御座います。少しだけ前向きになれました」
「なら良かった____じゃ、最後にもう1つ宜しいでしょうか」
「はい?」
「何でそんな聞き方なんだよ…」
何処か紅茶を高くから注げそうな人の物言いで質問をする月歌に一護がそう言う。
「そんなになってまで前に立ち続ける理由って何なんだ?部隊長任せられる時に断るって方法も有っただろ?」
「いえ、今は…えっと」
「今は誰も死なせない様にとかじゃ無くなったのか?」
「其れは勿論あります…!でも…きっと…蒼井にはそんな力が無いから…」
「またなってんじゃねぇか…」
「いや…、頑張ります…!信じてくれる2人が居ますから…!」
「一護がビビらしたー」
「んだと!?」
「取り敢えずさ、蒼井…この作戦が終わったら全員で祝杯でもあげよーぜ」
「皆さんとですか?」
「あたしと蒼井の2人きりでだ」
「其れ俺がいたら意味無ぇじゃねぇか」
「…あ」
「ふふっ…じゃあ楽しみにしてます」
そうして、蒼井は少しばかり前を向く様になった。その後月歌と一護は2人で密かな約束を交わした
蒼井に、一人きりの地獄なんてもう二度と作らせやしないと